【2025年度版】ベトナムの美容意識はいま、どう変わっている?日本コスメブランドに訪れる新たなチャンスとは

ベトナムの美容市場は、経済成長や都市化、SNS文化の広がりを背景に急成長を遂げています。特に若年層を中心に美容意識が大きく変化し、自分らしさや肌へのやさしさを重視する「等身大の美」を求める声が強まっています。こうした環境の中、日本のコスメブランドが持つ「安心・安全・誠実」という価値観が、これまで以上に現地で注目され始めています。
本記事では、ベトナムの美容市場の現状と消費者意識の変化を整理し、日本ブランドが現地で存在感を発揮するための戦略や実践ポイントを具体的に解説します。
▼ 【2025年度版】ベトナムの美容意識はいま、どう変わっている?日本コスメブランドに訪れる新たなチャンスとは
1.ベトナム美容市場の急成長と背景
年間成長率10%以上、Z世代が市場を牽引
ベトナムの美容市場は、経済成長と都市化、SNSの普及が相まって、ここ数年で急拡大を遂げています。特にZ世代やミレニアル世代の若年層が市場を牽引しており、美容にかける支出が日常の一部として定着しつつあります。化粧品やスキンケアは「自分を表現するツール」「生活の質を上げる投資」として位置づけられ、年間10%以上の成長率で市場規模が拡大しています。
特にホーチミン市やハノイ市では、オフィスワーカーや大学生を中心に、最新トレンドを積極的に取り入れる層が増え、SNSで得た情報が購買行動に直結しています。美容への自己投資は、今や当たり前の文化になりつつあるのです。
韓国ブランド主導から“多様化”へ
これまでベトナム市場ではK-Beautyが圧倒的な存在感を示してきました。韓国ブランドのスタイリッシュなデザイン、手頃な価格、豊富なラインナップは、若年層を中心に高い支持を集めています。しかし近年では「他人と同じでは物足りない」「もっと肌にやさしくて安心できるものを選びたい」という声が強まっています。多様なニーズが生まれ、選択肢が広がる時代に突入しています。
安心・安全・高品質という日本製品の特長が、ナチュラル志向や個性を重視する現地消費者に再評価され始めています。この流れの中で、日本ブランドは独自の立ち位置を築く大きなチャンスを迎えているのです。
2.ベトナム女性の美容意識はこう変わっている
① メイク中心から“スキンケア重視”へ
近年、ベトナムの若年層女性を中心に、美容の関心はメイクアップからスキンケアへとシフトしています。特に「肌そのものを整えることが美しさの土台」という意識が高まり、保湿、トーンアップ、毛穴ケアといったキーワードが注目されています。過度なカバーや厚塗りではなく、素肌の美しさを引き出す製品が好まれるようになっています。
汗や皮脂による化粧崩れを気にするよりも、日々のスキンケアで肌環境を整えたいという現地女性の声が増えており、日本の高機能スキンケアが強みを発揮できる余地が広がっています。
② 「ナチュラル」「低刺激」への関心拡大
ベトナム女性の美容選びでは、成分への関心が急速に高まっています。敏感肌や気候による肌トラブルへの不安が背景にあり、「ナチュラル」「低刺激」「無添加」といったキーワードが製品選びの重要な基準となっています。製品パッケージや広告でこうした特長が明示されていることが、購入決定に直結しています。
日本ブランドの「安心感」「成分の誠実さ」は、このトレンドにフィットし、現地市場で高評価を得るチャンスとなっています。
③ 美容情報はSNSとKOLが主な入口に
ベトナムの美容市場では、YouTube、TikTok、FacebookといったSNSが美容情報の主要な入口になっています。特に若年層にとって、ローカルの美容KOL(Key Opinion Leader)やインフルエンサーの体験レビュー、使い方動画が、製品選びに大きな影響を与えています。パッケージや店舗の陳列だけではなく、「誰が紹介しているか」が購買の後押しになるのです。
日本ブランドも、KOLと連携した体験型発信やライブ配信で「等身大の使用感」を届ける工夫が求められています。
3.日本ブランドにとってのチャンス領域とは?
