【2026年最新】FTA(自由貿易協定)とは?|日本が締結している主要FTAと活用方法を解説
FTA(自由貿易協定)とは、2カ国以上の国・地域の間で関税の撤廃・削減や貿易・投資に関するルールを取り決めた協定です。FTAを活用することで、輸出する際の関税が大幅に削減または撤廃され、コスト競争力を大きく高めることができます。日本は現在、RCEP・CPTPP・日EU-EPA・日米貿易協定など多数のFTA/EPAを締結・発効させており、その対象は世界GDP・貿易額の大部分をカバーしています。
しかし実際の現場では、FTAの存在を知っていても活用できていない中小企業が多いのが実情です。「どの協定が自社に使えるのかわからない」「原産地証明書の取り方がわからない」という声は、Digima~出島~への相談でも繰り返し聞かれます。本記事ではFTAの基本的な仕組みから、日本の主要なFTA/EPAの特徴、実際の活用手順までを整理して解説します。
FTA活用を含む貿易実務全般のサポートを求めている方は、Digima~出島~にご相談ください。
この記事でわかること
- ・FTA(自由貿易協定)の定義・目的・WTOとの関係
- ・日本が締結している主要FTA/EPA(RCEP・CPTPP・日EU-EPA・日米貿易協定)の概要
- ・FTAを活用するために必要な原産地証明書の取得方法
- ・企業が実際にFTAを活用する際の手順と注意点
- ・RCEPの累積原産地規則など実務的に役立つ知識
▼【2026年最新】FTA(自由貿易協定)とは?|日本が締結している主要FTAと活用方法を解説
1. FTAとは何か:基本的な仕組みとWTOとの違い
FTAの定義と目的
FTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)とは、2カ国以上の国・地域の間で結ぶ協定で、主に関税の撤廃・削減を通じて貿易を自由化することを目的としています。FTAを締結した国同士の間では、協定の対象品目について通常より低い(またはゼロの)関税率が適用されるため、輸出入のコストを大幅に削減できます。関税削減に加え、投資・サービス貿易・知的財産・政府調達などを包含した協定はEPA(Economic Partnership Agreement:経済連携協定)と呼ばれ、日本の対外協定の多くはEPAの形を取っています。
WTO(世界貿易機関)との関係
WTOは多国間の自由貿易ルールを定める国際機関で、加盟国(2026年時点で160カ国以上)は原則として全加盟国に対して平等に低い関税率を適用しなければならない「最恵国待遇原則(MFN)」を守ることが求められます。FTAはこのMFN原則の例外として認められており、FTA締結国同士だけがさらに低い特恵関税率を享受できる仕組みです。WTOの枠組みだけでは自由化が難しい分野での進展を実現するために、より少数の国・地域間でFTA/EPAが締結されるケースが増えています。
日本のFTA/EPA締結の経緯と現状
日本は2002年にシンガポールとの間で初めてEPAを締結して以来、積極的に協定網を拡大してきました。2026年時点で発効済みの協定は20を超え、その対象国・地域は日本の貿易相手国の大部分をカバーしています。特に2019年の日EU-EPA発効、2022年のRCEP発効は、日本の貿易政策上の大きなマイルストーンです。こうした協定の拡大により、日本企業にとってFTAは「活用できれば有利になる選択肢」から「活用しないと競合他社に遅れをとる可能性がある実務上の必須知識」へとなりつつあります。
2. 日本の主要FTA/EPA一覧と特徴
CPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)
CPTPP(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)は、かつてTPP11とも呼ばれた協定で、日本・カナダ・メキシコ・チリ・ペルー・オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・マレーシア・ベトナム・ブルネイの11カ国が当初加盟し、2018年に発効しました。2024年には英国が正式加入し、12カ国体制となっています。CPTPPは関税撤廃率が95〜100%と非常に高く、農水産品を含む幅広い品目で関税がゼロになります。知的財産・電子商取引・労働・環境など現代的な貿易ルールも含んでいます。
