グローバル人材の採用に必要な費用を採用ルート別に解説
グローバル人材を採用する際に必要な費用の内訳について、採用ルート別にわかりやすく解説します。
そもそも前提として、グローバル人材の採用費用は、採用ルートに応じて大きな違いが発生します。なぜなら、候補者が日本国内に在住している場合と、海外に在住している場合では、採用プロセスにおける費用が大きく異なるからです。
本稿では、日本在住と海外在住の候補者を採用する際に必要な具体的な費用の内訳をわかりやすく解説します。貴社のグローバル人材採用活動における予算策定にぜひお役立てください。
※本稿で述べている「グローバル人材」とは、日本において高度な専門知識や技能を持つ外国人材が就労するために必要な在留資格である『技術・人文知識・国際業務』ビザを取得しているグローバル人材と定義しています
▼グローバル人材の採用に必要な費用を採用ルート別に解説
- 1. グローバル人材の採用費用は2つの採用ルートによって異なる
- 2. 日本在住のグローバル人材を採用する際の費用
- 3. 海外在住のグローバル人材を採用する際の費用
- 4. グローバル人材採用の費用には「隠れたコスト」が存在する?
- 5. 採用費用の面で見た「グローバル人材採用の見極めポイント」
- 6. 日本企業のグローバル人材採用に関する最新動向
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1. グローバル人材の採用費用は2つの採用ルートによって異なる
グローバル人材の採用にかかる費用は、本テキストで解説する2つの採用のルートに応じて大きな違いが発生します。具体的には、候補者が日本国内に在住しているか、もしくは海外在住であるかにより、採用プロセスにかかる費用や必要な手続きが大きく異なるのです。
当然ながら、それらの2つの採用ルートによって、求人企業として負担する採用費用のコスト感や内訳が変わってきます。
つまりグローバル人材の採用に関しては、まずどちらの採用ルートを選択するかが、予算策定において重要なポイントとなるのです。
グローバル人材の採用ルートはおもに2つ
そして、グローバル人材の採用ルートは大きく分けて以下の2つに分類されます。
① 日本在住のグローバル人材を採用するルート
② 海外在住のグローバル人材を採用するルート
それぞれの採用ルートには異なるコストが伴い、発生する費用項目も異なります。
自社のニーズや目的に応じて最適なルートを選択することが、効率的な採用を実現する鍵となります。
次項より、それぞれ2つの採用ケースの具体的な費用の内訳について解説していきます。
2. 日本在住のグローバル人材を採用する際の費用
まずは日本在住のグローバル人材を採用する際の費用の内訳について見ていきましょう。
日本国内に住む外国人や、日本に既に帰国している外国籍のグローバル人材を採用する場合、海外在住の候補者に比べて移住関連のコストは発生しませんが、特有の費用項目があります。以下に、それぞれの費用について解説します。
求人広告費用(約30万〜80万円)
日本国内の求人メディアや国際的な求人プラットフォームを利用し、外国人材を募集する際には、通常の国内求人広告に加えて、グローバル人材向けの特化したプラットフォームを利用することが多くなります。
特に、英語対応や専門職向けの求人サイトに掲載するための費用が、30万〜80万円程度発生することが一般的です。
人材紹介費用(年収の25%〜35%)
専門スキルや豊富な経験を持つ外国籍人材を採用する際、多くの企業は人材紹介エージェントを利用しています。紹介手数料は、候補者の年収に対して25%〜35%が相場とされています。
