インドの関税制度の基礎知識 | インドの関税率を調べる3つの方法 / インド政府による30品目の関税引き上げについて…ほか
「インドの関税の基礎知識」を解説します。インドの関税の体系、インドの関税率を調べる3つの方法、インド政府による30品目の関税引き上げについて…といったインドの関税制度に関する基本情報をわかりやすく解説します。
5000年もの歴史を持つ広大な国、インド。2019年に再任したモディ政権のもとで、低迷した国内の経済を立て直すべく、さまざまな政策を打ち出しています。ただし、近年では関税を大幅に引き上げるなど、日本としてはあまり嬉しくないニュースも散見されています。
そんなインドの「関税の基礎知識」を改めて確認しておきましょう。
インドの関税制度の基礎知識 |
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1. そもそも関税とは?
関税とはなにか?
そもそも「関税」とはどんな税なのでしょうか? 関税は「輸入品に対して課される税金」のことです。
ほかの税金と同じく国庫収入となるので、元来は国家の財源としての機能も重視されていましたが、今では他国からの輸入品に対して課税することで国内の産業を保護するという役割が主となっています。
関税率には2種類あり、それぞれ「条約」に基づいて設定されている関税率と、「法律」に基づいて設定されている関税率があります。
法律に基づいて設定されている関税率は「国定税率」と言い、日本では「関税定率法」と「関税暫定措置法」で定められています。
2. インドの関税体系
関税に関する基礎の基礎に続いては、インドの関税の体系について見ていきましょう。
インドの関税の体系
インドの関税制度は、下記の4つから構成されており、これは1975年関税率法に基づいたものとなっています。
・基本関税
・社会福祉課徴金
・統合物品・サービス税(IGST
・GST補償税(GST Compensation Cess)
下記よりそれぞれの税について詳しく見ていきましょう。
基本関税(Basic Custom Duty:BCD)
インドの基本関税の税率は、輸入される物品によって変わりますが、基本的には最大10%となります。例外品目に対してはこれを超える関税が課せられることもあります。
基本関税額は[基本関税率×Assessable value]で算出されます。
Assessable valueとは評価額のこと。これはインドの輸入申告価格のベースとなるもので、CIF ValueやACIFとも言います。Assessable valueは下記の計算で算出されます。
Assessable value=FOB価格+輸送費+保険料+荷揚げ費用
FOB価格とは、販売価格に、梱包費用、輸出国(の港や空港)までの輸送費用や集荷費用、輸出国側での通関費用などが含まれている価格のことです。
ここで言う輸送費とは輸入地までの輸入品目の輸送費のことで、この費用が算出できない場合はFOB価格の20%が課せられます。保険料についても、算出できない場合はFOB価格の1.125%が課せられるので注意が必要です。
荷揚げ費用とは輸入品目に関する荷役費や手数料のことであり、算出できない場合は荷揚げ費用以外の費用合計に1%を掛けた金額が加算されます。
FOBなどの貿易条件については、下記の記事で理解を深めておくことをおすすめします。
社会福祉課徴金(Social Welfare Surcharge)
基本関税に10%、特定の物品に対しては3%の関税が課せられます。
農業インフラ・開発目的税(Agriculture Infrastructure and Development Cess:AIDC)
1975年関税率法第一附則に規定された物品に対して課されるのが農業インフラ・開発目的税(AIDC)です。基本関税と同様の取引額に基づいて計算され、様々な項目における特定の商品に対して2.5~100%の税率が適用されますが、AIDCは基本関税率を超えない税率で課されることになっています。
AIDCは自由貿易協定や事前認可制度、輸出指向型企業による関税免除を利用して輸入された貨物に対しては免除されます。また、特定の場合を除いて、社会福祉課徴金が課されることにもなっています。
統合物品・サービス税(Integrated Goods and Services Tax:IGST)
2017年IGST法第5条に基づいて課されるのが統合物品・サービス税(IGST)です。これは基本関税と社会福祉課徴金にプラスして課せられるもので、輸入品目によって異なりますが、IGST税率は0~28%(最高税率40%)となっています。
豆類、野菜、食肉、手織物、新聞、書籍といった一部の物品はIGSTが免除されます。
3. インドのGST(物品・サービス税)について
この項では、前項で少し触れた「GST」について詳しく解説します。
GSTとは?
