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国籍はパラメータ化する――エストニアの「e-residency制度」とは?

掲載日:2020年09月26日

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エストニアのe-residency制度をご存知でしょうか。

「e-residency制度」とは、外国人であっても、エストニアの国民として電子登録できる、いわばバーチャルな電子国民となれる、世界初の試みとして注目されている制度です。

人口 100万人のエストニアは、2025年までに1,000万人の電子住人を集めようとしています。安倍首相も2年前にエストニアの電子居住者になりました。

電子化によって、人が国を選ぶ時代が来つつあります。ブロックチェーン技術も相まって国家という概念が変わりつつある、その最初期に僕らはいる ということについて、書いてみます。

Photo by Steve Jurvetson on Flickr

記事提供:ブログ 沖山翔 未来はどちらを向いているか

1. エストニアと e-residency

誰でも電子的なエストニアの住人になれる制度

ヨーロッパのエストニアは、2014年から e-residenecy システムを採用してます。エストニアに物理的に住んでいなくても、電子的なエストニアの住人になれるという制度です。エストニア大使館で手続きをすることで、日本にいてもエストニアの電子居住者 (e-resident) になれます。

e-residency に登録すると何ができるのでしょうか? たとえば起業や銀行口座の開設など、市民サービスが受けられるようになります。エストニアで登記してビジネスをすれば、(事実上)法人税率は0%です。圧倒的な国際競争力が得られます。

このように「どこに住んでいるか」vs「どこの制度を利用しているか」ということが、別々の概念に分離してきています。東京に住みながら北海道に納税できる、ふるさと納税も似た構図です。すると当然、自分にとって有利になる地域に納税する流れが生まれます。

この流れは「地域に人が従う」構図から「人に地域が従う」という、力関係の逆転を生みます。

エストニア_ブログ 沖山翔

こんな時代に、国籍はどういう意味をもつのでしょうか。どこかに「住む」とは、どういうことなのでしょうか。

2. 税制、制度が選択可能になる

「法人の移転」に引き続いて起きる「個人の移転」

地域が人に従うとは、納税する国家を個人が選べてしまうということです。納税者を奪い合うため、税率を下げたり、いろいろな付加価値をつける国家が出てきます。この競争はすでに始まっていて、GoogleもFacebookもAppleも、法人税の低いアイルランドに欧州本社を置いています。そして同じ現象が、大企業からベンチャーへと広がっています。今のところ、競合がいないエストニアは一人勝ちです。エストニアは2017年現在、国民一人あたりのベンチャー数が世界一です。

法人の移転に引き続いて起きるのは、個人の移転です。ノーベル賞の中村教授のような研究者をはじめ、優秀な学生はどんどん国外流出しています。ビジネスパーソンもそうです。国の支配下に個人がいるのではなく、個人に選んでもらう対象としての国、という構図が生まれています。

次のパラダイムシフトは何でしょうか。いま生まれつつあるのは、体は国内にあるけれど、社会的実体は海外にあるという状態の普及です。リモートワークや電子居住が広まると、どこに身体的に住むかと、どこで社会的に活動するかが別々の問題になってきます。それぞれが独立して選択できるパラメータになります。

埼玉に住んで都内に通勤する人がいるように、居住の快適さを追い求める国と、勤務体系の充実を追い求める国が生まれるかもしれません。ハワイに住みながらヨーロッパで仕事が(ネット上で)できるのなら、それを望む人は少なくないでしょう。

3. 貨幣が選択可能になる

国家主導で試みる仮想通貨の発行

居住地や納税先だけでなく、貨幣制度も選べるようになります。

ビックカメラやメガネスーパーは全国どこでも、すでにビットコインで商品の購入が可能です。ネット上ではなく、実店舗での話です。旅行代理店のHISもビットコイン支払いを導入しました。これがもっと進んで、コンビニでSuicaが使えるように、世界中あらゆる場所で仮想通貨が当たり前に使えるようになったらどうでしょうか。

ビットコインでも、イーサリアムでも、リップルでも、自分が使いたい好きな通貨を選べます。東南アジアやアフリカ諸国でUSドルが使えてしまうのと同じで、新システムの浸透は、政府主導ではなく末端からいつのまにか始まります。

エストニアに至っては、国家主導で仮想通貨エストコインを発行 (ICO) しようとしています。EUに反対されていますが、アフリカやアジアの国々がそれぞれ ICO を計画したら、すべてを規制するのは難しいでしょう。

4. 社会インフラが選択可能になる

あらゆるものはパラメータ化される

あらゆる社会インフラは選択可能になり得ます。国鉄や郵政の民営化に始まり、年金 (iDeCo) や電気、ガスと、選択肢は広がる一方です。インフラを整えるにあたって初期投資がかかっていることや、ユーザーのスイッチングコストといった障壁はあります。しかし、コストの問題はテクノロジーの進歩によって一つずつ取り除かれます。

もちろんミクロで見るとパラメータ化されることのデメリットは沢山あって、それは健康保険が民営化された米国で医療インフラが崩壊しているのを見ても分かります。ただ、もし他の条件が同じならば、複数から選択可能な制度の方が競争力をもちます。

最も基礎的なレイヤーでは、あらゆるものはパラメータ化される方向に圧力が働きます。その中で各国・各制度がそれぞれ規制して抗っているのが現状です。いまの制度が完成形ではなく、これまで以上にパラメータ化の流れは進んでいくと考えています。

5. パラメータとは

テクノロジーの進展による「社会制度のパラメータ化」

パラメータ(変数)とは、「一生不変ではなく変更可能」ということです。

エストニア_ブログ 沖山翔

2000年前なら住む土地は一生不変で、パラメータではありませんでした。九州で生まれたら、一生かけても九州から外に出れない人ばかりでした。しかし今では、居住地は変更可能なパラメータになりました。また、カースト制のインドでは、職業は生まれつき不変でした。しかし現在では、少なくとも上位カーストの人には職業選択の自由があります。

カースト制を見て前時代的だとか、基本的人権の侵害だとか言うのは簡単です。しかしポイントは、100年後の人からみたら基本的人権の侵害だと思われることを、今のわたしたちもしている可能性があるということです。

ジンバブエに生まれたという理由だけで、ジンバブエドル(10億倍を超えるハイパーインフレで現金が紙切れになった)の使用を強いられたのは、人権侵害ではないのでしょうか。同じ理由で、たとえば国際競争力を40年間失い続けている日本円以外で給与を受け取れないのは、人権の侵害と主張できないのでしょうか。バブル崩壊以降ドル建てで給料が支払われていたら、総収入(購買力ベース)はみな2倍以上の計算になります。

身体的な特徴がどうであれ、自身が感じる性別(ジェンダー)を自分で選択することができる、そうなったのはつい最近のことです。このように、本来パラメータであるものを固定化して強制する制度は、見えない暴力を生みます。

テクノロジーの進展による、社会制度のパラメータ化。これは大きな issue です。未来を考える上で、重要な論点の一つだと感じています。

記事提供:ブログ 沖山翔 未来はどちらを向いているか

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