【2026年最新】ベトナムでの会社設立ガイド|法人形態・手続き・費用・必要書類をわかりやすく解説
ベトナムは、経済成長率の高さや豊富な労働力、地理的優位性から、日本企業にとって有力な海外進出先のひとつです。2026年現在、ベトナムへの日系企業の進出数は約2,000社を超え、製造業だけでなくIT・サービス業の進出も加速しています。
しかし、ベトナムで会社を設立するには、投資法や企業法に基づく独自の手続きが必要であり、法人形態の選択や外資規制への対応など、日本とは異なるルールを理解しておく必要があります。本記事では、ベトナムでの会社設立に必要な法人形態の種類、手続きの流れ、費用・資本金の目安、注意点までをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- ・ベトナムで設立できる法人形態(有限責任会社・株式会社・駐在員事務所・支店)の違いと選び方
- ・IRC(投資登録証明書)・ERC(企業登録証明書)取得を含む設立手続きのステップ
- ・会社設立にかかる費用・資本金の目安と、外資規制・労働許可証などの注意点
▼ベトナムでの会社設立ガイド
1. ベトナムでの法人形態の種類と特徴
一人有限責任会社(1名出資)
出資者が1名(個人または法人)の有限責任会社です。日本企業がベトナムに100%外資で進出する際に最も多く選ばれる形態です。出資者は出資額の範囲内で責任を負い、会社の最高意思決定は出資者(会社オーナー)が行います。組織構造がシンプルで、設立後の意思決定もスムーズです。
二人以上有限責任会社(2〜50名出資)
出資者が2名以上50名以下の有限責任会社です。現地パートナーとの合弁会社(ジョイントベンチャー)を設立する場合にこの形態が選ばれます。社員総会が最高意思決定機関となり、出資比率に応じた議決権を持ちます。株式の公開発行はできません。
株式会社
株主が3名以上で設立できる法人形態です。株式の発行・譲渡が可能で、将来的な上場や資金調達の柔軟性が高いのが特徴です。ただし、外資企業の場合は設立手続きがやや複雑になるため、特別な理由がなければ有限責任会社を選択するケースが一般的です。
駐在員事務所
市場調査、連絡業務、投資機会の調査などに活動が限定される拠点です。営業活動(売上を立てる行為)や契約締結はできません。設立手続きは現地法人に比べて簡易で、設立期間も短く済みます。まず市場を調査してから本格進出を判断したい場合に適しています。有効期間は5年で更新可能です。
支店
外国企業の支店としてベトナムで営業活動を行う形態です。駐在員事務所と異なり売上を立てることができますが、設立が認められる業種は限られており、実際に支店形態で進出する日本企業は多くありません。親会社がベトナムの支店の債務に対して全責任を負う点にも注意が必要です。
2. 会社設立の手続き・流れ
ステップ1:事前準備(必要書類の収集・翻訳)
まず、日本側で以下の書類を準備します。
・親会社の登記簿謄本(発行後6ヶ月以内)
・親会社の財務諸表(直近2期分)
・代表者のパスポートコピー
・取締役会議事録(ベトナム法人設立の決議)
・投資プロジェクトの提案書
これらの書類はアポスティーユ認証を取得し、ベトナム語への公証翻訳が必要です。認証・翻訳には2〜3週間かかるため、早めに手配しましょう。
ステップ2:投資登録証明書(IRC)の取得
外資企業がベトナムで事業を行うには、計画投資局(DPI)に投資プロジェクトを申請し、投資登録証明書(IRC:Investment Registration Certificate)を取得する必要があります。申請から発行までの目安は約15営業日です。事業内容が条件付き投資分野に該当する場合は、追加の審査や関連省庁の承認が必要になり、さらに時間がかかります。
ステップ3:企業登録証明書(ERC)の取得
IRCの取得後、事業登録局に企業登録を申請し、企業登録証明書(ERC:Enterprise Registration Certificate)を取得します。ERCはベトナムにおける法人の「登記簿」に相当するもので、会社名、法人番号(税コード)、所在地、代表者、資本金等が記載されます。発行目安は約3〜5営業日です。
ステップ4:設立後の手続き
ERC取得後も、以下の手続きが必要です。
・印鑑の作成・登録:法人印鑑を作成し、企業登録ポータルで公告します(2021年の企業法改正により、印鑑の届出制度は廃止されましたが、印鑑の使用・公告は引き続き必要です)
・銀行口座の開設:資本金払込用口座と運転資金用口座を開設します
・資本金の払い込み:IRCに記載された期限内(原則90日以内)に資本金を払い込みます
・税務登録・インボイスの手配:電子インボイス(e-invoice)の発行登録を行います
・労働許可証の取得:外国人従業員を雇用する場合はワークパーミットを申請します
3. 会社設立にかかる費用・資本金の目安
設立手続きにかかる費用
ベトナムでの会社設立を専門家(法律事務所やコンサルティング会社)に依頼した場合の費用目安は以下の通りです。
・設立代行費用:50〜150万円(業種や手続きの複雑さにより変動)
・書類の認証・翻訳費用:10〜20万円
・オフィス賃料(デポジット含む):月額3〜15万円程度(ホーチミン・ハノイの場合)
・印鑑作成・銀行口座開設費用:数万円程度
合計で100〜200万円程度が初期費用の目安です(資本金の払い込み額は別途)。
資本金の考え方
ベトナムでは多くの業種において法定の最低資本金が定められていません。そのため、事業計画に見合った金額を自由に設定できます。ただし、以下の業種では個別に最低資本金が定められています。
・不動産業:200億VND(約1.2億円)以上
