【2026年最新】インドの関税制度と関税率の調べ方|HSコード検索・実効税率の計算方法を解説
インドの関税制度は、複数の税が積み重なる多層構造を特徴としています。基本関税(BCD)に加え、社会福祉課徴金(SWS)、農業インフラ・開発目的税(AIDC)、統合物品・サービス税(IGST)が課されるため、実効関税率は品目によって大きく異なります。
2025年度予算案では、これまで15区分あった関税率が8区分に合理化されました。SWSとAIDCの同時課税も見直されるなど、制度の簡素化が進んでいます。一方で、米国トランプ政権による相互関税の影響もあり、インドの通商政策は転換期を迎えています。
本記事では、インドの関税体系の基礎から、実効関税率の計算方法、HSコードの調べ方、日印CEPA(経済連携協定)の活用法、そして最新の関税動向まで、インドへの輸出入に必要な知識を網羅的に解説します。
この記事でわかること
- ・インドの関税体系を構成する4つの要素(BCD・SWS・AIDC・IGST)
- ・実効関税率の具体的な計算方法(計算例つき)
- ・インドのGST(物品・サービス税)の仕組みと関税との関係
- ・HSコードを使ったインドの関税率の調べ方(3つの方法)
- ・日印CEPAによる特恵税率の活用法
- ・2025年度予算案による関税改正の最新情報
▼インドの関税制度と関税率の調べ方
1. そもそも関税とは?基本的な仕組みと目的
関税の定義と2つの役割
関税とは、外国から輸入される商品に対して課される税金のことです。関税には大きく2つの役割があります。
1つ目は「国庫収入機能」です。輸入品に課税することで政府の財源を確保する役割を指します。歴史的には、多くの国で関税が主要な税収源でした。
2つ目は「国内産業保護機能」です。輸入品に関税を課すことで価格を引き上げ、国内製品との価格競争力を調整します。現在ではこちらの機能が関税の主要な役割となっています。
インドの場合、この2つの機能がともに重視されています。インド政府は国内製造業の育成を重要政策に掲げており、関税を産業保護の手段として積極的に活用しています。
関税率の種類(条約税率・国定税率)
関税率には大きく分けて2つの種類があります。
条約税率(協定税率)とは、WTO協定やFTA(自由貿易協定)などの国際条約に基づいて設定される税率です。条約の相手国に対して適用されます。
国定税率とは、各国が自国の法律で独自に定める税率です。日本では「関税定率法」と「関税暫定措置法」で規定されています。インドでは「1975年関税率法(Customs Tariff Act, 1975)」が基本法となっています。
通常、条約税率と国定税率の両方が存在する場合、税率が低いほうが優先的に適用されます。インドはWTO加盟国であると同時に、日本を含む複数の国とFTAやCEPAを締結しています。
2. インドの関税体系|4つの構成要素
インドの関税制度は、1975年関税率法に基づいて運用されています。管轄官庁は財務省中央物品関税局(CBIC)です。インドの関税は以下の4つの要素で構成されており、これらが積み重なることで実効関税率が決まります。
基本関税(BCD)の仕組みと税率
基本関税(BCD: Basic Customs Duty)とは、インドに輸入されるすべての物品に対して課される基本的な関税です。税率は輸入品目ごとに異なり、非農産品については原則0%から10%の範囲で設定されています。
基本関税額の計算式は以下のとおりです。
基本関税額 = 基本関税率 x 課税標準額(Assessable Value)
課税標準額は、CIF価格(運賃・保険料込み価格)を基準に算出されます。具体的には、FOB価格(本船渡し価格)に輸送費、保険料、荷揚げ費用を加算した金額です。なお、輸送費が算出できない場合はFOB価格の20%、保険料が不明な場合はFOB価格の1.125%がそれぞれ適用されます。
2025年度予算案では、基本関税率の区分がこれまでの15区分から8区分に合理化されました。これにより、関税率の構造がより分かりやすくなっています。
社会福祉課徴金(SWS)の計算方法
社会福祉課徴金(SWS: Social Welfare Surcharge)とは、基本関税額に対して追加で課される課徴金です。税率は基本関税額の10%が標準です。ただし、特定の品目については3%の軽減税率が適用される場合があります。