日EU-EPA(日本・EU経済連携協定)
日EU-EPA(Japan-EU Economic Partnership Agreement)は2019年2月に発効し、世界GDP・貿易量のそれぞれ約3割を占める巨大な自由貿易圏を形成しました。日本からEUへの輸出では、自動車部品・産業機械・電子機器・日本酒・緑茶・水産品など幅広い品目で関税が削減・撤廃されています。欧州市場への輸出を検討する企業にとって、日EU-EPAは価格競争力を高める強力なツールです。Digima~出島~への相談でも、ポーランド企業との卸取引を開始した個人事業主から「日EU-EPAが自社の商品に適用できるか確認したい」という問い合わせがあり、活用の余地を確認するだけで輸出コストの見直しにつながった例があります。
日米貿易協定とASEAN諸国との協定
2020年1月に発効した日米貿易協定では、農産物・工業品の一部について関税削減が実現しています。米国向けの輸出では工業品の多くがすでにゼロ関税であったものの、農産物では米国側からの要求に応じて日本が一定の市場開放をしています。また日本はASEAN各国との間では日ASEAN EPAのほか、シンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピン・ベトナム・ブルネイ・カンボジアなどとの二国間EPAも締結しており、利用者はどの協定を使うのが最も有利かを品目ごとに比較する必要があります。
3. RCEPの特徴と活用方法
RCEPの概要と日本にとっての意義
RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership:地域的な包括的経済連携)は、日本・中国・韓国・ASEAN10カ国・オーストラリア・ニュージーランドの計15カ国が参加し、2022年1月に発効した自由貿易協定です。RCEPが日本にとって特に重要なのは、日本が中国・韓国とFTA関係を初めて持つ協定だという点です。日中間・日韓間にはこれまでFTAが存在しなかったため、RCEPの発効によって両国向けの輸出で一部品目の関税が削減されることになりました。世界の人口・GDPの約3割をカバーするRCEPは、グローバルサプライチェーンを構築する企業にとって重要な枠組みです。
RCEPの累積原産地規則という特徴
RCEPの実務上の大きな特徴のひとつが「累積原産地規則」です。通常のFTAでは、輸出品に使用される原材料・部品がどの国産かが厳しく問われますが、RCEPでは加盟15カ国内で調達・加工した材料をすべて自国産原材料として計上できる累積の仕組みが導入されています。これにより、複数のRCEP加盟国にわたるサプライチェーンを持つ企業でも、原産地規則を満たしやすくなっています。例えば日本企業が中国・タイの部品を使って日本で製品を組み立てて輸出する場合でも、RCEPの累積規則により原産地規則をクリアできる可能性があります。Digima~出島~への相談でも、藻類サプリメントをマレーシアに輸出したい企業から「ASEAN向けでRCEPと日ASEAN EPAのどちらが有利かを比較したい」という問い合わせがあり、品目ごとの関税率の差を確認して最適な協定を選択した事例があります。
RCEPを活用する際の注意点
RCEPの関税削減は段階的に実施されており、発効時点でゼロになる品目と、10年・15年・20年かけて段階的に削減される品目が混在しています。また、品目によっては中国・韓国が除外または例外としている品目もあるため、自社の輸出品目について最新のスケジュールを確認する必要があります。経済産業省やジェトロが公開している「RCEP原産地規則ガイダンス」や「関税削減スケジュール」が参考になります。初めてRCEPを活用する際は通関業者や貿易実務の専門家に相談しながら進めることをお勧めします。
4. 原産地証明書の取得方法と原産地規則
原産地証明書とは何か
