カンボジア不動産開発事業の新法令「Prakas No. 047」を解説

2023年9月26日、カンボジア政府は、不動産開発事業に関する新たなライセンス制度を定めた「Prakas No. 047」を発表しました。
このPrakasは、不動産開発事業ライセンス/許可証の取得手順および規定を明確にするもので、2020年1月20日に発表された「Prakas No. 089」に代わるものです。
本記事では、カンボジアでの不動産開発事業を検討している日本人ビジネスパーソン向けに、カンボジア不動産開発事業に関する新たな法令「Prakas No. 047」について詳しく解説します。
▼ カンボジア不動産開発事業の新法令「Prakas No. 047」を解説
1.カンボジア不動産開発事業に関する新たなライセンス制度「Prakas No. 047」とは?
カンボジア国内の不動産開発事業の管理体制を強化することが目的
Prakas No. 047は、2020年に発表されたPrakas No. 089を置き換え、不動産開発事業の管理体制を強化することを目的としています。このPrakasでは、以下の内容が定められています。
- 不動産開発事業のライセンス/許可証の取得手順および規定:
ライセンス取得のための手続きが明確化され、必要な書類、申請手順、審査プロセスが詳細に記載されています。
- 適用対象となる不動産開発事業の種類:
どの種類の不動産開発事業がこの法令の対象となるかが具体的に示されています。
- ライセンス/許可証の申請条件:
申請に必要な条件、例えば資本金や追加書類の要件が詳細に定められています。
- ライセンス/許可証の費用:
申請料、ライセンス料、行政手数料などの費用についての詳細が記載されています。
- 政府によるライセンス/許可証の発行・却下:
ライセンス発行の基準、却下される場合の理由、再申請の手続きが明記されています。
- 罰則:
法令に違反した場合の罰則が具体的に定められています。
2.「Prakas No. 047」の適用対象となる不動産開発事業について
住宅開発/共有建物開発事業・土地区画開発事業に適用される
Prakas No. 047は、以下の種類の不動産開発事業に適用されます。
- 住宅開発/共有建物開発事業:
個人住宅、マンション、タウンハウスなどの開発プロジェクト。
- 土地区画開発事業:
土地の分譲や区画整理を含む開発プロジェクト。
住宅開発/共有建物開発事業は2つのライセンスレベルに分類される
さらに、住宅開発/共有建物開発事業は、以下の2つのライセンスレベルに分類されます。
- レベル1:
3~30戸の住宅、別荘、ユニットのプロジェクト。このレベルは小規模な開発プロジェクトを対象としています。
- レベル2:
30戸を超える住宅、別荘、ユニットのプロジェクト。大規模な開発プロジェクトに適用されます。
3.「Prakas No. 047」におけるライセンス/許可証の申請条件と費用
住宅開発/共有建物開発事業が満たすべき条件について
住宅/共有建物の開発を希望する開発者は、Prakas No. 047の第9条に記載されている以下の条件を満たす必要があります。
- レベル1:
建設費の100%に相当する資本を確保することが求められます。これは、プロジェクトの全額を自己資金で賄うことを意味します。
- レベル2:
建設費の最低20%に相当する資本を確保することが求められます。残りの資金は融資などで賄うことが可能です。また、営業保証書の提出が必要です。
開発ライセンス/許可証の費用について
開発ライセンス/許可証の費用は以下の通りです。
- 申請料:
1,000,000KHR (約250USD)
- ライセンス料:
レベル1:10,000,000KHR (約2,500USD) / レベル2:50,000,000KHR (約12,500USD)
- 公共サービス料および行政手数料:
プロジェクト規模に応じて決定されます。具体的な金額は個別のプロジェクトごとに異なります。
- 不動産・質屋開発手数料:
プロジェクト規模に応じて決定されます。
4.「Prakas No. 047」に関する政府手続きについて
不動産事業登録局は30営業日以内にライセンスの発行または却下の通知を行う
カンボジアのDEF/RPR(不動産事業登録局)は、全ての必要書類を受領した日から30営業日以内にライセンス/許可証を発行もしくは却下する権利を有しています。
具体的には以下の点に留意する必要があります。
- 申請書類の完全性:
