特定技能2号の要件を徹底解説|対象11分野・評価試験・1号との違いまで
特定技能2号は、2023年6月の制度改正によって対象分野が大幅に拡大され、注目度が高まっています。それまで建設と造船・舶用工業の2分野に限られていた特定技能2号は、新たに11分野が追加されて合計11分野(介護を除く)となり、多くの企業が活用を検討できるようになりました。
特定技能2号は在留期間に上限がなく家族帯同も可能なため、長期的な人材確保に非常に有利な在留資格です。一方で「1号と何が違うのか」「どんな要件が必要か」について正確に理解しておかなければ、採用計画が後手に回るリスクもあります。
本記事では、1号との違い・対象11分野・取得要件・評価試験ルート・受入企業の手続きまで実務目線で解説します。外国人採用を本格検討しているHR担当者・経営者の方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
▼目次
- ▼目次
- 1. 特定技能2号とは?1号との違いを整理する
- 2. 特定技能2号の対象11分野一覧(2023年拡大後)
- 3. 特定技能2号の取得要件(外国人材側)
- 4. 分野別の評価試験・実務経験ルート
- 5. 受入企業側の要件と手続き
- 6. よくある質問(FAQ)
- 7. まとめ
- 8. 優良な外国人採用支援企業をご紹介
1. 特定技能2号とは?1号との違いを整理する
特定技能制度の概要
特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するため2019年4月に創設された在留資格制度です。即戦力となる外国人材を一定の専門性・技能が求められる分野で受け入れることを目的としており、従来の技能実習制度とは異なる「就労目的」の在留資格として位置づけられています。
特定技能には「1号」と「2号」の2種類があります。特定技能1号は在留期間が最長5年で家族帯同が原則不可という制約があります。一方、特定技能2号は「熟練した技能」を要する業務に従事するための在留資格で、在留期間の上限がなく家族帯同も認められています。長期的なキャリア形成を望む優秀な人材を確保・定着させる手段として、受入企業からの注目が高まっています。
1号と2号の比較表(在留期間・家族帯同・日本語要件・更新制限)
特定技能1号と2号の主な違いを整理すると以下のとおりです。
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算5年まで | 3年・1年・6ヶ月の繰り返しで更新回数に上限なし |
| 家族帯同 | 原則不可 | 「家族滞在」在留資格で配偶者・子の帯同が可能 |
| 日本語要件 | JLPT等の合格が必要 | 日本語試験不要(熟練技能の証明のみ) |
| 更新制限 | 通算5年超は不可 | 要件を満たす限り更新制限なし。一定条件で永住許可申請も可能 |
特定技能2号は長期就労・安定在留に向けた設計となっており、採用投資の回収が見込みやすい在留資格といえます。ただし取得要件のハードルは高く、外国人材が「熟練した技能」を持つことを証明する必要があります。
2. 特定技能2号の対象11分野一覧(2023年拡大後)
対象分野と業務区分の一覧
特定技能2号は、制度創設当初は建設と造船・舶用工業の2分野のみが対象でした。しかし2023年6月の閣議決定により、新たに9分野が追加され、合計11分野(介護を除く)に拡大されました(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度の見直しについて」2023年6月)。
対象11分野は、建設/造船・舶用工業/ビルクリーニング/素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業/自動車整備/航空/宿泊/農業/漁業/飲食料品製造業/外食業です。なお「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」は2022年に3分野が統合されたものです。業務区分の詳細については、各分野の所管省庁が定める協議会のガイドラインを確認してください。
対象外となる分野(介護)の注意点
介護分野は、特定技能の対象分野(1号対象)に含まれていますが、特定技能2号の対象からは除外されています。介護分野では「介護」という独自の在留資格が設けられており、専門的なキャリアアップのルートが別途用意されているためです。
介護分野で長期就労を目指す場合は、特定技能1号(介護)から介護福祉士国家資格の取得を経て「介護」在留資格へ移行するルートが一般的です。自社の業種がどの分野に該当するか不明な場合は、所管省庁か専門支援機関へ早めに相談することを推奨します。
3. 特定技能2号の取得要件(外国人材側)
技能要件:熟練した技能の証明方法
