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海外営業リストの作り方|成果につながるターゲット設計とは

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海外営業を始めるとき、多くの企業が最初に取り組むのが営業リストの作成です。
現地のバイヤー、代理店、小売店、商社、EC事業者、メーカーなど、候補先を集めてアプローチを始めることは、海外販路開拓の重要な第一歩です。

しかし、営業リストは「企業名をたくさん集めればよい」ものではありません。
どれだけ件数が多くても、自社商品と相性の悪い相手ばかりであれば、返信は得られず、商談にもつながりません。逆に、件数が少なくても、ターゲットが明確で、相手の関心に合った提案ができれば、商談化の可能性は大きく高まります。

海外営業リストづくりで重要なのは、どの企業に売りたいかではなく、どの企業なら自社商品を扱う理由があるかを見極めることです。
そのためには、国や業種だけでなく、販売チャネル、取扱商品、価格帯、顧客層、商流上の役割まで整理したうえでリストを作る必要があります。

本記事では、海外営業リストの基本的な作り方と、成果につながるターゲット設計のポイントを解説します。

海外営業リストは「数」より「精度」が重要

海外営業リストを作るとき、まず意識したいのは件数よりも精度です。

営業活動では、リストの数が多いほどチャンスが増えるように見えます。
しかし、海外営業では、言語や商習慣、時差、情報収集の難しさがあるため、やみくもに大量の企業へ連絡しても成果につながりにくいのが実情です。

たとえば、以下のようなリストでは、返信率や商談化率が低くなりがちです。

  • 業種だけで集めたリスト
  • 国だけで絞ったリスト
  • 展示会出展企業をそのまま並べたリスト
  • 小売店、卸、代理店、メーカーが混在したリスト
  • 相手がどんな商品を扱っているか確認していないリスト
  • 自社商品との接点が不明なリスト

このようなリストでは、アプローチ文面を作っても相手に刺さりません。
なぜなら、相手にとって「自社がなぜ連絡を受けたのか」が分からないからです。

営業リストは、営業効率を決める設計図

海外営業リストは、単なる連絡先一覧ではありません。
どの市場で、どの業種の、どの役割を持つ相手に、どんな提案をするかを整理した営業活動の設計図です。

精度の高い営業リストには、次のような特徴があります。

  • 自社商品を扱う理由がある企業が入っている
  • 相手の業態や商流上の役割が整理されている
  • 取扱商品や価格帯が確認されている
  • 担当部署や問い合わせ窓口が明確である
  • アプローチ文面を出し分けられる情報がある
  • 優先順位がついている

つまり、営業リスト作成の目的は、企業名を集めることではありません。
商談化の可能性が高い相手を見つけ、優先順位をつけることです。

海外営業リスト作成の前に決めるべきこと

営業リストを作る前に、まずターゲット設計を行う必要があります。

いきなり「海外のバイヤーリストを作る」と考えると、対象が広すぎて精度が下がります。
海外には、輸入商社、卸売業者、小売店、EC事業者、代理店、ディストリビューター、メーカー、ホテル、レストラン、ギフトショップなど、さまざまな取引候補が存在します。

しかし、自社の商品にとって最適な相手は限られています。

そのため、リスト作成前には、以下の問いを整理することが重要です。

  • どの国・地域を狙うのか
  • BtoB向けか、BtoC向けか
  • 最終顧客は誰か
  • 自社が直接取引したい相手は誰か
  • 代理店、卸、小売、ECのどの商流が合っているか
  • 相手にとって、自社商品を扱うメリットは何か
  • 初回商談で何を提案したいのか

この整理が曖昧なままリストを作ると、アプローチ先が広がりすぎ、営業活動が散らばってしまいます。

「売りたい相手」ではなく「扱える相手」を考える

海外営業では、自社が売りたい相手と、実際に商品を扱える相手が異なることがあります。

たとえば、高価格帯の食品を海外に売りたい場合、最終的には富裕層やギフト需要のある消費者に届けたいかもしれません。
しかし、自社が直接営業すべき相手は、高級スーパー、輸入食品商社、ギフト専門店、レストラン向け卸などになる可能性があります。

