訪日外国人の女性旅行者を集客する方法|安心・快適を重視したニーズと対応ポイント
訪日外国人向けの集客施策というと、国籍別・世代別のマーケティングが主流であり、性別による行動特性の違いに着目した事例はまだ多くありません。
しかし実際には、訪日外国人女性旅行者は安心・安全への配慮や清潔感、写真映えする体験の質を重視するなど、男性旅行者とは異なる消費行動を示す傾向があります。
宿泊施設・飲食店・体験プログラム提供事業者にとって、こうした女性ならではのニーズを理解し対応することは、新たな集客の切り口になり得ます。本記事では、訪日外国人女性旅行者が求める具体的なニーズと、業種別の対応ポイントを解説します。
この記事でわかること
- ・訪日外国人女性旅行者の行動特性と消費傾向
- ・女性旅行者が重視する「安心・清潔・写真映え」という3つのニーズ
- ・宿泊・飲食・体験など業種別の具体的な集客ポイントとSNS活用のコツ
▼目次
1. 訪日外国人女性旅行者とは?行動特性と消費傾向
増加するおひとり様・女子旅の訪日需要
報道によると、訪日中国人旅行者のうち「一人旅」で来日した人の割合は2025年4〜6月期に23.5%と、コロナ禍前の2019年通年の12.2%からおよそ2倍弱まで上昇しました(出典:日本経済新聞「訪日中国客4分の1が『一人旅』 4~6月、19年比で2倍 女性に人気、観光多様化」)。
同時期の中国人訪日客全体に占める女性の割合は6割を超えており、いわゆる「女子旅」需要の広がりが、おひとりさま旅行の増加を後押ししていると考えられます。
訪日外国人数そのものも、日本政府観光局(JNTO)の発表によれば2025年は4,268万3,600人と前年比15.8%増加し、過去最高を更新しました。市場全体が拡大するなかで、女性旅行者という切り口の重要性は今後さらに高まっていくでしょう。
男性旅行者とは異なる消費傾向(体験・美容・写真映え重視)
消費傾向にも違いが表れています。ホットペッパービューティーアカデミーの調査では、訪日外国人旅行者の50.2%が日本の美容サロンを「利用してみたい」と回答しており(出典:株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調査、2024年)、美容・エステ・ネイルといった「コト消費」への関心の高さがうかがえます。
こうした美容体験や伝統文化体験は、写真や動画で発信しやすいコンテンツでもあり、SNSでの拡散を意識した体験づくりが女性旅行者の集客において重要な意味を持ちます。
男性旅行者が交通の利便性や食事のボリューム・コストパフォーマンスを重視する傾向があるのに対し、女性旅行者は体験の質や写真映え、清潔感といった要素をより重視する傾向にあると考えられます。
2. 訪日外国人女性旅行者が求める3つのニーズ
安心・安全への配慮(防犯・夜間の移動・女性専用設備)
訪日外国人女性旅行者にとって、安心・安全は旅行先を選ぶうえで欠かせない条件です。米保険会社バークシャー・ハサウェイ・トラベル・プロテクション(BHTP)が発表した「最も安全な旅行先ランキング2026」では、日本は9位にランクインし、暴力犯罪の少なさと交通安全の分野で世界トップと評価されました(出典:BHTP調査、2025年11月発表)。
また、手荷物保管サービスを展開するBounce社が34カ国を対象に実施した「女性のひとり旅が安全な国ランキング」でも、日本は10位に入り、女性の殺人被害者数の少なさ(人口10万人あたり0.3人、世界銀行2018年データ)では1位を獲得しています。
こうした客観的な評価を裏付けるように、宿泊施設では女性専用フロアやオートロック、24時間対応のフロントなど、防犯面での配慮を明示することが安心感につながります。夜間の移動が不安という声に対しては、最寄り駅からの送迎や、夜道が少ない動線の案内も有効です。
清潔感・快適さ(パウダールーム・トイレ環境)
清潔で快適な環境も、女性旅行者にとって重要な判断基準です。特にトイレやパウダールームの清潔さ、洗面台の広さ、鏡の数などは、口コミサイトやSNSで具体的に言及されやすいポイントです。
宿泊施設であれば客室内のバスルームの使いやすさやアメニティの充実度、飲食店であれば洗面スペースの清潔さやパウダースペースの有無が、再訪意欲や口コミ評価に直結します。
体験・アクティビティ施設でも、更衣室やロッカーの清潔さ、荷物を安全に預けられる環境を整えることが、女性客の満足度を高めるうえで欠かせません。設備投資が難しい場合でも、清掃の頻度を上げる、アメニティを女性向けに見直すといった工夫から着手できます。
清掃状況や設備の様子を写真付きで発信サイトに掲載しておくことも、来訪前の不安を減らし、予約の後押しになります。
写真映え・体験の質(インスタ映えスポット・体験プログラム)