GSTとは「Goods and Service Tax」の略で、物品サービス税のこと。2017年7月に導入された、比較的新しい税金です。物品およびサービス両方の取引を対象に課税するインド全国統一間接税であり、GST を課す権限は中央政府と州政府の双方が持っています。
GSTには0%、5%、12%、18%、28%の五つの基本税率がありますが、特定の物品に対して追加で補償税(GST Compensation Cess: 1~15%)が加算されることも。
GSTが導入された背景とは?
インドの税制はもともと複雑で煩雑なものであり、物品やサービスに対して課せられている税金には娯楽税、入州税、サービス税などさまざまな種類がありました。州によっても異なるため、これを統合し、手続きをシンプルにする目的で導入されたのがGSTです。
GSTの種類(CGST、SGST、IGST)と違い
そもそもインドのGSTは、下記の5つの法令に基づいて運営されています。
・2017年中央物品・サービス税法(CGST法:Central Goods and Service Tax Act, 2017)
・2017年連邦直轄物品・サービス税法(UTGST法:Union Territory Goods and Service Tax Act, 2017)
・2017年統合物品サービス税法IGST法(IGST法:Integrated Goods and Service Tax Act, 2017)
・州物品・サービス税法(SGST:State GST Acts)・・・各州固有のGST法のこと。
・2017年物品・サービス (州への税収補償) 税法(Goods and Services Tax (Compensation to States) Act, 2017)
物品やサービスの消費や引き渡しが行われた州において取引が課税対象として認識され、州内の取引か、州をまたぐ、もしくは国外からの調達の場合では、適用される法令が異なります。
・州内の資産譲渡やサービス提供の場合
SGST (State GST)と CGST (Central GST)が課税されます。
・州をまたぐ取引、もしくはインド国外から物品およびサービスの調達を行う場合
IGST (Integrated GST)が課税されます。
4. インドの関税率を調べる3つの方法
インドの関税率を調べる方法はおもに「World Tariff」「RULES OF ORIGIN FACILITATOR」「税関などでHSコードを調べる」の3つ
このセクションではインドの関税率を調べる方法について解説します。
前項までで解説した品目に対してのインドの関税を調べるにはどのような方法があるのでしょうか?
そもそも輸出先での関税率を調べるのは容易ではありません。通常は下記のような複雑な調査を要します。
1,貨物のHSコードを特定
2,輸出国と輸入国の間のFTAの有無を調べる
3,相手国での一般関税率やFTA関税率、原産地規則を、協定文を読み確認する
4,上記で調べた以外に別のFTAの存在の有無を確認する
5,別のFTAがあった場合、どちらが関税率、原産地規則において有利かを検討する
これを見るとなかなか大変そうですが、最近は関税率を調べるのにとても便利なツールが用意されており、インドの関税率を調べるには、下記の3つの方法があります。
① World Tariffで調べる
② RULES OF ORIGIN FACILITATORで調べる
③ インドの税関などでHSコードを調べる
以下よりそれぞれの方法およびツールを見ていきましょう。
「World Tariff」で調べる
「World Tariff」で調べてみるのが1つ目の方法です。「World Tariff」とは、オンラインで利用できるFedEx社が運営する関税データベースのこと。本来は有料のツールですが、JETROのサイトからユーザー登録すれば日本居住者は無料で利用することができます(JETRO以外から登録してしまうと有料となるので注意!)。
この「World Tariff」には世界175カ国の関税率や関税関連情報が収録されており、HS番号をクリックするだけで原産国別に最も低い税率が表示されます。通常の関税だけでなく、特恵関税も確認することができる優れものです。
https://www.jetro.go.jp/theme/export/tariff/
「RULES OF ORIGIN FACILITATOR」で調べる
「RULES OF ORIGIN FACILITATOR」で調べるのが2つ目の方法です。
「RULES OF ORIGIN FACILITATOR」とは、WTO、WCO、ITCが合同で開発した無料ツール。
複雑な関税調査の手間を省くことで、中小企業がより貿易を活発に行えるようになることを目指して作られた関税削減ツールです。
原産地規則のデータベースには190カ国以上で適用されている貿易協定のデータが入っています。情報を抽出するのも非常に簡単です。
https://findrulesoforigin.org/
インド税関などで「HSコード」を調べる
3つ目はとても基本的な方法ですが、税関でHSコードを調べる方法もあります。
最初にそもそもHSコードとは何かについて解説します。
HSコードとは、日本語では「輸出入統計品目番号」、「関税番号」、「税番」などと呼ばれる関税率を決めるために使われる世界共通の品目番号で、現在では200以上の国と地域がHSコードを使用しています。6桁が世界共通の番号であり、以降の数字は国によって桁数や数字が異なります。
