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なぜ中国と台湾はTPPへの加盟をあいついで申請したのか? その理由と背景を解説

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2021年9月、中国と台湾の両国があいついで、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請したことが世界中で話題となりました。

本テキストでは、中国と台湾が同じ時期にTPPへの加盟を申請した理由と背景を解説します。加えて、中国と台湾がTPPへの参加を巡って牽制し合うことで発生する経済および貿易への影響、さらに両国と政治的にも経済的にも深い関係を持つ日本および日本企業への今後の影響についても解説します。

アフガニスタンから米軍が完全撤退し、バイデン政権が対中国で本腰を入れようとするなか、さる2021年9月16日、中国は突如、TPP(環太平洋経済連携協定)への加入を正式に申請したと発表。

その数日後の9月22日、中国の後を追うように、台湾もTPPへの加盟を正式に申請したことを発表。

ちなみにアメリカは、トランプ前政権が2017年1月にTPPから一方的に離脱して以来、現在もバイデン政権はTPPに復帰していません。

しかし中国の習近平国家主席は2021年11月のAPEC首脳会議の際、TPP参加を積極的に検討していると述べていました。

なぜ今のタイミングで中国はTPPへ加入申請したのでしょうか? そして時を同じくしてTPPへの加盟を正式申請した台湾の意図とは?

1. そもそもTPPとは? TPP11・CPTTPとの違いとは?

TPP = 太平洋を囲む国々における自由貿易化を目指す経済的枠組み

まず、中国と台湾があいついでTPP(環太平洋経済連携協定)へ加入申請した背景と理由を解説する前に、簡潔にTPPについて解説します。

TPPとはTrans-Pacific Partnershipの略で、日本語では環太平洋経済連携協定 / 環太平洋パートナーシップ協定と呼ばれています。

わかりやすく言うと…太平洋を囲む国々における貿易では、お互い関税などを撤廃して、地域的な自由貿易化を目指そう…という経済的な枠組みを指します。

そんなTPPのベースとなるのが、2006年に発行されたP4協定と呼ばれる、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイからなる4か国EPA(= Economic Partnership Agreement / 特定の国や地域間の貿易や投資を促進するための条約)でした。

この4ヵ国EPAを拡大していくなかで、2009年以降からアメリカなどの国々が参加を表明していきました。

具体的には、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムの8カ国で交渉が開始された後、マレーシア、メキシコ、カナダ、日本が交渉に参加し、 12カ国で交渉が行われていましたが、2017年1月に、オバマ氏に替わってトランプ氏が大統領に就任すると、アメリカがTPPからの離脱を表明。

アメリカがTPPから離脱したことで、TPPの内容を見直すこととなり、アメリカ参加時と区別するためにTPPから「TPP11」と呼ばれるようになったのです。

ちなみに参加国は、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム、日本の計11ヵ国になります。

そんな「TPP11」の呼び方ですが、2017年1月にアメリカが離脱を表明した後、新協定「TPP11」の発行を目指すことが同年11月に大筋合意された際に、新協定の名称をCPTPP(Comprehensive and Progressive Trans-Pacific Partnership)と呼ぶことが決定しています。日本語だと「包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定」されていますが、CPTPPをTPP11と呼ぶのはこのような背景があります。

2. 中国がTPPへ加入申請する理由① / 関係が悪化する欧米諸国との対立

バイデン政権による、対中国を想定した「Quad(クアッド)」の存在

TPPについての大筋が理解できたところで、改めて、中国と台湾があいついでTPP(環太平洋経済連携協定)へ加入申請した背景と理由について考察していきます。

結論から言うと、まず中国がTPPへ加入申請をした大きな理由のひとつには、関係が悪化している欧米諸国との対立があります。

2021年9月、バイデン大統領は、対中国を想定した4ヵ国会合である「Quad(クアッド)」()を初めて対面式で開催し、そこには日本とインド、オーストラリアが参加しました。