伝統工芸品であれば、最終顧客はインテリア感度の高い消費者でも、営業先はセレクトショップ、ギャラリー、ホテル、建築・内装会社かもしれません。

営業リストを作る際は、次の2つを分けて考える必要があります。

  • 最終的に商品を使う人、買う人
  • 自社が営業すべき取引先候補

この整理を行うことで、営業リストの方向性が明確になります。

ステップ①:ターゲット国と市場カテゴリを絞る

海外営業リスト作成の第一歩は、対象国と市場カテゴリを絞ることです。

「海外全体」に向けて営業するのは現実的ではありません。
国によって、商習慣、言語、規制、価格感覚、流通構造が異なるため、まずは優先国を決める必要があります。

優先国を決める際には、市場規模だけでなく、自社商品との相性を見ます。

確認すべき観点は、以下です。

  • 現地に自社商品のニーズがありそうか
  • 類似商品がすでに売られているか
  • 競合商品の価格帯は合っているか
  • 規制や認証のハードルは高すぎないか
  • 物流コストを含めても販売できるか
  • 現地に営業対象となる小売、卸、代理店が存在するか

国を絞らずにリストを作ると、アプローチ文面も提案内容も散らばってしまいます。
まずは、優先度の高い1〜3カ国程度に絞ると、精度の高いリストを作りやすくなります。

カテゴリ単位で市場を見る

国を決めたら、次に市場カテゴリを整理します。

たとえば、食品であれば「高級食品」「健康食品」「日本食材」「ギフト食品」などに分けられます。
生活雑貨であれば「キッチン用品」「インテリア雑貨」「サステナブル商品」「ギフト雑貨」などに分類できます。

このカテゴリ整理を行うことで、営業先の候補が見えやすくなります。

たとえば、同じ食品でも、営業先は次のように変わります。

  • 高級食品 → 高級スーパー、百貨店、ギフトショップ
  • 業務用食品 → レストラン卸、ホテル向け商社、食品ディストリビューター
  • 健康食品 → ヘルスケアショップ、ドラッグストア、ECモール運営企業
  • 日本食材 → 日本食スーパー、アジア食品商社、和食レストラン向け卸

営業リストは、国単位ではなく、国 × カテゴリ × 商流で設計すると精度が上がります。

ステップ②:営業先の業態を分類する

次に、営業先の業態を分類します。

海外営業リストでは、業態の違いを整理せずに企業名だけを並べてしまうケースがあります。
しかし、同じ「バイヤー候補」でも、役割や関心は大きく異なります。

たとえば、以下のような違いがあります。

小売店 -
最終顧客に直接販売する。店頭で売れる見せ方、価格帯、商品回転率を重視する。

卸・ディストリビューター -
複数の小売店や業務用顧客に商品を流通させる。ロット、安定供給、マージン、販売権限を重視する。

輸入商社 -
輸入実務や規制対応に関与する。取引条件、通関、書類、価格設計を重視する。

EC事業者 -
オンライン販売に強い。商品ページで伝わる訴求、レビュー、配送条件、広告適性を重視する。

代理店候補 -
市場開拓を担う。販売権、販促支援、営業資料、独占条件などを重視する。

メーカー・OEM先 -
自社ブランドや共同開発を検討する。品質、仕様、供給体制、カスタマイズ性を重視する。

業態ごとに提案内容を変える

営業リストを作る際は、業態ごとに提案の切り口を変える前提で整理します。

小売店に対しては、「店頭でどう売れるか」「顧客にどう説明できるか」が重要です。
卸や商社に対しては、「どれくらいのロットで安定供給できるか」「流通先に提案しやすいか」が重要です。
EC事業者に対しては、「商品ページで価値が伝わるか」「広告やSNSで反応が取れそうか」が重要です。

このように、相手の業態によって関心が違うため、営業リストにも業態分類を入れておくべきです。

リスト項目には、少なくとも以下を入れるとよいでしょう。

  • 企業名
  • 国、都市
  • 業態
  • 取扱カテゴリ
  • 価格帯
  • 販売チャネル
  • 自社商品との相性メモ
  • 問い合わせ先、担当者情報
  • 優先度
  • アプローチ状況

