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生成AIで海外展開戦略を作るノウハウ ~中小企業がAIに伝えるべき7つの情報とは?~

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ChatGPTやGeminiのような生成AIが様々な分野で活用されている現在、海外進出のための戦略も、AIを活用すれば短時間で作れるようになりました。自社の状況や商品について入力すると、進出候補国、市場の特徴、想定顧客、販売方法、リスクなどを、AIが瞬時に整理してくれます。

これまで海外展開の経験がなかった中小企業でも、生成AIを使うことで、海外進出について検討を始めやすくなったことは間違いありません。一方で、AIに単純に「当社のこの商品は、どの国に輸出すればよいですか」と漫然と尋ねても、実際に役立つ回答が得られるとは限りません。AIから有効な回答を引き出すためには、自社の状況を正しく伝える必要があります。

本記事では、ChatGPTやGeminiのような生成AIを使って海外進出や海外展開の戦略を考えるとき、具体的には海外市場調査、ターゲット市場の選定、価格設定、規制・物流、海外での販路開拓手法などを整理するために、中小企業がAIへ伝えるべき7つの情報について解説します。ぜひ最後までお読みください。

最初に:生成AIだけで海外進出戦略は作れるのか

AIは、海外進出戦略を考えるうえで非常に役立つ道具です。例えば、次のような作業に活用できます。

  • 海外展開の目的や課題の整理
  • 進出候補国の洗い出し
  • 想定顧客や販売方法の仮説づくり
  • 市場調査で確認すべき項目の整理
  • 海外展開に伴うリスクの洗い出し
  • 事業計画書や社内説明資料の作成

ただし、AIが作るのは、あくまでもネットにある、一定の情報をもとにした「仮説」に過ぎません。

AIは、自社の商品やサービスの品質、質感、顧客が購入する理由、経営者の考え、社内の人員や資金、既存の商流などを、最初から知っているわけではありません。入力する情報が少なければ、AIは一般論を組み合わせて回答します。

その結果、人口や経済規模の大きい国を並べただけの回答や、「SNSを活用しましょう」「現地パートナーを探しましょう」といった、どの会社にも当てはまる提案になりがちです。

生成AIから一般論ではなく、実務に役立つレベルの回答を得るには、AIに適切な背景情報を伝えることが重要です。

海外進出戦略を作るためにAIへ伝えるべき「7つの情報」とは

ここから、具体的にAIに伝えるべき7つの情報について詳しく見ていきまます。
伝えるべき情報は以下の通りです。

  • 商品・サービス
  • 顧客
  • 購買理由
  • 価格
  • 制約条件
  • チャネル
  • 目的

一見、当たり前のような情報に思う方も少なくないかと思いますが、それぞれの項目について、重要なことを、詳しく解説していきます。

1.商品・サービス:海外に展開したいものは何か

最初に伝えるべきことは、海外に展開したい商品やサービスの具体的な内容です。

単に「食品」「機械」「化粧品」と入力するだけでは不十分です。できるだけ具体的に、次のような情報を伝えます。

  • 商品・サービスの一般名称・商品名
  • 用途や機能
  • 主な特徴
  • 他社商品との違い
  • サイズ、重量、原材料
  • 生産能力や供給可能量
  • 特許、認証、受賞歴など

例えば、「日本酒を海外に販売したい」と入力する場合と、「地域の酒蔵が限定製造した日本酒を、高級飲食店向けに限定的に販売したい」と入力する場合では、AIの回答は大きく異なります。商品の特徴を具体的に伝えるほど、AIは現実的な顧客層や販売方法を考えやすくなります。

2.顧客:国内では誰に売れているのか

次に、国内でどのような顧客が商品を購入しているのかを伝えます。

海外市場を考える場合でも、国内の顧客情報は重要です。
例えば、同じ食品でも、主な購入者が一般消費者なのか、高級レストランなのか、ホテルなのか、食品メーカーなのかによって、海外で想定すべき顧客は変わります。
AIには、次のような情報を伝えると良いでしょう。

