JETRO(日本貿易振興機構)とは?役割・支援内容・活用方法をわかりやすく解説

海外進出を目指す企業にとって、正確な情報を収集し、適切な支援を受けることは、成功への重要な第一歩となります。特に初めて海外市場に挑戦する企業にとっては、どのような支援機関を活用すべきか判断に迷う場面も多いでしょう。その中で、国の政策に基づき設立された公的機関「JETRO(日本貿易振興機構)」は、海外展開を志す日本企業に対して幅広いサポートを提供しており、広く認知されています。
本記事では、JETROの概要や役割、提供している主な支援内容を整理するとともに、実際に現地でのビジネス活動を進める段階で検討すべき民間支援サービスについてもご紹介します。貴社の海外展開を力強く後押しするために、公的機関と民間サービスをどう使い分けるべきかを考える一助となれば幸いです。是非、参考にしてください。
▼ JETRO(日本貿易振興機構)とは?役割・支援内容・活用方法をわかりやすく解説
JETRO(日本貿易振興機構)とは?概要と役割
戦後の輸出振興政策を背景に設立された経緯
JETRO(日本貿易振興機構)は、1958年に日本政府の政策に基づき設立された公的機関です。第二次世界大戦後、日本経済は急速な復興を遂げる一方で、国際競争力の向上と貿易の拡大が大きな課題となっていました。こうした背景のもと、主に日本製品の海外市場開拓を目的とした輸出振興政策の一環として、JETROは誕生しました。当初は「日本貿易振興会(Japan External Trade Organization)」という名称で、日本企業の海外進出を後押しするための情報提供や販路開拓支援を中心に活動を展開。国家経済の成長と国際的なプレゼンス向上に貢献してきた歴史を持っています。
現在は海外展開支援・外国企業誘致の促進をミッションとする
設立当初は日本企業の輸出支援に重点を置いていたJETROですが、現在ではそのミッションを大きく広げています。具体的には、日本企業の海外展開支援に加えて、外国企業の対日投資促進、すなわち日本へのビジネス誘致活動にも力を入れています。グローバル化が進む現代において、日本経済の活性化には国内外の企業活動を促進することが不可欠であるとの認識に基づき、JETROは「双方向の経済交流」を推進する役割を担っています。また、スタートアップ支援や地域企業の海外展開促進といった分野にも注力しており、時代の変化に対応した柔軟な支援体制を整えています。
世界各国に設置された海外事務所ネットワークが強み
JETROの大きな特徴のひとつが、世界各地に張り巡らされた海外事務所ネットワークです。現在、アジア、北米、欧州、中東、アフリカなど約70拠点を展開しており、現地での最新ビジネス情報の収集や、日本企業に向けた商談アレンジ、現地進出サポートなどを行っています。このグローバルネットワークによって、JETROは地域ごとのビジネス環境や制度の違いに対応しながら、きめ細やかな支援を提供できる体制を整えています。初めて進出を検討する企業にとっては、こうした海外拠点の存在が、現地事情を把握するうえで大きな助けとなるでしょう。
JETROが提供する主な支援内容
市場調査レポートや統計データの公開
JETROは、海外市場に関する豊富な調査レポートや統計データを無料で公開しています。これらの情報は、各国・地域ごとの経済動向、産業別の市場規模、消費者ニーズ、法規制など多岐にわたり、海外進出を検討する企業にとっては貴重な一次資料となります。特に、独自調査に基づくレポートは、信頼性が高く、現地事情を把握するうえで有効な参考資料となるでしょう。これらの情報は、JETROの公式ウェブサイトから簡単に閲覧できるため、初期段階の市場選定やリスク分析に役立ちます。ただし、あくまで一般的なマクロ情報が中心となるため、より自社特有のビジネス課題に対する詳細な分析には、別途専門的な調査が必要となる場合もあります。
展示会出展支援、海外ビジネスイベントの開催
海外市場での認知度向上や販路拡大を目指す企業に向けて、JETROは様々な展示会出展支援を行っています。具体的には、JETROが主催または支援する海外展示会に、日本企業向けの専用パビリオンを設け、出展企業の負担を軽減しながら現地市場へのアプローチをサポートしています。また、ビジネスマッチングイベントや商談会の開催にも注力しており、現地バイヤーやパートナー候補との出会いの場を提供しています。こうした機会を通じて、進出前に現地ニーズを把握したり、販路を開拓したりすることが可能になります。ただし、各イベントの対象地域や業種が限定されることもあるため、自社のターゲット市場や製品に適した機会を見極めることが大切です。
法規制、税制、認証取得などに関する情報提供
海外進出に際して直面する障壁のひとつが、各国ごとの複雑な法規制や税制、製品認証制度への対応です。JETROでは、こうした制度情報をわかりやすく整理し、企業向けに提供しています。例えば、輸出入手続きに必要な法規制の概要、現地での会社設立にかかる要件、特定商品に求められる認証取得プロセスなど、幅広いテーマをカバーしています。また、専門家による無料相談窓口を設置しているケースもあり、初歩的な質問や制度変更への対応方法についてアドバイスを受けることができます。ただし、個別企業の具体的なビジネスモデルに対する最適解までを導き出すサポートは限られているため、複雑な案件については、専門のコンサルティングや現地支援企業との連携を視野に入れる必要があるでしょう。
