海外で人気の「日本食ブーム」と「現地の外国人の和食への反応」まとめ
海外で人気がある「日本食ブームのトレンド」と「現地に住む外国人の和食への反応」をまとめてご紹介します。
和食が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されたことは、日本食の国際的な評価と人気を一層高める契機となりました。コロナ禍後の円安の影響も相まって、世界中で日本食のプレゼンスが更に増大し、海外での飲食ビジネスには大きなチャンスが広がっています。
しかし、競争が激化していることも事実であり、成功を収めるためには、日本企業の強みを活かしつつ、現地市場の動向と消費者の嗜好を深く理解する必要があります。
本稿では、日本企業の進出先として人気の「タイ」、イスラム圏の巨大市場である「インドネシア」、そして世界一のマーケットである「アメリカ」、未知の可能性に満ちた「ヨーロッパ」という4つの地域の飲食市場と、現地で人気がある日本食のトレンドとその反応を解説します。
果たして海外で人気の日本食とは? 日本食ブームにおけるローカルトレンドとは? 気になる現地外国人の反応とは? 本テキストをぜひアナタの飲食事業の海外進出にお役立てください!
▼海外で人気の「日本食ブーム」と「現地の外国人の和食への反応」まとめ
- 1. 円安に伴うインバウンドの増加にともなう海外での日本食(和食)ブーム
- 2. タイで人気の日本食(和食)ブームと現地の反応
- 3. インドネシアで人気の日本食(和食)ブームと現地の反応
- 4. ヨーロッパで人気の日本食(和食)ブームと現地の反応
- 5. アメリカで人気の日本食(和食)ブームと現地の反応
- 6. 日本食(和食)の海外展開を成功させるポイントとは?
- 7. 今もっとも海外進出のチャンスがある業種は「飲食業」
▼アナタの海外ビジネスを成功させるために
1. 円安に伴うインバウンドの増加にともなう海外での日本食(和食)ブーム
インバウンド需要の復活が日本食ブームを再び加速させている
2023年後半からの各国における入国規制の緩和と、ワクチン接種率の向上に伴い、日本を訪れる外国人観光客数は急速に回復し、2024年にはコロナ前の水準に近づきつつあります。
このインバウンド需要の復活が、日本食ブームを再び加速させているのです。
こうした背景には、訪日客の急増によりインバウンド市場が再び急拡大していることがあります。訪日した外国人の間で日本食の認知が向上するとともに、訪日後に現地の日本食レストランを訪れる人が増加しているのです。
しかし、訪日中に本物の日本食を食べたことにより、今まで以上に現地でも日本食の「質」が求められるようになりました。寿司もカリフォルニアロールのような巻物が人気でしたが、握り寿司も急激に人気が高まっています。
また、ヘルシー志向の高まるアメリカを中心に「日本食=ヘルシー」というイメージも浸透しており、最近では豆腐などが人気を集めるほどです。
日本企業による飲食ビジネスの海外展開に際しては、この「日本食」ブランドを活用しない手はありません。
海外での和食ブームによる競争の激化と差別化の必要性
しかしながら、海外市場における日本食の人気に伴い、現地資本による「日本食レストラン」も急増しています。これらのレストランは価格競争力を武器に、迅速に市場シェアを拡大しているため、日本企業の参入には高度な差別化戦略が求められているのです。
さらに、日本料理の提供だけでなく、現地のニーズやトレンドを取り入れたメニューのカスタマイズも必要です。
例えば、アメリカの主要都市では、プラントベースやケトジェニックダイエットに対応した日本料理のバリエーションが注目を集めています。こうした動向に柔軟に対応することが、競争力を高める要因となるでしょう。
2024年のポストコロナ時代において、日本企業が海外で飲食ビジネスを展開するためには、「日本食」ブランドの持つ価値を最大限に活用しながら、現地市場の特性に合わせた戦略的なアプローチが求められます。
そういった背景を踏まえて、次のセクションでは、日本企業の進出先として注目されている「タイ」、イスラム圏の有力市場である「インドネシア」、最大規模の市場を誇る「アメリカ」、そして新たな日本食ブームが広がりつつある「ヨーロッパ」の4地域について、それぞれの飲食市場の状況や現地で人気の日本食のトレンドと消費者の反応を詳しく解説していきます。
2. タイで人気の日本食(和食)ブームと現地の反応
タイでは高級日本食の出店に商機アリ
