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ミャンマーの最新ビジネス事情と経済状況【2019年版】

掲載日:2018年12月21日

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ミャンマーで海外ビジネスを展開する際に知っておくべき、最新の「ミャンマービジネス事情」および「ミャンマー経済状況」について解説します。

解説を担当するのは、ミャンマー現地にて、数多くの日本企業の進出サポート実績を誇る「Shwe General Service Group」(以下SGS)の代表・坂井容一氏。

日本からミャンマーへ本気で進出・投資しようと考えている日本企業に、より実践的なアドバイスとサポートを実施してきたSGS代表ならではの、“ここでしか知ることのできない”ミャンマーの最新ビジネス&経済情報をお届けします。

1. ミャンマービジネス&経済の優位性とは?

ミャンマーは本当にラストフロンティアなのか?

日本の1.8倍の国土と5,300万人ほどの人口を持つミャンマー。その国民の多くが敬虔な仏教徒と言われており、親日国でもあると言われています。

長らく軍事政権が国を支配していましたが、2011年に民政移管され、2016年にはアウン・サン・スーチー氏が国家最高顧問となって、これにより諸外国へ開かれた国となり、アジアのラストフロンティアと呼ばれたりしています。

そんなミャンマーは本当にラストフロンティアなのか? そもそもミャンマーの優位性とは何なのか? …といったアナタのミャンマービジネスに必ず役立つ実態レポートとして解説します。

2. ミャンマー経済全般について

<食材関係>

食材は、全般的に日本の1/5から1/10くらいとなっています。屋台で販売されているキャベツが15円~20円、鶏肉などは100gで10~15円、ペットボトル水18円、缶コーラ22円、瓶ビール110円、もちろん産地や物によってバラツキはありますが、おおよそこのくらいです。

一方で、輸入品若しくは外来品は、非常に高い印象です。日本食材などは輸送コストのため、日本で売っているよりも高いです。

ハンバーガーなどはセットで350円以上しますし、日本料理屋も日本と同じような価格帯となっていますので、現地のミャンマー人には超高級品となっています。

<水道光熱費>

水道光熱費を日本と比較すると、場所や物件(建物)による違いが大きいですが、おおよその目安として、電気代1/3、ガス台(LP)1/2、水道代1/5、ガソリン代1/2、程度となっています。

<人件費>

日本の企業が気になるところの人件費ですが、ミャンマーでは、新卒と、ある程度の実務経験者では、日本と少し違う様相を呈していると言えます。

以下は、ITオフショア会社立ち上げを行った私の経験から、プログラマの相場ですが、他業種でも参考になると思います。

・新卒者 11,000円~
・経験2,3年 15,000円
・経験4,5年 23,000円~
・マネージャークラス 45,000円~100,000円くらい

新卒者や未経験者などは日本と比べて1/20くらいですが、少し実務経験があると、急に給料価額が上がります。わずか数年で、給料が2倍にも3倍にもなるのですが、これは、海外から進出してくる企業が、即戦力の経験者を中途採用する傾向にあるため、取り合いとなって、相場が上昇するためです。

また、勤務している本人も、このことをよく知っており、2~3年勤務すると、少しでも高い給料を求めて転職を繰り返す傾向にあります。 特に「日系企業で3年勤務していました」と言うと、新たに進出してきた日本企業などは、安心感を持つためか、よくその人の中身を吟味しないままに採用に至っているケースが多々見受けられます。

いたずらに給料の相場を上げてしまわないように、採用に関しては、きちんとした面接試験を行うなど、その人のスキルに応じた給料額にしたいものです。

<不動産相場>

ミャンマー01

ミャンマー経済の中心地であるヤンゴンに限っては、不動産相場は非常に高いと言わざるを得ません。

民政化直後の2011年から2013年がバブルの絶頂期で、現在は多少下がってきたとは言っても、全般的には高止まり傾向にあります。

日本人が住めるようなアパートですと、単身用でも100,000円以上しますし、家族向けですと200,000円以上というのもザラです。さらに、日本のマンションのようなクオリティを求めると、300,000円以上するのも当たり前のようになっています。

今後は、建設ラッシュだったコンドミニアムの供給が既に始まっていますので、少し下がる傾向にあると思われますが、それでも日本並みの価格は覚悟しなくてはならないでしょう。

ただし、これは私から見ると、商機と考えることもできると思います。ローカル向けアパートが15,000円くらいからあることを考えると、このような物件を、できるだけ低コストで日本人向けに改装し、安価で提供することが出来れば、とても大きな需要があるということです。

<自動車>

ヤンゴンでは90%以上が日本車です。また、その多くは10万キロ以上走行した中古車となっています。

ミャンマーで自動車は、不動産と同じくらいの価値を持っています。民政化直後の時期には、10年落ちくらいの中古車で、トヨタマークⅡが2,000万円したこともありますが、現在では台数も増えたこともあり、200~300万円ほどに落ち着いています。

…とはいえ、20年近く前の車がこのような金額ですから、やはり自動車はとても高価な物になっています。

※注:現在は日本からの中古車は原則輸入できません

<まとめ>

人件費や水道光熱費など、日本と比べて安いものや、逆に高いものもあるため、これらを上手く取り込んでいく発想の転換で、違ったビジネスチャンスが生まれてくると思います。

3. ミャンマー進出のデメリットとは?