特定技能2号の最も重要な要件が「熟練した技能」の証明です。特定技能1号が「相当程度の知識または経験」を求めるのに対し、2号では業務に熟達した高度な技能が求められます。
証明方法は大きく2つあります。ひとつは各分野で設けられた技能評価試験(2号相当)に合格する方法、もうひとつは一定の実務経験を積む「実務経験ルート」です(詳細は第4章で解説します)。いずれのルートでも単に年数をこなすだけでなく、業務の習熟度を客観的に示すことが求められます。外国人材が自社で長年勤務していても要件を満たさなければ2号は取得できないため、早い段階からキャリアパスを設計しておくことが重要です。
日本語要件(1号と異なり不要)
特定技能1号では、JLPTのN4以上または日本語基礎テスト等への合格が取得要件として定められています。しかし、特定技能2号では日本語試験の受験・合格は一切求められていません。
2号取得にあたって求められるのは技能面の熟練度(評価試験合格または実務経験)であり、日本語能力の公的証明は要件外です。実務上、日本語力が高いほど業務効率が上がるケースは多いですが、在留資格申請書類として日本語試験の合格証明書を提出する義務はありません。この緩和は、長期就労を通じて自然に日本語能力が培われるという考え方に基づいた設計です。
ただし、この取り扱いは今後変わる見込みです。出入国在留管理庁の公表資料によると、2027年4月1日から省令の施行により「B1相当以上(JLPT N3程度)」の日本語能力が試験等で確認される予定となっています(2026年7月時点、変更の可能性あり)。受入企業は現行要件だけでなく、この将来的な変更も見据えた採用・育成計画を検討することが望まれます。
その他の要件(納税・社会保険・健康状態)
技能要件・日本語要件以外にも、特定技能2号の申請にあたって満たすべき一般的な基準があります。住民税・所得税等の税金を適正に納税していること、健康保険・厚生年金保険等の社会保険に加入していること、そして業務を安定的に遂行できる健康状態にあることが求められます。
これらの要件は1号と概ね共通していますが、2号は長期在留を想定しているだけに、外国人材が安定して納税・社会保険加入を継続できるよう企業側のサポートも重要です。
4. 分野別の評価試験・実務経験ルート
評価試験ルート(分野別の試験名)
特定技能2号の技能評価試験は、各分野の所管省庁または業界団体が実施する試験で、「熟練した技能」を有することを客観的に証明するものです。試験名称・内容は分野ごとに異なります。主な例を挙げると、建設分野では業務区分(型枠施工・左官・コンクリート圧送など)別に評価試験が実施され、農業分野では耕種農業全般と畜産農業全般に分かれた農業技能測定試験2号が設けられています。飲食料品製造業・外食業・宿泊分野でも各分野の2号技能測定試験・評価試験が整備されています(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)。
各試験は学科試験・実技試験の組み合わせが一般的で、業務区分ごとに出題範囲が異なります。試験スケジュールや申込方法は各所管省庁・業界団体の公式サイトで随時更新されているため、最新情報の確認が不可欠です。
実務経験ルートと移行の条件
評価試験を受験せずに特定技能2号の要件を満たす「実務経験ルート」も、一部の分野で設けられています。特定技能1号として一定期間以上の実務経験を積んだ上で所定の審査を受け、2号へ移行することが認められます。ただし適用可否・必要年数・審査方法は分野ごとに大きく異なるため、自社分野の要件を所管省庁で必ず確認してください。
実務経験ルートを活用する場合、受入企業は業務日誌・研修記録・社内評価シート等を日頃から整備しておくことが、スムーズな移行申請につながります。1号から2号への移行時は在留資格変更許可申請が必要であり、書類準備に一定の時間がかかるため、移行を見据えた早期のスケジュール管理を推奨します。なお、育成就労(旧技能実習)から1号を経ずに直接2号へ移行することは原則認められておらず、段階的な要件充足が前提です。
5. 受入企業側の要件と手続き
登録支援機関との契約義務(2号は任意)
特定技能1号では、受入企業が「登録支援機関」と契約して支援計画を実施することが義務付けられています。具体的には、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、相談窓口の設置などが求められます。
一方、特定技能2号では登録支援機関との契約は任意です。2号外国人材は熟練した技能を有する即戦力として位置づけられており、日常生活のサポートについても自立して対応できる水準にあることが前提とされています。
ただし、登録支援機関が不要になるからといって企業の責任が軽くなるわけではありません。安心して長期就労できる職場環境の整備は企業の義務であり、社内での相談窓口設置や定期的なコミュニケーション機会の確保は引き続き重要です。
受入企業が対応すべき手続き一覧
特定技能2号の外国人材を受け入れる際、企業が対応すべき主な手続きは以下のとおりです。
