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【2020年版】中国経済の最新状況 | 世界銀行が新型コロナによる44年ぶりの低成長を示唆

掲載日:2020年04月01日

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2020年の中国経済の実態と最新状況について考察していきます。2020年3月30日、米ワシントンに本部を置く世界銀行(World Bank)は、2020年の中国の経済成長率が2.3%の伸長に留まり、2019年の6.1%から大きく減速する可能性があると発表しました。

その最大の要因は世界を覆っている新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞です。

2020年1月17日に発表された、中国の2019年のGDP(実質国内総生産)の成長率は6.1%。2018年より0.5ポイントも縮小したことになりますが、今回の世界銀行の見込み通りとなれば、かつて経済成長率がマイナス1.6%にまで下落してしまった1976年以来、実に44年ぶりの大幅な低成長となってしまいます。

中国経済の成長率については、すでに2019年の時点で、2018年夏より勃発した米中貿易摩擦の影響が懸念されていました。さらに2019年12月より中国湖北省武漢市で発生した「新型コロナウイルス(COVID-19)」の感染拡大によって、2020年の中国経済の成長に更なる懸念が広がっていた矢先の、この度の世界銀行による発表でした。

そもそも2019年10月に発表された、中国の7〜9月期の実質GDP成長率は前年同期比で+6.0増。四半期においては〝過去最低記録〟の更新となっていました。各メディアの見出しにも、〝中国の景気が減速〟〝歴史的な過去最低〟といった旨の扇情的なワードが散見されるほどでした。

「6.0%増えたなら大したものじゃない?」と感じていた方もいらっしゃるでしょう。確かにバブル期である1989年の日本の経済成長率は4.9%でしたが、かつて10%台の経済成長率を誇っていた中国経済は、2019年の時点でその成長の限界を迎えていたと言ってよいでしょう。

本テキストでは、米中貿易摩擦および新型コロナウイルス感染拡大が中国経済に与えている影響に加えて、そもそもの中国経済が減速していった3つの理由、2017年に習近平総書記によって提起された「習近平の新時代の中国の特色のある社会主義経済思想」について、世界の経済市場における中国経済の寄与度について、日中経済の最新状況、日系企業の中国進出状況…といった、現在の中国経済を理解する上で知っておくべき多岐に渡るトピックについても考察していきます。

Photo by Kin Li on Unsplash

1. 世界銀行が2020年の中国の経済成長率が2.3%に留まると予測

2019年のGDP成長率6.1%&最悪のタイミングで起こった新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大によって、2020年の中国経済の成長に懸念が広がっています。

2020年1月17日に発表された、中国の2019年のGDP(実質国内総生産)の成長率は6.1%でした。2018年のGDP成長率は前年比6.6%(2017年は同6/8%)だったので、2018年より0.5ポイントも縮小したことになります。

しかし、2020年3月30日、米ワシントンに本部を置く世界銀行(World Bank)より、2020年の中国の経済成長率が2.3%の伸長に留まり、2019年の6.1%から大きく減速する可能性があるとの発表がなされました。

今回の世界銀行の見込み通りとなれば、かつての1976年に経済成長率がマイナス1.6%にまで下落してしまった年以来、実に44年ぶりの大幅な低成長となってしまいます。

2019年より数ヵ月に渡って実施してきた景気刺激策に加えて、アメリカと第1段階の貿易合意に至ったことで、米中貿易戦争が一次休戦すると見られた矢先の、新型致死性ウイルスの感染拡大は、まさに最悪のタイミングでした。

再び世界銀行の発表に戻ると、2020年3月現在、中国の経済活動はすでに再開を始めているものの、その急速な回復は困難としており、最悪の場合、わずか0.1%の伸びに留まる可能性もあるとしています。

アジア開発銀行の推計によると、2003年のSARS流行の際は、旅行や運輸業などのサービス業の損失が、中国とマレーシアなどで合わせて100億ドル以上に上ったとしています。

