【2024年版】海外進出支援のサポート企業・専門家にアンケート調査「成功事例から語るポイント」

グローバル化が進む現代、海外市場への進出は多くの日本企業にとって重要な戦略となっています。しかし、異文化や異なるビジネス環境に対応するためには、専門的な知識と経験が不可欠です。
そこで、日本企業の海外展開をサポートするプロフェッショナルたちの存在が大きな力となります。今回、私たちは海外進出を支援する企業や専門家に対してアンケート調査を実施し、これまでのノウハウや経験、そして成功事例から見えてくる重要なポイントを探りました。
本記事では、支援企業や専門家の実態、提供されているサービス、成長が期待される地域や業種、そして成功を分けるポイントについて詳しく紹介していきます。

▼【2024年版】海外進出支援のサポート企業・専門家にアンケート調査「成功事例から語るポイント」
- 1. 海外進出サポート企業・専門家とは?
- 2. ランキングを発表「2024年、最も成長する都市」
- 3. 傾向やトレンドを知る「今、最も海外進出のチャンスがある業種」
- 4. 海外ビジネスの成否を分けるポイント「現地を知る」
- 5. 海外進出で事業計画書が重要な理由
▼アナタの海外ビジネスを成功させるために
1. 海外進出サポート企業・専門家とは?
海外進出をサポートしている企業・専門家とは、日本企業が海外市場に進出する際に必要なさまざまな支援を提供するプロフェッショナルのことです。具体的には、現地市場の調査、法規制の確認・対応、ビジネスマッチング、マーケティング戦略の立案、現地法人の設立支援、物流・通関手続きのサポートなど、多岐にわたるサービスを提供します。
これらの企業や専門家は、現地のビジネス環境や文化に精通しており、日本企業がスムーズかつ成功裏に海外展開を進めるための重要なパートナーとなります。海外進出支援を受けることで、企業はリスクを最小限に抑えながら、効率的に海外市場に参入することが可能となるでしょう。
ここからはさらに詳しく、Digima〜出島〜に登録している海外進出をサポートしている企業・専門家の設立年数や規模、サポートエリアをアンケート調査した結果をお伝えします。
海外進出をサポートしている企業・専門家の設立年数や規模の調査結果

前年度のデータでは、設立から2年以内の企業が約15%を占めていましたが、その割合は10.7%に低下し、設立10年以上の企業が6割以上を占めるようになりました。これまでの若い企業が多い傾向から、より成熟した事業者が増加していることが明らかです。
企業規模としては、10名以下の比較的小規模な企業が45%と多くなっていますが、それ以外の規模の企業も少なくなく、1001名以上という大規模な支援事業者も16.6%と多く、「海外ビジネスサポート業界」そのものが成長していることを示す結果となっています。また、複数の海外拠点を持ち、広範囲のエリアをカバーするスタイルが主流となっています。
海外進出先国の支援・サポートエリアを調査結果

ベトナム進出をカバーするサポート企業の割合が55%と最も多く、実に半数以上の企業がベトナム進出をサポートしています。そして、アメリカ、タイ、シンガポール、台湾、中国、マレーシア、インドネシア、フィリピンが続き、それぞれ40%以上の企業が対応しています。
香港、ヨーロッパ、インド、イギリスも30%を超えており、特にインドは、人気の進出先としての調査結果(全体の3%)とは大きなギャップがある状況です。今後のインド進出の増加に向けて、支援企業側での準備が進んでいる状況と言えます。
海外進出支援の企業・専門家が提供している「支援サービス」の調査結果

