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貿易の決済方法5つの違い|送金・信用状(L/C)・D/P・D/Aの比べ方と選び方

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貿易の決済方法は、送金と荷為替手形の2つの仕組みから、前払い送金・信用状(L/C)・D/P・D/A・後払い送金の5つに分かれます。輸出する側の安心と輸入する側の負担での比べ方、信用状の流れ、取引の段階に合わせた選び方と代金回収の備えを解説します。

貿易の決済方法とは、輸出する側と輸入する側が、商品の代金をいつ、どの銀行を通して受け渡すかの決め方です。大きく分けると、銀行で代金を振り込む「送金」と、船積みの書類と引き換えに代金を受け取る「荷為替手形」の2つの仕組みがあり、そこから前払い送金・信用状(L/C)・D/P・D/A・後払い送金の5つの方法に分かれます。

5つの決済方法の違いを、輸出する側の安心と輸入する側の負担で比べ、信用状の流れ、取引の段階に合わせた選び方、代金が回収できないときへの備えまで解説します。

この記事でわかること

  • ・送金と荷為替手形という2つの仕組みの違い
  • ・前払い送金・L/C・D/P・D/A・後払い送金の比べ方
  • ・信用状で代金を受け取るまでの流れ
  • ・取引の段階や相手に合わせた決済方法の選び方
  • ・代金が回収できないときに備える方法

1. 貿易決済の送金と荷為替手形の仕組み

貿易の代金の受け渡しには、銀行の口座に振り込む方法と、船積みの書類を銀行に預けて代金と引き換える方法の2つがあります。

銀行の口座に振り込む送金

送金は、輸入する側が自分の銀行から輸出する側の銀行口座へ代金を振り込む方法です。国内の銀行振込に近い仕組みで、手続きが簡単で銀行の手数料も比較的安く済みます。代金を船積みの前に払うか後に払うかで、前払い送金と後払い送金に分かれます。どちらも銀行は代金の支払いを保証しないため、取引先が約束どおりに払うか、約束どおりに商品を送るかは、取引先の信用に頼ることになります。電信送金の使い方はT/T(電信送金)の記事で詳しく解説しています。

書類と代金を引き換える荷為替手形

荷為替手形は、輸出する側が船荷証券やインボイスなどの船積みの書類に、代金を請求する手形を付けて、銀行を通して輸入する側に届ける方法です。輸入する側は、代金を払うか、支払いを約束しないと書類を受け取れません。書類がないと港で商品を引き取れないため、代金と商品が引き換えになる仕組みです。この方法には、銀行が支払いを保証する信用状付きのものと、保証のないD/P・D/Aがあります。

2. 貿易の決済方法5つの種類と違い

貿易の5つの決済方法として、前払い送金は代金を受け取ってから船積みするので輸出する側に最も安全、信用状は銀行が支払いを保証する、D/Pは代金と引き換えに書類を渡す、D/Aは支払いの約束と引き換えに書類を渡し代金は後日、後払い送金は商品を送ったあとに代金を受け取るので輸出する側の負担が最も大きい、と並べた図

5つの方法は、輸出する側にとって安心な順に並べると、前払い送金、信用状、D/P、D/A、後払い送金です。輸入する側にとっては、この順に負担が軽くなります。

輸出する側が安心なのは前払いと信用状

前払い送金は、代金を受け取ってから商品を送るので、輸出する側は代金を取りはぐれる心配がありません。その代わり、輸入する側は商品が届く前にお金を払うことになり、資金の負担と商品が届かない心配を抱えます。信用状は、輸入する側の銀行が、決められた書類をそろえれば代金を払うと約束する方法です。支払いの心配が輸入する側から信用力の高い銀行に移るため、輸出する側は初めての取引先でも取引しやすくなります。ただし、銀行の手数料と書類の手間がほかの方法より大きくなります。