今後、新型コロナウイルスの感染拡大が、2003年のSARS流行のような規模以上に発展してしまった場合、世界銀行の予測通り、最悪の結果になってしまう可能性も否定できません。

日系企業が次々と中国からの生産移管を検討&実行

ここからは日系企業が中国からの生産移管を検討および実行している背景について見ていきましょう。

現在、新型コロナウイルスの発生地とされている中国湖北省の武漢市は、中国の経済発展を象徴する都市のひとつとされています。

19世紀に近代工業拠点として中国政府から指定を受けて以来、鉄鋼→自動車→半導体と産業を発展させてきた武漢市。習近平国家主席による「中国製造2025」における重要拠点のひとつとしても知られています。

しかし、新型コロナウイルスの拡大を受けて、武漢市を含む中国全土のサプライチューン(供給網)における混乱が始まったのです。

日系企業を例に挙げると、先述の武漢市に大型工場があるダイキンは、マレーシアなどの代替生産を検討。同じく武漢市に最大の生産挙手jを持つセイコーも、同じようにベトナムなどでの代替生産を検討しています。

またこれまで中国の自社工場などから部品を調達してきたコマツは、その一部を日本やベトナムも生産に切り替えるとしています。

ただ、2020年3月現在、各専門家の意見としては、早くとも第2四半期である4月以降には、徐々に中国経済は回復していくという見方もあります。いずれにせよ世界銀行の予測も併せると、予断を許さない状況であることは確かです。

2. 2020年現在、中国経済は高止まり状態にある?

中国経済が減速していった3つの理由とは?

結論から言えば、2019年の時点で、中国経済はいわゆる〝高止まり〟の状態にありました。いわば経済成長の限界を迎えており、安定模索期の状態にあるとも言われています。

2007年のリーマンショックを発端とした世界金融危機以来、中国政府は、道路や鉄道といった「インフラ投資」によって、今日までの驚異的な経済成長を実現してきました。

比較的裕福な沿岸部だけでなく、経済が停滞気味の内陸部へのインフラ整備は、自国の経済効率性を飛躍的にアップさせ、2011年上期までのGDP成長率は10%台をキープするほどでした。

しかし、2011年後半以降、中国経済は次第に減速していきます。その要因は多岐に渡るとされています。

■過剰なインフラ投資

その大きな要因のひとつに、インフラ投資が過剰であったことが挙げられます。先述したように、内陸部へのインフラ投資は、中国経済の成長に大きく貢献しましたが、その過剰な投資は、インフラ投資に依存する地方経済を冷え込ませ、地方銀行を始め民間企業が資金難に陥っていく要因となりました。

■ピークを迎えた生産年齢人口

また2014年を境に、中国の生産年齢人口(15〜64歳)がピークを迎えてしまったことも、景気減速の要因とされています。

中国のみならず世界中で高齢化が進んでいますが、〝安価で豊富な労働力〟という中国の強みは次第に薄まりつつあります。1990年代の経済改革による、農村部を中心とした労働力を駆使することで獲得した〝世界の工場〟という枕詞にも、かつてほどの輝きはありません。

■米中貿易戦争の勃発

さらに、2018年に勃発した「米中貿易戦争」が追い打ちをかけます。アメリカのトランプ政権が、多くの中国製品にかかる関税率を引き上げたことで、対象製品の輸出額が2割も減少。対米輸出額も1割減少しています。

この「米中貿易摩擦」によって、コスト削減を目的に、これまでの中国を生産拠点としていた世界中の企業が、中国からベトナムやインドといったアジア新興国への「生産移管」を検討および実行。世界のサプライチューンに混乱が生じています。

また、米中貿易戦争を起因とする、人々の将来の不安が、家計消費の落ち込みを誘因し、民間企業も設備投資を控えるといった、国内消費市場の停滞も、中国経済減速の要因のひとつとされているのです。