計算式は以下のとおりです。
SWS額 = 基本関税額 x 10%(または3%)
2025年度予算案では、SWSとAIDCの同時課税の見直しが行われ、多くの品目でいずれか一方のみの課税に変更されました。この改正により、一部品目では実質的な税負担が軽減されています。
農業インフラ・開発目的税(AIDC)とは
農業インフラ・開発目的税(AIDC: Agriculture Infrastructure and Development Cess)とは、農業インフラの整備・開発を目的として課される目的税です。2021年に導入され、品目によって2.5%から100%まで幅広い税率が設定されています。
AIDCの税率は基本関税率を超えない範囲で設定されることが原則です。また、自由貿易協定(FTA)の適用品目や、一部の関税免除スキーム(FEE制度など)の対象品目については、AIDCが免除されます。
インド政府は、AIDCの導入にあたり基本関税率を引き下げることで全体の税負担が増えないように調整しています。ただし、品目によっては実質的な負担増となるケースもあるため、個別に確認が必要です。
統合物品・サービス税(IGST)の税率と免除対象
統合物品・サービス税(IGST: Integrated Goods and Services Tax)とは、輸入品に対して関税とは別に課される間接税です。IGSTは、基本関税額と社会福祉課徴金の合計額に対して課税されます。
IGSTの税率は輸入品目によって0%から28%の範囲で設定されています。ただし、法律上の最高税率は40%です。
以下の品目はIGSTの免除対象となっています。
・豆類・野菜・食肉などの基礎食料品
・手織物(ハンドルーム製品)
・新聞・書籍
・その他、政府が指定する品目
IGSTは後述するGST(物品・サービス税)体系の一部であり、輸入は「州間取引」として扱われるためIGSTが適用されます。
3. インドの実効関税率の計算方法
実効関税率の計算ステップ(具体例つき)
インドの実効関税率は、前述の4つの要素が積み重なって算出されます。以下に、具体的な数値を用いた計算例を示します。
【計算条件】
・課税標準額(Assessable Value):100万円
・基本関税率(BCD):10%
・社会福祉課徴金(SWS):10%(基本関税額に対して)
・IGST税率:18%
【計算ステップ】
ステップ1:基本関税額の算出
基本関税額 = 100万円 x 10% = 10万円
ステップ2:社会福祉課徴金の算出
SWS額 = 10万円 x 10% = 1万円
ステップ3:IGST課税対象額の算出
IGST課税対象額 = 課税標準額 + 基本関税額 + SWS額
= 100万円 + 10万円 + 1万円 = 111万円
ステップ4:IGST額の算出
IGST額 = 111万円 x 18% = 19万9,800円
ステップ5:合計納税額の算出
合計 = 基本関税額 + SWS額 + IGST額
= 10万円 + 1万円 + 19万9,800円 = 30万9,800円
実効関税率 = 30万9,800円 / 100万円 = 約30.98%
このように、基本関税率が10%であっても、SWSとIGSTが加算されることで実効関税率は約31%に達します。IGST税率が28%の品目であれば、実効関税率はさらに高くなります。
課税標準額(Assessable Value)の算出方法
課税標準額(Assessable Value)とは、関税を計算する際の基準となる金額です。インドではCIF価格を基準に算出されます。
具体的な計算式は以下のとおりです。
課税標準額 = FOB価格 + 輸送費 + 保険料 + 荷揚げ費用
FOB価格が1,000万円の場合の計算例を示します。
・FOB価格:1,000万円
・輸送費:200万円(実額。算出不能の場合はFOBの20%)
・保険料:11万2,500円(実額。不明の場合はFOBの1.125%)
・荷揚げ費用:別途実費
なお、日本のようにCIF価格ではなくFOB価格を課税基準とする国もあります。インドはCIF基準であるため、国際輸送費や保険料も課税対象に含まれる点に注意が必要です。
4. インドのGST(物品・サービス税)の基礎知識
GSTとは?導入の背景と目的
GST(Goods and Services Tax / 物品・サービス税)とは、2017年7月に導入されたインドの統一間接税制度です。物品とサービスの両方を対象としています。