クアッド自体は「自由で開かれたインド太平洋」の発展を目指す国家間枠組みですが、中国を取り巻く世界情勢が厳しくなるなか、現在は対中国色が強くなっています。

※Quad(クアッド)
日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4ヵ国からなる、安全保障および経済協議で協力する枠組み。2021年3月には4ヵ国の首脳によるオンラインでの協議が行われ、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP=Free and Open Indo-Pacific)に関する共同声明が発表された。4ヵ国の関係強化が推進される背景には、「一帯一路」を掲げる中国の存在があるとされている

中国の脅威を想定した豪・英・米によるAUKUS(オーカス)の存在

また同じ9月に、バイデン政権はイギリスとオーストラリアと新たな安全保障協力の枠組みである「AUKUS(オーカス)」()の発足を発表しました。

今後は、アメリカとイギリスが支援する形でオーストラリア海軍へ原子力潜水艦の導入が進められる予定となっています。

この米英豪による潜水艦配備計画によって、以前からオーストラリアと潜水艦の契約をしてきたフランスは不満を示し、一時は在豪フランス大使を召還しましたが、アメリカやイギリスの説得もあり、フランスは同大使をオーストラリアに復帰させることを決定しました。

そんなフランスの動向の背景にあるのはやはり中国の存在で、アメリカもイギリスも、そしてフランスもオーストラリアも「対中国」では一致しており、今後も中国を取り巻く対立構図は厳しくなることが予想されます。

※AUKUS(オーカス)
アメリカ・イギリス・オーストラリアの3ヵ国による安全保障上の枠組み。安全保障上における脅威となる中国の台頭を懸念しての、3ヵ国間の幅広い技術開発の協力が目的。この軍事パートナーシップによって、オーストラリアは、米国・英国・フランス・中国・インド・ロシアに続く、原子力潜水艦を製造する7番目の国となった。ちなみにAUKUSの名称は、豪(A)・英(UK)・米(US)の頭文字を繋げたもの

3. TPPへ加盟申請することでアメリカへ揺さぶりをかける中国

欧米主導の対中国包囲網にくさびを打つのが狙い

そんな中国には、そういった欧米主導の対中国包囲網にくさびを撃ち込みたい狙いがあるということです。

その一環が、今回のTPPへの加盟申請です。

ただ、TPPにはカナダやオーストラリアなど、中国との関係が冷え込む国が少なくなく、参加するには全加盟国の同意が必要なので、中国がTPPに加入できる可能性は限りなく低いのが実態です。

TTPは自由で公正な国際貿易を目指しているので、不当な輸出入制限や関税引き上げを制裁として実施する中国が参加できることは想像し難く、恐らくそれは習政権も十分に承知済みであると考えられます。

前述のように、現在のTPPにはアメリカは不在なので、中国はTPPへ加盟申請することでアメリカを揺さぶり、TPP加盟国の反応を見ようとしています。

正に今回のTPP加盟申請は中国による政治的シグナルであると言えます。

4. 中国がTPPへ加入申請する理由② / 国際経済のパイプを繋げるための手段

リトアニアが中国製スマートフォンのセキュリティに対して重大な警告

しかし、一方では別の可能性も考えられます。

近年、新型コロナウイルスの真相解明や新疆ウイグルの人権問題などが影響し、実は中小国の間でも中国に対する反発の声が高まっているのです。

その1つが最近のリトアニアのケースです。

2021年9月、リトアニア国防省は、国内で流通している中国製スマートフォンに検閲機能が内蔵されているとして、国民に対して、購入しない、もしくは、既に所持していたら処分するよう強く呼びかけました。

国防省が指摘しているのは大手家電メーカー「小米科技(シャオミ)」が販売する5Gフマートフォンで、利用者が「Free Tibet(チベットに自由を)」や「democracy movement(民主化運動)」、「Long live Taiwanindependence(台湾独立万歳)」など共産党政権が神経を尖らす内容の言葉を検索しようとすれば、それを妨害できるだけでなく、遠隔操作で検出、検閲できる機能が内蔵されていると国防省は指摘しています。