ミャンマービジネスで注意すべきは…インフラの脆弱性

発展途上目まぐるしいミャンマーですが、最大の弱点は、ずばりインフラといえるでしょう。。

<電力>

国全体の電化率は約38%となっており、これは他のASEAN諸国が90%以上なのに対して、非常に低い数値となっています。

また、総電力の75%が水力発電となっており、水が不足する乾期や、数も少ない施設の老朽化によっても発電効率が落ち、度々電気供給量が不足します(=停電が多い)。

新たなダム建設や、ガス発電所の建設を行ってはいますが、経済の発展による電力需要に追いついていないというのが現状です。

ちなみに、ミャンマーは豊富な天然ガス産出国ですが、その採掘された80%ほどを中国に輸出しています(軍事政権時に契約された)。従って、ガス発電所を運転するに当たっては、中国やタイから天然ガスを輸入したりしており、何ともチグハグな政策となってしまっています。このようなことは、日本では考えられないことです。

<交通網>

約46kmに38駅があるヤンゴン環状鉄道は、日本から寄贈された中古車両(ディーゼルのためJR北海道の車両が多い)が走っているものの、線路の歪みや、この車両の老朽化によって、時速15km/hくらいのスピードしか出ません。

最近では、線路の補修も日本の協力によってだいぶ実施されていますが、線路のすぐ側まで屋台や露天商が店舗を出していたりするため、やはりスピードを上げるのは難しい状況です。

また、1時間に4本程度の間隔であるものの、時刻表は全く当てに出来ず、故障も多いために止まってしまうことも非常に多く、実用性には乏しい状況です。 日本の協力によって、これを改善しようとしていますが、残念ながら実用的になるためにはまだもう少しかかりそうです。

従って、現在の移動手段と言えばタクシーやバスが主流で、運搬手段はトラックです。ただし、道路も未整備なところが多く、舗装されていても路面が凸凹であったり、剥がれていたりするため、バスやトラックがよくひっくり返っていたりします。

交通事故も非常に多く、とりわけ死亡者数に至っては、日本が4,100人ほどですが、ミャンマーでは4,500人となっており、日本には車両が約8,000万台ありますが、ミャンマーには80万台ほどしかないにも関わらず、このような数値になっています。

考えてみれば、車が普及し始めたのは、ほんの数年前ですから、多くのドライバーは初心者と言ってもよいと思います。そのため、マナーも非常に悪く、急な割り込みや急停止、無理な右左折、1mもない車間距離、過走行車の突然の故障など、日本人が自分で運転するのは、かなりの勇気が必要です。

<まとめ>

電力や物流に頼ったビジネス進出は、もう少し時間がかかるかも知れません。

ただし、これも発想の転換で、逆にビジネスチャンスとしているのが、日本車の壊れないイメージを最大限利用したスズキ自動車(新車販売シェア50%以上)や、車両を使用しないヤクルト(ヤクルトレディ方式による販売)などです。

4. 逆説的に考える(!)ミャンマービジネスのメリットとは?

中小・零細企業ほどミャンマービジネスのアーリーアダプターになれる!?

これらのことから、「まだまだミャンマーはハードルが高いなぁ」と考える方が多いと思われます。しかし、私はここミャンマーに来てみて、私のような零細企業や事業者、もう少し大きな中小企業にとっては、チャンスであると、逆に思えてきました。

日本では、既に経済サイクルは成熟期から衰退期に差し掛かっているというのは、みなさんも異論が無いと思います。

多くの業界が縮小を続ける市場で、同じ業界内では上位数社しか生き残れない状況であり、大手や大資本には敵わない市場になりつつあります。

従って、今までにない新興市場への進出ならともかく、既存の業界市場で、新たな事業展開とは、後発であることを意味し、それは、とてつもない過酷な競争にさらされるということになります。

よく耳にするのが「海外進出するには、色々なリスクがある」ということですが、日本での新たな事業展開も「相当のリスクがあるのではないか?」と私は思っています。

同じリスクがあるならば、海外進出はそれほど高いハードルなのでしょうか? 逆に、中小企業・零細企業でも、市場ができていないための、先駆者になれるチャンスが、発展途上国にはあると思っています。