単なる連絡先リストではなく、提案内容を変えられるリストにすることが重要です。

ステップ③:候補企業を収集する

ターゲット国と業態が決まったら、候補企業を収集します。

海外営業リストの情報源は複数あります。
一つの情報源だけに頼ると偏りが出るため、複数の方法を組み合わせることが大切です。

主な収集方法は以下です。

  • 海外展示会の出展企業リスト
  • 現地小売店やECサイトの取扱ブランド調査
  • Google検索、Google Maps検索
  • LinkedInでの企業・担当者検索
  • 業界団体、商工会議所、貿易関連機関の会員リスト
  • 現地メディアや業界ニュース
  • 競合商品の販売先調査
  • SNSでの取扱店舗、ブランド投稿の確認

特に有効なのは、競合や類似商品の販売先を見ることです。
すでに同じカテゴリの商品を扱っている企業は、自社商品にも関心を持つ可能性があります。

競合の販売先は、営業先候補の宝庫

リスト作成では、競合商品の取扱先を調べることが有効です。

たとえば、現地ECで類似商品を検索し、どの販売店が扱っているかを見る。
現地小売店のオンラインストアを確認し、同じカテゴリの商品があるかを見る。
展示会の出展企業ページから、どの企業が同ジャンルを扱っているかを見る。

こうした調査によって、単に「業種が近い企業」ではなく、すでに近い商品を扱っている企業を見つけることができます。

ただし、競合を扱っている企業が必ずしも良い営業先とは限りません。
すでに競合と独占契約を結んでいる場合や、価格帯が合わない場合もあります。

そのため、候補に入れた後は、必ず相性を評価する必要があります。

ステップ④:候補企業を評価し、優先順位をつける

営業リストは、集めて終わりではありません。
候補企業を評価し、優先順位をつけることで初めて営業活動に使えるリストになります。

優先順位がないリストでは、どこから連絡すべきか分からず、営業活動が非効率になります。
また、見込みの低い企業に時間を使いすぎて、本来アプローチすべき企業への対応が遅れることもあります。

評価軸を決めてスコアリングする

候補企業は、以下のような観点で評価できます。

  • 自社商品と取扱カテゴリが近いか
  • 価格帯が合っているか
  • 販売チャネルが合っているか
  • 現地顧客層が自社商品のターゲットに近いか
  • 輸入商品や海外ブランドの取扱経験があるか
  • 企業規模が大きすぎず、小さすぎないか
  • 問い合わせ先や担当者情報が明確か
  • 商談につながる接点があるか
  • 自社の条件で取引できそうか

たとえば、A〜Cの3段階で評価しても構いません。

  • Aランク:優先的に個別提案する企業 -
    自社商品との相性が高く、取扱カテゴリ、価格帯、顧客層が近い。
  • Bランク:通常アプローチする企業 -
    一定の相性はあるが、提案内容の調整が必要。
  • Cランク:情報収集・将来候補 -
    現時点では優先度が低いが、今後の展開次第で候補になる。

このように分類すると、営業活動の優先順位が明確になります。

ステップ⑤:リストに合わせてアプローチ文面を設計する

成果につながる営業リストは、アプローチ文面とセットで設計されます。

同じ文面を全企業に送ると、海外営業では反応が得られにくくなります。
特に海外では、知らない企業からの営業メールや問い合わせフォーム送信は警戒されやすいため、相手に合わせた文脈づくりが重要です。

相手ごとに「なぜ連絡したのか」を明確にする

アプローチ文面では、最初に「なぜあなたに連絡しているのか」を示す必要があります。

たとえば、次のような切り口です。

  • 御社が日本製品を扱っているため
  • 同カテゴリの商品を販売しているため
  • 高価格帯のギフト商品を扱っているため
  • サステナブル商品を積極的に展開しているため
  • 現地の小売店向けに輸入商品を展開しているため
  • 展示会で類似カテゴリに出展していたため