  • 法人向けか、個人向けか
  • (法人向け)主な顧客の業種
  • (個人向け)顧客の年齢、所得、生活スタイル
  • 販売地域
  • 購入頻度
  • 1回当たりの購入金額
  • リピーターの特徴

国内で売れている顧客像が分からない状態で海外市場だけを考えると、ターゲットが広がりすぎてしまいます。海外展開での基本的な勝ちパターンは「まずは国内の優良顧客に近い層を探し、アプローチする」です。自社の商品・サービスが誰にどんな理由で売れているのかを明確化することは非常に大事になります。

3.購買理由:なぜ顧客はあなたの商品・サービスを買うのか

国内の顧客が分かったら、次に「なぜ、その顧客が商品を購入しているのか」をAIに伝えます。

企業側が考える商品の強みと、顧客が実際に評価している点は、必ずしも同じではありません。企業側は品質や技術力を強みだと考えていても、顧客は使いやすさ、納期の短さ、サポート体制などを評価している場合があります。

AIには、次のような情報を入力するとよいでしょう。

  • 顧客から評価されている点
  • 競合商品と比較した自社商品の優位性
  • 購入後に得られる効果
  • 顧客からよく受ける質問
  • レビューや導入事例

海外展開では、「日本製だから売れる」と考えてしまいがちです。しかし、実際には、日本製であることだけで購入される商品は限られます。AIに伝えるには、「日本製である」から「どんな価値を持つ」のかを、言語化し、プロンプトに落とし込む必要があります。

顧客が購入する理由を言語化することで、海外でも日本でも通用する価値と、日本国内でしか通用しない価値、そして海外だからこそ生きる価値、これらを分けて考えられるようになります。そうすればm海外展開で推すべきポイントが明確化され、より具体的で実行可能な戦略が導き出されます。

4.価格:値段は海外でも受け入れられそうか

海外市場を検討する際には、国内価格だけでなく、海外での最終販売価格を考える必要があります。国内で1万円の商品が、海外の店頭でも1万円で販売できるわけではありません。輸出には、商品代金以外にも、さまざまな費用が発生します。例えば、次のような費用です。

  • 港や空港までの国内輸送費
  • 相手国への国際輸送費
  • 海上・航空保険料
  • 関税・輸入消費税
  • 現地での通関費用
  • 現地での国内輸送費
  • 輸入者や卸売業者の利益
  • 小売店や販売代理店の利益
  • 現地での広告宣伝費
  • 為替変動への対応費用

これらのコストを考えると、海外の消費者の手元に届くまでに、海外での販売価格が国内価格の2倍以上になることもあります。

実際に戦略を作るときには、AIには、国内販売価格、原価、希望する利益率、想定する卸売価格などを伝えておくとよいでしょう。その上で、「海外の販売代理店と小売店を経由した場合の価格構造を整理してください」とプロンプトに入れると、採算性を検討するためのたたき台を作ってくれるでしょう。

ただし、実際の関税率、輸送費、現地の商慣習や利益率については、AIの回答だけで確定しないようにしてください。あくまで仮説や相場だと理解したほうが良いでしょう。

5.制約条件:規制・法律・物流・賞味期限など

海外展開では、市場の魅力だけでなく、実際に商品を販売できるかを確認する必要があります。特に食品、化粧品、医療機器、電気製品、化学品などは、国ごとに異なる規制や認証制度の対象になります。AIには、現在分かっている制約条件があれば、できるだけ伝えておくとよいでしょう。 具体的には、以下のようなものが代表的な海外展開を考える上での制約条件です。

  • 賞味期限や使用期限
  • 温度管理の必要性
  • 商品のサイズや重量
  • 危険物該当の可能性
  • 原材料や成分
  • 必要となりそうな認証
  • 生産可能数量
  • 最低発注数量
  • アフターサービスの必要性
  • 輸出できない国や対象外としたい国
  • 外資規制

例えば、賞味期限が短い食品であれば、単純に市場規模の大きい国を選ぶのではなく、輸送日数、通関時間、販売までのリードタイムを考える必要があります。原料や成分次第では、輸出できない国も出てくる可能性があります。
機械製品であれば、販売後のアフターサービス、修理や部品供給も検討しなければなりません。各種の認証が必要になるかもしれません。
サービス業であれば、外資規制により、その国や地域では直接投資できない可能性があります。