5. 地政学的に見たミャンマーの立地

物流の鍵を握るのはアジアハイウェイ

ミャンマー_03

一般にあまり知られていないこととして、地図でミャンマーをよく見てみると、全世界で人口が1位である中国と、2位のインドと陸続きで接していることが挙げられます。 また、発展著しいタイとも接しているため、実は、アジアの中で最も立地が良い国であると言えると思います。

もし、ミャンマーが輸出国になることができれば、これらの国へ直接運搬できると言うことです。 さらに、南の海上には重要なマラッカ海峡もあり、ここを通って西へ向かう大型船の中継地点とすることも可能ですので、地政学的に見ても非常に重要な地であることが判ります。

仮にミャンマーで製品の生産を行い、中国やインドに輸出できることが出来れば、遠く船や飛行機などで運搬する必要は無く、国内の道路を使用して運搬が可能となります。

実は、この道路は、アジアハイウェイ(AH)という、東京日本橋を拠点としてトルコまで総距離20,000km以上のアジアを横断する道路として、かなり前から計画されています。 このAH1号線が、タイからミャンマーのヤンゴン~マンダレーを経由し、インドへ続いています。またマンダレーから北にはAH14号線が中国に続いています。

今はまだ未舗装でハイウェイとは呼べない状況ですが、この道路を物流道路とすることができれば、経済発展には欠かせない道路になると思われます。

6. ミャンマー政府の動向と思惑

日本とミャンマーを繋ぐ経済的な絆とは?

2018年10月上旬、国家最高顧問であるアウン・サン・スー・チー氏が、就任後2度目の来日を行いました。 目的は、色々とあるとは思いますが、前回2016年に日本と約束した2016年からの5年間で総額8,000億円規模の円借款の状況と、民間による更なる投資促進のお願いにあると言ってよいと思います。

実は今ミャンマーでは、中国からの進出がめざましいのですが、あまりにも中国へ頼ってしまっているため、一部の地域、例えばマンダレーでは中国排除運動が起こっていたりします。 原因は様々ありますが、ミャンマーにとっては、危機に感じているということだと思われます。

経済の発展は、自国の力だけでは無理なことは充分に承知しており、そのために海外からの支援を求めています。とりわけ日本へは大きな期待を寄せており、お金もさることながら日本の高い技術力や「指導力」を頼ってきているのです。

詳細は省きますが、ミャンマーの過去の歴史から顧みても、アウン・サン・スー・チー氏の父である、アウンサン将軍が日本の力を借りてイギリスから独立しています。 このためアウンサン将軍は「建国の父」として国民から敬愛されていますが、その協力者は日本だった過去があるのです。

従って、ミャンマー人は、特別な親近感を持って日本人を見ていることは、間違いないところだと思います。現に私などが仕事で知り合った方達に「日本人です」と言うと、何故か日本人であるだけで一目置かれたりすることが多々あるのです。

要は、技術力ばかりでなく、日本人の勤勉な姿勢や誠実さに彼らは頼ってきているのではないでしょうか。

また、今後のミャンマーは、お隣の中国やインドを見据えた経済発展の仕方を模索しているように思います。 これは、アウン・サン・スー・チー氏が10月9日に、福島の農村を視察していることからも判ります。なぜ新潟や山形などの農村ではなく、福島の農村なのか。 恐らく、2011年の震災によって、大打撃を受けた後の7年間で、どのように農業が復興していったかを見たかったのではないかと思われます。

7. 今後のミャンマー経済において発展する分野とは?

農業とマイクロファイナンスに注目

2このような状況に置かれているミャンマーですが、今後の経済発展動向を、私なりに分析してみたいと思います。 まずは大局的に見て、2つの分野があると思います。

1つ目は農業。それもお米です。さらに2つ目はマイクロファイナンス(小規模融資)となります。

ミャンマーの農業&米作りについて

ミャンマーの米作りの現状は、農地の灌漑がほとんど行わず、肥料も上手く使用できず、農業マシンも使われない人海戦術によるところが大きいです。 このため、単収(収穫効率)が悪く、収入が伸びないため、若い働き手は都市部へ出稼ぎに出てしまい、人海戦術の農業では、更なる負のスパイラルとなっています。

単収を見てみると、ミャンマーでは1kgのお米を収穫するのに7㎡前後を要しています。日本では1.8㎡ほどですから、その効率の悪さが窺えます。

ちなみに、お隣のインドを見てみると、1940年代からの「緑の革命」によって、単収が1kg収穫するのに1.7㎡と、日本並みかそれ以上の高効率となっていますし、この改革によって、国土で農地に出来そうな場所は全てと言って良いほど、開墾が進んでいます。 スクリーンショット 2018-12-20 21.11.20 また、現在ではインドは世界一の米輸出国となっており、その輸出量は、年間950万~1,000万トンとなっています。