GST導入以前のインドでは、中央政府と州政府がそれぞれ独自の間接税を課していました。物品税、娯楽税、入州税、サービス税など、多数の税が並立しており、インドの税制は世界でも特に複雑なものとして知られていました。
GSTはこれらの税を統一・簡素化するために導入されました。「One Nation, One Tax(一国一税)」をスローガンに掲げ、インド全土で統一的な間接税制度を実現しています。
GSTの5つの税率区分
GSTの税率は以下の5段階に分かれています。
・0%:生活必需品(米・小麦・牛乳・野菜など)
・5%:基礎的な加工食品、日用品
・12%:衣料品、加工食品の一部
・18%:一般的な工業製品、サービス(標準税率)
・28%:高級品、嗜好品(自動車、エアコンなど)
これに加え、タバコ、炭酸飲料、高級車などの特定品目には、GST補償税(Compensation Cess)として1%から15%が上乗せされる場合があります。
輸入品に対しては、上記のGST税率がIGSTとして適用されます。つまり、前述の関税体系におけるIGSTの税率は、このGST税率体系と連動しています。
CGST・SGST・IGSTの違い
GSTは取引の種類によって以下の3種類に分かれます。
CGST(Central GST / 中央物品・サービス税)は、中央政府に納付される税です。州内取引の場合に、SGSTとともに課税されます。
SGST(State GST / 州物品・サービス税)は、州政府に納付される税です。CGSTと同率で、州内取引に適用されます。
IGST(Integrated GST / 統合物品・サービス税)は、州をまたぐ取引や国外からの調達(輸入)に課税されます。税率はCGSTとSGSTの合計と同率です。
たとえば、GST税率が18%の品目の場合、州内取引ではCGST 9%+SGST 9%で合計18%、州間取引や輸入ではIGST 18%が課されます。税の負担率はどちらも同じですが、納付先と方式が異なります。
輸入品については必ずIGSTが適用されるため、本記事の関税体系で説明したIGSTがそのまま関連します。
5. インドの関税率を調べる3つの方法
インドに輸出する商品の関税率を正確に把握するには、信頼性の高いデータベースを活用することが重要です。以下に3つの方法を紹介します。
方法1:World Tariffで調べる(JETRO経由で無料)
World Tariffは、FedExが運営する世界175か国以上の関税率を収録したオンラインデータベースです。JETRO(日本貿易振興機構)の海外ビジネス情報サイトを経由することで、日本居住者は無料で利用できます。
【利用手順】
ステップ1:JETROの関税率検索ページ(https://www.jetro.go.jp/theme/export/tariff/)にアクセスします。
ステップ2:初回はユーザー登録が必要です。メールアドレスなどの基本情報を入力して登録を完了します。
ステップ3:ログイン後、対象国として「India」を選択し、HSコードまたは商品名(英語)を入力して検索します。
ステップ4:検索結果に表示されるHS番号をクリックすると、原産国別の最低税率が表示されます。特恵関税の有無も確認できます。
World Tariffの最大のメリットは、インドだけでなく多数の国の関税率を同じ画面で比較できる点です。複数国への輸出を検討している場合に特に便利です。
方法2:RULES OF ORIGIN FACILITATORを活用する
RULES OF ORIGIN FACILITATORは、WTO(世界貿易機関)、WCO(世界税関機構)、ITC(国際貿易センター)が共同開発した無料の関税・原産地規則検索ツールです。190か国以上の貿易協定データが搭載されています。
【アクセス先】
https://findrulesoforigin.org/
このツールの特徴は、関税率だけでなく、FTAやCEPAの原産地規則を確認できる点です。日印CEPAの特恵税率が適用される条件を調べたい場合に特に有用です。HSコードと対象国を入力するだけで、適用可能な貿易協定と原産地規則が表示されます。
方法3:HSコードで調べる(Icegate活用)
インドの税関が提供するオンラインデータベースを使って、直接HSコードから関税率を検索する方法です。以下の2つのサイトが主要な情報源となります。
