カリフォルニア州での会社設立の事業形態やメリット・デメリットを現地企業が徹底解説!
アメリカの中でもカリフォルニア州にスポットを当て、カリフォルニア州へ進出する際のポイントや会社設立・法人登記について解説します。
カリフォルニア州で事業活動を行う場合は、基本的に現地に拠点を置くことが必要です。そのための方法はいくつかあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。それぞれの進出形態に必要なコストやできることなどを把握した上で、自社の事業にあった方法を選択していくことが、海外ビジネスの成功につながります。
本記事では、日本企業がカリフォルニアに進出する際の基本的な3つの事業形態である「現地法人」「支店」「駐在員事務所」に加えて、近年注目されている現法人を設立せずに海外事業が展開できる「EOR・GEO・PEO(海外雇用代行)」についても解説します。
▼ カリフォルニア州での会社設立の事業形態やメリット・デメリットを現地企業が徹底解説!
1. カリフォルニア州へ進出する際のポイント
最初に日本企業が米カリフォルニア州へ進出する際のポイントについて解説します。
カリフォルニア州における日本企業
カリフォルニア州は、アメリカで最大の人口をもちますが、日本企業の進出も多く、日本貿易振興機構等の調査によれば、2022年3月16日時点で、カリフォルニア州には、すでに2,491社の日本企業が存在するとのことです(日本貿易振興機構等「2022年カリフォルニア日系企業実態調査結果」2022年8月17日)。
カリフォルニア州の環境規制
アメリカにおいて、最も環境規制が厳しい州として、まず挙げられるのは、カリフォルニア州であると言われています。
たとえば、ギャビン・ニューサム知事は、2020年9月に、「2035年までにカリフォルニア州内で販売されるすべての新車乗用車をZEV(ゼロ・エミッション・ビークル=無排出ガス車)にすることを義務付ける。」旨の知事例を発令しており、2030年までには、ZEV比率を61%以上にすることとなっています。他方で、連邦政府はZEV比率50%を目指しており、これだけでもカリフォルニア州が環境規制に力を入れていることがわかります。
これからカリフォルニア州に進出する日本企業においても、厳しい環境規制が課されることを念頭に置くことが推奨されます。
カリフォルニア州の人事労務規制
カリフォルニア州では、2020年1月1日、ギグワーカー(単発もしくは短期の仕事を請け負う働き方を労働者を指す)を保護するための「Assembly Bill No.5」(以下、「AB5法案」といいます)が施行されました。
AB5法案は、一定の条件を満たす者は賃金等の請求権を有する「労働者」であると判示した2018年4月のカリフォルニア州最高裁判決に基づく判例法(Dynamex Operations West, Inc.法)を参考にしています。
たとえば、Uber Technologies, Incのドライバーは、従来個人事業主として扱われていたがために、給与税や失業保険税等の課税対象ではありませんでしたが、AB5法案によって、労働者として扱われるようになりました。
もっとも、企業側からの反感も強く、2020年11月に行われた住民投票の結果、Uber Technologies, Incのドライバー等一部の者に関してはAB5法案の適用対象外となり、再び個人事業主として扱われるようになりました。
このように、カリフォルニア州では、先陣を切って人事労務規制に取り組む姿勢が窺われますので、進出を試みる日本企業においても、情勢を追う必要がありそうです。
次の項以降では、アメリカ進出に関する概要をご説明いたします。
2. アメリカ進出で現地法人を設立する2つの方法「Corporation」と「LLC(Limited Liability Corporation)」
この項からは、日本企業がカリフォルニアに進出する際の基本的な3つの事業形態である「現地法人」「支店」「駐在員事務所」について順次解説していきます。
まずは1つめのアメリカ進出形態である「現地法人」について見ていきましょう。
「Corporation」と「LLC(Limited Liability Corporation)」とは?