アジアの日本食レストランの数は約45,000店で、世界で最も日本食レストランの多い地域となっています。地理的や文化的に日本と近いことから日本企業も進出しやすく、訪日客も多く訪れるため日本食文化の浸透が速く進みました。そのため、多くの日本食レストランが店舗を拡大していきました。
その中でも、特に注目されているのはタイです。親日であり、日本食レストランの受け入れにも寛容で、日本食文化の浸透も速く進みました。タイには既に多くの日本食レストランが出店しており、和食チェーンのやよい軒や大戸屋、ラーメンチェーンや寿司レストランも多く展開されています。国内の安定した経済成長により、比較的高級イメージのある日本食も「誰の手にも届きやすいもの」になっています。
一通りの日本食が手に入れられるようになっているタイでは今後、本物の「高級日本食」出店に商機が拡大しています。経済成長により、中間層や富裕層は拡大しており、そのような層は「誰の手にも届かないもの」を求めるようになります。例えば、日本の銀座の寿司屋のような回らない寿司屋や日本国産の高級和牛を扱った焼肉屋など、日本でしか食べれなかったような本物の日本食提供に商機が拡大しています。
タイで人気の日本食①【天ぷら】
タイ料理には天ぷらと似たような料理があります。海鮮や野菜を揚げたものを「ナムプリック」という味噌のようなソースで食べるのが昔から親しまれてきたため、日本の天ぷらの現地人気も高いです。
しかし、タイ人は辛いものや味の濃いものを好む嗜好があります。そのため、天つゆや塩で味わう日本式より、現地人の嗜好に合わせた味の濃いソースで食べる天ぷらが人気になっています。
タイで人気の日本食② タイスキ(タイ風のすき焼き)
また、タイスキという「タイ風のスキヤキ」が現地では人気があります。日本のスキヤキや鍋を現地風にアレンジした寄せ鍋のようなものです。こちらも日本式よりも辛いものや、味の濃いもので味付けされる傾向があります。
このように、タイ人の嗜好として辛いものや味の濃いものが好きな傾向があるため、現地風にアレンジすることで人気を集めることが可能です。
3. インドネシアで人気の日本食(和食)ブームと現地の反応
イスラムの厳しい戒律「ハラル」の存在
インドネシアも急激な人口増加に伴う経済成長により、中間層や富裕層が拡大しています。その中で、近年タイと同様に日本食レストランの普及が進んでいます。
しかし、インドネシアへの飲食店出店は難しいと言われていました。その理由としては、日本にはあまり馴染みのないイスラム教文化の国であり、飲食において厳しい戒律「ハラル」があることです。
代表的なものだと豚やアルコールなどの飲食は原則禁止されており、出店の際もハラルの戒律に沿った営業をしている証明として「ハラル認証」を取得する必要があります。
また、1万3,466もの大小の島により構成されているインドネシアでは横展開が難しいこともあります。しかし、2億6000万人を抱えるインドネシアの飲食市場は非常に大きな魅力を持っています。
また、タイが同様に成長してきたように、今後は中間層の増加により和食チェーンやラーメンや寿司などのチェーンなど「誰の手にも届きやすいもの」の需要が高まることが予測されます。
インドネシアで人気の日本食①【サンバルソース+和食】
料理ではないですが、インドネシアの食卓に欠かせないのがこのソース。辛味調味料でチリソースの一種と言われています。
ナシゴレンやミーゴレンといった現地の代表的な料理にもふんだんに用いられます。インドネシア人の嗜好は非常に辛いもの好きとなっており、日本食では物足りなさを感じてしまう人も少なくありません。
そのため、現地に根付くサンバルソースと日本食を組み合わせることで、現地型の日本食を開発する事ができるかもしれません。
インドネシアで人気の日本食②【寿司】
ジャカルタで、一番多い日本食レストランは寿司屋だと言われています。元々インドネシア人には、シーフードの生食の習慣はないのですが、カリフォルニアロールやドラゴンロールなどの、いわゆるフュージョン寿司が人気に火をつけました。
日本人のイメージする「寿司」とは少々異なりますが、野菜をふんだんに使い、全体的に甘めの味付けの中にサンバル(チリ)の辛みを効かせたフュージョン寿司が人気になっています。
4. ヨーロッパで人気の日本食(和食)ブームと現地の反応
日本食レストランの進出が加速する欧州
欧州では、近年日本食人気が非常に高まっています。グローバルの加速に伴い、ヒト・モノ・カネの国境を超えた移動の障壁が低くなっています。
その中で、アジアと比べると距離のある欧州からの訪日客も近年増加するとともに、日本食レストランの進出も加速しています。