3. 近年の中国経済の歴史と経済動向

1989年のバブル期の日本より高い2019年の中国の経済成長率

ここからは、近年の中国経済の歴史を振り返りながら、考察していきましょう。

前項にて「中国のGDP成長率6.0%増は過去最低」と述べましたが、日本の経済成長率は0.3%(2019年第2四半期)です。ちなみにアメリカは2.1%(同)、イギリスは−0.2%(同)、香港は0.6%(同)、ベトナムは6.7%(同)、韓国は1.1%(同)で、台湾は2.4%(同)となっています。

これらの数字から、他国と比較した際の中国の経済成長率は決して低くないことが理解できると思います。事実、バブル期である1989年の日本の経済成長率は4.9%でしたが、当時の日本よりも現在の中国の経済成長率は高いのです。

国の状況も時代背景も異なるものの、なぜここまで「中国経済の減速」が危惧されるのでしょうか? 唯一の正確な答えではありませんが、確かなことは「世界経済の発展にとって中国経済の成長は必要不可欠である」ということです。

建国より約70年間で【175倍】に成長した中国のGDP

さる9月に「東方新報」が、2018年の中国のGDPが、1952年(中国建国から3年後)と比較して、約70年間で175倍(価格変動分は除く)に達したことが発表され、話題となりました。

このような世界でも類を見ない経済成長を実現したのは、1978年よりスタートした、経済自由化を促進する「改革開放政策」でした。

さらに、 1979年より外国資本や技術の導入を目的に設けられた特別の地域である「経済特区」を導入することで、海外資本をベースに国内の製造業が活性化。2001年にWTO(世界貿易機関)に加入して以降は、〝関税を低くして海外から資本を輸入し、自国の安価で豊富な労働力で製品を組み立てて海外に輸出する=「世界の工場」〟として地位を確立したのです。

しかし、2008年の北京オリンピックの閉幕後、サブプライムローンを発端としたリーマンショックを引き金とする世界金融危機が勃発。中国政府は、公共事業への多額の資金投入および大胆な金融緩和政策によって危機を乗り越えましたが、先述のように2011年を境に、GDP成長率は次第に低下。やがて冒頭にて述べた、2019年四半期における〝過去最低のGDP成長率の記録を更新〟してしまったのです。

4. 「中国経済の基本情報」と「習近平の社会主義経済思想」

中国経済の基本情報

このセクションでは、中国経済の基本情報と、2017年に習近平総書記によって提起された「習近平の新時代の中国の特色のある社会主義経済思想」について考察していきます。

まずは中国経済の基本情報を下記にまとめたのでご覧ください。

中国経済

※外務省 「中華人民共和国(People’s Republic of China) 基礎データ」より抜粋

「習近平の新時代の中国の特色のある社会主義経済思想」とは?

続いては、習近平総書記によって提起された、現在の中国経済政策の基本方針とも言える「習近平の新時代の中国の特色のある社会主義経済 思想」について述べていきます。

2017年10月の第19回党大会で、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想が採択。その後12月に経済政策の重点を議論する中央経済工作会議にて「新時代の中国の特色ある社会主義経済思想」が提起されました。

結論から言うと、この習近平による経済思想とは、おもに6つの新発展理論を軸に、高度化した経済システムを2035年までに確立しようという経済施策になります。すでに中国経済は高度成長を果たしていると認識した上で、今後は質の高い発展を目指すという基本理念になります。