提出書類が不完全である場合、申請は受理されず、再提出が求められることがあります。
- 発行プロセス:
申請が受理された後、政府は30営業日以内に審査を行い、ライセンスの発行または却下の通知を行います。
- ライセンスの有効性:
ライセンスは発行日から一定期間有効であり、定期的な更新が必要です。
5.「Prakas No. 047」に関する罰則金について
許可証なし/許可証の条件への違反行為に対しては罰金が科せられる
Prakas No. 047では、以下の違反行為に対して罰則を科しています。
- ライセンス/許可証なしで不動産開発事業を行う:
500,000KHR (約125USD) ~ 500,000,000KHR (約125,000USD)の罰金が科されます。これは、無許可での開発活動が重大な違反とみなされるためです。
- ライセンス/許可証の条件に違反する:
500,000KHR (約125USD) ~ 500,000,000KHR (約125,000USD)の罰金が科されます。例えば、許可された範囲を超える建設や環境規制の違反などが含まれます。
6. カンボジア進出なら「東京コンサルティングファーム」におまかせください
今回は「カンボジア不動産開発事業に関する新たな法令」について解説しました。
不動産開発に関する法律は頻繁に改正されるため、最新の法令情報を常に把握することが重要です。また、現地の法律専門家やコンサルタントと連携することで、法令遵守やリスク管理が容易になります。
カンボジアで不動産開発事業を展開しようとする日本人ビジネスパーソンにとって、Prakas No. 047は重要な法令です。この法令を遵守し、適切な手続きを踏むことで、スムーズな事業展開が可能となります。
私たち「東京コンサルティングファーム」は、会計事務所を母体とした26ヵ国39拠点に展開するグローバルコンサルティングファームです。
海外現地では日本人駐在員とローカルスタッフが常駐しており、また各拠点に会計士・税理士・弁護士など専門家チームが所属しているため、お客様の多様なニーズに寄り添った対応が可能です。
本稿で解説した、カンボジア不動産開発事業に関する新たな法令に関するご相談はもちろん、カンボジア以外の国への海外進出から海外子会社管理、クロスボーダーM&A、事業戦略再構築など、海外進出に関する課題がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事が役に立つ!と思った方はシェア
海外進出相談数
27000
件突破!!
最適サポート企業を無料紹介
コンシェルジュに無料相談
この記事をご覧になった方は、こちらの記事も見ています
オススメの海外進出サポート企業
-
株式会社東京コンサルティングファーム
【26ヵ国39拠点】各国日本人駐在員が現地にてサポートいたします。
弊社は、会計事務所を母体とした26ヵ国39拠点に展開するグローバルコンサルティングファームです。
2007年に日本の会計事務所として初めてインドに進出し、翌年ASEAN一帯、中南米等にも進出しました。歴が長く、実績・ノウハウも豊富にございます。
海外進出から海外子会社管理、クロスボーダーM&A、事業戦略再構築など国際ビジネスをトータルにサポートしています。
当社のサービスは、“ワンストップ”での サービスを提供できる環境を各国で整えており、特に会計・税務・法務・労務・人事の専門家を各国で有し、お客様のお困りごとに寄り添ったサービスを提供いたします。
<主要サービス>
・海外進出支援
進出相談から登記等の各種代行、進出後の継続サポートも行っています。月額8万円~の進出支援(GEO)もご用意しています。また、撤退時のサポートも行っています。
・クロスボーダーM&A(海外M&A)
海外企業の買収・売却による進出・撤退を支援しています。
・国際税務、監査、労務等
各国の税務・会計、監査や労務まで進出時に必要な業務を幅広く行っています。
・現地企業マッチングサポート
海外販路拡大、提携先のリストアップ、代理店のリストアップ、合弁パートナー探し等を行うことができます。TCGは現地に拠点・駐在員がいるため現地企業とのコネクションがあり、スピーディーに提携先のリストアップなどを行うことができます。 -
ABCD株式会社
私たちは貴社のセカイビジネス(主に欧米+アジア進出)の共創パートナーです。
私たちABCDは、貴社の海外事業部としてセカイ進出を共創するパートナーです。
これまでの実績は700社を越え、さまざまな業種業態の企業の進出支援を行っております。
■私たちは...