欧州で展開されている多くの日本食レストランは現地価格に合わせたチェーン店です。そのため、クオリティはやはり本物の日本食とは異なる上に、価格も割高になっています。訪日する外国人は日本食を食べた際「この値段でこのクオリティの日本食を食べれるのは安い」と言います。
現地では日本食ブームの波に乗り、現地の人や中国人などが日本食レストランと名乗り経営していることも少なくありません。そのため、今後はより日本の味に近いレストランが求められていきます。寿司やラーメンを筆頭にカレーや居酒屋など、現地での日本食スタイル需要は高まっています。
フランスやスペインなど、食文化が進む国でも日本食レストランが増加しているということは日本食が世界で認められ始めている証拠とも言えます。また、日本酒人気も高まっています。
ヨーロッパで人気の日本食①【ラーメン】
近年、欧州では各地でラーメン店の出店が相次いでます。英国には一風堂なども進出しています。ヨーロッパにおけるラーメン店の広がりはここ数年で堅調に伸びております。
もともとはアメリカ同様に日本人の駐在員向けのマーケットでしたが、徐々に日本の大衆食文化としてのラーメンに注目が集まり、近年は現地人をマーケットとしたラーメン店が続々とオープンしています。フレンチの本場フランスでもラーメン人気は高まってり、食に精通するヨーロッパ人の舌を唸らせています。
5. アメリカで人気の日本食(和食)ブームと現地の反応
寿司やラーメンに続く人気料理とは…?
ヘルシー志向が高まるアメリカでは「日本食=ヘルシー」というブランドが確立され、日本食人気が高まりました。
ブームのけん引役であったこともあり、寿司やラーメンは既にポピュラーとなっています。そこで、その後継として人気を集め始めている料理をご紹介します。
アメリカで人気の日本食①【豆腐】
アメリカでは、豆腐、そば、うどんといったよりヘルシーなものへの人気が高まっています。
日本において豆腐は、冷ややっこなどのように生で食べる場合が多いです。しかし、米国では豆腐チゲや野菜炒めなど、加熱調理で食べる方法が主流になっています。
アメリカで人気の日本食①【テリヤキソース】
テリヤキソース「Teriyaki」はアメリカ人好みのソースであり、現地料理にアレンジされて好まれて食されています。
現地でアレンジされた手巻き寿司であるカルフォルニアロールが代表されるように、アメリカでは現地人の嗜好に日本食を合わせたスタイルが今後も人気となるでしょう。
そのため、今後は人気の出てきた豆腐やそば、うどんなどを現地のスタイルに合わせたものに人気が出てきそうです。
6. 日本食(和食)の海外展開を成功させるポイントとは?
現地文化の理解こそが成功のポイント
農林水産省の最新の調査によると、海外の日本食レストランの数は過去10年間で3倍に増加し、2023年には約18万7,000店に達しました。これは2015年の8万9,000店、2013年の5万5,000店と比べても大幅な増加を示しており、日本食の人気が世界的に高まっていることを反映しています。
この成長は、アニメ文化の影響や日本料理の健康志向が評価されていることなど、さまざまな要因に支えられています。
地域別では、特にアジアとヨーロッパでの増加が顕著で、2021年からそれぞれ20%の成長を遂げています。さらに、アメリカや中国といった主要市場でも、日本食の需要は引き続き拡大しています。
現在は「寿司」だけでなくラーメンや天ぷら、焼肉や牛丼など多くの日本食レストランが世界中の都市に立ち並ぶとともに、現地の嗜好にアレンジされた現地型の日本食レストランも多く開業しています。
日本の飲食産業にとって今、海外進出のチャンスが大きく広がっていることは間違いないでしょう。
しかし、実際に海外進出する際には、地域や国によって食文化も異なるため、人気の日本食も異なってきます。場所によっては宗教の関係で、禁止されている食材もあります。そのため、飲食業の海外進出では、文化の違いを理解することが非常に重要なのです。
世界の三大料理といえば、東洋文化代表の「中華料理」、西洋文化代表の「フランス料理」、そしてイスラム文化圏代表の「トルコ料理」といわれています。古くから食材や調理法が豊富だった国から生まれたこれらの料理は、世界各地の食文化に大きな影響を与え多くの人に食されている料理です。
しかし世界を見渡せば、日本食が世界3大料理に並ぶと言っても過言でないほど人気を高めているとも言えるのです。
7. 今もっとも海外進出のチャンスがある業種は「飲食業」
日本企業の海外進出における飲食業に関する最新トレンド
