海外特許の検索&調査方法 | 海外で特許を取得するための基礎知識
海外で特許を取得する際に必要な「海外特許の検索&調査方法」について解説します。
特許権は国ごとに取得するものであり、日本で取得した特許権は日本でのみ有効となります。そのため、海外で権利を行使したい場合はその国に特許を出願する必要があります。
本文内で詳しく解説しますが、海外特許の出願方法は、直接各国に出願する方法である「PCT国際出願(PCTルート)」と、国際出願を経由して各国(約150ヵ国)に出願する方法である「パリ条約による優先権を主張した直接出願(パリルート)」の2つになります。
また、これも本文内で詳しく解説しますが、特許を出願する前に先行の特許を調べることは必須であり、海外で取得された特許の調べ方についても知っておく必要があります。
本テキストでは、海外で特許を取得する際に必要な海外特許の検索&調査方法について理解を深めていきます。そもそもなぜ海外進出において特許を取得すべきなのか、といった基礎的な知識から、調査の重要性や具体的な検索・調査方法について詳しく解説していきます。
▼海外特許の検索&調査方法 | 海外で特許を取得するための基礎知識
- 1. 海外進出において海外特許を取得すべき理由
- 2. 海外特許を出願する前に先行の特許を調査する重要性について
- 3. 海外特許の検索&調査方法
- 4. パテントファミリーの調査方法
- 5. 海外への特許出願方法
▼アナタの海外ビジネスを成功させるために
1. 海外進出において海外特許を取得すべき理由
近年、知的財産権の重要性が高まりを見せています。グローバル化が進む世界経済において、海外とのやり取りが活発化し、海外の製品やサービスに触れる機会も多くなりました。
企業が海外ビジネスを行うにあたって、必ず考えなければいけないのが海外における特許問題です。
海外特許の必要性
日本で特許を取得していた製品が海外で特許を取得していないことから、模倣されて安価な製品となって出回り、売上の低迷につながるというトラブルを避けるためにも、海外進出の際に海外特許を取得するのは非常に重要なことです。
属地主義とは?
冒頭で、特許権は国ごとに取得するものであり、日本で取得した特許権は日本でのみ有効であることをお伝えしましたが、これを「属地主義」と言います。
「属地主義」とは各国の法律の適用範囲がその国の領域内に限定されることを言い、これに対して人間が所属する国の法律を適用することを「属人主義」と言います。
「世界特許」というものは存在しない
特許権は国ごとの産業に深く関わるものであるため、世界共通の「世界特許」「国際特許」というものは存在しません。
2. 海外特許を出願する前に先行の特許を調査する重要性について
海外特許の必要性が理解できたところで、先行調査の重要性についても知っておきましょう。特許を出願するためには、まずは先行する他の特許を調査する必要があります。
先行する他の特許出願の有無の調査を!
特許を出願しても、すでに先行する特許があれば出願は拒否されてしまいます。調査を行うことでそのリスクを避けることができるだけでなく、すでに先行技術があったとしても、その権利を侵害していなければ該当する技術を使った発明は可能なため、特許を出願するためには必ず調査を行うことが必要なのです。
3. 海外特許の検索&調査方法
先行の特許調査を行うためには何をすればよいのでしょうか?この項では、海外特許の検索・調査方法を解説します。
海外の特許の分類方法とは?