■日本関税協会の「Web輸出統計品目表」
https://www.kanzei.or.jp/statistical/expstatis/headline/hs1dig/j#hs1dig03
※日本側のHSコードを調べる
■インドネ税関サイト(INDIAN CUSTOMS EDI SYSTEM
I4C (Indian Customs Compendium on Codes & Compliance))
https://www.icegate.gov.in/Webappl/
※インドのHSコードを調べる
5. インド政府による30品目の関税引き上げ について
2021年2月にインド政府が約30品目の関税の引き上げを実施
2021年2月、インドは約30品目の関税の引き上げを行いました。
インド政府はかねてより関税引き上げを行うと宣言しており、それは日本政府にとっての懸念材料でもありました。
これには今も世界で猛威を奮う新型コロナウイルス感染症の影響によって低迷した国内製造業の保護に加え、関税による国庫収入増といった狙いがあるようですが、コロナ以前からインドはグローバル化に逆行するように外資を排除する政策を進めています。
例えば、WTO協定上は無税を約束しているICT製品について、インドは2014年から2019年にかけて、6回もの関税引上げを実施しました。
インドがWTOにおいて約束している関税の上限を超える引上げ措置については、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)に違反する可能性もあるとして、日本はWTO協定に基づく協議要請を行っています。
ワクチンの開発によって今後収束に向かっていくと予想される新型コロナウイルス感染症ですが、コロナ禍が去った後のインドの政策がどういった方向に向かうのか、気になるところです。
7. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します
「インドの関税の基礎知識」を解説します。インドの関税の体系、インドの関税率を調べる3つの方法、インド政府による30品目の関税引き上げについて…といったインドの関税制度に関する基本情報について解説しました。
インドは、以前よりも関税に関する手続きが簡素化されるなどの改善が見られるものの、関税率については近年大幅に引き上げが行われるなど、今後も注意が必要な国だと言えます。
最新の動向を常にチェックしておくのはなかなか大変ですが、現地の歴史や事情に詳しい専門家に相談すれば、調査を自社で行う手間が省けると共に、プロならではのアドバイスを得ることもできます。
すべてを自社で調べようとせず、まずは専門家に相談してみませんか? 専門コンシェルジュが、アナタのインドビジネスをサポートする専門家をご紹介します。
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(参照文献)
「インド 関税制度」JETRO
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当コンテンツを掲載するにあたって、その情報および内容には細心の注意を払っておりますが、掲載情報の安全性、合法性、正確性、最新性などについて保証するものではないことをご了承ください。本コンテンツの御利用により、万一ご利用者様および第三者にトラブルや損失・損害が発生したとしても、当社は一切責任を負わないものとさせていただきます。
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現地法人設立(M&A含む)や店舗開業に伴う不動産(内装業者)探索や人材探索、各種手続き・ビザ申請等、ワンストップで対応。
■サポート対象エリア
基本的にはセカイ各国の支援に対応しておりますが、
これまでの多く携わってきたエリアは、アメリカ・ヨーロッパ・東南アジア・東アジアです。
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- 海外進出事業計画策定を手伝って欲しい
- 事業戦略・マーケティング設計がしたい
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■主要施策
①BtoB販路開拓サポート
- 海外販路開拓・現地企業マッチングサポート
- 市場調査/現地視察
- 事業計画設計
- 海外ビジネスマッチング(現地企業探索サポート)
- 海外人材 探索・手配サポート
- 翻訳・通訳サポート
- 手続き・申請(FDA申請含む)サポート
- 海外税務/法務/労務/人事 サポート
- 輸出入/貿易/通関 サポート
- 海外販路開拓・現地企業マッチングサポート
- 各種市場調査/分析
↳企業信用調査
↳競合調査/分析
↳法規制調査
↳有識者調査・インタビュー
↳消費者調査・インタビュー
↳現地テストマーケティング
↳ウェブ調査/分析
②BtoC販路開拓サポート
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株式会社ダズ・インターナショナル
*アジア・欧米への進出を伴走支援*
私たちは日本企業のアメリカ・東南アジア・東アジアへのグローバル展開をサポートします。
支援実績社750社を超え、見えてきた成功と失敗の共通点・傾向から、"企業の「やりたい」を『デキル化』する" をモットーに、新しい市場への挑戦に伴走します。