JETRO支援をうまく活用するためのポイント
マクロな市場情報や制度情報収集に適している
JETROの支援サービスは、海外進出を検討する初期段階において、非常に有効な情報源となります。各国市場の動向、制度変更の概要、現地ビジネス環境に関するマクロなデータを、網羅的かつタイムリーに提供している点は大きな強みです。特に、自社にとって進出先の候補国を絞り込むための情報収集や、リスク分析の材料として活用するのに適しています。また、これらの情報は多くの場合、無料または低コストで取得できるため、コストを抑えつつ幅広い知見を得られるメリットもあります。ただし、あくまで「広く一般的な傾向」を把握することを主眼に置いた内容が多く、業界や企業の個別事情に即した詳細なアドバイスを得るには限界がある点に留意する必要があります。
個社別の細かな戦略策定や実行支援までは基本的にはカバー範囲外
JETROの提供する情報や支援は、基本的に「制度情報」や「市場の大枠」に関するものであり、個別企業ごとの事情を踏まえた戦略策定や、現地での具体的な営業活動支援までは踏み込まないのが一般的です。たとえば、ある特定地域において、どの代理店と提携すべきか、どの流通チャネルを活用すべきかといった実務的な助言は、原則としてJETROのサポート範囲外です。また、展示会出展支援においても、集客やフォローアップまでのサポートは個社に任されるケースが多いのが実情です。このため、実際に現地市場に乗り出していくフェーズでは、より個別対応力のあるパートナーを別途確保する必要性が生じることを念頭に置いておくべきでしょう。
実際の進出・営業活動段階では、民間パートナーとの併用も検討
海外展開プロジェクトが初期の情報収集フェーズから、実際のビジネス展開フェーズへと進むにあたっては、JETRO単独での支援ではカバーしきれない課題が浮上してきます。たとえば、現地での営業活動、パートナー選定、販路開拓、法人設立手続きの代行など、より実務的で迅速な対応が求められる場面が増えていきます。このようなフェーズでは、現地事情に精通し、個社ごとの事情に応じた柔軟な支援が可能な民間パートナーの活用を検討することが重要です。公的機関と民間支援サービスを適切に組み合わせることで、初期コストを抑えながらも、実行段階での機動力を確保できる体制を整えることができるでしょう。
民間支援サービスの活用も視野に|実行フェーズでの支援選択肢
個別対応力の高い民間支援会社との併用が効果的
JETROをはじめとする公的支援機関は、海外展開の第一歩として非常に有効な情報源となりますが、ビジネスを具体的に動かす段階では、民間支援会社の力を借りることも現実的な選択肢となります。市場調査を終え、ターゲット国や戦略方針が固まった後は、現地パートナーの開拓、営業チャネルの確立、拠点設立手続き、さらには現地スタッフの採用支援など、より実務的かつスピーディーな対応が求められるフェーズに移行します。こうした局面では、個別の課題に応じた柔軟な提案や、実行支援まで踏み込んで対応できる民間支援会社の存在が大きな力となります。実績豊富なパートナーと連携することで、現地特有のリスクを回避しながら、より確実にビジネスを前進させることができるでしょう。
Digima~出島~を通じて、最適な現地支援パートナーを探す方法もある
民間支援会社を活用する際、どのパートナーを選ぶべきかに悩む企業も多いでしょう。そのようなときに役立つのが、海外進出支援に特化したマッチングプラットフォームの存在です。たとえば「Digima~出島~」では、海外ビジネス支援に強みを持つ専門企業を多数掲載しており、相談内容に応じて最適なパートナーを探すことができます。現地法人設立支援、販路開拓支援、市場調査代行、現地営業代行といった、実務フェーズに特化した支援サービスをスムーズに比較検討できるため、初めて海外進出に取り組む企業にとっても安心感があります。公的機関から得られるマクロ情報を活用しつつ、具体的な実行支援ではこうした民間サービスを上手に組み合わせることで、海外ビジネスの成功確率をさらに高めることが可能です。
まとめ|海外展開成功のカギは「情報収集+実行支援」の組み合わせ
海外進出を成功に導くためには、正確な情報に基づいた計画立案と、現地事情に即した実行支援の両輪をバランスよく機能させることが重要です。JETROは、制度情報や市場動向といったマクロな視点からの支援に強みを持っており、特に進出初期の情報収集フェーズでは大きな助けとなるでしょう。一方で、具体的な販路開拓や現地拠点構築といった実務フェーズでは、個別対応力に優れた民間支援会社との連携が現実的な選択肢となります。
海外ビジネスには、事前の周到な準備とともに、現地での柔軟な対応力が求められます。公的機関と民間支援、それぞれの特徴を理解し、目的とフェーズに応じて最適なパートナーを選びながら進めることが、成功への近道です。具体的な実行支援を必要とする場面では、「Digima~出島~」を活用し、自社に合った現地パートナー選びも視野に入れていきましょう。
なお、「Digima~出島~」には、優良な海外ビジネスの専門家が多数登録されています。「海外進出無料相談窓口」では、専門のコンシェルジュが御社の課題をヒアリングし、最適な専門家をご紹介いたします。是非お気軽にご相談ください。
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