取引先の信用に頼るD/P・D/Aと後払い

D/Pは、輸入する側が代金を払うのと引き換えに書類を渡す方法で、D/Aは支払いを約束する手形の引受と引き換えに書類を渡し、代金は後日に受け取る方法です。どちらも銀行は支払いを保証しないので、輸入する側が払わなければ代金は回収できません。D/Aは書類を先に渡す分、D/Pより輸出する側の負担が大きくなります。後払い送金は、商品を送ったあとに代金を振り込んでもらう方法で、輸出する側にとって最も負担が大きい方法です。違いの詳しい内容はD/PとD/Aの記事でまとめています。

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3. 信用状(L/C)決済の流れ

信用状で代金を受け取るまでの流れとして、輸入する側が自分の銀行に信用状の発行を頼む、発行された信用状が輸出する側の銀行を通して届く、輸出する側が船積みして書類を銀行に出す、書類が条件どおりなら銀行が代金を払う、の4段階を順に並べた図

信用状は手続きの段階が多い分、どこで何を確かめるかを知っておくと、代金を受け取れないという失敗を防げます。

発行から船積みまで

契約で信用状での決済を決めたら、輸入する側が自分の取引銀行に信用状の発行を頼みます。発行された信用状は、輸出する側の国の銀行を通して届きます。輸出する側は、届いた信用状に書かれた商品の名前、数量、金額、船積みの期限、求められる書類が、契約の内容と合っているかを最初に確かめます。食い違いがあれば、船積みの前に輸入する側に修正を頼みます。途中で取り消せない「取消不能」の信用状であることも確かめておきます。

書類を出してから入金まで

船積みを終えたら、輸出する側は信用状が求める書類をそろえて自分の銀行に出します。書類が信用状の条件と一字一句合っていれば、発行した銀行が代金を払います。逆に、書類の記載に小さな食い違いがあるだけで、銀行は支払いを保証しなくなります。信用状は商品ではなく書類で判断される仕組みだからです。書類の作成に慣れていないうちは、取引銀行や貿易実務の専門家に確認してもらってから出します。仕組みと種類は信用状(L/C)の記事で詳しく解説しています。

4. 貿易の決済方法の選び方

貿易の決済方法を選ぶ4つの目安として、相手との取引の長さ、取引先の信用状態、1回の取引の金額、取引先の国の事情を、中央の決済方法を選ぶという見出しの左右に並べた図

決済方法は、自社に有利な方法を一方的に選べるものではありません。取引先との関係と取引の内容に合わせて、交渉で決めます。

初めての取引先は前払いか信用状から

初めて取引する相手や、信用状態がわからない取引先とは、前払い送金か信用状で始めるのが基本です。取引先が前払いを嫌がる場合は、代金の一部を前払いにして、残りを船積みのあとに受け取る分割の形もあります。1回の取引の金額が大きい場合や、取引先の国の為替や政治の事情が不安定な場合も、銀行が支払いを保証する信用状が向いています。取引先の会社が実在するか、支払いの評判はどうかを、取引の前に調べておくと判断がぶれません。

取引が続いたら負担の軽い方法へ

何度か取引して取引先が約束どおりに払うことがわかってきたら、D/Pや後払い送金に切り替えて、輸入する側の負担を軽くする交渉もできます。輸入する側にとって、前払いや信用状は資金と手数料の負担が大きいため、条件を緩めることが取引を増やすきっかけになることもあります。ただし、取引先から決済方法の変更を求められたときは、なぜ変えたいのかを確かめます。資金繰りが苦しくなっている兆しのこともあるため、急に条件を緩めず、金額を抑えて様子を見ます。

5. 貿易代金の回収リスクへの備え

取引先の信用に頼る決済方法を選ぶ場合は、代金が回収できなかったときにどうするかを、取引の前に決めておきます。

貿易保険で回収できない分を補う

日本貿易保険の貿易保険を使うと、輸入する側の倒産や支払いの遅れ、取引先の国の戦争や送金の規制などで代金を回収できなかった場合に、損失の一部が補われます。後払い送金やD/Aのように輸出する側の負担が大きい方法を選ぶときや、為替や政治の事情が不安定な国と取引するときに役立ちます。保険料がかかるため、取引の金額と取引先の信用状態を見て、使うかどうかを決めます。対象になる取引や手続きは、日本貿易保険の窓口で確かめます。

