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経済安全保障とは?| 2022年の海外ビジネスにおいて経済安全保障が重要視される理由を解説

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経済安全保障とはなにか? 本テキストでは、2022年の世界経済および海外進出事業において、経済安全保障が重要視される理由についてわかりやすく解説します。

本文内で詳しく解説しますが、経済安全保障とは、経済的手段によって安全保障の実現を目指すことを意味します。

本テキストでは、経済安全保障の基礎知識はもちろん、世界で経済安全保障が重要視されている理由と背景について、近年の経済安全保障に関連するニュース&時事問題、また2022年の岸田内閣において「経済安全保障」が重要課題とされている背景についても併せて解説していきます。

国家における安全保障とは、一般的に国の安全を維持し、国民の命や財産を守ることを言い、国際関係においては他国から自国を防衛することを主としています。

安全保障と聞くと、軍事や外交を思い浮かべる方が多いと思いますが、経済面における安全保障は、冒頭で「経済的手段によって安全保障の実現を目指すこと」を意味すると述べたように、いわゆる安全保障とは異なりますが、その延長戦上にあるととらえるとわかりやすいでしょう。

いずれにせよ、本テキストを読んでいただければ、海外進出を検討している日本企業にとって、今後いかに経済安全保障というファクターが重要となっていくのかも理解できるはずです。

1. 経済安全保障をわかりやすく解説

経済安全保障とは「経済的手段によって安全保障の実現を目指すこと」

一言で言うと、経済安全保障とは「経済的手段によって安全保障の実現を目指すこと」を意味します。経済における安全保障が実現されている状態というのは、国民の生活にとって重要な製品をじゅうぶんに確保されていることや、先端技術を海外に流出させることや、他国の技術に頼りすぎることのない状態を言います。

コロナ禍においてマスクや医療用ガウンの供給が遅れ、国内生産の重要性を改めて考えるきっかけとなったのは記憶に新しいところです。また、最近では半導体不足により、PCや車、エアコンや給湯器などが品薄となっています。これは2021年に発足したばかりの岸田内閣においても重要課題であり、政府は半導体の国内製造に対して資金を支援する方針を決定しています。

経済安全保障が表面化してきたのは、トランプ政権下で起きた米中貿易戦争がきっかけだと言われています。

米中貿易戦争とは「今日の米中対立」へとつながる「経済的な米中摩擦」

米中貿易戦争とは、2018年のアメリカの中国に対する関税の引き上げから始まったアメリカと中国の関税引き上げ合戦のことで、米中貿易摩擦とも呼ばれます。米中間の課税はどんどんエスカレートしていきましたが、G20サミットなどを経て、現在、米中貿易戦争は休戦状態にあります。

貿易戦争と呼ばれたことからもわかるとおり、これは米中間の経済を使った戦争とも言えます。

米中貿易戦争をきっかけに、世界各国の多くの企業が生産拠点を中国から移管することを決定しています。貿易摩擦や経済安全保障は海外進出をする日本企業にとって、常に注視しておきたい重要事項なのです。

2. 経済安全保障は2022年の岸田内閣における重要課題

ここからは日本における経済安全保障をめぐる最新状況について理解を深めていきましょう。

「経済安全保障は、岸田内閣の重要課題です」

冒頭で触れたとおり、経済安全保障は岸田内閣の目玉政策のひとつであり、重要課題です。

2021年11月の第1回経済安全保障推進会議、同年12月の第1回防衛・経済安全保障シンポジウムにおいて、岸田総理は国政情勢が厳しさを増していることに触れ、経済安全保障の取り組みを強化すべきであると述べました。

特に同年11月の経済安全保障推進会議において岸田総理は下記のように「経済安全保障は、岸田内閣の重要課題です」と述べています。

「経済安全保障は、岸田内閣の重要課題です。関係大臣においては、小林大臣と緊密に連携しながら、それぞれが所管する基幹産業が抱えるリスクへの対応と脆弱(ぜいじゃく)性の点検・把握を不断に行うなど、必要な取組を強化してください。関係省庁において、お互いの有する情報を共有し合い、経済安全保障施策の実効性を上げるよう努めてください。」

※参照:
令和3年11月19日 経済安全保障推進会議」首相官邸HP より抜粋

岸田総理は自民党総裁選でも「経済安全保障推進法」の策定を公約としており、2021年10月の組閣において経済安全保障担当大臣に小林鷹之氏を抜擢しています。

2022年1月17日の通常国会にも提出され、経済安全保障推進法案策定の準備は着々と進んでいると言えるでしょう。

「経済安全保障担当大臣」に就任した小林鷹之氏とは?