こちらのグラフから広範にわたる分野で「支援サービス」が提供されていることがわかります。最も多く提供されているのは「海外進出コンサルティング」であり、幅広いサポートを提供する企業が多いです。また、「海外市場調査・マーケティング」も多くの企業が提供しており、5割近くがサポートしています。
一方で、相談が一番多い「販路拡大(営業代行・販売代理店探し)」は6番手にとどまりました。「輸出入・貿易・通関サポート」も14番手で、実際の相談ニーズとギャップがある状態です。これらのジャンルのサービスを拡充することが、海外進出サポート企業にとってチャンスとなるでしょう。
2.ランキングを発表「2024年、最も成長する都市」
海外進出支援の企業・専門家に「2024年、最も成長する都市」について、アンケートをとりました。早速、ランキング形式で専門家が注目している都市を発表します。
- 1位:ベトナム・ホーチミン(18票)
- 2位:シンガポール(11票)
- 3位:ベトナム・ハノイ(8票)
- 3位:インド・デリー(8票)
- 5位:インド・ムンバイ(7票)
- 5位:フィリピン・マニラ(7票)
- 5位:アメリカ・テキサス(7票)
- 8位:インドネシア・ジャカルタ(5票)
- 9位:タイ・バンコク(4票)
- 9位:インドネシア・ヌサンタラ(4票)
- 9位:マレーシア・クアラルンプール(4票)
さらにいくつかの都市をピックアップし、それぞれの都市が選ばれた理由を探りました。
ホーチミンが7年連続1位!成長のチャンスが詰まった都市
最も票を集めた都市は、7年連続で「ホーチミン」でした。アンケート回答者の支援エリアとしてベトナムが多いことからのバイアスも考えられますが、それ以上に得票率が高いことからも、チャンスが多いと考えられている都市であることがわかります。
内需の伸び、経済成長、日本との関係性、交通網といったインフラの整備が進んでいることが評価されています。コメントには、内需を見込んだ産業の進出成功のチャンスが大きいこと、日本人にフレンドリーであること、ビジネスを展開している日本企業のグローバル対応の弱さを補うチャンスがあることなどが挙げられていました。
また、都市型交通の整備により、富裕層だけでなくアッパーミドル層の成長も期待されています。
シンガポールからジャカルタまで、ASEAN都市の成長可能性
ベトナム以外にも、2位の「シンガポール」、5位の「マニラ」、8位の「ジャカルタ」、9位の「バンコク/クアラルンプール/ヌサンタラ」と、多くのASEANの都市がランクインしました。シンガポールについては、規制面での整備、ASEANマーケットのハブとしての期待が集まっています。
マニラはその人口規模と平均年齢の低さが注目のポイントです。ジャカルタでは、ヌサンタラへの首都移転に伴うビジネス環境の整備が期待されています。バンコクは政治の変化により、ビジネス環境やマーケットの成長が注目といえるでしょう。クアラルンプールはシンガポールの活動コスト増加を背景に関心が集まっています。
爆発的成長を遂げるインドのデリーとムンバイ
インドからは「デリー」と「ムンバイ」がランクインしました。インドは爆発的な人口増の只中にあり、外資系企業がデリーやムンバイに拠点を設ける動きが進んでいます。
専門家のコメントでは、インドの人口が中国を超えて世界一となり、資本がインドに流れていることが指摘されています。また、東南アジアでインドの成長見通しに関する話を聞く機会が増えていることも挙げられていました。
急速な技術革新によって進化する、アメリカ・テキサスの可能性
最後に注目されているのは「アメリカ・テキサス」です。テスラやトヨタ、オラクルなどがテキサス州に本社を移転していることから、都市としての盛り上がりや税制優遇、政府のビジネス支援策が評価されています。
専門家のコメントでは、生産人口の流入が多く、立地や政策のメリットがあること、テキサス州のGDPがオーストラリア並みであること、IT、エネルギー、宇宙工学、バイオテクノロジー分野での注目が集まっていることが指摘されています。 アメリカ進出の相談が増加傾向にある中でも、特にテキサスに注目が集まっており、今後最も成長が期待される都市の一つとして位置づけられています。
3.傾向やトレンドを知る「今、最も海外進出のチャンスがある業種」