最後に補足情報として「日本企業の海外進出における飲食業に関する最新トレンド」をご紹介します。
毎年、海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima~出島~」では1年間の進出相談と海外進出企業ならびに、海外進出支援企業を対象に実施したアンケートをもとに「海外進出白書」を作成しています。
「海外進出白書」では「日本企業の海外進出を支援しているサポート企業(専門家)」へアンケートを実施。彼らが考える海外進出成功のノウハウ、専門家の知見から見えてくる海外進出のチャンスなどについて調査しました。
下記のグラフは、海外進出をサポートする専門家に「今、最も「海外進出」のチャンスがある業種」についてうかがったアンケート調査の結果です。
その調査の結果は「飲食」という回答が60%を超え、最も多く寄せられる結果となりました。
海外での日本食ブームは健在!「飲食業」のチャンスは他の業種にも波及!?
上記の結果の内訳について見ていきましょう。
国内の飲食業を眺めてみると、コロナ禍からの立ち直りが進んでいる印象があります。加えて、宅配サービスが発展したことにより、外食産業が家庭内での消費活動に進出し、大きなチャンスが広がっているようです。
そして、世界的には、健康ブームを背景に、日本食への関心の高まりがあります。また、訪日観光客が増加している点も、飲食業の海外展開を後押ししています。
そういった点を総合的に鑑みて「飲食業」にチャンスありと回答した専門家が増加しているようです。コメントには下記のようなものがありました。
「和食は世界遺産に登録されており、インバウンド客が日本で体験した日本食を自国でも食べたいというニーズが増えている」(フィリピンビジネスの専門家)
「日本酒メーカーの工場設立や、アルコールの規制改定により焼酎の販売拡大が注目されているなどのトピックスがあり、再び日本食が注目されているため」(アメリカの人材エージェント)
「日本食を契機に幅広い食産品の輸出にもつながると考えている」(地方自治体の海外展開支援担当)
「中国では生活の質の高度化に目が向けられている。いわゆる飽食の時代が終焉をむかえており、関心が健康生活に移りつつある」(韓国ビジネスの専門家)
前年度の調査と比較して「飲食業」の展開が「食品製造業/小売業」の販路拡大につながっていくという意見が多くなっていました。
このように日本食に関するニーズは世界的にも大きいと言えます。
一方で、そうしたチャンスを活かすために、ブランド確立は必要不可欠です。現状では、日本食の商機に目をつけた中国企業や韓国企業、そして欧米企業までが「日本食店」を運営し始めています。そうした企業に日本食ニーズを奪われないためにも、「本物の日本食」を提供しているというブランドを確立していくことは重要です。
このチャンスを活かせるかどうかは、日本企業の取り組み方や工夫にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
…上記の内容をさらに深掘りした日本企業の海外進出動向を「海外進出白書」にて解説しています。
日本企業の海外進出動向の情報以外にも、「海外進出企業の実態アンケート調査」「海外ビジネスの専門家の意識調査」など、全95Pに渡って、日本企業の海外進出に関する最新情報が掲載されている『海外進出白書(2023-2024年版)』。
今なら無料でダウンロードが可能となっております。ぜひ貴社の海外ビジネスにお役立てください!
8. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
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今回は、海外で人気がある日本食(和食)のトレンドと現地の反応をまとめてご紹介しました。海外における日本食を巡る実情を知ることで得たアナタのビジョンは、今後の海外での飲食ビジネスにおける重要な指標となるはずです。
「Digima〜出島〜」には、厳選な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。
「海外現地に店舗を出店したい」「店舗出店に際して現地の法規制・許認可を調べたい」「自社店舗を海外フランチャイズ展開したい」「海外に進出したいが何から始めていいのかわからない」…といった、多岐に渡る海外進出におけるご質問・ご相談を承っています。
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