日本関税協会「Web輸出統計品目表」(https://www.kanzei.or.jp/)
日本側のHSコードを確認する際に利用します。日本語で品目を検索でき、日本のHSコード(上位6桁)を特定できます。
Icegate(Indian Customs EDI Gateway)(https://www.icegate.gov.in/)
インド税関の公式電子システムです。HSコード(CTH: Customs Tariff Heading)または品目名キーワードで検索し、原産地を指定することで、適用される関税率を確認できます。
インドのHSコードは8桁で構成されています。上位6桁は国際共通ですが、7桁目以降はインド独自の分類です。日本のHSコード(上位6桁)からインドのHSコードを推定し、Icegateで正確な税率を確認するという流れが実務的です。
6. HSコードの基礎知識
HSコードとは?6桁の世界共通番号
HSコード(Harmonized System Code)とは、世界税関機構(WCO)が管理する国際的に統一された商品分類番号です。日本語では「輸出入統計品目番号」「関税番号」「税番」などとも呼ばれます。現在200以上の国と地域がHSコードを採用しています。
HSコードは6桁が世界共通の番号です。この6桁までは、どの国でも同じ商品には同じ番号が割り振られます。7桁目以降は各国が独自に設定する分類番号であり、国によって桁数や体系が異なります。
HSコードは以下のような階層構造を持っています。
・第1〜2桁(類):商品の大分類(全97類)
・第3〜4桁(項):商品のやや詳細な分類
・第5〜6桁(号):商品のさらに詳細な分類
たとえば、コーヒー豆の場合は「0901」が類・項(コーヒー)、「0901.11」が号(焙煎していないもので、カフェインを除去していないもの)となります。
インドのHSコード(8桁)の構造
インドのHSコードは全部で8桁です。上位6桁は国際共通のHSコード、7〜8桁目がインド独自の細分類(CTH: Customs Tariff Heading)です。
インドの場合、この8桁のHSコードによって基本関税率(BCD)が決定されます。同じ6桁のHSコードであっても、7〜8桁目が異なれば関税率が変わるケースがあります。
日本のHSコードは9桁(一部10桁)で構成されています。日本とインドで上位6桁は共通ですが、7桁目以降は体系が異なるため、日本のHSコードからインドのHSコードを直接特定することはできません。6桁までの共通番号を手がかりに、Icegateなどのデータベースでインド側の正確なコードを確認する必要があります。
HSコードが分からない場合の対処法
自社製品のHSコードが特定できない場合は、以下の方法で対応できます。
JETROの貿易投資相談窓口に相談する:JETROでは、HSコードの調べ方や関税に関する相談に無料で対応しています。初めて輸出入を行う企業にとって、最も手軽な相談先です。
インド税関に事前教示(Advance Ruling)を申請する:インド税関に対して商品の詳細情報を提出し、公式なHSコード分類と適用税率の事前確認を取得できます。この分類結果は法的拘束力を持ちます。
通関業者やフォワーダーに相談する:インドとの貿易実績のある通関業者やフォワーダーであれば、品目分類の実務的な知見を持っています。複雑な製品の場合は専門家への依頼を推奨します。
HSコードの誤分類は、関税の過少申告による追徴課税や、過大申告による不要なコスト増につながります。正確な分類が極めて重要です。
7. 日印CEPA(経済連携協定)と特恵関税
日印CEPAの概要と対象品目
日印CEPA(Japan-India Comprehensive Economic Partnership Agreement)とは、2011年8月に発効した日本とインドの間の包括的経済連携協定です。この協定により、特定の品目についてインドの関税率が段階的に引き下げ、または撤廃されています。
日印CEPAでは、インド側が約90%の品目について関税の撤廃・引き下げに合意しています。対象品目には自動車部品、鉄鋼製品、電気機器などの工業製品が含まれます。
ただし、インドが「センシティブ品目」として除外した品目は関税削減の対象外です。農産品の一部や特定の工業製品がこれに該当します。