グローバル市場への進出を目指す企業にとって、どの業種が最も有望かは大きな関心事です。今回、私たちは海外進出をサポートする専門家にアンケートを実施し、現時点で最もチャンスがあると考えられる業種について調査しました。
アンケート結果から浮かび上がった注目の業種と、それぞれの成長要因について詳しく解説します。
世界で愛される日本食「飲食業が注目の理由」
アンケート結果で最も多くの票を集めた業種は「飲食業」で、回答者の60%を超える割合が支持しました。専門家のコメントからも、日本食への関心の高まりや訪日観光客の増加が背景にあることがわかります。特に和食が世界遺産に登録されていることや、日本酒や焼酎の海外市場での拡大が注目されています。日本食の人気が高まることで、他の食産品の輸出にもつながると考えられています。
- 「和食は世界遺産に登録されており、インバウンド客が日本で体験した日本食を自国でも食べたいというニーズが増えている」(フィリピンビジネスの専門家)
- 「日本酒メーカーの工場設立や、アルコールの規制改定により焼酎の販売拡大が注目されている」(アメリカの人材エージェント)
- 「日本食を契機に幅広い食産品の輸出にもつながると考えている」(地方自治体の海外展開支援担当)
- 「中国では生活の質の高度化に目が向けられており、関心が健康生活に移りつつある」(韓国ビジネスの専門家)
製造業の復活!円安を追い風にしたD2C(Direct to Consumer)モデルの重要性
「製造業」が最も回答が伸びた業種で、前年度の44.4%から今年度は50%に増加しました。コロナ禍の影響を受けた製造業ですが、効率化が進み、経営基盤が強化された企業が多いことから、世界のニーズ拡大が予測されています。さらに、円安が追い風となり、日本製品が海外で割安に購入できるため、輸出が有利になると考えられています。
- 「輸出において円安のメリットを活かしやすい世界情勢に加え、物流改革によって、日本企業としてのビジネス環境が良化していると考えるため」(翻訳/ローカライズの専門家)
- 「日本初の革新的な製品を求めている次世代の消費者アーリーアダプターはたくさんいますが、日本企業はD2Cマーケティングをしないので負けています。今後はマーケティングの重要性を認識し実行することができれば必ず成功します」(アメリカ進出プラットフォーム)
IT・通信業が掴む、技術革新がもたらすグローバルチャンス
「IT・通信業」も多くの票を集め、成長産業としての位置づけが強化されています。特にAIサービスやWeb3技術など、技術革新が進んでいることから、全世界的な成長が期待されています。また、日本国内でのエンジニア不足が課題となっているため、リソース確保のための海外展開が重要視されています。
- 「インドをはじめ、海外においてはデジタル人材が質量共に豊富。日本国内でのリソース不足を解消していくことができるため」(ASEANビジネスの専門家)
4.海外ビジネスの成否を分けるポイント「現地を知る」

これまで多くの日本企業が海外進出に挑戦していますが、成功する企業とそうでない企業の違いはどこにあるのでしょうか?今回は、海外ビジネスの成功を支援する専門家たちにアンケートを実施し、海外ビジネスの成否を分ける重要なポイントについて調査しました。
専門家の洞察をもとに、海外進出に有効な施策や成否を分けるポイント、海外進出時の予算について詳しく解説します。
効果的な海外進出施策はこの3つ
アンケート調査では、「展示会」や「越境EC」、そして「製造委託/OEM」の3つが海外進出に有効な施策として多く挙げられました。具体的なコメントには以下のようなものがあります。
展示会については、「リアルの商談が見直されている」「出展や商談を契機とした国内外からの誘客促進につながるため」といった理由から、特に食品業界では試食会などのイベントを通じて、直接的な販促活動が効果的とされています。
また、円安によって日本製品が割安に見えることや、オフラインとオンラインを組み合わせたハイブリッド型の展示会の効率性も指摘されていました。
越境ECでは、「Shopeeのベトナムへの越境EC解禁」「販売しながらのマーケティング」「市場調査を兼ねた販売」という利点が強調されました。越境ECはリスクを抑えた形での海外販売が可能であり、日本円の安さによる調達価格の優位性も大きなポイントです。データに基づくアクションがしやすく、PDCAを回しやすいというメリットも挙げられています。
OEMに関しては、「最初から投資や拠点設立はハードルが高いが、まずは取引を始めることで可能性が広がる」「国内の製造工場での人員調達が困難になっている」という背景があります。アフターコロナによるインバウンド需要の復活にも期待が寄せられています。
成功の鍵は現地パートナーと市場調査にある
アンケート調査の結果、「現地パートナー」が最も多く挙げられ、7割弱の企業が支持しました。信頼できる現地パートナーを見つけることが成功への鍵であり、トラブルを避けるためにも重要なポイントです。
次に「調査・リサーチ」が続き、スモールスタートで海外展開に挑戦する企業が増える中で、しっかりとした市場調査やリサーチが重要とされています。また「現地ニーズの高さ」も重要な要素であり、マーケットの規模や成熟度を把握することが海外ビジネス成功の基盤となります。
さらに「現地人材の質」「スピード感」「経営陣のコミット」といった回答も多く、経営陣の強いコミットメントが成功に直結するとの意見が多く見られました。その他にも「ローカライズ」「プロモーション・ブランディング」などの要素も重要視されています。
専門家の経験から推測した海外進出に必要な予算