アメリカ進出で現地法人を設立する場合、株式会社(Corporation)は、C-CorporationとS-Corporationの2種類に分かれます。
まず「C-Corporation」とは、日本の株式会社に該当し、最も一般的な進出方法です。株主(Shareholder)、取締役(Director)、役員(Officer)から構成されます。
通常、日本の法人が親会社となり、アメリカに子会社を設立します。アメリカでは連邦制度が採用されているため、設立する州の会社法が適用されます。
設立州以外で事業を行う場合は、事業を営む州で別途、法人の事業登録(Business Registration)が必要です。また、連邦税、州税、ローカル税を支払う義務があります。
次に「S-Corporation」は小規模法人とされ、個人経営の企業が主です。株主の上限や制約が多く、非居住者は設立できないため、日本企業がこの形態を選ぶことは少ないでしょう。
株式会社(Corporation)のメリットとデメリット
ここからは、株式会社(Corporation)のメリットとデメリットについて解説します。
まず株式会社(Corporation)のメリットとしては、親会社とは別の法人格を持つため親会社が子会社の行為に対して法的責任を直接負うリスクが低いこと、株式を発行できるため資金調達が容易であり、信頼性が高く多くの投資家や取引先に受け入れられやすい点が挙げられます。
一方、デメリットとしては、設立や運営に多くの手続きが必要で費用がかかること、法人税と配当時の個人所得税の二重課税のリスクがあること、取締役会の開催や議事録の作成など管理が複雑で手間がかかることが挙げられます。
LLC(Limited Liability Corporation)のメリットとデメリット
続いては、LLC(Limited Liability Corporation)のメリットとデメリットです。
LLC(Limited Liability Corporation)のメリットとしては、運営契約に基づいて柔軟な運営が可能であること、法人税を支払う必要がなく利益がメンバーの個人所得として課税されるため二重課税を避けられること、メンバーが出資額の範囲内で責任を負うため個人資産を保護できることが挙げられます。
しかし、デメリットとしては、株式を発行できないため資本調達が難しいこと、小規模な企業に向いており大規模な事業展開や他州への進出には不向きであること、一部の投資家や取引先からの信頼性に欠けることが挙げられます。
3. アメリカ支店を設立する基礎知識と雇用形態
続いては2つめのアメリカ進出形態である「支店」について解説します。
アメリカ支店を設立する基礎知識
アメリカで支店を置く場合、まず現地法人を設立する必要があります。その後、多くの場合、現地法人を設立した州とは異なる州に支店を置くことになります。この場合、「州外登録」という手続きが必要です。
州外登録を行うためには、「事業を営むこと(Doing Business)」に該当する必要があります。この定義や運用は各州で異なりますが、一般的には以下のような基準が適用されます。
1.オフィス、工場、お店などの施設を置くこと
2.倉庫や在庫を保有していること
3.従業員を雇っていること(リモートワークの従業員も含む)
支店で雇用される者の雇用形態は2種類「従業員(Employee)」と「独立請負人(Independent Contractor)」
支店で働く者には、従業員(Employee)と独立請負人(Independent Contractor)の2種類があります。
支店を設置する場合は、現地法人を設立する場合と異なり、別法人である子会社の立ち上げを伴わないため、日本法人が支店で働く者をアメリカで直接雇用することになります。
従業員として雇用する場合、日本法人が直接雇用主となることを避けるため、現地に法人(子会社)を設立する方法が望ましい場合も多いです。他方で、独立請負人として雇用する場合は、業務委託契約を締結する方法が考えられるでしょう。
4. 駐在員事務所を設立する基礎知識と支店との違い
3つめのアメリカ進出形態は「駐在員事務所」です。
この項では、駐在員事務所の基礎知識と、前述した支店との違いについて解説します。
駐在員事務所の基礎知識
駐在員事務所(Rep Office)は、日本とアメリカの租税条約に基づいて設置されるもので、アメリカで連邦税を支払う義務がない「恒久的施設」(Permanent Establishment)に該当しないようにするためのものです。
この「恒久的施設」に該当するものとして、次の6つが挙げられます。
- 事業の管理の場所
- 支店
- 事務所
- 工場
- 作業場
- 鉱山、石油又は天然ガスの坑井、採石場その他天然資源を採取する場所
引用文献:日・米租税条約 第5条第2項
しかし、以下のような例外もあります。
- 企業に属する物品又は商品の保管、展示又は引渡しのためにのみ施設を使用すること。
- 企業に属する物品又は商品の在庫を保管、展示又は引渡しのためにのみ保有すること。