また、ロックで保護された利用者の個人情報や利用データが遠隔操作で外国のサーバーに送信されていたケースもあったと言われています。

この件を受けてドイツも本格的な調査に乗り出したようで、中国は主要国だけでなく中小国からも中国離れが進むことを強く懸念しています。

よって、それらの国々を含めた国際経済のパイプを繋いでおくという目的で、TPPに加盟申請した可能性も少なからず考えられます。

5. なぜ台湾はTPPへ加盟申請したのか? その理由と背景を解説

台湾がTPP加盟申請した理由① / 中国への牽制

そして、時を同じくするように台湾もTPPへの加盟申請をしました。中国のそれは明らかに〝政治色>経済色〟ですが、台湾のそれも〝政治色>経済色〟ですが、経済的な可能性は中国より高いと言えるでしょう。

まず、台湾がTPPに加盟申請した理由は、明らかに中国を牽制する目的があります。

“台湾は台湾だ”、“中国の思うように動かない”という政治的シグナルを習政権に示す意図が蔡英文政権にはあります。また、米国や日本、欧州など同じ価値観を共有する国々との関係を強化するという目的もあります。

2021年10月には、フランスの上院議員団6人とオーストラリアのアボット元首相が相次いで台湾を訪問し、政治経済的な関係を密にしていくことで合意しました。TPP加盟国も台湾であれば加入しても良いと考えているはずで、正にTTPは“多国間による対中経済網”の色合いも帯びていると言えるでしょう。

台湾がTPP加盟申請した理由② / 脱中国も視野に入れた経済・貿易モデルの模索

一方、経済的な可能性もあります。上述したように、TPP加盟国は台湾の参加には大いに賛成しているはずです。台湾の半導体はどの国もほしい品目であり、英国やフランスなどの欧州諸国も台湾への接近を加速化させています。

また、中国と台湾の関係が冷え込んでいることも影響しています。

2021年9月、中国は、台湾から輸入していたシャカトウとレンブのフルーツ2種から何度も害虫が検出されているとして、台湾からの輸入停止に踏み切りました。

台湾経済の中国シェアも大きく、3月にも中国は台湾産のパイナップルを輸入停止していますので、台湾としては脱中国の経済・貿易モデルがほしいところだと思います。

6. 中国と台湾のTPP加盟申請は経済安全保障の変化のシグナル

今後は中国による反外国制裁法による制裁が実施される可能性も?

ここまで、中国と台湾の相次ぐTPP参加について、その背景にあるものを解説してきました。

今後も中国と台湾を巡っては不安定な情勢が続くことが予想されます。現実的に、台湾がいきなり中国にひざまづくような姿勢に変化することもなければ、中国が台湾の要求に応じるようになることもまずないでしょう。

日本経済の対中シェアは非常に大きいですが、日系企業にとって台湾も重要な市場であり、海外ビジネスの展開先です。

しかし、今回のTPP参加申請が事実上の政治的シグナルであるとすれば、今後中国や台湾を巡る経済、貿易関係で何かしらの悪影響が出てきても全く不思議ではありません。

それが、輸出入制限や禁輸、関税引き上げかは分かりませんが、たとえば、日本は台湾を重視していると中国が判断すれば、中国が何らかの経済的対抗措置を取ってくる可能性もあるでしょう。

今年、習政権は諸外国への報復を可能にする反外国制裁法を可決しました。日本企業としては、今後は台湾情勢を巡って、反外国制裁法による制裁が実施される可能性を考慮しておく必要があると言えるでしょう。

反外国制裁法とは、中国に対する制裁処置を決定もしくは実施した組織や個人に対して、ビザ発給の停止や国外退去、中国国内の資産の凍結などを実施することを定めた法律です。

日本は欧米などの中国からの制裁の当事者ではありませんが、既存記事『ユニクロの米輸入停止・カゴメの中国撤退の背景を解説』で解説したユニクロのケースからも分かるように、自社のサプライチェーンにおいて中国と密接な関係にある日本企業ならば、この「反外国制裁法」とは非常にセンシティブな法律なのです。