前項でも述べたとおり、2021年10月の組閣において経済安全保障担当大臣に小林鷹之氏が就任しました。

小林氏は1974年生まれと若手ながら、東京大学卒業後に現在の財務省である大蔵省に入省。その後、防衛大臣政務官や党新国際秩序創造戦略本部事務局長などを経て経済安全保障担当大臣に抜擢された人物です。

今後、日本の経済安全保障におけるキーパーソンとなっていくことは想像に難くありません。

日本政府が掲げる経済安全保障法の4本柱とは?

このセクションの最後に、日本政府が掲げる経済安全保障法の4本柱について解説します。

2022年1月17日の通常国会に経済安全保障推進法案を提出するにあたって、日本政府は「サプライチェーンの強化」「基幹インフラの安全性確保」「官民の技術協力」「特許非公開化」の4本の柱を提言しています。

それぞれの内容は以下のとおりです。

日本政府が掲げる経済安全保障法の4本柱
① サプライチェーンの強化
半導体など、国民生活や戦略的に重要な物資や原材料のサプライチェーンを強靭化。

② 基幹インフラの安全性確保
通信、金融といった基幹インフラについて、管理業者などに安全保障に関わる問題がないかどうかを国が審査し、安全性や信頼性を確保

③ 官民の技術協力
官民の連携によって技術情報を共有。重要な先端技術の開発を育成・支援

④ 特許非公開化
軍事転用の恐れがあるなど、流出を防止するための特許の非公開化

3. なぜ経済安全保障が重要視されるのか?

日本の経済安全保障についての動向に続いては、近年、なぜ世界において経済安全保障ぜ重要視されているのか? その背景を解説します。

経済安全保障が重要視されるようになった背景

近年、世界各国で経済安全保障に関わる出来事が数多く起こっています。特に中国は「千人計画」と呼ばれる、海外の研究者を高待遇で招致し、海外の機微技術を得て軍事転用しています。中国はそのほかにも企業買収や産業スパイ、サイバー攻撃などを駆使し、海外の重要な技術を獲得しており、これはかねてより大きな問題となっていました。

アメリカはこういった中国の動きに対抗するため、経済安全保障対策を強化。アメリカにおいてファーウェイなどの中国企業を全面排除する法律が成立したのは2021年、つい最近のことです。こちらについては後述します。

産業基盤のデジタル化が進んだ現代においては、サイバー攻撃の脅威が非常に大きいものとなっています。また、国際分業が一般的なものとなった現代においては、国内での重要物資の生産量が減ると、コロナ禍のマスク不足のようなことが起こり得ます。

新興国の急激な経済成長や国家間の競争が激しさを増していることなどから、安全保障の観点から経済政策を考えなければならないのは当然のことと言えます。

国家や国民の安全を守るためには、軍事転用が可能な機微技術の流出にも大きな注意をはらわなければなりません。このような背景から、経済安全保障が重要視されるようになったのです。

経済と防衛(安全保障)の境界線が曖昧に

かつて安全保障と言えば軍事や外交で国の生存と繁栄を確保することでしたが、近年、安全保障の範囲が拡大しており、国家安全保障と経済安全保障の境界線がどんどん曖昧になっています。

経済をベースにした国家間の派遣争いが続く現代においては、経済安全保障はどの国にとっても重要なものであり、経済面からも国家の生存・独立・繁栄を確保することが求められています。

4. 近年の経済安全保障に関連するニュース&時事問題

世界において経済安全保障が重要視される理由と背景を理解したところで、ここからは経済安全保障関連のニュースや時事問題などをピックアップしてご紹介します。

米中対立を背景としたファーウェイやTikTokの問題

先のトランプ政権においては、動画を共有する人気アプリTikTokを通して中国政府が個人情報を悪用する恐れがあるとして、アメリカにおける事業の売却を命じるという強い姿勢が話題となりました。

