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「トランプ減税」とは何だったのか? | 大統領選を前に30年ぶりの大税制改革を振り返る

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2020年11月3日にアメリカ大統領選挙が行われます。本テキストでは、大統領選に先駆けて、第一期トランプ政権が掲げた「トランプ減税」について振り返ります。併せて「法人税の国境調整」「オバマケア見直し」の結果についても簡潔に解説します。

振り返ってみれば、トランプ氏はラストベルト(錆びた工業地帯)と呼ばれる米中西部の労働者や貧困層の熱烈な支持を受けて先の大統領選挙を勝ち抜きました。

当初、日本ではトランプ氏の非常識ともいえる言動ばかりに注目が集まっていましたが、当初から氏が掲げていた〝30年ぶりの米国歴史上最大級の減税案〟とされる「トランプ減税」こそが、かの政権の経済対策の柱でもありました。

「Makes America great again」としきりに謳っていたトランプ氏の経済政策。本テキストでは、そのコアにあった「トランプ減税」を改めて振り返ります。このテキストを、あなたのアメリカ進出を検討する判断材料としていただければ幸いです。

1. アメリカ国内で拡大した経済格差の最大の理由は…?

アメリカの企業の多くが自社工場を中国に移転したことで格差が拡大

振り返ってみれば、トランプ氏は大統領選挙の頃から「多くの企業がアメリカから出て行った」「中国は、アメリカを彼らの国を立て直すための豚の貯金箱のように使っている」「多くの人々が仕事を失った」と主張していました。

当時から他国を攻撃する姿勢にばかり注目が集まっていましたが、あながち彼の主張は間違っているとも言いきれませんでした(だからといって絶対的に正しいとも言えませんが…)。

事実、当時の大統領選の対抗馬だったヒラリー・クリントンの夫であるビル・クリントン元大統領は、在期満了間際の2000年、アメリカ経済界の強い後押しを受け、「中国の民主化を推進するため」という名目で中国との経済的な関わりを深めていました。

さらに、高騰する人件費の観点から、アメリカにあった企業の多くは工場をアメリカから中国に移転させます。その結果、アメリカ国内の7万もの工場は閉鎖に追い込まれ、失業者、非正規雇用者の数は2,500万人にも膨れ上がったのでした。

その結果、多くの大企業が中国の市場と人材を手にすることで豊かになり、自ずとアメリカ国内での経済格差が拡大してしまったのです。

2. 米国歴史上最大級の減税案「トランプ減税」とはなんだったのか?

トランプ氏は法人税を35%から15%まで引き下げる公約を掲げていたが…?

そんなアメリカ国内の格差が拡大した最悪の状況の中で、颯爽と(?)現れたのが、連邦法人税を大幅に引き下げることで企業をアメリカに招致し、貧しい人々へ雇用を増やし、アメリカ経済を活性化させる! …と主張するドナルド・トランプその人だったのです。

当時、トランプ氏は法人税を35%から15%まで引き下げる公約を掲げていました。これは、1986年のレーガン政権下で46%から34%に引き下げた以来となる、過去最大の減税案でした。

ちなみに先進国クラブとされる経済協力開発機構(OECD)の法人税の平均は20%です。しかしアメリカ連邦法人税のほかに、州地方税を5%納めなければなりません。そのような背景もあって、トランプ氏は連邦法人税を15%することで、大統領選挙に勝とうとしていたのです。

そもそも日本や欧州の税制では、海外子会社からの配当には課税しない仕組みになっています。一方でアメリカは「全世界課税方式」を採用しています。つまり、米企業が海外子会社の資産を米国に戻せば35%の連邦法人税が課されてしまうのです。

そのため、アメリカの大手企業は資金を法人税の低い国にため込むようになりました。当然その資金は投資などに使われないので、設備拡充や雇用に回されることもありません。この資金が米企業全体で2兆ドル近くあると言われていました。

そのためトランプ氏は全世界課税方式を撤廃し、その代わりこの莫大な埋蔵金に一度だけ課税する考えを法案に盛り込んだのでした。ため込まれた資金がアメリカ国内に還流すれば、設備投資などが促進される可能性が大いにあると見込んでの公約でした。