写真や動画に残せる体験の質も、訪日外国人女性旅行者にとって重要な要素です。桜や紅葉、和装体験、光や色彩が美しい撮影スポットなど、視覚的な魅力があるコンテンツは、SNSでの発信を通じて次の集客につながりやすい特徴があります。
単なる観光地の紹介にとどまらず、体験プログラムの内容自体を「写真映え」の観点から設計することも有効です。例えば、盛り付けが華やかな食事、手作り体験の完成品を持ち帰れる工芸体験、伝統衣装での撮影サービスなどは、女性旅行者の満足度と発信意欲の両方を高めます。加えて、多言語での撮影スポット案内や、混雑を避けられる時間帯の情報提供も、満足度の高い体験づくりに役立ちます。
3. 業種別・訪日外国人女性旅行者の集客ポイント
宿泊施設(女性専用フロア・アメニティ充実)
宿泊施設においては、女性専用フロアやレディースルームの設置、オートロックや防犯カメラといった安全設備の明示が、予約の後押しになります。
アメニティ面では、化粧水・乳液・ヘアケア用品の種類を増やす、パウダールームを充実させる、ドライヤーの性能を上げるといった対応が、女性旅行者からの評価に直結します。
加えて、館内表示や予約サイトの説明文に「女性に配慮した設備がある」ことを明記するだけでも、安心感を伝える効果があります。設備投資が難しい場合は、既存の客室内で完結する範囲から改善を始めるとよいでしょう。
多言語対応のスタッフ配置や、実際に宿泊した女性旅行者の声を予約サイトで積極的に紹介することも、初めて利用を検討する層の不安解消に役立ちます。
飲食店(内装・盛り付け・ヘルシーメニュー)
飲食店では、内装の清潔感や照明の柔らかさ、盛り付けの美しさが重視される傾向にあります。彩り豊かな野菜料理や、量を選べるメニュー、ヘルシー志向に対応した低カロリー・グルテンフリーなどの選択肢を用意することも、女性旅行者の来店動機になります。
また、一人でも入りやすい席の配置や、女性同士の会話がしやすい半個室・テーブル席の確保も効果的です。
写真映えを意識したメニュー名や盛り付けの工夫は、SNSでの自然な発信につながり、追加の広告費をかけずに認知を広げる手段にもなります。
多言語のメニュー表記やアレルギー表示を丁寧に用意することも、安心して食事を楽しんでもらうための基本的な配慮といえます。
体験・アクティビティ(美容・伝統文化体験)
体験・アクティビティ事業者にとっては、着物や浴衣の着付け体験、和菓子づくり、書道や生け花といった伝統文化体験が、女性旅行者から根強い人気を集めています。
美容・エステ・温泉といった「癒やし」をテーマにした体験も相性がよく、前述のとおり訪日外国人旅行者の美容サロンへの利用意向は50.2%にのぼるという調査結果もあります(出典:ホットペッパービューティーアカデミー調査、2024年)。
体験プログラムの設計にあたっては、所要時間を短めに設定し、写真撮影の時間を組み込むなど、限られた旅程の中でも参加しやすい構成にすることがポイントです。
一人での参加のしやすさを明示し、他の参加者と一緒に体験できる少人数制のプログラムを用意することも、女性旅行者の申し込みへの心理的なハードルを下げます。
4. SNS・口コミを活用した集客のポイント
Instagram・TikTokでの発信の重要性
訪日外国人女性旅行者の情報収集において、SNSは欠かせない存在です。国内のZ世代女性を対象とした調査では、旅先を決める際に参考にする情報源の1位は「SNS(個人)」(67.55%)で、参考にするSNSプラットフォームとしてはInstagramが74.74%と7割を超えました(出典:株式会社MERY「Z世代研究所 お出かけ調査」、2024年)。
訪日旅行を検討する外国人女性についても同様の傾向がみられ、Instagramの投稿やリール、TikTokのショート動画から旅行先の情報を得るケースが増えています。
事業者側としては、写真映えする瞬間を意識した投稿だけでなく、実際に来店・宿泊した旅行者が自然に投稿したくなるような空間・体験づくりが、継続的な集客につながります。
女性同士の口コミ・レビューが持つ影響力
女性旅行者は、同性の口コミやレビューを重視する傾向が強く、旅行予約サイトやSNS上での評価が意思決定に大きく影響します。
特に、清潔さや安全性、スタッフの対応の丁寧さといった定性的な情報は、写真だけでは伝わりにくいため、実際に利用した女性旅行者のレビューが強い説得材料になります。
口コミを増やすためには、体験後にレビュー投稿を丁寧に依頼する、多言語対応のレビュー欄を用意するといった地道な取り組みが効果的です。
ネガティブな口コミが投稿された場合も、誠実に返信する姿勢を見せることが、他の閲覧者からの信頼獲得につながります。
5. よくある質問(FAQ)
Q1. 訪日外国人女性旅行者を集客する上で、最も重視すべきポイントは何ですか?