*企業のセカイビジネスの開拓・拡張・成長をミッションとして各分野から集まった組織
*成功のノウハウだけでなく、失敗におけるノウハウも貴社支援に活用
*セカイビジネスを""A""(立ち上げ)から事業推進(""toZ""/プロジェクトマネジメント)まで伴走
*セカイ各国・各分野の現地協力社&6万人を超える現地特派員により、セカイビジネスを共創
■3つのサポート領域
①BtoB販路開拓サポート
セカイ各国の現地企業との取引創出を目的としたサポート。
現地企業の探索条件の設計から着手し、企業探索・アポイント取得・商談〜交渉〜契約までワンストップで対応。
②BtoC販路開拓サポート
セカイ各国の消費者に直接販〜集客することを目的としたサポート。
販売はECモール・越境ECサイトを中心とし、集客はSNS活用から各種プロモーション(インフルエンサーマーケティング・広告運用など)海外でのブランディングを含めたマーケティング戦略全般対応。
③セカイで法人・店舗開業
セカイ各国現地に店舗開業を包括的にサポートすることを目的としたサポート。
現地法人設立(M&A含む)や店舗開業に伴う不動産(内装業者)探索や人材探索、各種手続き・ビザ申請等、ワンストップで対応。
■サポート対象エリア
基本的にはセカイ各国の支援に対応しておりますが、
これまでの多く携わってきたエリアは、アメリカ・ヨーロッパ・東南アジア・東アジアです。
■これまでの支援で最も多かったご相談
- 海外進出って何をすればよいの?
- 初めての海外進出をどのように進めれば不安、手伝って欲しい
- どこの国が最適なのか、一緒に考えて欲しい
- 進出検討中の国や市場を調査・分析し、自社との相性が知りたい
- 現地競合企業の情報・動向が知りたい
- どんな売り方が最適か、アドバイスが欲しい
- 海外進出事業計画策定を手伝って欲しい
- 事業戦略・マーケティング設計がしたい
- 食品・コスメ・医薬品に必要なFDA申請を手伝って欲しい
- 海外で販路開拓・拡張がしたい
- 海外現地企業と取引がしたい
- 海外現地法人設立(ビザ申請)をサポートして欲しい
- 海外でプロモーションがしたい
- 越境EC(自社サイト・モール)販路を広げたい・深めたい
- 海外のデジタルマーケティング戦略をサポートして欲しい
- 海外向けのウェブサイト(LP)をつくってほしい
- 海外向けのECサイトをつくってほしい
- 海外のSNS・ECの運用を手伝って欲しい
- すでに活動中の現地法人の悩み解決を手伝って欲しい
- 海外で店舗開業(飲食店含む)を総合サポートして欲しい
■主要施策
①BtoB販路開拓サポート
- 海外販路開拓・現地企業マッチングサポート
- 市場調査/現地視察
- 事業計画設計
- 海外ビジネスマッチング(現地企業探索サポート)
- 海外人材 探索・手配サポート
- 翻訳・通訳サポート
- 手続き・申請(FDA申請含む)サポート
- 海外税務/法務/労務/人事 サポート
- 輸出入/貿易/通関 サポート
- 海外販路開拓・現地企業マッチングサポート
- 各種市場調査/分析
↳企業信用調査
↳競合調査/分析
↳法規制調査
↳有識者調査・インタビュー
↳消費者調査・インタビュー
↳現地テストマーケティング
↳ウェブ調査/分析
②BtoC販路開拓サポート
- EC/越境EC運用代行サポート
- 各種サイト運用代行
- SNS運用代行サポート
- サイト(EC/多言語/LP)制作
- コンテンツ(画像・動画)制作デジタルマーケティングサポート
- プロモーションサポート