・人材派遣業:20億VND(約1,200万円)以上
・銀行業:3兆VND以上
・教育・研修サービス:業態により個別規定あり
一般的なサービス業や小売業では、実務上10〜50億VND(約600万〜3,000万円)程度を設定する企業が多いです。資本金が少なすぎると、事業の実現可能性について審査で疑問を持たれる場合があるため、事業計画との整合性が重要です。
4. 会社設立時の注意点
投資法・外資規制への対応
ベトナムでは投資法(2020年改正、2021年施行)に基づき、外資参入が禁止または制限される業種があります。2026年現在の主な規制は以下の通りです。
・市場参入禁止業種:麻薬関連物質の取引、有害化学物質・鉱物の取引など(投資法付録Iに記載)
・条件付き投資業種:小売業(2店舗目以降はENT審査)、物流・運送業(外資比率上限あり)、広告業、不動産仲介業など約227業種
・WTOコミットメントによる制限:通信、金融、流通など特定分野での外資比率上限
進出予定の業種が規制対象かどうかは、事前に専門家へ確認することを強くおすすめします。
労働許可証(ワークパーミット)の取得
ベトナムで就労する外国人は原則として労働許可証(ワークパーミット)の取得が義務付けられています。2026年現在の主な要件は以下の通りです。
・大学卒業証明書または同等の資格証明
・5年以上の関連分野での実務経験を証明する書類
・無犯罪証明書(発行後6ヶ月以内)
・健康診断書(ベトナム国内の指定病院で取得可能)
・有効期間は最長2年(更新可能)
なお、有限責任会社の出資者、取締役会メンバー、会社の法定代表者は労働許可証が免除されるケースがあります。ただし、免除であっても労働局への届出は必要です。
その他の注意点
・オフィス所在地の要件:バーチャルオフィスでの法人登記は認められていません。実際の事業所として使用可能なオフィスの賃貸契約が必要です
・会社名のルール:既存企業と同一・類似の社名は登録できません。ベトナム語またはベトナム語に音訳可能な名称が原則です
・移転価格税制:親子会社間の取引には移転価格税制が適用されます。関連者間取引がある場合は、移転価格文書の作成・保管が必要です
・会計・監査義務:外資企業は年次の監査法人による会計監査が義務付けられています
5. よくある質問(FAQ)
Q1. ベトナムで会社を設立するにはどのような法人形態がありますか?
外資企業がベトナムで設立できる主な法人形態は、一人有限責任会社(1名出資)、二人以上有限責任会社(2〜50名出資)、株式会社(3名以上の株主)、駐在員事務所、支店の5種類です。日本企業の進出では100%外資の一人有限責任会社が最も多く選ばれています。
Q2. ベトナムでの会社設立にはどのくらいの期間がかかりますか?
IRC取得に約15営業日、ERC取得に約3〜5営業日が目安です。書類準備や設立後の手続き(銀行口座開設・印鑑作成等)を含めると、全体で2〜3ヶ月程度かかります。業種によってはさらに時間を要する場合があります。
Q3. ベトナムで会社設立にかかる費用はどのくらいですか?
設立手続きの代行費用として50〜150万円程度が一般的です。オフィス賃料や書類認証費用を含めた初期費用の総額は100〜200万円程度が目安です(資本金払い込み額は別途)。
Q4. ベトナムの外資規制にはどのようなものがありますか?
投資法およびWTOコミットメントに基づき、外資参入が制限または禁止される業種があります。小売業では2店舗目以降にENT審査が必要、物流・運送業では外資比率の上限が設けられています。進出予定の業種については事前に専門家への確認が必要です。
Q5. 駐在員事務所と現地法人の違いは何ですか?
駐在員事務所は市場調査や連絡業務のみが認められ、営業活動や契約締結はできません。一方、現地法人(有限責任会社・株式会社)は営業活動が可能で、ベトナム国内で売上を立てることができます。まず市場調査を行いたい場合は駐在員事務所、本格的な事業展開を行う場合は現地法人が適しています。
Q6. ベトナムで外国人が働くには労働許可証が必要ですか?
はい、原則として労働許可証(ワークパーミット)の取得が必要です。5年以上の実務経験、大学卒業証明書、無犯罪証明書などが求められます。ただし、有限責任会社の出資者や取締役会メンバーなど一部の役職は免除されます。
Q7. ベトナムの法人税率はどのくらいですか?
標準法人税率は20%です。経済特区や工業団地への進出、ハイテク産業などの優遇対象業種では、一定期間の免税・減税措置(10%または17%への軽減、最大4年間の免税+最大9年間の50%減税)が適用される場合があります。
Q8. ベトナムで会社設立時に必要な書類は何ですか?
主な必要書類は、投資プロジェクト申請書、親会社の登記簿謄本(アポスティーユ認証付き)、親会社の財務諸表(直近2期分)、代表者のパスポートコピー、定款案、オフィス賃貸契約書などです。すべての書類にベトナム語の公証翻訳が必要です。
6. まとめ
ベトナムでの会社設立は、法人形態の選択、IRC・ERCの取得、資本金の設定、外資規制への対応など、複数のステップを確実にクリアしていく必要があります。特に、投資法に基づく規制や業種ごとの条件は頻繁に改正されるため、最新の法令に精通した専門家のサポートを受けることが成功の鍵です。
日本企業がベトナムに進出する場合、最も一般的なのは100%外資の一人有限責任会社です。設立期間は2〜3ヶ月、初期費用は100〜200万円程度が目安となります。まずは自社の事業内容が外資規制に抵触しないかを確認し、信頼できるパートナーと共に計画を進めましょう。
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