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日本企業の海外進出 【失敗例】から学ぶ【成功の秘訣】(ex.ユニクロ・キリン・丸紅・ソニー)

掲載日:2018年01月11日

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本記事では、日本企業の海外進出における「失敗事例」を元に、海外進出成功のカギとなる実践的なノウハウをご紹介。ユニクロ・ソニー・キリン・丸紅といった大手日系企業がおちいった海外進出「失敗事例」の原因を分析し、彼らが施した対応策を紐解くことで、日本企業の海外進出の成功の秘訣を導き出します。

結論から言えば、成功している企業に共通しているのは、失敗を重ねつつ改善を繰り返してきたということ。そう、失敗の原因にこそ成功へのヒントが隠されているのです!

photo by marumeganechan on flickr

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1. 海外進出の失敗例にこそ、進出成功へのヒントがある

戦略を練る有効な手段の1つが失敗例

実際に海外進出を考える際、各国・各業種によってノウハウや国の規制も異なってきます。そのため、過去の進出事例と、自社のビジネスを照らし合わせることが、戦略を練る有効な手段の1つとなります。海外進出事例の中には、成功した事例があれば、もちろん失敗した事例もあります。

そこで本記事では、大手企業の海外進出失敗事例にあえてフォーカスしました。自社の成長や事業拡大を図り、資金力を活かし海外企業をM&A(合弁・買収)する企業もあります。また、現地での日本人気を受け、店舗出店を果たす企業もあります。

2. 大手日本企業の失敗事例から紐解く、海外進出成功のカギとは?

海外進出は、リスク回避だけではなく、大きなチャンスでもある

現在、日本企業にとって、海外進出の必要性はますます高まっています。少子高齢化や人口減少により確実に縮小している国内市場。現在、日本の人口は約1億3000万人。そして、内閣府によって発表された2016年版の高齢社会白書によると、2050年には約9700万人まで人口が減少すると予想されています。さらには、全人口の約35%が65歳以上の高齢者とされていて、消費市場が縮小するとともに、働き手も減少しているのです。

一方で、中国や東南アジア諸国(ASEAN)などの新興国では、急激な人口の増加による市場拡大や、若く豊富な労働力、そして高水準での経済成長が続いています。また、先進する欧米にも巨大市場が存在します。海外には日本にない商機が拡大しているのです。

さらに、現在はインバウンド市場の拡大により訪日客が増加し、高まる日本製品や日本式サービスへの認知・人気。インバウンド後のアウトバウンド市場が拡大していて、海外進出は今、リスク回避だけではなく、大きなチャンスでもあるのです。

では実際に、大手企業でも失敗してしまう原因とは何なのか。日本大手企業4社の「失敗事例」を分析し、その対応策から海外進出成功のカギを導き出します。

【ケース1】株式会社ユニクロ(株式会社 ファーストリテイリング)

■株式会社ユニクロ
【海外売上高比】:45%(海外958店舗展開、2016年現在)
【進出国】:中華圏、東南アジア、欧米

<失敗事例>
2001年ユニクロはイギリス・ロンドンに海外初進出をしました。一時は21店舗まで拡大したものの、巨額の赤字を計上し、撤退を余儀なくされてしまいました。

同社の柳井正氏会長は当時「海外の現地法人は現地の人が経営をしないとうまくいかない」という考えのもと、紹介されたイギリスの老舗デパートでの勤務経験者を社長に採用しました。結果、イギリス文化も反映され、保守的な経営陣や組織になりました。経営者から店員まで、それぞれに階級・階層をつくり、壁ができてしまったのです。これは現場の社員と社長が対等に、一緒になって話し合うというユニクロの掲げる企業風土からはほど遠いものであり、ユニクロの理念を実現できませんでした。

<分析>
失敗原因として挙げられるのは、「人材選択・育成」、「企業理念の不浸透」です。たしかに、現地のビジネスに精通した現地人を責任者にすることは正しい戦略の1つです。しかし、現地でビジネス展開するにあたって最も大事なことは「企業理念の浸透」です。前提として企業のヴィジョンを知り、企業の経営理念を理解した人材が、現地の責任者になることが必要となります。そうすることで、自社の理念が責任者から浸透していき、自社の商売を実現することができるのです。もちろん、そうした中で、現地の商習慣に精通した人物がいることも、重要になってきます。

<対応策>
実際に、自社企業に精通し現地の商習慣を知っている人材を選択・育成することは簡単ではありません。対応策として、自社から人材を派遣するとともに現地でのパートナーを見つけるということが挙げられます。自社から人材を派遣し、現地の有力なパートナーから現地の商習慣を学ぶことで現地に対応しながら自社のビジネスモデルを実現することが可能となります。

【ケース2】キリンホールディングス株式会社(キリンビール株式会社)

■キリンホールディングス株式会社
【海外売上高比】:28.4%(6241億円、2015年)
【進出国】:オセアニア、ブラジル、東南アジア、中国

<失敗事例>
日本のビール市場は、2016年も落ち込む見通しで、今後も人口減少などにより先行きが暗くなっています。そのため大手酒類メーカーは海外に活路を求めています。キリンホールディングスもその1つです。2009年に豪ビール2位のライオンネイサン(現ライオン)を、3300億円で完全子会社にしました。同年、フィリピンのビール最大手サンミゲルに1316億円を出資して、48%の株式を取得しました。2011年には、ブラジル2位のビール会社、スキンカリオール(現ブラジルキリン)も3000億円で買収しています。