具体的には、下記に示した経済関連の目標において、質の高い発展を実現した上で、社会矛盾の解消を目指すというものです。

■高度な経済発展の実現のために

① サプライサイド構造改革の推進
※過剰資産能力や過剰債務の解消に加えて、製造大国から製造強国へなることへの言及、起業・イノベーションを促進することにも言及

② イノベーション型国家の加速

③ 農村振興戦略の実施

④ 地域間の調和発展戦略の実施

⑤ 社会主義市場経済体制充実化の加速
※国家資産の価値維持・増大

⑥ 開放経済の促進
※一帯一路を重点に貿易強国を建設
※就業・起業支援、所得分配の是正



■社会矛盾の解消 全人民の共同富裕の実現むけて邁進する

① 教育事業の優先的発展

② 雇用の質と所得水準の向上
※就業・起業支援、所得分配の是正

③ 社会保障整備
※養老保険や医療保険の都市・農村間の統一

④ 脱貧困
※中国共産党の荘厳な約束

⑤ 健康戦略


「最近の中国経済と日中経済関係」外務省中国・モンゴル第二課 より抜粋

5. 世界の経済市場における中国経済の最新状況

世界経済における中国経済の寄与は3分の1以上

世界経済における中国のGDPの割合は、2002年の時点で4.4%、2007年が6.3%、経済成長の減速が始まったとされる2011年以降も、2012年が11.5%と年を追うごとに拡大傾向にあります。

また、世界の経済成長率への主要国の寄与度においても、先進国の多くが経済成長が低下しているなかで、3分の1以上(約30%)の寄与を誇っており、アメリカの寄与が小さくなるのに反比例して、中国の寄与度が徐々に大きくなっていることが分かります。

その1人当たりのGDPもいまだ低い状態ではあるものの、その成長率には伸びしろがあり、「世界の工場」から「世界の市場」へとその地位が移行しつつあるとも言えます。

1978年の経済自由化を促進する「改革開放政策」、2001年のWTO(世界貿易機関)加盟を契機とした国際貿易の拡大、「経済特区」政策による積極的な外資誘致などを背景に、段階的に高くなる経済成長を実現してきました。

2010年には名目GDPにおいて日本を抜き去り、アメリカに次ぐ世界2位の経済大国としての地位を確立しています。

6. 日中経済の最新情報

日本にとっての最大の貿易相手国は中国

中国は日本にとって最大の貿易相手国です。中国における日本の対中直接投資額は第3位。日本企業の進出数は第1位。このことからも日中の経済関係は深く緊密で相互依存が高いと言えるでしょう。

日中貿易

日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、中国にとって日本はアメリカに次ぐ第2位の貿易相手国です。

2018年の日中貿易総額は、前年比7.4%増の3,537億7,293万ドル。3年ぶりに増加に転じた前年に続いての増加をキープしています。

さらに、中国の対日輸入は9.3%増の1,802億3,425万ドル、対日輸出は5.5%増の1,735億3,868万ドル。日本の中国に対する貿易収支は66億9,557万ドルとなり、6年ぶりに黒字に転じた前年よりも黒字幅を大きく拡大した結果となっています。

対日直接投資

2017年の日本の対日直接投資額は32.7億ドルで、前年比5.1%増となっています。中国にとって、日本は国として第3位の投資国です(※1位:シンガポール 2位:韓国 4位:アメリカ)

日系企業の進出動向

中国における日系企業の進出拠点数は3万2,349拠点(2017年10月時点)。世界における日系企業の進出拠点数としては第1位となっています(2位:アメリカ 3位:インド)。

7. 優良な中国進出サポート企業をご紹介

御社にピッタリの中国進出サポート企業をご紹介します

今回は中国経済の最新事情について解説しました。

「GDP成長率+6.0増」をどうとらえるのか? 確かに過去最低の成長率なのかもしれませんが、中国経済が世界市場に与える影響は計り知れません。「世界の工場」としても、ベトナムやインドなどへの生産移管が進んでいるものの、いまだ世界のサプライチューンとしての地位は高く、今後さらに「世界の市場」としてのマーケットバリューが高まっていくことは言うまでもありません。

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(参照文献)
・外務省 「中華人民共和国(People’s Republic of China) 基礎データ
・外務省中国・モンゴル第二課「最近の中国経済と日中経済関係」

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この記事を書いた人

SukegawaTakashi

助川 貴

株式会社Resorz

「Digima〜出島〜」編集部・コンテンツディレクター。 雑誌編集・書籍編集・WEB編集を経て現職。 これまでに、アメリカ・イギリス・インド・中国・香港・台湾・ベトナム・ミャンマー・カンボジア・マレーシア・シンガポール・インドネシア・フィリピン・エジプトなどの国・地域へ渡航。趣味は、音楽・スノーボード・サーフィン・ドローンほか。

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