事業をしっかり前に進めるための"デキル化支援"として、これまでに携わった海外進出支援の中で、効果的な支援手法として、これらの3つのサービスラインナップを用意しております。
------------------------------------
01:デキル化伴走サポート
私たちが貴社のグローバルマーケティングチームになります。
海外進出のアイデア段階から伴走し、すべき/すべきでないことをミエル化し、デキるサイズ(実現可能な行動)に落とし込み、デキル化。
貴社のグローバルマーケティングチームとして積極的な事業推進を伴走します。
------------------------------------
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各フェーズ(調査・設計・実施)で、幅広い施策サポートを。
海外進出の各フェーズ・各施策を必要な分だけサポート。
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------------------------------------
03:グローバルデキル化エージェントサポート
私たちが貴社の海外ビジネスのハブ役(エージェント)を担います。
グローバル展開に必要な現地企業・専門企業/専門家を、探索〜選定〜交渉まで実施。
"どのような企業が事業推進に必要になるかの設計"から携わります。
貴社にとってどんな企業がパートナーとして最適か、第三者視点で精査・提案いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
以下2点が私たちの海外進出支援におけるバリュー(&理念)です。
■第三者ならではの貢献
企業支援の現場で私たちは「売る側」でも「買う側」でもない、第三者です。
私たちは「売る側」にも「買う側」にも肩を入れない、俯瞰的な位置に在るべきだと考えています。
"新しい市場でビジネス展開するためには、これらの3つの視野が必要"です。
- 主観:進出する企業(売る側|販売主の視野)
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私たちはこれまで多くの支援実績やノウハウ(企業の成功・失敗の傾向と対策)に加え、第三者ならではの冷静さを持ち、事業推進を共に進めていく伴走者です。
------------------------------------
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私たちは、どんな当たり前のことも聞き、話します。
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ -
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貴社の海外事業進出・展開をサポートさせていただきます
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企業支援の現場で私たちは「売る側」でも「買う側」でもない、第三者です。
私たちは「売る側」にも「買う側」にも肩を入れない、俯瞰的な位置に在るべきだと考えています。
"新しい市場でビジネス展開するためには、これらの3つの視野が必要"です。
- 主観:進出する企業(売る側|販売主の視野)
- 客観:進出する企業のお客様(法人・個人)や取引企業(買う側|消費者の視野)
- 俯瞰:わたしたち(第三者|売る側と買う側を俯瞰した視野)
それぞれの視野・立場だからこそ気づけること・見えること・わかることがあり、当然、偏りもある中でそのバランスをまとめる第三者が必要になります。
私たちはこれまで多くの支援実績やノウハウ(企業の成功・失敗の傾向と対策)に加え、第三者ならではの冷静さを持ち、事業推進を共に進めていく伴走者です。
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■会話にこだわり抜くこと
たとえば「成功したいんです」「失敗したくないんです」というコトバ。
これらのコトバたちは人によって意味も定義もまるで違うものです。
私たちは企業との会話で聞きます。
「あなたにとって成功とはどのような状態ですか?」
「失敗とはどのような状態ですか?」
どのような意味・思惑・意志を持ったコトバなのかもわからなければ、貢献なんてできません。
わかった気になって、会話のつもりが独り言になってしまうと、不協和音は鳴ってしまうものです。
私たちは、どんな当たり前のことも聞き、話します。
私たちの仕事において、会話はもっとも重要です。
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プルーヴ株式会社
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プルーヴは世界市場進出における事業戦略の策定と実行のサポートを行っている企業です。
「グローバルを身近に」をミッションとし、「現地事情」に精通したコンサルタントと「現地パートナー」との密な連携による「現地のリアルな情報」を基にクライアント企業様の世界市場への挑戦を成功へと導きます。 -
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