AIに制約条件を伝えないと、AIは、理論上は魅力的でも、実際には実行が難しい提案を回答する危険性があります。わかっている制約条件はできるだけ列挙しましょう。

6.チャネル:どのような方法で、誰を通じて販売したいのか

海外展開には、さまざまな方法、流通経路(チャネル)があります。例えば、海外展開・海外進出といっても、これだけの方法があります。

  • 日本から直接輸出する
  • 国内商社を通じて輸出する
  • 海外の輸入代理店へ販売する
  • 越境ECで消費者へ販売する
  • 海外企業へライセンスを供与する
  • フランチャイズ展開する
  • 現地企業と合弁会社を設立する
  • 海外に現地法人や店舗を設ける
  • インバウンド観光客向けに販売する
  • 米軍基地で販売する

どのチャネルを選ぶかによって、必要となる資金、人員、期間、リスクは大きく異なります。

AIには、自社が希望する販売方法だけでなく、避けたい方法も伝えることが有効です。小さな会社で自力だけでは海外展開する余力がないなら、例えば、次のようにプロンプトを入力し、AIに伝えるといいでしょう。

「当社は従業員10名の中小企業であり、海外法人を設立する余力はありません。日本から輸出し、現地の販売代理店を通じて販売する方法を優先したいと考えています」
このように条件を明確にすれば、AIは自社の経営資源に合った戦略を提案しやすくなります。

なお、具体的なチャネルが決まっていない場合は、「当社の経営資源を踏まえ、考えられる販売方法をリスクの低い順に比較してください」と依頼する方法もあります。状況に応じて使い分けてください。

7.目的:海外展開によって何を実現したいのかの明確化

最後に、海外展開の目的を明確にAIに伝えます。海外展開そのものは目的ではありません。経営課題を解決するための手段です。 例えば、海外展開の目的には、次のようなものが考えられます。

  • 国内市場の縮小を補う
  • 売上を増やす
  • 利益率を改善する
  • 余剰在庫を販売する
  • 生産設備の稼働率を高める
  • 海外でブランドを構築し、ブランド価値を高める
  • 海外企業との提携で、イノベーションを生み出す

短期間で売上を作りたい企業と、数年かけて海外ブランドを育てたい企業では、取るべき戦略は同じではありません。海外展開の目的によって、選ぶべき国や販売方法、透過するべき予算と時間は変わります。

可能であれば、目的だけではなく、目標売上、達成時期、投じられる予算、担当できる人員等についてもAIに伝えると良いでしょう。例えば、「3年後に海外売上5,000万円を目指す」「初年度の予算は300万円以内」「海外担当者は1名」といった情報です。目標と経営資源を伝えることで、AIの提案をより現実的なものにできます。

生成AIへのプロンプトは「ICIO」で整理する

AIに情報を伝える際には、次の4点を意識すると、回答の質が高まりやすくなります。

  • Instruction:何をしてほしいのか
  • Context:どのような背景があるのか
  • Input Data:判断に必要な情報
  • Output Indicator:どのような形式で回答してほしいのか

例えば、次のように依頼します。簡潔なプロンプトですが、ICIOで整理されていることを確認してください。

「あなたは中小企業の海外展開を支援するコンサルタントです。当社は日本国内で業務用食品を製造しており、海外への輸出を検討しています。以下の7つの情報をもとに、進出候補国を3か国挙げ、市場性、想定顧客、販売方法、リスク、追加で調査すべき事項を比較表にしてください。」

この後に、今回紹介した7つの情報を入力します。そうすればAIは的確で具体的な回答を導き出すでしょう。

AIとの対話で戦略の完成度は上がる

重要なのは、一度の質問で完成した戦略を作ろうとしないことです。
最初の回答を見たうえで、次のように追加で質問します。

  • なぜ、この3か国を選んだのか
  • この戦略が失敗するとすれば、どのような理由か
  • 反対意見を持つ専門家なら、どこを指摘するか
  • 不足している情報は何か
  • 最初の3か月で何を確認すべきか
  • 最小限の予算で試す方法はあるか