日印CEPAの特恵税率を活用することで、通常の関税率(MFN税率)よりも低い税率で輸入することが可能です。特恵税率の適用を受けるには、原産地規則を満たすことが条件となります。
特恵税率の適用条件と原産地証明
日印CEPAの特恵税率を適用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
原産地規則の充足:輸出する商品が「日本原産品」として認められる必要があります。一般的には、日本国内での付加価値が一定割合以上であること、または特定の加工工程を経ていることが求められます。
原産地証明書の取得:日本商工会議所が発行する特定原産地証明書を取得し、インド税関に提出する必要があります。証明書の取得には、原材料の調達先や製造工程に関する書類の準備が求められます。
直接運送要件:原則として、日本からインドへ直接輸送される商品が対象です。第三国を経由する場合は、経由国で加工や取引が行われていないことを証明する必要があります。
特恵税率の適用を検討する際は、JETROのウェブサイトやRULES OF ORIGIN FACILITATORで対象品目と原産地規則の詳細を事前に確認することを推奨します。
8. 【2025-2026年最新】インドの関税動向
2025年度予算案の関税改正(税率区分の合理化)
2025年2月1日に公表された2025-26年度(2025年4月〜2026年3月)のインド国家予算案では、関税制度に関する重要な改正が行われました。
主な改正内容は以下のとおりです。
関税率区分の合理化:これまで15区分あった基本関税率が8区分に整理されました。これにより、関税率の構造がより分かりやすくなっています。
SWSとAIDCの同時課税の見直し:多くの品目について、社会福祉課徴金(SWS)と農業インフラ・開発目的税(AIDC)の同時課税が見直されました。多くの品目でいずれか一方のみの課税となり、実質的な税負担が軽減されています。
特定産業の関税軽減:2025年2月2日以降、玩具、皮革、食品加工、電気自動車、電子機器などの分野で関税率が軽減・免除されています。具体的には、EV用電池製造向け資本財35品目、携帯電話用電池製造向け28品目の関税が引き下げられました。
医薬品の関税免除拡大:基本関税の免除対象医薬品が拡大され、36種類の医薬品が全額免除、6種類が5%に引き下げられています。
米印相互関税の動向とインド経済への影響
2025年7月末、トランプ大統領はインドに対して25%の相互関税を課すことを表明しました。さらに、ロシア産原油の輸入に対する「ペナルティ」として25%を上乗せし、計50%の高関税がインドに突きつけられました。
2026年2月2日、トランプ大統領とモディ首相の電話会談により貿易交渉が合意に達しました。相互関税は25%から18%に引き下げられ、ロシア産原油への追加関税25%も取り下げられています。
18%という税率はベトナムやパキスタンよりも低く、インドにとっては比較的有利な結果となりました。ただし、農産物の扱いなど詳細な合意内容はまだ公表されていない部分もあり、今後の動向に注視が必要です。
インドの対米輸出額は2025年4月から11月の累計で約589.9億ドル(前年同期比11.2%増)となり、スマートフォンなどの電子機器や石油製品、医薬品の対米輸出が大幅に増加しています。
インド政府の保護主義的政策とWTOとの関係
インド政府は「Make in India(メイク・イン・インディア)」政策のもと、国内製造業の育成を推進しています。この方針の一環として、関税を活用した国内産業保護策を積極的に展開してきました。
2021年2月には約30品目の関税引き上げが実施されました。国内製造業の保護と国庫収入の増加が目的とされています。
一方で、インドの保護主義的な関税政策は国際的な摩擦も生んでいます。たとえば、WTO協定で無税を約束していたICT製品について、インドは2014年から2019年にかけて6回の関税引き上げを実施しました。WTOで約束した関税上限(譲許税率)を超える引き上げは、GATT違反の可能性があるとして、日本はWTO協定に基づく協議要請を行っています。
インドへの輸出を検討する企業にとっては、関税率の変更リスクを常に意識しておくことが重要です。特に、インド政府が国内産業育成を重視する品目では、突然の関税引き上げが行われる可能性があります。
9. よくある質問(FAQ)
Q1. インドの関税率は何%ですか?