この一文があるだけで、営業感の強い連絡ではなく、相手に合わせた提案として受け取られやすくなります。

また、文面では自社紹介を長く書きすぎず、相手にとってのメリットを簡潔に伝えることが重要です。

基本構成は、以下のように整理できます。

1. なぜ連絡したのか -
相手企業との接点や相性を示す。

2. 何を提案したいのか -
商品カテゴリや特徴を簡潔に伝える。

3. 相手にとってのメリットは何か -
販売しやすさ、差別化、顧客価値を伝える。

4. 次に何をしてほしいのか -
資料確認、サンプル希望、オンライン商談などの行動を促す。

リストと文面が連動しているほど、海外営業の成果は高まりやすくなります。

海外営業リスト作成でよくある失敗

海外営業リスト作成では、次のような失敗が起こりがちです。

失敗①:リスト件数を増やすことが目的になる

件数を増やすこと自体は悪くありません。
しかし、相性を見ずに企業名だけを増やしても、商談化率は上がりません。

大切なのは、何件送ったかではなく、どれだけ商談につながる相手に送ったかです。

失敗②:業態が混在したまま管理してしまう

小売、卸、代理店、EC、メーカーを同じリストで管理すると、提案内容が曖昧になります。
業態ごとに関心や判断基準が違うため、分類して管理する必要があります。

失敗③:担当者情報が不十分なまま送ってしまう

問い合わせフォームに送る場合でも、可能であれば担当部署や担当者の情報を確認しましょう。
LinkedInや企業サイトを使い、購買、輸入、商品開発、事業開発などの担当者に近い情報を探すことで、到達精度が上がります。

失敗④:一度送って終わりにしてしまう

海外営業では、一度の連絡で返信が来ないことも多くあります。
だからこそ、初回連絡、フォロー、資料送付、再提案といった流れを設計しておく必要があります。

失敗⑤:リストを更新しない

営業リストは一度作って終わりではありません。
企業の取扱商品、担当者、出展状況、関心カテゴリは変わります。
反応結果をもとに、リストを更新し続けることで精度が上がります。

成果につながる海外営業リストの管理項目

営業リストを実務で使うためには、以下の項目を整理しておくと効果的です。

基本情報 -
企業名、国、都市、Webサイト、問い合わせ先、担当者名、役職、メールアドレス、LinkedIn URL。

業態情報 -
小売、卸、代理店、商社、EC、メーカー、ホテル、レストランなどの分類。

取扱情報 -
取扱カテゴリ、取扱ブランド、価格帯、販売チャネル、店舗数、EC有無。

相性情報 -
自社商品との相性、提案できる商品、想定される導入メリット、懸念点。

優先度 -
A/B/Cランク、アプローチ優先順位、担当者。

営業状況 -
初回連絡日、フォロー日、返信有無、商談化有無、送付資料、次回アクション。

商談メモ -
相手の関心、質問、価格感、ロット感、検討状況、次の宿題。

ここまで整理できていると、営業リストは単なる名簿ではなく、海外営業の進捗管理ツールとして機能します。

まとめ|海外営業リストは、ターゲット設計から作る

海外営業リストは、企業名やメールアドレスを集める作業ではありません。
成果につながるリストを作るには、誰に売るべきか、どの商流が合うか、相手にとって扱う理由があるかを整理する必要があります。

海外営業リスト作成の流れは、次の通りです。

1. ターゲット国と市場カテゴリを絞る
国 × カテゴリ × 商流で対象を明確にする。

2. 営業先の業態を分類する
小売、卸、代理店、EC、商社など、相手の役割を整理する。

3. 候補企業を収集する
展示会リスト、現地EC、小売店、競合取扱先、LinkedInなど複数の情報源を使う。

4. 候補企業を評価し、優先順位をつける
取扱カテゴリ、価格帯、顧客層、商流上の相性でスコアリングする。

5. リストに合わせてアプローチ文面を設計する
相手ごとに「なぜ連絡したのか」「扱うメリットは何か」を明確にする。

海外営業では、リストの質が商談化率を大きく左右します。
件数を増やす前に、まずは自社商品に合ったターゲットを定義し、相手の業態や関心に合わせてリストを設計することが重要です。

良い営業リストとは、たくさん送るためのリストではありません。
商談につながる相手に、適切な提案を届けるためのリストです。
海外営業を成果につなげるためには、リスト作成を単なる作業ではなく、ターゲット設計そのものとして捉えることから始めましょう。

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