AIとの対話を繰り返すことで、戦略の仮説を徐々に具体化できます。例えば、プロンプトの最後に「もし、追加で確認するべき情報があれば、私に質問してください。」と入れておくと、AIは対話を繰り返すようになります。

AIだけで海外事業戦略は「完成しない」

今回紹介する7つの情報をAIに伝えることで、一般的な質問をする場合と比べ、AIが導き出す回答の具体性は大きく高まります。ただし、7つの情報を入力すれば、AIが正しい海外進出戦略を作ってくれるという意味ではありません。

そもそも、自社の強みをどのように整理するか、どの顧客を優良顧客と考えるか、海外で通用する価値は何かといった点には、より高度な専門的・経営的判断が必要です。
企業が自社の商品を高く評価しすぎている場合や、反対に、海外で評価される可能性のある強みに気づいていない場合もあります。また、経営者が希望している国と、実際に参入しやすい国が異なることもあります。

AIは、入力された情報を前提に回答します。入力内容に誤りや思い込みがあれば、AIの回答もその影響を受けます。AIは、企業の現場を見ているわけではなく、経営者や顧客に直接話を聞いているわけでもありません。また、最新の規制、現地の商流、取引先の信用力、実際のバイヤー需要などを、正確に把握しているとは限りません。

そのため、AIが作った内容は「戦略の完成品」ではなく、あくまでも「戦略を作るための仮説」に過ぎないと考えるべきです。大事なことは、AIが作った戦略ではなく、戦略の実地検証と振り返りです。AIを活用し、浮いた時間を実際の海外市場調査や販路開拓に使うことで、海外展開の加速化します。

AI時代の海外進出戦略には、なぜ専門家が必要なのか

生成AIは便利な道具です。これまで数日かかっていた作業を、瞬時でこなしてくれるようになりました。一方で、AIはあくまで既知の情報を、入力された前提に基づいて判断しているにすぎません。

適切な海外進出戦略を作るためには、AIが作った仮説について、海外展開の専門家とともに、次の点を検証する必要があります。

  • 自社商品の強みを正しく捉えているか
  • 候補国の選び方に偏りがないか
  • 想定顧客と販売方法が現実的か
  • 規制や物流上の隠れた問題がないか
  • 十分な価格と利益を確保できるか
  • 自社の人員、資金、経験で実行できるか
  • どのような順番で、小さく検証すべきか

AIは、専門家を不要にする道具ではありません。むしろ、AIを使って事前に情報や論点を整理することで、経営者と専門家が、より具体的で質の高い海外事業計画の策定を短時間で行えるようにするためのツールとして活用するべきです。

AIを活用した海外事業戦略の策定を支援しています

AIによって仮説づくりを速くし、専門家によって方向性を修正し、現地の一次情報によって検証する。この3つを組み合わせたPCDAを行うことで、海外進出は加速化します。

自社だけでAIを使い、もっともらしい回答を、検証することなく、そのまま採用するのではなく、早い段階から海外展開の専門家を交え、検証を行い、戦略を組み立てていくことが重要です。

合同会社サウスポイントは、海外展開だけを支援するコンサルタントではありません。当社は、生成AIを活用しながら、企業の商品・顧客・強み・経営資源を整理し、進出候補国、想定顧客、競合分析、販売方法、リスク、今後確認すべき事項、進出スケジュールを短時間でまとめ「真の経営課題を解決する」ための「海外事業戦略策定支援」を行っています。

当社はAIが出した回答をそのまま採用するのではなく、中小企業診断士・行政書士・貿易アドバイザーの視点から内容を検証し、経営者と対話しながら、各社の人員・予算・経験に合った、実行可能な戦略へ落とし込むことが特徴です。

「AIで海外展開を検討してみたが、回答が正しいか分からない」「進出候補国や販売方法を一度整理したい」「何から調査を始めるべきか専門家の意見を聞きたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。

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