取引の前に相手を調べる

代金の回収で失敗しないための一番の備えは、取引を始める前に取引先の会社を調べることです。会社の登記があるか、事業の実態はあるか、過去に支払いの問題を起こしていないかを、信用調査の会社や現地の専門家を通して確かめます。調べた結果に応じて、前払いの割合を増やす、1回の取引の金額を抑えるといった形で、決済の条件を調整します。取引先の国によって調べられる情報の範囲が違うため、現地の事情に詳しい専門家に頼むと早く確かめられます。

出典:日本貿易保険「企業の輸出・投資・融資を保険でサポートする貿易保険」(2026年10月確認)

6. 貿易の決済条件を契約に書くときの注意

決済方法を決めたら、売買の契約書に条件をはっきり書いておきます。書き方があいまいだと、入金の時期や手数料の負担で争いになります。

支払いの時期と通貨を決める

契約には、どの決済方法で、いつまでに、どの通貨で、いくら払うかを書きます。後払いなら、船積みの日から何日後に払うのかを日数で決めます。通貨は円か米ドルか取引先の国の通貨かで、為替が動いたときにどちらが損をかぶるかが変わります。円で受け取れば輸出する側は為替の心配がなくなりますが、輸入する側の負担が増えるので、交渉の材料になります。分割払いにする場合は、前払いの割合と残りを払う時期も書いておきます。

手数料の負担と貿易条件をそろえる

送金や信用状には、送る側と受け取る側の両方の銀行で手数料がかかります。どちらがどの手数料を負担するかを契約で決めておかないと、受け取る金額が請求額より少なくなることがあります。あわせて、商品の運賃や保険をどちらが負担するかを決めるインコタームズの条件とも合わせて考えます。たとえば、輸出する側が保険まで手配する条件なら、信用状が求める書類に保険の証券も入ります。決済と運送の条件を別々に決めると、書類の食い違いのもとになります。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 中小企業の輸出で多い決済方法は?

少額の取引や初めての取引では、前払い送金で始める企業が多くあります。手続きが簡単で、銀行の手数料も抑えられ、代金を取りはぐれる心配がないためです。一方、取引の金額が大きくなると、輸入する側が前払いを嫌がることが増えるため、信用状や、前払いと後払いを組み合わせた分割の形で折り合うことがあります。取引が続いて信用ができてきたら、後払い送金に切り替えることもあります。取引先との関係に合わせて、段階的に見直していくのが現実的です。

Q2. 信用状は手数料が高い?

信用状は、発行する銀行と書類を確認する銀行の両方で手数料がかかるため、送金より費用は高くなります。書類をそろえる手間もかかります。それでも、初めての取引先との大きな取引や、取引先の国の事情が不安定な取引では、代金を確実に受け取れる安心のほうが大きくなります。手数料をどちらが負担するかは契約で決められるので、信用状を使う場合も、負担の分け方を相手と交渉します。取引の金額と、代金を取りはぐれたときの損失を比べて判断します。

Q3. D/PとD/Aはどう使い分ける?

D/Pは代金の支払いと引き換えに書類を渡すので、輸出する側は商品を引き取られたのに代金が入らないという事態を避けられます。D/Aは支払いの約束だけで書類を渡すので、代金を受け取るまでの間、取引先の信用に頼ることになります。そのため、取引が続いていて取引先の支払いに不安がない場合や、取引先の資金繰りを助けて取引を広げたい場合にD/Aを使います。どちらも銀行は支払いを保証しないので、取引先の信用状態を確かめたうえで選びます。

8. 貿易の決済をDigima〜出島〜に相談する

貿易の決済方法は、取引する国、取引先の信用状態、取引の金額と回数によって、向いている方法が変わります。初めての輸出では、決済の条件の交渉や信用状の書類の確認、取引先の会社の調査でつまずくことが少なくありません。

「初めての海外の取引先とどの決済方法で始めればよいか」「信用状の書類の作り方を確認してほしい」「取引先の信用状態を調べたい」といった段階から、Digima〜出島〜にご相談ください。貿易実務に詳しい海外進出支援企業をご紹介します。

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