インドの関税率は品目によって大きく異なります。基本関税(BCD)は非農産品で原則0%から10%ですが、社会福祉課徴金(SWS)、農業インフラ・開発目的税(AIDC)、統合物品・サービス税(IGST)が上乗せされるため、実効関税率は30%を超える品目もあります。正確な税率はHSコードごとにWorld TariffやIcegateで確認する必要があります。
Q2. インドのHSコードは何桁ですか?
インドのHSコードは8桁です。上位6桁は世界共通のHSコードで、7〜8桁目がインド独自の細分類です。この8桁によって基本関税率が決定されます。日本のHSコードとは上位6桁が共通ですが、7桁目以降の体系は異なります。
Q3. インドのGSTと関税の違いは何ですか?
関税は輸入品に課される国境での税で、基本関税(BCD)と社会福祉課徴金(SWS)などで構成されます。一方、GSTは国内取引を含む広範な物品・サービスに課される間接税です。輸入品には関税に加えてIGST(GSTの一種)も課されるため、両方の税が発生します。
Q4. 日本からインドへの輸出で特恵税率は使えますか?
はい、日印CEPA(包括的経済連携協定)の対象品目であれば特恵税率が適用されます。適用を受けるには、商品が日本の原産地規則を満たし、日本商工会議所が発行する特定原産地証明書をインド税関に提出する必要があります。対象品目と税率はJETROのウェブサイトやRULES OF ORIGIN FACILITATORで確認できます。
Q5. インドの関税率はどうやって調べますか?
インドの関税率を調べる方法は主に3つあります。JETRO経由でWorld Tariffを無料利用する方法、WTOなどが開発したRULES OF ORIGIN FACILITATORを使う方法、そしてインド税関のIcegateでHSコードから直接検索する方法です。いずれも無料で利用できますが、World Tariffは初回にユーザー登録が必要です。
Q6. インドの実効関税率はどのように計算しますか?
インドの実効関税率は、課税標準額(Assessable Value)に基本関税率を乗じて基本関税額を算出し、それに社会福祉課徴金(基本関税額の10%)を加算します。さらに、課税標準額・基本関税額・SWS額の合計にIGST税率を掛けたIGST額を加えて合計納税額を求めます。基本関税率10%・IGST 18%の場合、実効関税率は約30.98%となります。
Q7. 2025年度のインド関税改正で何が変わりましたか?