例えば、年収500万円の候補者の場合、紹介手数料は125万円〜175万円となり、紹介会社のサービス内容やサポートの範囲に応じて費用が変動します。採用難易度が高い専門職ほど、紹介料も高額になる傾向があり、ITのエンジニアや経営人材といった高年収(800万円~)の人材になると、手数料が40%〜45%になるケースもあります。
ビザ更新・在留資格申請費用(約10万〜30万円)
日本在住の外国籍人材の場合、すでに就労ビザを保有しているケースが多いですが、ビザの更新や在留資格の変更が必要な場合があります。
これには、行政書士や専門の法務担当者への依頼費用がかかり、10万〜30万円程度の費用が想定されます。特に新しい業務内容に適した在留資格が必要な場合、適切な申請手続きを行うことが不可欠です。
面接関連費用
候補者が国内であっても、遠方から面接に来てもらう場合には、交通費や宿泊費を企業が負担することが一般的です。
例えば、新幹線や航空券を利用する際には往復交通費、1泊以上の宿泊が必要な場合は宿泊費も必要となり、面接コストとして考慮する必要があります。企業側で交通手段を手配することも多く、予算に応じたフレキシブルな対応が求められます。
3. 海外在住のグローバル人材を採用する際の費用
続いては海外在住のグローバル人材を採用する際の費用についてです。
海外在住の候補者を採用する際には、ビザ取得や引越し、現地からの移住支援など、日本在住候補者にはない追加の費用が発生します。ここでは、海外在住者を採用する際に発生するコストを、詳細に解説します。
海外求人広告費用(約20万〜100万円)
海外の求人プラットフォームやターゲット国の採用サイトに求人を掲載する際、広告費用は市場の特性や広告内容によって異なります。
特に、地域特化型や専門職向けの求人広告は、翻訳費用やターゲットに合わせた調整も含まれるため、20万〜100万円の費用が発生することが一般的です。広告の出稿範囲が広がるほど、費用も高額になりますが、より広範囲にリーチできる可能性が高まります。
ビザ申請・取得費用(約10万〜30万円)
海外在住の候補者を日本で雇用するには、在留資格の認定証明書(COE=Certificate of Eligibility)取得やビザの申請手続きが必要です。
申請には複数の書類が必要であり、手続きの煩雑さから専門の行政書士や移民弁護士に依頼するケースが多く、その費用も含めて10万〜30万円程度がかかります。国によっては審査の厳格さが異なるため、書類の準備やスケジュール管理にも十分な配慮が求められます。
面接渡航費用(10万〜30万円)
候補者が最終面接のために日本を訪れる場合、企業が往復航空券や宿泊費を負担するケースが多いです。具体的には、アジア圏内からの候補者には10万〜20万円、ヨーロッパやアメリカからの候補者には20万〜30万円程度の費用が発生します。宿泊費や現地での交通費も考慮する必要があるので注意が必要です。
引越し・移住サポート費用(約50万〜200万円 )
海外在住の採用人材の引っ越し・移住の費用を企業が負担するのはケースバイケースで、企業に応じて対応は異なります。
引越し費用のみ、あるいは渡航費のみ負担する企業もあれば、渡航費・引っ越し費用共に負担しない企業もあります。
負担するにせよしないにせよ、海外からの引越しには、引越し業者の費用や航空券代、住居手配や生活支援の費用が発生します。単身者の場合は50万〜100万円程度、家族を伴う場合や大型家具の輸送を含めると200万円程度に達する場合があることを想定しておきましょう。
4. グローバル人材採用の費用には「隠れたコスト」が存在する?
