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中東にチャンスあり? 知る人ぞ知る中東ビジネスの実態とは(後編)

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私たち日本人には、馴染みのない中東諸国。今回は、「中東で有名な日本人」である鷹鳥屋 明氏に「日系企業の中東進出について」インタビューしました。

鷹鳥屋 明氏は筑波大学卒業後、日立製作所、伊藤忠丸紅鉄鋼、難民支援NGOという経歴の中、ヨルダン、パレスチナに駐在経験があり、外務省の「日本・サウジアラビア青年交流団」としてサウジアラビアでの滞在経験もあります。

現在では、SNS運営等の個人活動の傍ら、アラブ諸国向けのインターネット広告事業・中東進出のコンサルティング事業等に携わっています。

日本語での中東地域の情報が限られている中、鷹鳥屋氏ご自身の滞在経験や日系企業の展示会でのインタビュー、現在の業務から得られた中東の「生の情報」を頂きました。本稿では、日系企業の進出状況やメリット・デメリット、現在・今後の中東のニーズを中心に見ていきます。

1. 現地のニーズ

農作物は需要あり

長岡さん提供画像6

———日本の企業で、今から中東に出ていくのなら、例えばこんな業種とかこんな商品がいいとかありますか?

鷹鳥屋: もう家電・自動車は勝てないので物が小さくて付加価値のあるもの、で勝負するしかないかと思います。今思い当たるところでいうと農作物系ですね。例えば苺とかは価値が高いです。

現地でもエジプト産、オランダ産の苺がありますが、正直美味しくないです。向こうから日本に来た人は、日本産の苺を「うまい、うまい」って言いながら、たくさん買って食べていました。

そういう農作物とか、あとは向こうではお肉などは赤身、魚は白身が多いのですが最近では霜降り肉とか大トロの舌でトロける肉の味を覚えつつあって、日本料理屋は人気と言えます。

ただ現地には、「なんちゃって」日本料理屋が多いので、その中で本物を出すお店ってドバイでも3店舗くらいしか知らないです。でもそういうホンモノを出しているところは人気が高いですね。

現地の日本料理屋事情

———日本料理屋だと形態が二つあって、「現地の方が、日本人から学んでオープンさせる方法」と、「日本人がその味を現地に持ってきて開店させる方法」があると思うんですが、現地ではどちらが主流ですか?

鷹鳥屋: どちらでもないですね。出資するアラブ人というのは、特に男性は基本的に台所には立ちません。オーナーが日本人を呼んで料理を覚えさせて、フィリピン人やタイ人、マレーシア人等の現地雇われ外国人に作らせる形態が多いかと思います。

あと日本人ではなくて中国人か韓国人が、日本料理屋をやってるケースがあります。

この前シェラトンにオープンした「Oni」という、おしゃれな日本料理屋もオーナーはアラブ人で、シェフが韓国人です。後はいくつか高級ホテルの中に日本料理屋さんがあります。

あとは、食品とか甘いもの、お菓子系とかは余地はあると思います。

長岡さん提供画像7


「甘味」や「ヘルスケア」…まだまだ掘り起こせそうな中東の市場

———現地だとスナックやお菓子というのは少ないんですか?

鷹鳥屋: 多いです。ただベッタベタに甘いんですよ。ヨックモックがバカ売れしたニュースがありましたが、ヨックモックみたいなものは、味もサイズも向こうに受け入れられやすかったと思います。

でも「雪見大福」とかそういった甘いものは、お酒を飲まない甘党なアラブ人には受け入れられやすいと思います。

あと別の産業ですとやはりヘルスケア関連ですね。向こうは甘いものが好きなので、糖尿病と肥満が、国によりますが全人口の15~30%を占めていて、私が訪れるたび糖尿病の増加の影響か、車いすの人が増えていますね。

それが原因で、30~50代の人が心臓病とか合併症で亡くなっていています。そこを改善しないといけないというのが各国の課題でもあると言えます。

———現地の医療水準が低いということもありますか?