「安心・安全・誠実」なイメージが強み
日本ブランドは、ベトナム市場において「安心・安全・誠実」というイメージが強く根付いています。製品の成分や製造過程の丁寧さ、品質管理の厳しさが、現地消費者の信頼を集める理由です。敏感肌や肌トラブルに悩む層にとって、日本製品は「安心して使えるもの」として高い評価を受けています。特に医薬部外品や皮膚科学に基づく製品への関心が高まっています。透明性のある情報開示は、現地での信頼構築に大きく貢献するのです。
“ナチュラル処方×機能性”が現地ニーズに合致
ベトナムの消費者は、「ナチュラルで肌にやさしい」という安心感だけでなく、「しっかり効果が実感できる」機能性も同時に求めています。例えば、毛穴の目立ち、シミ、乾燥といった具体的な肌悩みに応える処方は、現地で高評価を得やすいです。自然由来成分をベースにしながらも、確かな効果を訴求できる製品が歓迎されます。エビデンスに基づく効果の見える化も、今後の重要なポイントです。
“シンプル&多機能”製品が都市部女性に刺さる
ホーチミン市やハノイ市などの都市部で暮らす女性たちは、仕事や学業、家庭と多忙な毎日を送っています。そのため、「時短」「手軽」「多機能」を兼ね備えたコスメが強く求められています。オールインワンジェルやトーンアップ効果のある日焼け止め、スプレータイプの化粧水など、ミニマルで実用的な製品が高い支持を得ています。日常の中で無理なく使える「等身大の製品」が、現地市場での強力な武器となるのです。
4.ブランド展開に必要な3つの対応ポイント
① 成分の透明性とローカル視点での商品設計
ベトナム市場では、成分表示や製品背景の透明性がますます重要視されています。全成分表記、製造国、使用期限などをパッケージやECサイトでしっかりと開示し、安心感を与えることが大切です。加えて、高温多湿の気候に適した軽やかでベタつかない処方、さわやかな香り設計など、ローカルの生活環境に寄り添った商品設計が求められます。日本ブランドの誠実さと品質を、成分や処方に落とし込み、現地視点で再構築することが成功の鍵です。
② SNS・KOLとの連動で“使ってみたい”を生む
SNSやKOL(インフルエンサー)は、ベトナムの美容市場において製品の認知と購入を左右する大きな力を持っています。InstagramやTikTokでの解説付き動画、ライブ配信、リアルな使用レビューが「使ってみたい」という購買動機を引き出します。PR色の強い広告よりも、KOLの日常の中でのリアルな使用体験が共感を集める傾向があります。等身大の声とストーリーを届けることで、現地の消費者との距離を縮めることができます。
③ 価格帯は“中価格帯”での信頼獲得が肝
ベトナム市場では「高すぎず、安すぎない」価格帯での信頼獲得が非常に重要です。たとえば250,000〜500,000VND(約1,500〜3,000円)程度の価格帯は、都市部の働く女性や大学生にとって「少し背伸びすれば手が届く」ゾーンであり、質と価格のバランスが取れた製品が好まれます。リアルとオンラインでの相乗効果を生む設計が、持続可能な市場定着の鍵となります。
5.日本ブランドの成功事例
■ A社(敏感肌向けスキンケア)
ローカルKOLと連携し、「赤みを抑える日本式処方」をテーマにプロモーション。TikTokの使用レビュー動画が拡散し、ECモール内ランキング上位に。
■ B社(トーンアップ系化粧下地)
オールインワン×トーンアップ×紫外線ケアの製品が都市部OLにヒット。Facebook広告からEC購入への導線を確立し、再購入率も高水準。
■ C社(ヘアケア&ボディケア)
香りと成分のやさしさで人気に。使用シーンや使用者のライフスタイルに寄り添ったストーリー展開で、“推しコスメ”として口コミが自然に広がった。
6. 現地流通戦略と販路の最適化
モール・路面店・ECの組み合わせ戦略
ベトナムでのコスメブランド展開では、流通チャネルを単一に絞らず、モール・路面店・ECを組み合わせたハイブリッド戦略が効果的です。VincomやAeonなどの大型モールはブランドの信頼感や認知を一気に高める効果があり、都市部の中間層・富裕層にリーチしやすくなります。一方、路面店は個性的な世界観を演出し、固定ファン層を育てる場として有効です。ECはShopee、Lazada、Tikiといった現地主要プラットフォームの活用が必須で、モールや路面店との相互送客にもつながります。消費者体験の一貫性こそが、ローカル市場での信頼構築の土台です。
ローカルパートナーとの協業の重要性
現地市場での流通や販売体制をスムーズに整えるためには、ローカルの流通業者や販売パートナーとの協業が重要です。特に、商習慣、言語、法律、物流面での違いを補完し、現地に最適化したオペレーションを築くためには、信頼できるパートナーの存在が不可欠です。モールとの契約、EC運営、KOL施策、店舗運営など、現地文化を理解した上での戦略立案が成功のカギとなります。協業は単なる委託ではなく、共にブランド価値を築く「チーム作り」であるという視点が求められます。
7.まとめ:今こそ“等身大の美”を支える日本ブランドの出番
ベトナムの美容市場は、ただ流行を追うのではなく、自分らしさや肌へのやさしさを求める“等身大の美意識”へと変化しています。
日本ブランドには、誠実な品質、使い続けたくなる処方、信頼できる情報発信という独自の強みがあります。
その強みを、現地視点で言語化・発信し、ベトナム女性の日常に寄り添った提案ができるかどうかが、次のチャンスを掴む鍵となるのです。
ベトナム進出に関するご相談は、ぜひWMH(ワールド・モード・ホールディングス株式会社)までお気軽にお問い合わせください。
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