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マーケティング翻訳とは?|サイト・広告・資料の言葉をそろえると海外で売れ始める理由【2026年最新版】

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「翻訳の品質には問題がない。それなのに、現地では反応がない」。海外向けの販促物についてご相談をいただくとき、私たちが最も多く聞く言葉です。
ジェトロ「2025年度 海外進出日系企業実態調査(全世界編)」によると、2025年の営業利益が黒字になると見込む海外進出日系企業は66.5%でした。裏を返せば、およそ3社に1社は現地で利益を出せていません。この原因を「言葉の壁」とひとまとめにすると、打ち手を誤ります。
現場で実際に起きているのは、誤訳ではありません。Webサイト、広告、ホワイトペーパー、営業資料、展示会のパネルが、それぞれ別の会社へ、別の時期に発注され、結果として同じ製品が接点ごとに違う言葉で語られている、という事態です。1つひとつの訳文は正しくても、現地の買い手から見ると話がつながりません。
結論を先に書きます。海外で成果を出している企業は、翻訳を発注する単位で考えていません。対象国ごとに基準となる1枚の原稿を持ち、そこからすべての接点の言葉を出しています。 ブランドの一貫性も、検索エンジンでの見つかりやすさも、生成AIに引用されるかどうかも、この1点から派生します。
この記事では、マーケティング翻訳とは何かを整理したうえで、サイト・広告・ホワイトペーパー・営業資料の言葉を対象国ごとにそろえる進め方を、翻訳会社として20年以上にわたり多言語マーケティングを担ってきた立場から解説します。

この記事でわかること

  • 「翻訳は完璧なのに売れない」が起きる構造と、言葉がばらばらになる5つの分岐点
  • 現地の人の心に刺さる言葉を、調査からどう組み立てるか
  • ブランドを守るために「変えないもの」と「変えてよいもの」をどう線引きするか
  • 多言語SEO・生成AI対策(AIO:AIに正しく引用されるための情報設計)から、ホワイトペーパーまで言葉をそろえる実務

1. 翻訳が正しくても売れない理由

海外向けの言葉が機能しない原因の多くは、訳文の精度ではなく、言葉の出どころが分からないことにあります。買い手は複数の接点を横断して判断するため、接点ごとに言葉が違えば、判断材料が積み上がりません。まず、この構造を分解します。

買い手が複数接点を横断して判断する構造

海外の企業が日本の製品を検討するとき、たどる経路はおおむね次のようになります。

  • 検索やSNS、生成AIへの質問で、製品カテゴリーを知る
  • 公式サイトで製品ページと会社概要を読む
  • ホワイトペーパーや導入事例をダウンロードする
  • 現地の代理店や営業担当と話す
  • 社内で共有するために、資料を上司や別部門へ回す

この5つの接点で、買い手は同じ会社の同じ製品を見ています。ところが日本側では、5つが別々の担当者と発注先に分かれているのが普通です。Webサイトは制作会社、広告は代理店、資料は営業部門、展示会のパネルは別の業者、という具合です。
接点は買い手から見れば1本の流れですが、発注側では5つの担当・発注先に分かれています。この構造の違いが、言葉のばらつきを生みます。

言葉が分断される5つの原因

ずれは、具体的に次の5か所で生まれます。

  1. 製品名・機能名の表記ゆれ:サイトでは英語名、資料では日本語からの直訳、広告では型番だけ、という状態。検索されても、1社の情報として認識されません。
  2. 訴求点の入れ替わり:サイトは品質を、広告は価格を、資料は導入実績を前面に出す。どれも事実ですが、買い手には優先順位が伝わりません。
  3. トーンの不統一:サイトは控えめで謙譲的、広告だけが断定的で強い。同じ会社の声に聞こえません。
  4. 数字と根拠の食い違い:実績社数、対応言語数、創業年の書き方が資料ごとに違う。1か所でも合わなければ、ほかの数字まで疑われます。
  5. 更新の非同期:日本語の原稿だけが改訂され、多言語版は古いまま残る。価格改定や仕様変更のあとに起きやすい失敗です。

言葉の不統一が生む静かな機会損失

言葉のばらつきは、クレームとして返ってきません。買い手は黙って別の候補に移ります。比較検討の段階で「情報が集めにくい会社」と判断されれば、問い合わせ自体が発生しないため、日本側には何の情報も届きません。
売上が動かない理由を訳文の品質に求めても、原因はそこにないため、翻訳の精度をいくら上げても状況は変わりません。