しかし、そうした積極的な海外進出を進める中で、2015年12月期連結決算でスキンカリオールの取得に伴って生じた「のれん代(買収額と正味資産の差額)」の減損など、1140億円を特別損失として計上しました。そのため、最終損益は従来予想の580億円の黒字から560億円の赤字に大幅に下方修正し、上場以来初の最終赤字を記録してしまいました。ブラジルでは思うように販売が伸びず、その背景には世界首位アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)との価格競争に敗れたということもありました。

<分析>
キリンのブラジル進出失敗の原因としては「競合」の存在にあります。ブラジルのビール市場は年々拡大しています。その消費量は、中国、米国に次ぐ世界3位となっています(2015年)。市場としての魅力的なのは間違いありません。それでも失敗をしてしまった原因は「競合」マーケティング不足にあります。日本国内での競合はほとんどが日本企業のみですが、海外に進出すると、競合は世界中から集まってきます。インベブは世界ビール市場シェア3割を握る世界大手企業であり、国内最大手のキリンは世界シェアではわずか2%です。世界では国内市場よりも多くの力を持った競合がいるのです。

<対応策>
対応策としてあげられるのは現地での競合マーケティングにあります。新興国などの市場の大きさやコストの低さといった、魅力的な部分のみを考えて進出をすると見落としてしまいがちなのが、競合マーケティングです。魅力的な市場を狙っているのは、日本企業だけではありません。進出する前に競合も含め、他国企業の進出状況や現地での実績といった、現地マーケティングをしっかり行うことが必要となります。

【ケース3】丸紅株式会社

■丸紅株式会社
【海外売上高】:10兆5090億円(2013年)
【進出国】:北米、中南米、中東など

<失敗事例>
2013年7月、総合商社の丸紅はアメリカ第3位の穀物商社、ガビロンを2700億円で買収しました。丸紅の穀物部門と統合し、アメリカにおける穀物ビジネスを急拡大させる計画でした。しかし、ガビロン買収による丸紅とのシナジーは計画どおり実現せず、買収の1年8カ月後の2015年3月期決算において、ガビロン買収時の「のれん代」1000億円のうち、500億円の減損計上を余儀なくされました。

<分析>
買収後の利益見通しを楽観的に計上していたことが原因です。さらに堀下げると「市場予測が不十分であったこと」、そして「現地ブランディングの不足」が考えられます。総合商社である丸紅は日本企業の中でも穀物部門において強みを持っていました。その強みを生かした事業拡大を図りました。しかし結果は、大型買収を決めましたが、不十分な計上予測により赤字となってしまいました。また、国内大手であっても未開の他国におけるブランド力はほとんどありませんでした。急激な拡大を図った一方で、現地ブランド力が追いついていなかったことも売上が伸びなかったことの原因です。

<対応策>
対応策として、海外事業拡大のために現地企業を買収する際には、現地での売上予測を正確にし、それを踏まえた上で買収額や資本金を決めることが重要となります。また、海外展開を進めていく上で、現地でのブランド力向上についても意識し、バランスを見て事業拡大をしていくことが大切になります。

【ケース4】ソニー株式会社

■ソニー株式会社
【海外売上高比】:72%(2015年)
【進出国】:中国、シンガポール、インド、アメリカ、イギリスなど

<失敗事例>
ソニーは2016年11月、中国広東省広州市の工場を売却することを発表しました。工場は2005年から稼働しており、4000人もの現地雇用を行っていましたが中国経済の減速を受け、撤退を決断しました。従業員は全て売却先の中国企業に引き継ぐとされていましたが、これを機に現地の雇用者たちは一斉にストライキを行いました。企業側に非がなくても多額の補償金を積むことで、ストライキを早期収集してきた日本企業は過去にもありました。今回も現地雇用者が、「ソニーは大企業なため多額の補償金がもらえるだろう」ということでストライキを決行しました。結果、ソニーは職場への復帰を条件に、1人あたり最大1000元(約1万6000円)を支払う案を提示し「補償金」を払うことで事態は収縮しました。ソニーは払わなくても良い多額の保証金を払う形となってしまいました。

<分析>
日本ではこうしたストライキはあまり考えられません。しかし、世界各国において「現地の商習慣や文化、人」は異なります。「日本では〜〜だから」ということは、世界に通用しないことが少なくありません。それぞれの現地で、それぞれの商習慣があり、文化があり、人がいるのです。

<対応策>
まずは、現地における商習慣や文化があり、人がいるということを理解することです。日本で通用していたことをそのまま「輸出」するだけで成功することもあれば、失敗することもあります。例えば、イスラム教国であるインドネシアなどでは独特の「ハラール認証」というものがあります。食物の取扱に非常に厳しく規定されており、この認証を取らないと現地では飲食ビジネスができません。まずは「異なる」ということを理解し、しっかり調査、対応することが海外進出を成功させるために非常に重要なことです。

3. まとめ

海外進出において失敗はつきもの

たとえ資金力のある大手企業であっても、海外進出においてやはり失敗はつきもの。つまり、海外進出においての失敗の本質は、資金力にあるわけではないということです。資金力や予算の乏しい中小企業やプロジェクトであっても、その失敗の本質を理解しておくことは重要でしょう。その本質をつかむことが、日本企業の海外進出成功のカギとなります。

今回は、大手企業の「失敗事例」にフォーカスして取り上げましたが、どれも資金力だけで解決できるものではなく、海外進出を考えるすべての企業に起こりうることです。ぜひ本記事を参考に、自社のビジネスに落とし込んでみてください。

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