失敗事例から学ぶ「ベトナム進出」成功のポイント

ベトナム市場への進出は、多くの企業にとって大きなチャンスである一方、適切な戦略と準備がなければ失敗するリスクも高まります。今回は、ベトナム市場進出における失敗事例から学ぶことで、ベトナム市場進出における失敗を避けるための重要なポイントを探っていきます。
▼ 失敗事例から学ぶ「ベトナム進出」成功のポイント
1. ベトナム市場進出における失敗事例
製造業における失敗事例(進出)
ベトナムには約2,500社の日系企業が進出しており、その中にはベトナム市場での投資を成功させ、10年、20年にわたって安定した事業運営を続けている企業も少なくありません。一方で、進出後の事業展開に課題を抱え、数年以内に撤退を余儀なくされる中小企業が多く存在するのも事実です。
その主な理由としては、経営者の判断で直感的に進出してしまうことが挙げられます。例えば、十分な市場調査を行わず、競合他社が進出しているという表面的な理由のみで市場性を判断する事例や、自社で受け入れたエンジニアや技能実習生に職場を提供する目的でベトナムに生産拠点を設けた結果、撤退を余儀なくされる事例が散見されます。
これらから、ベトナム進出に失敗する企業の事例におけるキーワードは以下の4つになります。
- 予想を超える固定費の負担
- 売上計画の大幅な遅延
- 不良品対応などの大きな損失
- 現地法令という高いハードル
消費財輸出における失敗事例(輸出)
一方、ベトナム市場参入に失敗する企業の事例において、ポイントは以下3つです。
- 日本ブランドの持つ強みを十分に活用できず、現地でのブランド認知度向上に向けた戦略が不十分。
- ベトナムの大手パートナーとの協業において、日本企業の情報提供が遅く、スピード感に欠けている。
- 現地法令の複雑さや頻繁な改正が、事業運営における大きな障壁になる。
M&A・合弁における失敗事例
また、経済発展が著しいベトナムでは、大きなビジネスチャンスが期待されます。これらのビジネスの多くは、インフラ整備やホテル建設などの建設関連事業であり、現地企業の買収や合弁事業として展開されることが一般的です。
しかし、ある日本企業が規模の大きい現地パートナー企業との協業を試みたところ、対等な関係を築きながらも事業を進めることに課題を抱えました。その結果、ベトナム進出による目立った成果を得ることができず、撤退を余儀なくされたのです。
2. 失敗事例からわかる:ベトナム市場進出の際、失敗を避けるための重要なポイント
これらの失敗事例から考えると、日系企業がベトナム進出や販路開拓を成功させるための重要なポイントの一つは、市場調査です。日本で成功したビジネスがそのまま海外で通用する場合もありますが、必ずしもそうとは限りません。そのため、事前に入念な市場調査を行い、現地のターゲット層やニーズを明確に把握した上で進出の可否を判断することが欠かせません。
市場調査を行うことで、以下のことが可能になります:
- 消費者のニーズや競合他社の動向を把握する。
- リスクを最小限に抑える。
- 現地パートナーとの円滑な協力関係を築く。
3. ベトナム市場調査の実施方法、成功事例と注意事項
ベトナム市場調査の実施方法(ステップbyステップ)
市場調査は、海外市場進出の成功を左右する重要なステップであり、慎重かつ体系的に進める必要があります。手法やアプローチは目的や予算に応じて異なりますが、以下に市場調査を成功に導く基本的な6つのステップを解説します。
1. 目的と目標の設定:
市場調査の第一歩は、調査の目的を明確化し、それに基づく具体的な目標を設定することです。例えば、
- 市場規模や成長性の把握
- 新規ターゲット層の特定
- 商品・サービスの市場適合性の評価
といった明確なゴールを設定することで、調査の方向性が確立し、効率的な進行が可能となると思われます。
2. 調査手法の選定:
調査手法は一次調査と二次調査を組み合わせることで、網羅的なデータ収集を可能にします。
- 一次調査:現地でのアンケート調査、インタビュー、観察などを通じて、リアルなデータを収集し、特定のターゲット層や地域に直接アプローチすることで、精度の高い情報を得ることができます。
- 二次調査:政府統計、業界レポート、競合分析など、既存のデータを活用して大局的な市場動向や背景を把握します。
3. データ収集:
データ収集は、オンラインとオフラインの双方を組み合わせることで、立体的かつ多角的な視点を得ることができます。
- オンライン調査:ソーシャルメディアやオンラインフォーラムのモニタリング、ウェブ検索トレンドの分析など、デジタルツールを活用し、リアルタイムで変化する消費者心理やトレンドを追跡します。
- オフライン調査:現地でのフィールドワークや店舗視察、競合の活動観察など、現地特有の文化や消費習慣を把握するための調査です。
4. データ分析:
収集したデータを統計ツールや分析手法を用いて解釈・評価します。このステップでは、以下の要素を特に重視します:
- 市場のトレンドや成長予測
- 消費者行動の特性とニーズ
- 競合他社の戦略や差別化ポイント
5. レポート作成と戦略策定:
分析結果をもとに、具体的かつ実現可能な戦略を策定します。