2. 現地で刺さる言葉は翻訳ではなく調査から生まれる

言葉をそろえる前に、まず「その市場で何を言うか」を決める必要があります。ここを日本語原稿の自動翻訳で決めてしまうと、そろってはいるけれど響かない状態になります。ここを日本語の原稿から自動的に決めてしまうと、そろってはいるけれど響かない、という状態になります。

国内で効いた訴求が海外で通用しない理由

日本国内で反応がよかった訴求は、多くの場合「品質の高さ」「安心」「きめ細かい対応」に集約されます。これらは、売り手と買い手が同じ前提を共有している市場でこそ効きます。
前提が変われば、購買理由も変わります。たとえば、次のような違いが実際に起こります。

  • 品質よりも、導入までの速さとサポート範囲が最優先される市場
  • 価格そのものより、価格の根拠(内訳と比較可能性)を求める市場
  • 実績の説明より、第三者による認証や規格適合が重く扱われる市場
  • 担当者個人の裁量が大きく、合議を前提とした長い資料が読まれない市場
    日本語の原稿をどれだけ正確に訳しても、訴求点が市場の購買理由と合っていなければ結果は変わりません。必要なのは訳し方の工夫ではなく、何を言うかの選び直しです。

現地で機能する言葉を支える4つの一次情報

現地で機能する言葉は、次の4つの情報から成り立っています。

  1. 現地の購買理由:誰が、何と比較し、どの条件で決めているか。現地在住のスタッフや、現地の顧客への聞き取りで確認します。
  2. 現地の競合が使っている言葉:同じ機能を、現地の企業がどう呼び、どう説明しているか。ここに、その市場で通用する語彙があります。
  3. 実際に検索されている語:日本語の用語を訳した語と、現地で検索される語は一致しないことが多くあります。
  4. 禁忌と規制表示:色・数字・図像の意味、表示義務のある文言、広告表現の制限。ここは訳文の巧拙ではなく、法規の問題です。

事例:工業製品サイトの訴求点を再設計した結果

※実際の案件をもとに、業種と国が特定されない形へ一般化しています。
その企業の日本語サイトの製品ページは、自社の加工精度と品質管理体制の説明から始まっていました。国内では、この順序で問い合わせにつながっていた原稿です。
現地調査でわかったのは、その市場の買い手が最初に確認するのは加工精度ではなく、自国の規格に適合しているかと、納期を守れるかだったことです。そこで規格適合と納期の実績を冒頭に置き、精度の説明はその根拠として後ろへ回す構成に組み替えました。訳語も、現地の同業他社が使っている呼称へ統一しました。
公開後、問い合わせ件数はお客様の想定を大きく上回りました。変えたのは訳文の質ではなく、言う順序と根拠の出し方です。

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3. ブランドを守りながら現地化するための線引き

「現地に合わせて変える」と「ブランドを守る」は、しばしば対立するように見えます。実際には、変えない範囲を先に決めておけば対立しません。 線引きが曖昧なまま各国に任せると、国ごとに別の会社のような発信になります。

現地化しても変えてはいけない要素

  • ブランド名、製品名、シリーズ名の表記(大文字・小文字、スペース、記号まで含める)
  • 会社として約束している価値(何を保証し、何を保証しないか)
  • 商標、法規で定められた表示、安全上の注意文
  • 実績の数値と、その数え方の定義(社数、言語数、年数)
  • 使ってはいけない比較表現と、根拠を示せない最上級表現

現地化で柔軟に変えてよい要素

  • 訴求の順序(何を最初に言うか)
  • 根拠の出し方(実績の列挙か、第三者認証か、具体的な数値か)
  • トーンの強度(断定的に言うか、控えめに言うか)
  • 例示(現地の読者が想像できる業種・場面へ差し替える)
  • 分量と構成(結論を先に出す、長い背景説明を削る)

基準となる1枚のドキュメントが全接点の言葉を統一する

上の線引きを、対象国ごとに1枚の文書へまとめます。呼び方は何でもかまいません。入れる項目は次の7つです。

  1. 対象読者(職種、決裁権限、その人が抱えている課題)
  2. 提供価値を1文で言い切った説明(現地語で書く)
  3. 訴求点の優先順位(3つまで)
  4. 使う根拠と、その出典
  5. 統一する用語集(製品名、機能名、業界用語、表記ルール)
  6. トーンの指定(例文を添える)
  7. 変更を承認する人と、更新のタイミング
    この1枚があれば、サイト・広告・資料・営業トークのどれを誰が作っても、出てくる言葉が同じ方向を向きます。逆にこれが無い状態で翻訳の品質基準だけを上げても、ばらつきは止まりません。