しかしながら、ここ数年は生産量が横ばいで増えていません。さらに、インドでは人口が今後10年ほどで2億人ほど増え、15億人に達し、中国を追い抜くと言われています。

年間に1,000万トンというと、どのくらいの量なのかと言いますと、インド人の年間米消費量が約80kgと言われていますので、1億2,500万人分のお米となります。

おや? 皆さんもお気づきですね。 実は、今は世界一の米輸出国となっているインドですが、数年後には輸出するお米がなくなってしまう危機に瀕していると思われます。

農地の面積を見ても、単収を見てもこれ以上の米収穫は難しいのではないでしょうか。

この、お隣国の事情は、ミャンマー政府も認識していると思われます。

アウン・サン・スー・チー氏が日本の農村部を視察したり、それに先駆けて、2018年8月1日には、DICAのタン・アウン・チョー副総局長より、新会社法の施行に伴って、農業分野への外資100%が許可されていく方向性であると発表しています。

恐らく、自国での農業発展が難しいと判断したため、このような発表を行い、日本からの支援を期待していると思われます。

ミャンマーで農地開拓を行い、単収が効率化でき、収穫量が倍増すれば、一躍ミャンマーは米の輸出国となるのではないでしょうか。少なくとも、その余力を充分に持っていることは確かです。

ミャンマーにおけるマイクロファイナンス(小規模融資)について

発展途上国故の事情として、銀行が未発達のため、小規模の融資業務を実質行っていない状況です。アジアではよく見る光景ですが、ミャンマーも経済発展していませんので、企業の会社員よりも個人規模の店舗や事業主(露天商など)の方が圧倒的に多く存在します。

新しい商品の仕入れや、人気のある商品の仕入れを行って、事業拡張しようにも、銀行を頼ることが出来ず、従来は街の金融屋から融資を受けていました。

これを受けて、ミャンマー政府は2011年の民政化に伴い、小規模貸付に特化したマイクロファイナンス法を改訂しました。上限金利は年利30%で、1件当たり約70万円まで、事業者は内資・外資を問わないというものです。

一見すると、年利30%とは金利が高い! と日本人には感じてしまいがちですが、実はそれまでの、街金融からトイチ(10日で1割)などの、年利400%や500%の高金利を支払わなければならないことが普通だったことを考えると、とてもリーズナブルな金利となります。

このため、政府は外資でもよいと言っているのです。そして、早く未許可の街金融を排除したいと思っていますが、残念ながらまだ完全排除には至っていないのが現状です。

さらに、今のミャンマーのマイクロファイナンス市場は、利用者160万人で3億ドルと言われています。人口5,300万人のミャンマーよりも、10年以上進んでいると言われている、人口1,500万人のカンボジアでは、人口の1割弱に相当する利用者130万人で、31億ドルの市場となっていることから、まだまだミャンマーにおけるマイクロファイナンス市場は、伸びていくことは確実と言えるでしょう。

ただし、マイクロファイナンスがもっと普及すれば、当然に、多重債務者問題や過剰融資問題などが出てくることが予想され、きちんとした信用情報を積み上げ、適正なスコアリングを行うことで、健全な市場を形成していかなければなりません。

8. ミャンマーでは中小零細企業でもビジネスチャンスあり!

大切なことは「リスクを商機に変える」発想力!

この他にも、前出の不動産状況から見て、今後増えてくるであろう、日本から進出しようとする方達の住居の問題として、もし、月額80,000円程度のサービスアパートを作ることが出来れば、需要はものすごくあるでしょう。

例えば、ローカルアパートを15,000円で借り上げ、日本人が住める内装にし、月に80,000円のサービスアパートとすることは、充分に可能と思われます。 ただし、1室だけではなく、最低でも1棟10室規模くらいで行うことが必要と思われます。 このような物件が作れたならば、日本で行うケースの数倍の収益が見込めるでしょう。

他にも、既に日本で行っている事業(本業)でも良いと思います。 ミャンマーで需要があり、競争相手も少なく、先駆者となれる事業でしたら、例え中小零細企業でも、経済の発展と供に伸びていくでしょう。

一番大事なことは、従来の日本式の考え方や商売方法に捕らわれず、「リスクを商機に変える」発想力ではないか、と私は思っています。

この記事を書いた人

YoichiSakai

坂井 容一

Shwe General Service Group

Shwe Nandar Co., Ltd.(Shwe General Service Group)・代表。 日本からミャンマーへ進出したい、投資したいという方に向けて、実践的なアドバイスや支援を行っています。 私たちがミャンマーへの進出・投資を強力にバックアップいたします。

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