原産地証明書(Certificate of Origin)とは、輸出する商品がどの国で生産・製造されたかを公的に証明する書類です。FTA特恵関税の適用を受けるためには、輸出者が原産地証明書を取得し、輸入者が輸入通関時に輸入国の税関に提出する必要があります。原産地証明書がなければ、FTAが発効していてもその恩恵(特恵関税率)を受けることができません。多くの場合、輸出者側が証明書を取得して輸入者に送付し、輸入者が活用する流れです。
第三者証明制度による取得
日本でFTA向けの原産地証明書を取得する最も一般的な方法は、「第三者証明制度」によるものです。商工会議所や日本商工会議所などの発給機関に申請し、自社製品が当該FTAの原産地規則を満たすことを確認してもらったうえで証明書を発行してもらいます。申請に必要な書類は原材料リスト・製造工程の説明・インボイスなどで、発給までの期間は数日程度が一般的です。発給手数料は申請機関や発給枚数によって異なります。
自己申告制度と原産地規則の確認
CPTPP・日EU-EPA・RCEPなど一部の協定では、認定輸出者制度や輸出者・生産者・輸入者による「自己申告」制度が導入されています。自己申告制度では、商工会議所等の第三者機関を経由せずに輸出者が自ら原産地を証明することができます。ただし自己申告には、自社製品が確実に原産地規則を満たしているという根拠の確認と保管が求められます。また、原産地規則は協定ごと・品目ごとに異なり「完全生産品基準」「関税分類変更基準」「付加価値基準」などの種類があります。自社製品がどの基準で判断されるかを事前に確認することが、FTA活用の前提条件です。
5. 企業がFTAを活用する際の手順と注意点
FTA活用の具体的な手順
企業がFTAを活用するための手順は大きく4段階に分けられます。第1段階は「適用可能なFTAの特定」です。輸出先国と日本との間で発効しているFTA/EPAを確認します。第2段階は「自社製品のHSコードの確認と関税率の比較」です。HSコードをもとに、FTA特恵関税率と通常のMFN税率を比較し、削減効果の大きさを把握します。第3段階は「原産地規則の充足確認」です。自社製品がFTAの原産地規則を満たしているかどうかを確認します。第4段階は「原産地証明書の取得・輸入者への提供」です。証明書を取得して輸入者に届け、輸入通関時に活用してもらいます。この4段階を適切に実行できると、コスト削減と競争力強化につながります。
活用時によく起きる失敗と注意点
FTA活用の失敗例として最も多いのが、「自社製品が原産地規則を満たしていると思い込んで証明書を申請したが、実際は不充足だった」というケースです。特に原材料の一部を海外から調達している製品の場合、付加価値基準や関税分類変更基準の充足確認を怠ると問題が生じます。また原産地証明書の申請を輸出直前に行い、発給が間に合わずに船積み後となるケースも散見されます。発給には数日かかる場合があるため、余裕を持った申請スケジュールが必要です。さらに、FTAの関税削減スケジュールは毎年更新されるため、最新の税率を定期的に確認することも重要です。
支援機関・専門家の活用
FTA活用を初めて行う企業には、ジェトロの「FTA活用ハンドブック」や商工会議所の輸出相談窓口の利用が有効です。またDigima~出島~では、FTA・貿易実務に強い支援企業の紹介を行っており、「どの協定が自社に使えるか整理したい」「原産地証明書の申請を初めて行いたいが手順がわからない」といった相談に対して、適切な専門家を繋げることができます。FTA活用は一度仕組みを理解すれば継続的なコスト削減効果をもたらすため、早期に取り組むことを強くお勧めします。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. FTAとEPAの違いは何ですか?
FTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)は、モノの関税撤廃・削減を主な内容とする協定です。EPA(Economic Partnership Agreement:経済連携協定)はFTAの内容に加え、投資・サービス・知的財産・人の移動・政府調達など幅広い経済連携を含む協定です。日本が締結している協定の多くはEPAですが、実務的な文脈ではFTA・EPAをほぼ同義として使うことも多くあります。
Q2. RCEPとはどのような協定ですか?
RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership:地域的な包括的経済連携)は、日本・中国・韓国・ASEAN10カ国・オーストラリア・ニュージーランドの15カ国が参加する自由貿易協定で、2022年1月に発効しました。世界のGDP・貿易額・人口の約3割を占める巨大な経済圏をカバーしており、日本が中国・韓国と初めてFTA関係を持つ協定として注目されています。関税削減の他に原産地規則の統一化も進められています。
Q3. CPTPPとはどのような協定ですか?
CPTPP(包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定)はかつてのTPP11とも呼ばれ、日本・カナダ・メキシコ・チリ・ペルー・オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・マレーシア・ベトナム・ブルネイの11カ国が参加する高水準の自由貿易協定です。関税撤廃率が非常に高く、農水産品を含む広範な品目で関税がゼロになります。英国が2024年に加入し、加盟国の拡大が続いています。
Q4. 原産地証明書とは何ですか?どうやって取得しますか?
原産地証明書は、輸出する商品がどの国で生産・製造されたかを公的に証明する書類です。FTA特恵関税を受けるためには輸入国の税関に原産地証明書を提出する必要があります。取得方法は「第三者証明制度」と「認定輸出者による自己申告制度」の2種類があります。第三者証明は商工会議所などの機関に申請して発行してもらう方式で、日本企業が多く利用しています。自己申告制度はCPTPPなど一部の協定で利用可能な方式です。
Q5. 日EU-EPAの特徴と活用のポイントを教えてください。
日EU-EPA(日本・欧州連合間の経済連携協定)は2019年2月に発効し、日本とEU双方で幅広い品目の関税が段階的に撤廃・削減されています。日本からEUへの輸出では、自動車部品・機械・電子機器・水産物などで関税がゼロまたは大幅削減されています。また知的財産保護・政府調達・投資ルールなど非関税障壁への対応も含まれています。EU向けに輸出する日本企業はこの協定を積極的に活用することでコスト競争力を高めることができます。
Q6. FTAを活用するための具体的な手順を教えてください。
まず自社の輸出品目が対象のFTAで関税削減・撤廃の対象になっているかをHSコードで確認します。次に自社製品がFTAの「原産地規則」を満たしているかを確認します。原産地規則を満たしている場合、輸出者は商工会議所等に原産地証明書の発行を申請します。輸入者が輸入通関時に原産地証明書を税関に提出することで、FTA特恵関税の適用を受けられます。この一連の手続きは通関業者や貿易実務の専門家にサポートを依頼することで確実に進められます。
Q7. 中小企業がFTAを活用できていないケースが多い理由は何ですか?
主な理由として、FTA協定の存在は知っていても原産地規則の確認方法・原産地証明書の取得手続きがわからないこと、担当者が不在または兼任で対応できないこと、どのFTAが自社の輸出先に適用されるか整理できていないことなどが挙げられます。ジェトロや商工会議所の無料相談サービスのほか、Digima~出島~で貿易実務を専門とする支援企業に相談することで、FTA活用の第一歩を踏み出しやすくなります。
Q8. RCEPを活用してASEANに輸出する際のポイントは何ですか?
RCEPでは日本とASEAN各国の間でそれぞれ既存のASEAN関連協定と重複する部分もあるため、RCEP・日ASEAN EPA・二国間EPA(各国との個別EPA)のどの協定を使うのが最も有利かをHSコードごとに比較することが重要です。また、RCEPの特徴として「累積原産地規則」があり、RCEP加盟国内の複数国の材料・工程を組み合わせて製造した場合でも、条件を満たせばRCEP原産品として認められます。これは複数国にまたがるサプライチェーンを持つ企業にとって特に有利な仕組みです。
7. サポート企業紹介
Digima~出島~には、FTA・EPA活用を含む貿易実務・海外輸出支援を専門とする企業が多数登録しています。「どの協定が使えるか確認したい」「原産地証明書の取得を初めて行いたい」「RCEP活用で対中・対ASEAN輸出のコスト削減を図りたい」といったご要望に応じた専門家をご紹介できます。
累計28,000件以上の支援実績を持つDigima~出島~に、ぜひご相談ください。
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