4. 検索と生成AIに見つけてもらうための多言語SEOとAIO実務

言葉をそろえる効果は、ブランドの印象にとどまりません。検索エンジンと生成AIは、どちらも表記の一貫性を手がかりに情報を扱います。 ばらついた言葉は、見つけてもらう段階で不利になります。

直訳キーワードが検索されない理由と対策

日本語のキーワードをそのまま訳した語が、現地で使われているとはかぎりません。業界用語ほど、直訳と現地の呼称ははずれます。
対策は単純です。現地で実際に検索されている語を調べ、その語で書きます。現地語のキーワード調査を省いて翻訳だけを進めると、内容が正確でも検索の入口に立てません。

生成AIが条件別に推薦する仕組みと対策

生成AIの回答に自社が載るかどうかも、言葉の設計で変わります。GMO TECHが2026年5月時点の生成AIの回答41,264件を分析した調査によると、AIは1つの正解を返すのではなく、平均4.15個の条件に分けて候補を提示していました。 同じ調査で、条件として使われた頻度が高かったものは次の順です。

  • 用途特化(37.0%)
  • 機能特化(34.8%)
  • 「〜な人には」という利用者属性別(23.8%)
  • 「初心者・迷ったら」(22.9%)
  • 価格・コスパ(22.7%)
    注目すべきは、「大手・知名度」を条件とする回答が7.1%にとどまった点です。会社の規模や知名度より、どの用途に向いているか、どんな人が選ぶかが、AIの推薦を分けています。
    したがって多言語のコンテンツでも、「この用途に向いています」「この機能に強みがあります」「こういう体制の会社にはこう使われています」に相当する文を、現地語で明示しておく必要があります。日本語のページに書いてあっても、現地語のページに無ければ、その市場のAIには読まれません。

生成AIに引用されやすいページの特徴

  • 会社名・製品名の表記が、全ページで一致している
  • 定義や結論が、1文で言い切られている
  • 数値に、出典と時点が添えられている
  • この用途には向く/この用途には向かない」の両方を明示している

なお、llms.txtの設置やAI専用の特殊なマークアップといった小手先の施策について、Googleは生成AI機能向けの公式ガイド(2026年7月更新)で、Google検索とその生成AI機能に表示されるために新しい機械可読ファイルやマークアップを作る必要はない、と説明しています。やるべきことは、現地語で読める一次情報を、一貫した言葉で置くことに尽きます。

5. ホワイトペーパーと営業資料まで言葉を統一する理由

言葉の統一で最も後回しにされやすいのが、ホワイトペーパーと営業資料です。サイトと広告は多言語化しても、資料は日本語のまま、あるいは機械翻訳のまま置かれている例が多くあります。

資料の言葉が崩れると現地営業の負担が増える

ホワイトペーパーは、買い手が社内で共有するための文書です。サイトと資料で製品名や訴求点が違えば、現地の担当者は社内で説明し直す手間を負います。 その手間は、そのまま検討の停滞につながります。
同時に資料は、ダウンロードの見返りに連絡先を預けてもらう場でもあります。ここで言葉が崩れると、それまでの接点で積み上げた信頼が下がります。

資料の多言語化で特に崩れやすい5つのポイント

  1. 図版の中の文字:画像化された図表は、翻訳の対象から漏れます。編集できる元データを渡す前提で発注します。
  2. 単位・日付・通貨の書式:書式のルールは市場ごとに異なります。数値そのものより、書式の誤りのほうが目立ちます。
  3. 固有名詞と型番:基準となる1枚の用語集で統一します。
  4. 分量とレイアウト:欧州の言語は、日本語より文字数が増えます。差し替えても崩れない設計が必要です。
  5. 更新の履歴:日本語版だけが差し替えられ、多言語版が取り残されます。更新の担当を決めておきます。

この進め方が適している企業の特徴

  • 複数の国、複数の接点(サイト・広告・資料)で同時に発信している
  • 現地に代理店や販売パートナーがいて、資料を渡す機会が多い
  • 製品の説明に専門用語が多く、訳語がぶれやすい