在留資格変更・更新申請のサポート:特定技能1号から2号への移行時は在留資格変更許可申請が必要です。申請書類の準備には一定の時間がかかるため、スケジュールの早期管理が重要です。
雇用契約の締結と条件確認:同等の業務に従事する日本人と同等以上の報酬水準であることが求められます。特定技能2号は「熟練した技能」を持つ即戦力として位置づけられるため、日本人の中堅社員と同等以上の給与設定が実務上求められるケースが大半です。1号と同じ給与水準では不許可になるリスクもあるため、契約書の内容を事前に十分確認してください。
分野別協議会への加入(継続)・定期届出:受入企業は各分野の所管省庁が設置する「協議会」への加入義務が2号でも継続します。定期届出は2025年4月の制度改正により、従来の四半期ごとから年1回(毎年4〜5月に提出)に簡素化されました。1号より事務負担が軽減されていますが、管理体制は確実に整備してください。
社会保険・労働保険の適正加入:健康保険・厚生年金・雇用保険等の加入義務は日本人従業員と同様です。入社時から適正に手続きを行ってください。
これらの手続きは複数省庁にまたがるため、初めて外国人材を受け入れる企業には専門支援機関への相談を推奨します。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 特定技能2号の在留期間はどのくらいですか?
3年・1年・6ヶ月の繰り返しで更新回数に上限がありません。要件を満たす限り在留し続けることができ、一定条件で永住許可申請も視野に入ります。特定技能1号の通算5年という制約と比較すると、長期雇用の観点から大きなメリットがあります。
Q2. 特定技能2号に日本語試験は必要ですか?
不要です。特定技能2号では熟練した技能の証明(評価試験合格または実務経験)のみが求められ、JLPTなどの日本語試験への合格は申請要件ではありません。1号の日本語要件と混同しやすいポイントのため注意してください。ただし、出入国在留管理庁の公表資料によると2027年4月1日から省令の施行により「B1相当以上(JLPT N3程度)」の日本語能力要件が導入される予定のため、今後の制度改正には注意が必要です(2026年7月時点)。
Q3. 特定技能1号から2号への移行はどうすれば良いですか?
技能評価試験(2号相当)への合格、または実務経験ルートを利用した在留資格変更許可申請が必要です。移行の可否・手続きは分野ごとに異なるため、所管省庁の最新情報を確認し早めに計画を立てることをお勧めします。
Q4. 受入企業に登録支援機関は必要ですか?
特定技能1号では義務ですが、2号では任意です。ただし長期就労できる職場環境の整備は企業の責任であり、社内の支援体制の整備は引き続き重要です。
Q5. 介護分野は特定技能2号の対象ですか?
介護分野は特定技能2号の対象外です。介護には「介護」在留資格や「特定技能1号(介護)」など別の就労ルートが設けられており、2023年の拡大においても引き続き除外されています。
7. まとめ
特定技能2号を活用した長期雇用に向けて
本記事では、特定技能2号の制度概要・取得要件・対象11分野・評価試験ルート・受入企業の手続きを解説しました。在留期間の更新制限がなく家族帯同も可能、日本語試験は不要で、熟練した技能の証明のみが必要な2号は、長期雇用に最適な在留資格です。登録支援機関は任意ですが、職場環境整備は企業責任です。なお2027年4月に「育成就労制度」が施行予定で、特定技能2号へのキャリアパス設計が今後ますます重要になります。
制度を正しく理解した上で、自社の採用計画に組み込むことを検討してみてください。
8. 優良な外国人採用支援企業をご紹介
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特定技能2号の活用を含む外国人採用は、要件確認・書類準備・各省庁への届出など対応すべき事項が多く、初めて取り組む企業にとっては負担が大きいのも実情です。「開国エンジン ~縁人~」では、外国人採用・就労ビザ申請・定着支援まで幅広くサポートできる専門の支援企業をご紹介しています。自社の業種や採用規模に合った支援企業を無料でマッチングしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献
・厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
・出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について(令和5年6月9日閣議決定)」(2023年6月)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/03_00067.html
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