2025年度予算案では、基本関税率の区分が15区分から8区分に合理化されました。また、社会福祉課徴金(SWS)と農業インフラ・開発目的税(AIDC)の同時課税が見直され、多くの品目でいずれか一方のみの課税に変更されています。さらに、EV用電池製造向け資本財や医薬品など、特定の産業分野で関税の軽減・免除が実施されています。
10. まとめ
インドの関税制度は、基本関税(BCD)、社会福祉課徴金(SWS)、農業インフラ・開発目的税(AIDC)、統合物品・サービス税(IGST)の4つの要素が積み重なる多層構造です。ここで本記事の要点を整理します。
関税体系の理解:基本関税率だけでなく、SWSやIGSTを含めた実効関税率で考えることが重要です。基本関税率10%・IGST 18%の場合、実効関税率は約31%に達します。
関税率の調べ方:World Tariff(JETRO経由)、RULES OF ORIGIN FACILITATOR、Icegate(インド税関)の3つが主要な情報源です。HSコードの上位6桁は世界共通のため、まず日本側のHSコードを特定してから検索するのが効率的です。
特恵税率の活用:日印CEPAの対象品目であれば、通常よりも低い特恵税率が適用されます。原産地証明書の取得など手続き面の準備が必要です。
最新動向の把握:2025年度予算案では関税率の合理化が進められています。米印間の相互関税問題を含め、インドの通商政策は変動が大きいため、常に最新情報を確認してください。
インドの関税制度は複雑であり、品目ごとの税率確認や計算には専門的な知識が求められます。インドへの輸出入を検討している企業は、通関業者や貿易コンサルタントなどの専門家に相談することを強く推奨します。
11. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。
「インドの関税制度について詳しく相談したい」「HSコードの分類について専門家のサポートがほしい」「インドへの輸出入の通関手続きを代行してほしい」という方は、ぜひ「Digima〜出島〜」のサービスをご活用ください。
当然、複数の企業の比較検討も可能です。「インドへの輸出に関して実績のある企業を紹介してほしい」「日印CEPAの活用についてアドバイスできる企業を知りたい」といったご要望にもお応えします。
参考文献
・JETRO(日本貿易振興機構)「インド 関税制度」(https://www.jetro.go.jp/world/asia/in/trade_03.html)
・JETRO「World Tariff」(https://www.jetro.go.jp/theme/export/tariff/)
・Icegate - Indian Customs EDI Gateway(https://www.icegate.gov.in/)
・KPMG「2025-26年度インド国家予算案」(https://kpmg.com/jp/ja/home/insights/2025/03/gjp-insight-202503-2.html)
・税関 Japan Customs「日インド経済連携協定における関税の撤廃及び引き下げの概要」(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/keizairenkei/4036_jr.htm)
免責事項
本記事は、2026年3月時点の公開情報に基づいて作成しています。関税制度は頻繁に変更される可能性があるため、実際の輸出入にあたっては、必ず最新の公式情報(JETRO、インド税関等)を確認し、専門家にご相談ください。本記事の内容に基づいて生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いません。
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Amazonを中心とした国内外EC全般のサポートとコンサルティングを提供させて頂いております。
また、中小機構開のEC・IT活用支援パートナー、及び販路開拓支援アドバイザー、
JICAマッチング相談窓口コンサルタント、
複数の銀行の専門家として企業様のご支援をさせて頂いており、
また、中小機構、銀行、地方自治体、出島 等が主催する各種セミナーでの登壇も行っております。
日本Amazonはもちろん、北米、欧州、インド、オーストラリア、サウジ、UAE、
トルコ、シンガポールAmazonなどへの進出サポートを行っており、
中小企業から大手まで、またAmazonに出品可能なあらゆる商品に対応致します。
企業様が海外Amazonへ進出される際にハードルとなる、
Amazon販売アカウントの開設、翻訳、商品画像・動画撮影、商品登録、国際配送、
多言語カスタマーサポート、国際送金サポート、PL保険、Amazon内広告を含む集客、