- 企業に属する物品又は商品の在庫を他の企業による加工のためにのみ保有すること。
- 企業のために物品若しくは商品を購入し又は情報を収集することのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。
- 企業のためにその他の準備的又は補助的な性格の活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。
- (1)から(5)までに掲げる活動を組み合わせた活動を行うことのみを目的として、事業を行う一定の場所を保有すること。ただし、当該一定の場所におけるこのような組合せによる活動の全体が準備的又は補助的な性格のものである場合に限る。
引用文献:日・米租税条約 第5条第4項
駐在員事務所と支店の違い
駐在員事務所と支店の違いついてですが、支店は、一定の期間や規模で販売・営業活動を行うために設立されますが、駐在員事務所は本格的な事業活動の準備や情報収集、取引先との連絡窓口として設立されます。
また、支店は営業を行う州で州外法人登録が必要ですが、駐在員事務所は特段の登録が不要です。共通点として、どちらも日本本社が米国での活動の主体となり、日本本社の営業スタッフを駐在させるための形態です。
このため、駐在員事務所や支店は会社設立に比べて手軽に米国進出を開始できるというメリットがあります。
しかし、駐在員事務所は営業準備や情報収集に限定され、本格的な事業活動を行う場合は支店として営業登録が必要で、連邦の課税対象となる可能性があります。
また、駐在員事務所や支店は独立した法人ではないため、その活動は親会社の行為とみなされます。米国での訴訟対応や巨額賠償のリスクを日本の親会社が負う危険性を伴うでしょう。
そのため、ある程度事業規模が拡大した場合には、日本の親会社が無限責任を負うリスクを避けるために、現地法人への組織変更が重要です。
5. 海外雇用代行とは? EOR・GEO・PEOの意味
ここからは、前述した基本的な3つの事業形態とは異なる、現法人を設立せずに海外事業が展開できることで近年注目されている「EOR・GEO・PEO(海外雇用代行)」について解説します。
海外雇用代行とは?
海外雇用代行には、日本の企業が海外で事業を展開する際に、その国の雇用主として従業員を雇用し、人事労務の手続きを代行するサービスがあります。このサービスを利用することで、日本企業は現地に代表者を派遣することなく事業を開始でき、撤退時には法人清算の手続きを省略できます。
しかし、現地で顧客と契約する際は、日本企業が契約の主体となるため、代金の支払いは日本の法人の口座に振り込まれ、売上を現地で計上できないというデメリットがあるため注意しましょう。
次項より、「EOR・GEO・PEO」と呼ばれる3つの海外雇用代行サービスについて解説します。
EOR (Employer of Record)とは「記録上の雇用主」
EORは、企業に代わって法的に従業員の雇用主となり、従業員の給与支払い、税金の処理、社会保険の手続き、労働法の遵守などの業務を行うサービスです。企業はEORを利用することで、現地の雇用規制や法的手続きを気にせずに従業員を雇うことができます。
例えば、ある日本企業がアメリカで新規事業を開始する場合、EORを利用すると、その企業がアメリカの法的な雇用主となり、現地の雇用法に基づいた手続きを代行します。これにより、日本企業は現地の複雑な法規制を気にせずに事業を展開できます。
GEO (Global Employment Outsourcing / Global Employment Organization)とは「国際雇用委託 / 国際雇用組織」
GEOは、企業が複数の国で従業員を管理するための国際的な人事サービスです。GEOは、各国の雇用法規に基づいて、従業員の雇用契約、給与計算、税務処理、福利厚生管理などを一括して行います。これにより、企業は複数の国での人事管理を簡便に行うことができ、国際展開をスムーズに進めることができます。
例えば、ある日本企業がアメリカ、イギリス、ドイツで同時に事業を展開する場合、GEOを利用すると、各国の従業員管理を一元化できます。GEOは、各国の法規制に基づいた手続きを代行し、企業は国際的な人事管理を効率的に行えます。
PEO (Professional Employment Organization)とは「習熟作業者派遣組織」
PEOとは、企業が従業員の管理業務を外部の専門会社に委託するサービスです。このサービスを利用することで、企業は従業員の給与計算、福利厚生、税務処理、労働法の遵守などの人事管理業務をPEOに任せることができます。PEOは、企業と共同雇用契約を結び、従業員の管理を共同で行います。これにより、企業は人事管理の負担を軽減し、本業に集中できます。
例えば、ある日本企業がアメリカに支店を開設し、現地で従業員を雇いたいとします。PEOを利用することで、従業員の給与計算や福利厚生の管理を専門会社に任せることができ、人事管理の手間を大幅に削減できます。
6. アメリカ進出ならクイックにおまかせください!
海外雇用代行サービスでアメリカ進出を成功させる!