- SEO強化サポート
- Webプロモーション
↳インフルエンサープロモーション
↳現地メディアプロモーション
↳広告運用(リスティング広告・SNS広告など)
③法人・店舗開業
- グローバル飲食店開業サポート
- 現地法人設立サポート
- 現地視察サポート
- ビザ申請手続き
- 現地人材探索
- MAサポート
- クラウドファンティングサポート -
サイエスト株式会社
海外ビジネスプロシェッショナルが長年培った人脈・ノウハウをフル活用し、貴社のもう一人の海外事業部長として海外事業を推進します。
全ての企業と個人のグローバル化を支援するのが、サイエストの使命です。
サイエストは、日本の優れた人材、企業、サービス、文化を世界に幅広く紹介し、より志が開かれた社会を世界中に作り出していくための企業として、2013年5月に設立されました。
近年、日本企業の国内事業環境が厳しい局面を迎える中、アジアを筆頭にした新興国が世界経済で存在感を増しています。
それに伴い、世界中の企業がアジアなどの新興マーケットの開拓を重要な経営戦略のひとつと位置付け、一層注力の度合いを高めています。
サイエストは、創業メンバーが様々な海外展開事業に携わる中で、特に日本企業の製品、サービス、コンテンツには非常に多くの可能性を秘めていると、確信するに至りました。
ただ、海外市場開拓の可能性はあるものの、その実現に苦労している企業も少なくありません。
我々はその課題を
(1)海外事業の担当人材の不足
(2)海外事業の運営ノウハウの不足
(3)海外企業とのネットワーク不足
と捉え、それぞれに本質的なソリューションを提供してまいります。
また、組織を構成する個人のグローバル化も支援し、より優れた人材、企業、そしてサービスや文化を世界中に発信してまいります。
そうして、活発で明るい社会づくりに貢献することで、日本はもちろん、世界から広く必要とされる企業を目指します。
-
株式会社 SEALS
生産設備1台から工場まるごと 移設をワンストップで対応致します
株式会社SEALSは、生産設備の海外間(国内間)の移設に必要な全ての機能(設備解体&組立/輸送/貿易手続き/海外送金/海外税務&法務調査 等)を有しております。
全ての生産設備に対応可能なため、2006年の創業以来、自動車メーカーを始めとしてあらゆる業種の企業様向けにサービスを提供し続けております。
特に昨今は海外工場の撤退や他エリアへの全面移管等のご要望も増えており、設備移設のみならず、不要設備の買取や解体廃棄等のサービスもワンストップで対応しております。 -
株式会社アウトバウンド・マネジメント
海外事業の進出から撤退・資本金回収までを懇切丁寧にサポート
株式会社アウトバウンド・マネジメント(OBM INC.)は、日本企業に対して中国進出に関連するトータルサービスを提供する中国関連の総合コンサルティング会社です。
代表取締役の日上正之は、日本企業が中国に進出し始めた草創期(1991年)から、日本企業に対して中国進出に関するトータルサービスを提供してきています。これまで取り扱ってきた日本企業の中国進出案件(新規設立案件・合弁設立案件・買収案件・撤退清算案件を含む)の件数は特に多く、日本企業1,000社(延べ3,000社)超に対してトータルサービスを提供してきた多岐にわたる経験があります。
日上正之は税理士でもあり、株式会社アウトバウンド・マネジメント及び上海子会社(阿邦杜投資管理諮詢(上海)有限公司においては、中国関連の法務会計税務に関するサービスを提供しております。