テクニカルサポート、アカウント運用代行、著作権・FDA・税務対応・GDPR対応サポート、
市場調査、コンサルティング、SNSマーケティング、メディアバイイング、現地スタッフの手配
等について、弊社パートナーと共に対応させて頂きます。
また、国内Amazonの場合、並行して楽天、ヤフー、自社サイト、SNS、メディアサイト、広告なども含めたデジタルマーケティングのトータルサポートも実施しております。 -
アクシアマーケティング株式会社
「どの国が自社に適しているのか、客観的データで判断したい」そんなお悩みにお答えします
海外市場の中でも、調査・分析に特化したサービスを提供しております。
たとえば、市場の調査・分析に関しては、外部環境の影響を推測するPEST分析や、ビジネスモデルの仮説検証などを「正確かつ包括的」に実施しております。なぜその情報が必要なのか、クライアントのご相談背景まですり合わせをすることを徹底していることが強みとなっています。
競合の調査・分析については、対象企業の強みや弱みを把握するためのSWOT分析、マーケットシェアや競合企業の分析などを行い、「その企業がなぜ成功・失敗したのか」を徹底的に掘り下げます。
また、得られたデータや分析から、具体的な戦略と実行可能な施策提案まで行っております。貴社の「適切な経営判断」のために、合理的かつ包括的な支援を心がけています。
ありがたいことに、これまでたくさんの企業様を支援させていただきましたが、相談いただくほどんどの企業様が、
「どの国・地域に参入すべきかわからない」
「進出に踏み切れる客観的データがない」
「海外進出がはじめてだから落とし穴が多そうで困っている」
などいったお悩みを抱えています。こういったお悩みの企業のご担当者は、ぜひ一度、アクシアマーケティングにご連絡ください。
東南アジアや中国、韓国、インドをはじめ、北米や欧州といった幅広い国・地域での調査実績があり、調査・分析に特化している弊社が、貴社の海外事業の成功に向けて、伴走支援させていただきます。
【主要サービスメニュー】
市場調査
競合分析
アライアンス支援
【よくご相談いただく内容】
「どの国・地域に参入すべきかわからない」
「進出に踏み切れる客観的データがない」
「海外進出がはじめてだから落とし穴が多そうで困っている」
「市場規模や成長性を正確に把握できていない」
「公開情報が少ないニッチな市場を細かい粒度で分析したい」
「現地の消費者ニーズや嗜好が理解できない」
「競合他社の動向や市場内でのポジショニング戦略が定まらない」
「法規制、税制、輸入関税などの複雑な規制を把握するのが難しい」
「効果的なマーケティング戦略や販売チャネルを見つけ出せない」
「現地でのビジネスパートナー探しや信頼できるサプライヤーの選定が困難」
「その地域特有の慣習、文化を把握できていない」
など
①市場調査
進出を考えている市場をマクロ的視点、ミクロ的視点から調査・分析いたします。
潜在ニーズやトレンド、製品・サービスの適合性など、多岐にわたる範囲に対応しております。
「どういった情報があれば、適切な事業判断が下せるのか」といった姿勢を徹底しており、適切な情報を漏れなく提供することができます。
市場調査では、有識者へのヒアリングなど多くのサービスを展開しておりますが、貴社にとって適切な調査・分析をご提案させていただきます。
「バイアスがかかった状態で判断してしまっていそう」といったお悩みを抱えるご担当者の方は、壁打ちからでも対応できますので、まずはご相談ください。
②競合調査
「競合がなぜ成功・失敗したのかわからない」といったご相談をよくいただきます。
弊社の競合調査では、競合の戦略を徹底的に解剖し、貴社のマーケティング戦略の支援まで実施します。
サービス内容としては、業界の第一線を走る方への一次取材などをご提供しております。
また、他社が関わる分野の調査ということもあり、匿名性や守秘義務も徹底遵守しています。そのため、クライアントからも大変好評をいただいております。
③アライアンス支援
双方に適切なパートナーシップ構築であることをポリシーとしています。
数多くの企業と提携を結んでいる弊社が、貴社の適切なパートナーをご提案させていただきます。
海外進出をご検討されている企業さまに多くご依頼を受けているサービスの1つです。
「はじめての国・地域」だからこそ、事業を成功させるには、協業することは重要な要素となってきます。
自信をもって、提携企業様をご提案させていただきますので、ぜひ一度ご相談ください。 -
プルーヴ株式会社
貴社の海外事業進出・展開をサポートさせていただきます
プルーヴは世界市場進出における事業戦略の策定と実行のサポートを行っている企業です。
「グローバルを身近に」をミッションとし、「現地事情」に精通したコンサルタントと「現地パートナー」との密な連携による「現地のリアルな情報」を基にクライアント企業様の世界市場への挑戦を成功へと導きます。






