進出企業の回答と比較して、全段階を通じて専門家の方が低く見積もっていることがわかりました。具体的には、海外進出検討段階、海外進出時、進出後の予算について、それぞれの段階での予算見積もりが低くなっています。
専門家によると、予算の見積もりは「段階別」で異なり、各段階に応じた予算設定が必要です。これらの情報を活用し、自社の海外進出の予算を計画する際の参考にすることをおすすめします。
5.海外進出で事業計画書が重要な理由
海外進出の成功には、どのくらいの期間を要するのか、また何を準備するべきなのかを理解することも必要です。ここからは、具体的な展開期間や、成功に必要な準備事項を詳しく解説します。
これから海外展開を検討する企業にとって、計画を立てる際の参考になる情報になるでしょう。
専門家が経験したスピード感の重要性

海外展開にかかる期間について、検討期間としては約7割の回答が「半年以内」となりました。これは、半年程度で検討段階を脱するべきだと考えている専門家が多いことを示しています。また、海外展開を決めてから進出までの期間については、「半年~1年後」が3割強を占める一方で、「半年以内」の回答も5割程度に達しています。これらの結果から、専門家は海外展開にスピード感を求めていることが伺えます。
一方、軌道に乗せる期間については「1年~2年」が34.3%、「3年以上」も3割を超えており、結果が伴ってくるにはそれなりの期間を要すると考えられています。したがって、海外展開を実施する際には、スピード感を持って進めることが重要ですが、結果が出るまでの時間も考慮しながら計画を立てることが求められます。
綿密な計画が海外進出の成功確率を上げる

「事業計画策定」が72.2%と最も多くの回答を得ました。しっかりとした事業計画を立てることは、海外展開における出発点として重要です。計画と目標を立てることで、うまくいかない点や課題を把握し、軌道修正を行いながら進めていくことができます。
また、「法的規制の確認」も重要で、こちらの回答割合は前年から大きく伸びており(40.3%→51.5%)、その重要性が高まっていることがわかります。さらに、「財務(予算策定など)」「人事(担当者や組織)」といった回答が続きます。予算をしっかりと確保し、適切な人材配置を行うことが、海外展開の成功に繋がります。
各国の注目すべき変化と制度改正を押さえる
これらの注目すべき変化や制度改正に関しては、自社の展開を考える国について調査し、戦略を構築する際に役立てることが重要です。専門家が考えるアメリカの注目すべき変化や制度改正としては、以下の点が挙げられます。
<アメリカにおける注目の変化/制度改正>- AI規制や中国とのデカップリング
- 米中摩擦を意識したサプライチェーン変更(生産拠点を中南米に移管など)
- 自動車のEV化の進展
- IRA
- Chips法や大統領選挙の影響
- さらなる人件費と物価の上昇
- 新会社法の適用(外資/内資の平等化を図るため、外資への適用を拡大)
- 日本産水産加工品への輸入規制
- 中国発EC商品の海外発送増加による航空貨物スペースの逼迫
- データ保護法の施行
- NMPAの改正(成分、処方、製造方法等の開示が必要)
- サイバーセキュリティー法の施行
- 外国人による住宅・土地購入制限の改正(緩和)
- ホーチミンにて初めての都市鉄道が開通予定
- 政府要人の相次ぐ逮捕や交代
- VAT(付加価値税)の対象業種の変更
- 外資企業の小売業への最低投資額の変更
- 最低賃金の底上げの頻度(収益性に直結するレベルで最低賃金の増加が実施)
- 物価高騰(駐在員派遣のコスト増)
- 銀行口座開設の難易度上昇(マネーロンダリング防止の影響)
- FOB単価100ドル未満の越境EC禁止
- 政権交代後の動向
- 5+2政策(国家発展のための基本計画+インフラ・人材・技術投資が明記された最先端政策)
- TPP11加盟申請
- デジタル個人情報保護法(DPDA)の新たな適用
- メイク・イン・インディアが製造業振興活動から流通のハブ構想へ拡大
- コンプライアンスの法規制の緩和化推進の促進
優良な海外進出サポート企業をご紹介
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Digima〜出島〜には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が3,000社以上登録しています。海外進出サポート企業を探すには、1社だけに絞るのではなく、複数のサポート企業を「比較する」ことがポイントです。
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