ここまで、グローバル人材採用における2つのケースの具体的な費用の内訳について解説しました。
しかし、グローバル人材の採用プロセスには、前項までで解説したコスト以外に、表面に見えにくい「隠れたコスト」が存在します。これらは、採用決定後や労務管理に関連するコストであり、計画外に発生することが多いため、事前にしっかりと予算に組み込んでおくことが重要です。
特に、グローバル人材の採用では、オンボーディングや法務対応に関する隠れた費用が多く発生する可能性があります。この項では、こうした隠れたコストの具体例を詳しく解説します。
オンボーディング・異文化適応プログラムなどのトレーニング費用
グローバル人材が職場に早く馴染み、業務にスムーズに取り組むためには、入社後のオンボーディングと異文化適応トレーニングが欠かせません。
日本特有のビジネス慣習や意思決定プロセス、コミュニケーションスタイルを理解するための異文化トレーニングを組み合わせることで、文化的なギャップを埋め、チーム内の円滑な協力が促進されます。
このプログラムには、外部コンサルタントを利用することが一般的で、サービスにもよりますが、1人当たり10万〜30万円程度が想定され、プログラムの実施費用、教材費、さらにトレーニング中のサポート費用が含まれます。
法務・コンプライアンス対応費用
グローバル人材を採用する際には、契約書の作成、ビザ申請、労働法の遵守といった法務面での対応がマストです。これらの手続きは専門的な知識が必要であり、適切な対応を行わない場合、後々コンプライアンス違反や法的トラブルのリスクが高まります。そのため、法務部門や外部の法務コンサルタントに依頼して、採用者に関連する法的手続きを適切に処理しなければなりません。
契約書の作成・監修費用
グローバル人材を雇用する際には、各国の労働法やビザ要件を考慮し、適法で明確な契約書を作成する必要があります。外国籍社員の雇用条件や待遇は、日本人社員との違いがある場合も多いため、契約内容に詳細を明記しなければなりません。
そのため、行政書士や移民法務士に依頼することを推奨します。契約書の作成・監修費用は、一般的に10万~30万円程度とされています。また、ビザ申請関連の費用は、申請代行、書類作成・確認、ビザ取得後のフォローアップを含めて10万~50万円程度が必要とされることが多いです。ただし、具体的な費用は依頼する専門家や手続きの内容、申請するビザの種類によって異なる場合があることはご留意ください。
社内リソースへの間接的な影響
グローバル人材の採用は、社内リソースにも間接的な影響を及ぼします。採用後のフォローアップや社内トレーニングの実施には、既存社員や管理職の関与が不可欠であり、通常業務に加えサポートの時間が求められることから、社内の生産性が一時的に低下する可能性があります。こうした影響も事前に考慮しておくことが重要です。
5. 採用費用の面で見た「グローバル人材採用の見極めポイント」
グローバル人材を採用する際、候補者が日本在住か海外在住かによってコストや採用効果が大きく変わることはご理解いただけたと思います。
では、グローバル人材を採用したい企業は、どちらの採用ルートを選ぶべきなのでしょうか?
結論としては、短期的なコスト削減と即戦力を重視する場合は「日本在住のグローバル人材」、長期的な成長戦略や専門的なスキル確保を重視する場合は「海外在住のグローバル人材」が最適な選択となります。
以下より、採用費用の面で見た「グローバル人材採用の見極めポイント」について具体的に解説します。
早急に業務に適応できるグローバル人材が必要で、費用も抑えたい場合
→ 日本在住のグローバル人材の採用がおすすめです
日本在住のグローバル人材は、既にビザを取得しているためビザ申請手続きや移住支援にかかるコストが低く、初期投資を抑えることができます。
また、日本での生活に慣れているため、早期に業務に馴染むことが期待でき、オンボーディングやトレーニング期間も短縮されます。即戦力として早期に活躍してもらいたい場合や、採用にかけられる予算が限られている場合には最適な選択です。
グローバル市場での競争力を高め、海外事業を更に拡大・加速させたい場合
→ 海外在住のグローバル人材の採用が適しています
海外在住の人材は、豊富な国際経験や高度な専門スキルを持つケースが多く、現地の文化や言語に精通しているため、海外市場でのビジネス展開や多国籍プロジェクトには大きな強みとなります。
仮に海外在住であっても現地の『日系企業』で働いてる人材を採用すれば、日系企業の文化・仕事の進め方にスムーズに対応できるケースもあります。また、日本企業とのブリッジ業務を担っている人材もいるので、何かしら日本に馴染みのある人材を採用できる場合もあります。