鷹鳥屋: 現地の医療水準はそこそこ、と言えます。国営の病院と私立の病院があります。国営の病院は基本無料診察を行なっており設備も悪くはないですが、手間のかかる病気だったらアメリカとかタイとかインドとかに行きますね。

意外なものが売れるかも・・・

———未開拓の部分が日本企業にとってはありそうですね。

鷹鳥屋: そうですね、「こんなものが売れるの?」ということもあるので。中東だとダイソー様が出ていますね。

———ダイソー様は中東というよりはイスラーム圏で人気ですよね。

鷹鳥屋: そうですね、ダイソー様では、日本でもあるようなものをそのまま持ってきています。消費期限とかないものを現地で並べていると思います。

———商社で石油に携わっている友達が、中東から日本に来た人に、まず「ダイソーに連れていけ」と言われたみたいですね。

鷹鳥屋: 100円ショップは人気でしたね。5年前くらいの話ですけど中国とかでも原宿に行って爆買い、というのがありましたね。最近は中東の観光客でダイソーに行く人は少ないですけどね。

中東のSNS、メディア事情

———宣伝としてメディアを使用すると思うんですが、中東ではテレビやSNSといったメディアは人気がありますか?

鷹鳥屋: 日本みたいにテレビは凋落しておらず、ネット回線が弱いこともありテレビは強いです。

今アラブ首長国連邦では、4Gが入ってLTEも出ました。非産油国はまだインフラが整っておらず、私が3年前にヨルダンに行ったときは、まだ2G回線のところもありました。これら回線の弱さが改善されたらもっとSNSが盛り上がると思います。

インターネットを見てて思うのが、自身でWebサイトを構築する、というよりも何かのプラットフォーム内で何かビジネスをするということが多いです。

だから、自社のホームページをSNS内に構築している会社も多いです。

そして支払いに関してもPaypalのような決済もその中で完結することが多いです。

———SNSがより普及すれば、これからインバウンドとして中東の方が増えてくるかもしれませんね。

鷹鳥屋: 増えても毎年数千人レベルです。それなら、東南アジアの例えばマレーシアやインドネシアを攻めた方がいいと思います。

マレーシア型のイスラームに拠った整備をしたら、必然的に中東にも寄ると思いますね。別に中東のみの人に向けてやるということは意識しなくていいと思います。

中東の観光客を受け入れているマレーシアでさえ、表札全てにアラビア語入れるようなことはしていません。

実は私も、マレーシアやりたいですね。私は、マレーシアのアラブ人コミュニティに溶け込んでいるので、そこを使って何かできないかなと考えていますね。

———マレーシアでは人口的にアラブ人は多いんですか?

鷹鳥屋: 世界的に入国制限が多いシリアとイエメンのパスポートであっても、マレーシアは東南アジアの中で入国しやすい国ですので、両国からの経済移民が増えています。なので結構現地ではアラブ人を見ることができます。

私も実際、クアラルンプールでシリア人コミュニティに取材しに行ったこともあります。

2. 中東の現状

輸入品が多く、物価は高い

長岡さん提供画像5

———多くのアラブ人が出稼ぎに出ている中で、庶民のレベル感はどうですか?税金とかかからないと思うんですが。

鷹鳥屋: 所得税など日本でかかるような税金がかからないので、ほぼ年収=手取りです。

ただ、商品の多くが輸入に頼っているので、物価が高いです。

一方、果物や野菜、水は安いですね。「水が高い」というのは昔の話で、現在はブランド物でなければ500mlで30円〜50円くらいでコンビニなどで売っていますね。 

果物・野菜は、インドやエジプト、ヨルダンからたくさん輸入されています。

———工製品とか工業製品が高いんですね。

鷹鳥屋: あとは電化製品や車が高いです。

車は高い関税に現地のブローカー代が加算されて高くなっています。

そういう意味では、日本人が短期旅行で買わないものは、日本と同じくらいの値段です。

国にもよりますが、今はガソリンのリッターが20円前後くらいで水より安いですが、年々値上がりしており、いつかガソリンが高くなって水を超えるんじゃないかと思います。

何故かというと、原油で儲かっていたのに、ガソリンの値段が低いということは、加工したガソリンに税金を乗せて庶民から徴収しないと、国家が成り立たないからなんです。

例えば毎年支出が500万位あった国が、今年は歳入1,000万で500万余る、翌年から不況などで、歳入が300万で赤字の様になります。

サウジがそのような乱高下の中で国家運営に、キャッシュフローの安定化は苦労していると思います。

———原油価格ってアメリカとの関係もあるじゃないですか

鷹鳥屋: 今はアメリカとは仲良くしていますけど、アメリカ自体がシェールガスに移行しているというのと、原油をアメリカの国内で保有しているので、各地の原油基地が、大量にだぶついていると聞いています。