- ターゲット市場やセグメントの明確化
- 自社製品やサービスのポジショニングと差別化戦略の構築
- 現地パートナーとの協業方針の決定
6. 実施とフィードバック:
策定した戦略を迅速に実行に移し、継続的にその進捗をモニタリングします。市場環境は常に変動するため、フィードバックを基に適宜戦略を修正・最適化する柔軟性が求められます。これにより、予期せぬリスクへの対応力を高め、成功の可能性を最大化できます。
ベトナム市場調査を実施した日本企業の成功事例
飲料や製薬などの大手企業は、市場規模や人気商品、競合動向、さらに年齢・性別・居住地による市場セグメンテーションを調査・分析しています。その上で、ターゲットの明確化、ポジショニングと差別化、顧客ベネフィット(価値)の最大化、戦略の評価と改善を行い、市場参入に成功しています。
注意事項
インターネット上には膨大な情報が溢れていますが、その正確性や信頼性を見極めることは容易ではありません。特にベトナム市場進出においては、現地特有の文化や法規制を正確に理解することが重要です。信頼性の高いデータを基に判断を下すためにも、ベトナム市場に精通した現地の専門家やパートナーと連携し、正確な分析を行うことが不可欠です。これにより、リスクを抑えつつ競争優位を築くことができます。
まとめ
ベトナム市場進出の成功には、徹底した市場調査と現地の文化やビジネス習慣への深い理解が欠かせません。ターゲット顧客の特性や競合環境を把握し、リスクを最小限に抑えることが重要です。また、商習慣や法制度への適応力も成功の鍵となります。経験豊富な専門家や現地パートナーを活用し、綿密な戦略をもって進出することで、長期的な成果を実現できるでしょう。
私たち「東京共同会計事務所」では、ベトナム国税理士が、日本において現地専門家と共同し、ベトナムの市場調査から日本・ベトナムの会計・税務問題等の解決のお手伝いをさせていただいております。ベトナム進出を検討されている際は、是非お気軽に私たちにご連絡ください。
監修者:SEIKO IDEAS CORP
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本稿の内容は執筆者の個人的見解であり、当事務所の公式見解ではありません。記載内容の妥当性は法令等の改正により変化することがあります。
本稿は具体的なアドバイスの提供を目的とするものではありません。
個別事案の検討・推進に際しては、適切な専門家にご相談下さいますようお願い申し上げます。
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グローバル21拠点✕800名体制で、現地に根付いたメンバーによる伴走型ハンズオン支援
<概要>
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⑤ アジア特有の中小案件M&A案件発掘から交渉/実行/PMIまでをカバーする海外M&A一気通貫支援
⑥ 既存サプライチェーン体制の分析/評価/最適化、および、直接材&間接材の調達コスト削減 -
GLOBAL ANGLE Pte. Ltd.
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GLOBAL ANGLEは海外進出・事業推進に必要な市場・産業調査サービス、デジタルマーケティングサービスを提供しています。70か国90都市以上にローカルリサーチャーを有し、現地の言語で、現地の人により、現地市場を調べることで生きた情報を抽出することを強みとしています。自社オンラインプラットホームで現地調査員管理・プロジェクト管理を行うことでスムーズなプロジェクト進行を実現しています。シンガポール本部プロジェクトマネージメントチームは海外事業コンサルタント/リサーチャーで形成されており、現地から取得した情報を分析・フォーマット化し、事業に活きる情報としてお届けしております。
実績:
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南アジア(インド、パキスタン、バングラディッシュ等)
北米(USA、メキシコ、カナダ)、南米(ブラジル、チリ等)
中東(トルコ、サウジアラビア等)
ヨーロッパ(イタリア、ドイツ、フランス、スペイン等)
アフリカ(南アフリカ、ケニア、エジプト、エチオピア、ナイジェリア等) -
ワールド・モード・ホールディングス株式会社
【メディア掲載】日経MOOK「中堅・中小企業のASEAN進出 2025年版」に掲載されました
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2017年7月日本・沖縄と海外の万国津梁の架け橋を目指して、企業の海外展開支援を目的として沖縄・那覇で設立。アジア・欧州を中心に沖縄県内・沖縄県外企業の海外進出・国際展開のサポートを実施しています。2022年7月には観光産業の伸びの著しい石垣市に八重山事務所を開設しております。
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