今回は「カリフォルニア州での会社設立の事業形態およびメリット・デメリット」について解説しました。
海外雇用代行サービスは、日本企業がアメリカなど海外での事業展開をスムーズに行うための有力な手段です。PEO、EOR、GEOそれぞれのサービスの特徴を理解し、適切に活用することで、現地でのビジネス展開を効率的に進めることができます。
弊社「株式会社クイック」は、北米8拠点にて、人材紹介・人材派遣を核とした総合人材サービス事業を展開しています。
アメリカ進出における、法人設立、会計・税務制度、人事・労務、人材採用、保険、ビザ…など米国現地コンサルタントならではのリアルな最新情報とサポートを提供いたします。まずはお気軽に「株式会社クイック」までご相談ください。
監修:
増井総合法律事務所
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③セカイで法人・店舗開業
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現地法人設立(M&A含む)や店舗開業に伴う不動産(内装業者)探索や人材探索、各種手続き・ビザ申請等、ワンストップで対応。
■サポート対象エリア
基本的にはセカイ各国の支援に対応しておりますが、
これまでの多く携わってきたエリアは、アメリカ・ヨーロッパ・東南アジア・東アジアです。
■これまでの支援で最も多かったご相談
- 海外進出って何をすればよいの?
- 初めての海外進出をどのように進めれば不安、手伝って欲しい
- どこの国が最適なのか、一緒に考えて欲しい
- 進出検討中の国や市場を調査・分析し、自社との相性が知りたい
- 現地競合企業の情報・動向が知りたい
- どんな売り方が最適か、アドバイスが欲しい
- 海外進出事業計画策定を手伝って欲しい
- 事業戦略・マーケティング設計がしたい
- 食品・コスメ・医薬品に必要なFDA申請を手伝って欲しい
- 海外で販路開拓・拡張がしたい
- 海外現地企業と取引がしたい
- 海外現地法人設立(ビザ申請)をサポートして欲しい
- 海外でプロモーションがしたい
- 越境EC(自社サイト・モール)販路を広げたい・深めたい
- 海外のデジタルマーケティング戦略をサポートして欲しい
- 海外向けのウェブサイト(LP)をつくってほしい
- 海外向けのECサイトをつくってほしい
- 海外のSNS・ECの運用を手伝って欲しい
- すでに活動中の現地法人の悩み解決を手伝って欲しい
- 海外で店舗開業(飲食店含む)を総合サポートして欲しい
■主要施策
①BtoB販路開拓サポート
- 海外販路開拓・現地企業マッチングサポート
- 市場調査/現地視察
- 事業計画設計
- 海外ビジネスマッチング(現地企業探索サポート)
- 海外人材 探索・手配サポート
- 翻訳・通訳サポート
- 手続き・申請(FDA申請含む)サポート
- 海外税務/法務/労務/人事 サポート
- 輸出入/貿易/通関 サポート
- 海外販路開拓・現地企業マッチングサポート
- 各種市場調査/分析
↳企業信用調査
↳競合調査/分析
↳法規制調査
↳有識者調査・インタビュー
↳消費者調査・インタビュー
↳現地テストマーケティング
↳ウェブ調査/分析
②BtoC販路開拓サポート
- EC/越境EC運用代行サポート
- 各種サイト運用代行
- SNS運用代行サポート
- サイト(EC/多言語/LP)制作
- コンテンツ(画像・動画)制作デジタルマーケティングサポート
- プロモーションサポート
- SEO強化サポート
- Webプロモーション
↳インフルエンサープロモーション
↳現地メディアプロモーション
↳広告運用(リスティング広告・SNS広告など)
③法人・店舗開業
- グローバル飲食店開業サポート
- 現地法人設立サポート
- 現地視察サポート
- ビザ申請手続き
- 現地人材探索
- MAサポート
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GoGlobal株式会社
企業のグローバル戦略を一気に加速!最短2週間で海外進出・雇用を実現
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以下2点が私たちの海外進出支援におけるバリュー(&理念)です。
■第三者ならではの貢献
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私たちはこれまで多くの支援実績やノウハウ(企業の成功・失敗の傾向と対策)に加え、第三者ならではの冷静さを持ち、事業推進を共に進めていく伴走者です。
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■会話にこだわり抜くこと
たとえば「成功したいんです」「失敗したくないんです」というコトバ。
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「あなたにとって成功とはどのような状態ですか?」
「失敗とはどのような状態ですか?」
どのような意味・思惑・意志を持ったコトバなのかもわからなければ、貢献なんてできません。
わかった気になって、会話のつもりが独り言になってしまうと、不協和音は鳴ってしまうものです。
私たちは、どんな当たり前のことも聞き、話します。
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