安心・安全への配慮、清潔感・快適さ、写真映えする体験の質という3つのニーズへの対応が基本です。特に防犯面の安心感は、宿泊施設・飲食店を問わず重視される傾向にあります。
Q2. 訪日外国人の女性一人旅は本当に増えていますか?
訪日中国人旅行者の一人旅比率は2025年4〜6月期に23.5%と、2019年通年の12.2%からおよそ2倍弱に増加しており、女性の人気がその増加を後押ししていると報じられています(出典:日本経済新聞)。
Q3. 宿泊施設ではどのような設備が女性旅行者に評価されますか?
女性専用フロアやオートロック、防犯カメラといった安全面の設備に加え、アメニティの種類やパウダールームの充実度が評価されやすい傾向にあります。
Q4. 飲食店で女性旅行者の来店を増やすにはどうすればよいですか?
盛り付けの美しさやヘルシーメニューの充実、一人でも入りやすい席の配置などが有効です。写真映えするメニューはSNSでの自然な発信にもつながります。
Q5. 訪日外国人女性旅行者への集客にSNSはどの程度重要ですか?
旅先の情報収集でSNSを参考にする女性は多く、特にInstagramの影響力は大きいとされています。写真や動画を意識した体験・空間づくりが集客に直結します。
Q6. 訪日外国人向けの集客ノウハウは、どこに相談できますか?
「Digima〜出島〜」では、訪日外国人向けマーケティングの実績を持つ支援企業への相談やセミナー参加が可能です。自社の状況に合った支援内容を無料で確認できます。
6. まとめ
訪日外国人マーケティングというと国籍や世代別の切り口が注目されがちですが、性別による行動特性の違いに着目することも、新たな集客のヒントになります。
訪日外国人女性旅行者は、安心・安全への配慮、清潔感・快適さ、写真映えする体験の質という3つのニーズを重視する傾向にあり、宿泊施設・飲食店・体験提供事業者それぞれの立場で対応できるポイントは数多くあります。
SNSや口コミの影響力が大きい点も踏まえ、体験の質を高めながら発信されやすい環境を整えることが、中長期的な集客力の向上につながります。
7. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。訪日外国人向けマーケティングの実績を持つ支援企業を探すことも可能です。
女性旅行者への対応方針や具体的な集客施策でお悩みの場合は、まず無料相談で自社の状況を整理してみることをおすすめします。
また、インバウンドマーケティングの最新トレンドを学びたい方には、定期的に開催しているセミナーへの参加もおすすめです。
参考文献
・やまとごころ.jp「2025年の訪日客数4268万人、前年比15.8%増で過去最高を更新」(2026年)
https://yamatogokoro.jp/inbound_data/59128/
・日本経済新聞「訪日中国客4分の1が『一人旅』 4~6月、19年比で2倍 女性に人気、観光多様化」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO91379660Y5A910C2EA2000/
・株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容サロンにおけるインバウンド実態調査」(2024年)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002727.000011414.html
・株式会社MERY「Z世代研究所 お出かけ調査」(2024年)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000029212.html
・TravelVoice「最も安全な旅行先ランキング2026、日本は9位にランクイン、治安や交通安全ではトップに」(2025年11月)
https://www.travelvoice.jp/20251104-158672
・やまとごころ.jp「女性のひとり旅、最も安全に楽しめる国はどこ、日本の順位は?」
https://yamatogokoro.jp/inbound_data/47620/
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