いずれにせよ海外在住のグローバル人材は、移住やビザ取得にコストがかかるものの、こうした国際的な視点やスキルが長期的に企業の競争力向上につながる可能性が高く、戦略的な投資としての価値があります。
6. 日本企業のグローバル人材採用に関する最新動向
ここからは、日本企業のグローバル人材採用に関する最新の調査レポートをご紹介します。
この度「Digima~出島~」では、外国人材活用の専門家/グローバル人材活用の専門家と共同した、グローバル人材一括サーチサービス『開国エンジン~縁人~』を立ち上げました。
そのローンチに伴って「Digima〜出島〜」に寄せられる海外ビジネス相談と、会員企業を対象にしたアンケート調査をもとに『グローバル人材白書』を作成しています。
このセクションでは、その『グローバル人材白書』から、「国内拠点」と「海外拠点」との双方におけるグローバル人材の採用に関する最新の調査結果をご紹介します。
「国内拠点」におけるグローバル人材の採用状況
上記のグラフは「国内拠点におけるグローバル人材採用」に関する調査結果となります。
全体として、国内拠点においてグローバル人材を採用している企業は、48.2%という結果でした。さらに、成功企業(※)を見てみると、64.3%の企業がグローバル人材を採用しているという結果となりました。
これは、後述する海外拠点の数値よりも大きいことから、日本国内におけるグローバル人材採用のニーズが増加していることがうかがえます。
※同じ質問に対する回答として、2つのグラフを掲載していますが、本調査では、通常の「海外進出企業」と「海外進出成功企業」の2つをクロス集計させて分析しています。
その理由は、同じ質問に対する「海外進出の成功に向けて挑戦中の企業」と「海外進出に成功している企業」の2つの回答を比較することで、自ずと「海外進出で成功するための必要なこと」が浮かび上がってくるからです。
ちなみに〝成功の定義〟は「海外事業を3年以上実施している企業」といたしました。海外ビジネスにおいて、事業をスタートさせるだけでなく、撤退せずに3年以上継続できていることは、成功と定義しても差し支えないと考え、この定義を採用しています。
「海外拠点」におけるグローバル人材の採用状況
続いてのグラフは「海外拠点におけるグローバル人材」に関する調査報告となります。
まず、全体としては6割以上の企業が海外拠点においてグローバル人材を採用していないという結果になりました。これはできるだけ現地コストをかけずに海外ビジネスに挑戦したいという意識の表れと言えるでしょう。
しかし、成功企業を見てみると、それは逆転し、実に6割以上の企業がグローバル人材を採用していることがわかります。やはり海外拠点においてグローバル人材の採用は必須と言って良いでしょう。
…上記の内容を更に深掘りした、日本企業のグローバル人材活用に関する最新動向を『グローバル人材白書』にて解説しています。
『グローバル人材白書』では、日本企業のグローバル人材の活用状況に加えて、海外ビジネスにおけるグローバル人材の有効性なども示したレポートとなっております。
今なら無料でダウンロードが可能となっております。ぜひ貴社の海外ビジネスにお役立てください!
7. 優良なグローバル人材をご紹介
優秀な人材の採用と定着のために
今回は「グローバル人材を採用する際に必要な費用」について解説しました。
日本企業が採用すべきグローバル人材は、海外での職務経験があり、日本での就職を目指している人材です。彼らの豊富なビジネス経験と日本への適応力は大きな資産となります。
また、日本語検定試験の結果に過度に依存せず、実際のコミュニケーション能力を評価する柔軟な視点も重要です。企業がこうした視点を持つことで、優秀なグローバル人材を採用することができるのです。
貴社にピッタリのグローバル人材をご紹介します
前項でもお伝えしたように、この度「Digima~出島~」にて、外国人材活用の専門家/グローバル人材活用の専門家と共同した、グローバル人材一括サーチサービス『開国エンジン~縁人~』を立ち上げました。
貴社と共に採用戦略を描くブレインとして働き、登録企業20社・登録人材2万人の中から、貴社に最適なグローバル人材をご紹介します。
グローバル人材のご紹介に加えて、その活用ノウハウから、各種の事例提供まで、貴社のグローバル人材採用戦略を徹底的にサポートいたします。
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