もちろん、この減税策もよい側面ばかりではありません。当然、減税すれば税収は減ります。アメリカは法人税を1%さげれば、10年間で1,000億ドルの税収が減ると言われています。単純計算で、20%の減税は10年間で2兆ドルの税収減。財源の確保のためにも「法人税の国境調整の見直し」と「オバマケアの見直し」は重要課題だったのです。

2017年12月22日トランプの署名をもって米法人税が一律21%に

そして、2017年12月22日、1986年のレーガン政権以来となる、未曾有の税制改革がトランプ大統領の署名をもって成立しました。

結果として、トランプ大統領が掲げた、この法人税率引き下げについては、最終的に一律21%に落ち着きましたが、経済協力開発機構(OECD)の法人税平均値(22.34%)よりも低く、法人実効税率においても、G7やG20などを下回るものとなったのです。

3. 失敗に終わった「法人税の国境調整」と「オバマケア見直し」

後半のセクションでは、「トランプ減税」と並ぶトピックであった「法人税の国境調整」と「オバマケア見直し」についても振り返ってみましょう。

結論から言えば、「法人税の国境調整」「オバマケア見直し」は、うまくいったとは言えない結果でした。

まず「法人税の国境調整」から振り返ってみましょう。

法人税の国境調整

法人税の国境調整とは、法人税の課税にあたり米国からの輸出を免税扱いにし、反対に輸入は課税強化する仕組みです。 具体的には、輸入原材料を費用控除として認めず課税し、輸出品には課税を免除するというものです。つまり米輸出企業の競争力を後押しする一方で、米国内の輸入企業や、アメリカに輸出する企業は大きな損害を被ることとなります。

国境調整すれば10年間で1兆ドル以上の増収が見込まれることからも、これはトランプ大統領肝いりの改革のひとつでした。

しかし2017年7月27日、トランプ米政権と共和党指導部は国境調整の導入を見送ることを発表。国内の輸入企業や、日本を含む多くの海外企業からの反発は必至で、事実、増税が見込まれる小売業界や自動車販売などの輸入産業が強く反対していました。

オバマケア見直し

医療保険制度改革法(オバマケア)の改廃で浮いた財源を充てる、「オバマケア見直し」も、あまりよい結果にはなりませんでした。

結論から言えば、2017年7月、米上院はオバマケアの一部を限定的に廃止する法案を、49対51の反対多数で否決。共和党は52議席を確保していたにもかかわらず過半数に届かなかったのは、トランプ氏が反対する共和党議員をまとめきれなかったことを示唆するものでした。

この「オバマケア見直し」の否決を分析する上で重要なのは、アメリカでは法案を提出するのも議論するのもすべて議員の仕事だという点です。 つまり、予算や改革案の決定に関してほとんど大統領に実権はないということです。またアメリカの政党には日本のような党議拘束がありません。そのため過半数以上を獲得し法案を通すには大統領自ら議員を説得する必要があったのです。前オバマ大統領もここに苦しみました。

オバマケア見直し案に賛成する民主党議員(野党)も存在していたにもかかわらず、この法案を通せなかったのは、トランプ氏が議員とのパイプをうまく形成していなかった結果だと言えるでしょう。

4. 優良なアメリカ進出サポート企業をご紹介

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今回は「トランプ減税」とはなんだったのか?…と銘打って、永年のアメリカの課題であった、トランプ大統領が掲げていた税制改⾰・減税について解説しました。

2020年の米大統領選において、民主党の対立候補であるバイデン氏に対して、トランプ氏は、自らが掲げた大型減税が米国経済に3%台の高い経済成長をもたらしたと実績をアピールしています。当選した暁には2期目も減税路線をキープするとし、社会保障の財源となる給与税の減税なども掲げています。

しかし、先述のとおり、大統領として打ち出す減税案はあくまで土台に過ぎず、成立に向けて議会から多くの修正が入ることは一期目の結果が証明しています。いずれにせよ、トランプ氏が当選しても、バイデン氏が当選しても、大統領して政策を実施するには、議会との連携が重要となることは言うまでもありません。

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