このような状況を考慮し、この中国と台湾が突如TPPへ加盟申請したことを、国際社会全体における経済安全保障が変化をしつつあるシグナルととらえることで、仮に今後なんらかの不測の事態が発生したとしても、想定内のケースとして対処することができるはずです。

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今回は、中国と台湾が同じ時期にTPPへの加盟を申請した理由と背景を解説しました。あわせて、中国と台湾がTPPへの参加を巡って牽制し合うことで発生する経済および貿易への影響、さらに両国と政治的にも経済的にも深い関係を持つ日本および日本企業への今後の影響についても考察しました。

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    コミュニケーションと新技術

    ユビークのコアチームは、日本およびグローバルでコミュニケーションのためのコンテンツを数十年にわたって企画・制作してきた経験を有しています。企業開発のコンサルティングから、翻訳、コピーライティング、ネーミング、ライティングなど幅広いサービスを提供し、それぞれが重要な役割を果たしています。また、出版物やビデオ、雑誌、書籍、広告の制作といった多面的なプロジェクトに領域を拡げ、さらには世界に展開するウェブサイト、SNS、ポータル、コンテンツマネジメントシステムを構築するデジタル領域へと進化してきました。

    大手グローバル企業の社内や、広告・マーケティング会社のサプライヤーとして多様な仕事に携わってきたユビークは、コミュニケーションについて確固たる基盤を有しています。クライアント内外の視点からコミュニケーション・プロジェクトに必要な要素に精通しているため、企業と代理店のどちらのパートナーとしても優位性を持っています。

    ユビークの専門的なスキルは進化し続けており、エンターテインメント製品や体験、マーケティングプログラム、市場調査、製品開発やテストにおいて大きな可能性を秘めたバーチャルリアリティ(VR)などの新たな技術にも焦点を当てています。テクノロジーやシステムが急速に進化している中、日本国内だけでなくグローバルに、企業のニーズに沿ったモバイルソリューションやソフトウェア開発をブランドに対して提供していきます。その一方で、「コンテンツ・イズ・キング」であり、最高品質のコンテンツが必須であるという事実を見失うことはありません。

    マーケティング・インテリジェンス・サービス

    最も成功しているマーケターは、消費者が何を求めているのかをより深く理解するために、トレンドやテクノロジーを常に把握しています。リサーチや情報分析はBtoCのマーケティングに活用されてきましたが、BtoBにおいても重要です。ユビークは、双方の分野でトップレベルの研究・分析を行うだけでなく、VRのような新しい技術を製品開発やマーケティングキャンペーンのテスト段階の時間短縮・コスト低減に活用している企業との提携を進めています。

    これからのユビーク

    ユビークは今後もグローバル企業に直接サービスを提供するとともに、広告代理店と連携したプロジェクトを遂行していきます。この2つの顧客基盤を拡大しながら、リソースやサプライヤーのネットワークを構築することで、個々のプロジェクト課題に最適な人材のマッチングを図ります。同時に、VRをはじめとする新しいビジネスチャンスに挑戦。中長期的には、企業や代理店に最高品質の成果を提供するために、ニッチを開拓します。また、日本のみならず海外のグローバル企業とのコンサルティング関係を構築し、新しい技術を積極的に導入することにより、バーチャル化が進む世界でコミュニケーションを強化していきます。

    ユビークはデジタル時代にふさわしいプロセスと統合的なアプローチによって課題を解決する、信頼のおけるパートナーになりたいと考えています。重要なのは、未来に向けた理想のロードマップを戦略的に構築することです。日本から世界へ、世界から日本へ。時と場所を超えたコミュニケーションで人とブランドをつなぎ、ブランドにクリエイティブな力を吹き込む。それがユビークです。

    ぜひ、思いを一緒にかなえましょう。

    ユビーク株式会社
    代表取締役
    マイケル・フーバー

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