海外の特許を検索する前に、まずは海外の特許の分類方法を知っておきましょう。
海外の特許の分類方法は「IPC(国際特許分類)」「ECLA(ヨーロッパ特許分類)」「USPC(米国特許分類)」の3つと、ECLAをもとにした分類で、欧州特許庁と米国特許庁が共通して採用している「CPC(共通特許分類)」があります。
■IPC(国際特許分類)
IPCは「International Patent Classification」の略で、特許文献の「Int.Cl.」の項に記載されている世界共通の分類です。
■ECLA(ヨーロッパ特許分類)
ECLAは「European Classification」の略で、IPCの末尾にECサブグループという分類を追加したものであり、欧州特許で使われる分類です。欧州特許庁が提供する特許検索サイト「Espacenet」内の「Cooperative Patent Classification」で検索することができます。
■USPC(米国特許分類)
USPCは「United States Patent Classification」の略であり、米国特許で利用されている分類です。米国特許庁のサイトにある「Classification Symbol Lookup」で検索することができます。
■CPC(共通特許分類)
ECLAをベースとした分類であるCPCは「Cooperative Patent Classification」の略であり、欧州特許庁と米国特許庁が共通して採用している分類です。ECLAと同じく、欧州特許庁が提供する特許検索サイト「Espacenet」内の「Cooperative Patent Classification」で検索することができます。
日本語で海外の特許分類を検索するツールをご紹介
それぞれの海外特許分類は前項で解説した海外サイトで検索することができますが、日本人なら日本語で検索したいのが正直なところ。そこで、海外特許の分類方法を日本語で検索できるツールを2つご紹介します。
■特許・実用新案分類照会(PMGS)/J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)
独立行政法人である工業所有権情報・研修館のデータベース「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」内の「特許・実用新案分類照会(PMGS)」は日本語で利用できる分類照会です。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101
■分類対照ツール/特許検索ポータルサイト
特許庁の特許検索ポータルサイトにある分類対照ツールでも、日本語のキーワードで分類を調べることができます。
https://www.jpo.go.jp/cgi/cgi-bin/search-portal/narabe_tool/narabe.cgi
海外の特許を特許分類から調べるツール
海外の特許を特許分類から調べるためのツールには、前述した欧州特許庁が提供する特許検索サイト「Espacenet」内の「Cooperative Patent Classification」や、米国特許庁のサイトにある「Classification Symbol Lookup」だけでなく、Googleが提供しているサービス「Google Patents」や、世界知的所有権機関が提供する「PATENTSCOPE」など、さまざまなものがあります。
4. パテントファミリーの調査方法
特許の検索方法がわかったところで、この項では、複数の国に対して特許を出願する際に知っておきたい「パテントファミリー」について解説します。
パテントファミリーとは
特許権は国ごとに独立した権利であり、他国と共通した特許はありませんが、複数の国に対して同じ発明を出願したまとまりのことをパテントファミリーと言います。
パテントファミリーを調べることで、同一の発明に対しての特許侵害調査を複数の国や地域に一括して行うことができるので、非常に効率的です。
パテントファミリーの調査方法
パテントファミリーを調べる方法はさまざまな方法がありますが、欧州特許庁のEspacenetを使うのが一般的です。パテント・インテグレーションなど、有料で利用できるサービスもあります。
5. 海外への特許出願方法
先行調査が済んだら、いよいよ特許出願です。海外への特許出願方法を確認しておきましょう。海外に特許を出願する方法は2つあります。
海外に特許を出願する2つのルートとは?
海外特許の出願方法は、直接各国に出願する方法である「PCT国際出願(PCTルート)」と、国際出願を経由して各国(約150ヵ国)に出願する方法である「パリ条約による優先権を主張した直接出願(パリルート)」の2つになります。
以下より、それぞれの出願方法を簡潔に解説します。
PCT国際特許出願(PCTルート)とは?
PCTルートとは、PCT(特許協力条約)に従って行う出願のことです。1つの言語で作成した出願書類を提出するだけで、複数の国に対して特許出願を行うことができます。とは言え、これは出願を一括して行うことができる方法であり、特許権の取得についてはそれぞれの国の審査が必要となります。
手続きが簡素であることと、発明を評価するための調査結果が事前に確認できるといったメリットがあります。デメリットとしては、PCT非加盟国には出願できないことや、ケースによっては費用が余分にかかることが挙げられます。
パリ条約の優先権を主張した直接出願(パリルート)とは?
パリルートとは、パリ条約に従って行う出願であり、特許を取得したい国に対してそれぞれ個別で出願する方法です。
特許を取得したい国が少数の場合はPCTルートよりもコストを抑えられることや、権利化までの期間が短いことなどがメリットとして挙げられます。デメリットは、出願したい国が多い場合は手続きが煩雑になることや、猶予期間が短いために短期間の間に集中してコストがかかってしまうことです。
パリ条約ルートでの出願は、それぞれの国に対して直接出願を行うため、費用は出願内容によってかなり異なりますが、平均的な目安は、現地代理人費用と出願費用で60万~120万円ほどだと言われています。
6. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します
今回は、海外ビジネスに関わるなら知っておきたいWTOについて解説しました。
知的財産権の重要性が高まっており、世界経済がグローバル化する現代においては、海外特許は非常に重要な存在であり、知識を深めておきたいところです。とは言え、すべての国に対して特許関連の知識に精通するというのは決して容易ではありません。
「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。
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