3. 中東の今後

原油価格の低下、中東諸国の代替わりで、先行きは不透明

長岡さん提供画像4

———今後の原油価格はどんどん下がっていくと

鷹鳥屋: 下がっていきますね。逆に液化天然ガス(LNG)・液化石油ガス(LPG)の方が、どんどん付加価値がついていくと思います。

それで売上を伸ばしていたのがカタールですね。

カタールが今回アラブ世界による締め出しで国交断絶になったのは、原油で儲かっていたアブダビとサウジが、「こいつ調子乗るなー」と合わせて「天然ガスで稼いだ金を俺たちがケンカしているところに流すんじゃねえ」といった、経済戦争の側面もあります。

あとは、中東諸国では今、高位の王族の高齢化を迎えており、オマーンやサウジ、クウェートの王様が80代を超えています。

その後の若返りがすごくて、次のサウジの皇太子殿下は私と同い年で、32ですね。

カタールだと、37か8歳。クウェートとかオマーンの王子も30代~40代です。

若いうちに何かやりたいっていう思いが強いですから、ガラッと変わるのかどうか先が見えないのがいい意味でも悪い意味でも心配ですね。

———それはここ5年のうちに代わると思われますか?

鷹鳥屋: 代わると思いますね。

後は、2~30年のうちに、中東は原油価格の値下がりとともに地政学的な面も含めてインド経済圏に徐々に飲み込まれると思います。

アラブ首長国連邦の人口が900万人いて、純粋なUAE人だと100万人ほどしかおらず、残り90%近くが外国人で占められており、その中でインド、パキスタン系の人口は数百万人レベルで存在しています。

そこがブルーカラーと一部ホワイトカラーを独占しています。多分今後飲み込まれていくと思いますね。

原油価格も下がったら価値もなくなりますし、人口も少なくて人口ボーナスもとれないですから、どうやって生きていくのかなと。

なので私はその後、インドと中央アジアも見ておかないといけないなと思っています。

———中央アジアだとカザフスタンとかが経済発展が著しいですよね。

鷹鳥屋: カザフスタンやウズベキスタンなどの中央アジアはすごいですね。

私は、石油の価格と共に、インド圏と中央アジア・トルコ圏の両方から侵食が進むと思います。

そのどちらかに属していたら、勝ち馬に乗れると思います。

アラブ諸国の東側はインド、西側はトルコの影響を受けて行くのかと思います。

トルコ企業と連なるとか提携していれば、中東も一緒にとれるという見方ですね 。

歴史屋の考え方なので、「この国が強くなったらこうなる」といった考え方です。

残念ながら、現在はちょっと出して、ちょっと失敗したら手を引く場合が多いので。

歴史的な力関係や全体の流れを抑えたうえで、「5年後10年後はこの国がのびるから頑張ろう」という企業が増えてくれればいいですね。

4. まとめ

未開拓分野が多く、ニーズは転がっている

いかがでしたでしょうか。

今回は鷹鳥屋氏から、ネットでは得られない現地の生きた情報をお伺いできました。

中東はまだまだ未開拓のため、ニーズとなりうる商品やサービスは、たくさんあると思われます。

特に飲食やヘルスケアでは、今後、中東でも需要が高く見込まれ、日系企業にも大きなチャンスがあります。

中東の情報が限られている中で、今後のニュースや市場動向にはしっかりと耳や目を傾けて注視していく必要があります。

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    タイ、シンガポール、ミャンマー、その他東南アジア諸国(ASEAN)での起業、進出や事業拡大をお考えの日本企業、起業家の皆様をお手伝いします。
    弊社には、40名を超える現地での経験が豊富な弁護士、弁理士、事業開発コンサルタント、マーケター、デザイナーが所属しており、既に5000を超える、タイの大企業、中小企業、起業家の方々をお手伝いしています。皆様のビジネス拡大や起業を成功させるため、専門家が一丸となって全面的にバックアップいたします。

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