この進め方が過剰になりやすい企業の特徴

  • 対象が1か国・1言語で、接点もサイト1つに限られる企業である
  • 社内文書や契約書など、正確さだけを求められる文書が中心の企業である
  • 製品の訴求点が国内でもまだ固まっていない企業である
    最後の点は特に重要です。国内で何が刺さるのか決まっていない段階で多言語化しても、ばらつきを海外へ広げるだけになります。

6. アットグローバルが提供する多言語マーケティング支援

ここまでの進め方は、翻訳・調査・現地営業をそれぞれ別の会社へ頼むと成立しにくくなります。基準となる1枚を作るには、現地の一次情報と、それを言葉にする力が同じ場所に必要だからです。
株式会社アットグローバルは2002年の創業以来、翻訳・通訳を起点に、海外リサーチ、現地営業代行、CQ(文化的知性)コンサルティングへと領域を広げてきました。現在は多言語マーケティングとマーケティング翻訳を主軸に、海外マーケティングの統合パートナーとして支援しています。

アットグローバルの支援が選ばれる3つの理由

  • 現地の一次情報を自前で取れる:世界60カ国に200名以上の現地在住スタッフがいます。店舗・消費者・流通チャネルに直接あたり、本当に売れるかどうかの判断材料を集めます。訴求点の組み替えを提案する根拠は、この一次情報です。
  • 調査から言葉まで、同じ体制で担当する:海外リサーチ、マーケティング翻訳(CQ Translation®・50言語対応)、現地営業代行までを一社で担います。工程の間で言葉がそのまま引き継がれるため、接点ごとのばらつきが起こりにくくなります。
  • 品質要求の厳しい領域での実績:世界トップクラスのIT企業から20年にわたり翻訳を任され、ベスト翻訳パートナーとして複数回の表彰を受けています。消費者庁、特許庁、農林水産省、東京都など、官公庁・自治体からも海外調査を継続して受託してきました。支援実績は1,000社以上、ISO 17100・ISO 27001・ISO 18587とプライバシーマークの認証体制で情報を管理します。
    まずは1か国・1製品に絞り、基準となる1枚の作成と主要ページの再設計だけを試す形でも承ります。ご相談は株式会社アットグローバルの企業ページからお問い合わせください。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. AI翻訳と現地スタッフの確認では足りませんか

用途によります。分量が多く、正確さが評価軸となる文書は、AI翻訳と後編集で十分に対応できます。一方、訴求点そのものを組み替える判断は、現地の購買理由を調べたうえでの意思決定であり、原稿を読むだけでは出てきません。AIに任せる範囲と、人が決める範囲を分けるのが現実的です。

Q2. 原稿の内容に手を入れられるのは困ります

変更してよい範囲を先に決めておけば、問題は起きません。本文は据え置き、見出しとリード文だけを再設計する形も可能です。重要なのは、変更の可否を判断する人が決まっていることです。

Q3. どの資料から始めるとよいですか

商談に最も近いものから始めます。多くの場合は、主力製品のページと、営業が毎回使う資料の2つです。全言語・全ページを同時に進めると、途中で更新が追いつかなくなります。

Q4. 社内に現地語がわかる人がいません。品質をどう判断すればよいですか

訳文の良し悪しを直接判断する必要はありません。判断するのは、現地の代理店や営業担当がその原稿を使っているか、問い合わせの数と質が変わったかです。 あわせて、なぜその表現にしたのかを説明できる会社かどうかは、発注前の打ち合わせで確認できます。

8. まとめ|海外向けの言葉を統一する3つの実務

海外で成果が出ない原因を訳文の品質に求めるかぎり、打ち手は「もっと丁寧に訳す」しかありません。しかし現場で起きているのは、接点ごとに違う言葉が使われ、買い手の中で情報が積み上がらないという事態です。
やることは3つに整理できます。

  1. 対象国ごとに、何を・どの順序で・どんな根拠で言うかを決め、基準となる1枚にまとめる
  2. その1枚から、サイト・広告・ホワイトペーパー・営業資料の言葉を出す
  3. 現地語で検索される語と、生成AIが使う条件(用途・機能・対象者)に合わせて書く

最後に、確認のための問いを1つ。御社の海外向けの言葉は、いま何人が、いくつの発注先で作っていますか。 その数だけ、言葉は分かれている可能性があります。

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