ファーウェイに対しても、トランプ政権はアメリカの技術を活用した半導体を供給しないことを決定。前項でも言及したとおり、2021年、アメリカではバイデン政権においてもファーウェイなどの中国企業を全面排除する法律が成立しました。

米中対立は中国の台頭から始まり、米中貿易戦争をきっかけに争いが激しさを増しています。

新型コロナ感染拡大をめぐるマスク不足

日本で新型コロナウイルス感染者が確認されたのは2020年1月15日でした。その後、報道が加熱し、マスクやトイレットペーパーが店頭から姿を消しました。トイレットペーパーの供給は程なくして安定しましたが、マスクの供給が安定するまでにはかなりの時間がかかったことを覚えていらっしゃる方は多いでしょう。

これは、中国製のマスクが国内で流通しているマスクの7割もの割合を占めていたためであり、現在は国内での生産を大幅に増やしています。

LINEの個人情報などが中国の関連会社からアクセス可能な状態に

日本において経済安全保障に関連するニュースと言えば、2021年3月に話題となった、「LINEのシステム管理委託問題」が記憶に新しいところでしょう。

LINEの日本国内の利用者データが委託先である中国企業で閲覧できる状態になっており、一部の個人情報が韓国のデータセンターに保存されていることを隠し、対外的には日本国内で個人情報を管理しているように説明していたことが大きな問題となりました。

LINE側は、外部からの不正アクセスや情報漏えいが発生した事実もないとしています。しかしこの「LINEのシステム管理委託問題」によって、今回のテーマである経済安全保障がより身近な課題として、多くの人々にとらえられる機会となってことは間違いないでしょう。

5. 経済安全保障は日本企業の海外事業に深く結びついている

経済安全保障に関わる身近な事例を確認したところで、国内企業の経済安全保障に対する意識について見ていきましょう。

日本企業の多くが経済安全保障に関心を持っている

中国の新疆ウイグル自治区における人権弾圧が国際社会で問題となっている背景には、欧米各国に深く浸透している「人権デューデリジェンス」の存在があります。

非営利の独立系シンクタンクであるAPI(アジア・パシフィック・イニシアティブ)の調査によると、98%の日本企業が「経済安全保障を意識している」と返答し、75%が米中関係の不透明さを経済安全保障上の最大の課題であると答えています。

多くの日本企業にとって米中の対立は非常に重要な問題であり、「現在、米中対立の影響は、貴社の事業に何らかの形で出ていますか」という質問に対して「出ている」と答えた企業は60.8%となっています。

このように、日本企業の多くが経済安全保障とは無関係ではなく、深い関心を持っていることが伺えます。

※参照:
経済安全保障に関する日本企業100社アンケートの結果を発表」一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ

海外進出企業はなおのこと経済安全保障に留意すべき

経済安全保障を意識した動きを見せている企業も続々登場しています。

事務機器や光学機器などを製造する国内メーカー、リコーは2020年7月、社内に「情報安全保障管理室」を設けています。2021年にはパナソニックが経済安全保障や環境問題についての情報収集や分析にあたる「パナソニック総研」を設立。デンソーも同年、「経済安全保障室」を設置しています。

海外進出企業であれば経済安全保障についての情報収集が今後必須となることは言うまでもありません。

6. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します

今回は「経済安全保障とはなにか?」という基本情報に加えて、2022年の世界経済および海外進出事業において、経済安全保障が重要視される理由について解説しました。

米中貿易戦争やパンデミックなど、揺れ動く世界情勢の中で、経済安全保障はさらに重要度を増しています。経済安全保障の難しいところは、対象国や規制の内容などが情勢によって変化するところであり、海外進出する日本企業にとっては頭の痛い問題とも言えます。

今回の経済安全保障の問題は、そのままカントリーリスクへとつながる問題でもあります。

「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。

「海外進出を検討している国の状況について知りたい」「海外事業におけるカントリーリスクを含めた市場調査について教えてほしい」「海外ビジネスの事業計画立案のアドバイスをしてもらいたい」「海外に進出したいが何から始めていいのかわからない」…といった、多岐に渡る海外進出におけるご質問・ご相談を承っています。

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