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海外ビジネスの成否を分ける「デスクリサーチ」完全ガイド ~ シリーズ:中小企業のための海外ビジネス成功完全マニュアル Vol.4

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海外展開に興味を持たれている日本の中小企業の皆さんこんにちは。合同会社サウスポイントです。いつも本シリーズ「中小企業のための海外ビジネス成功完全マニュアル」をお読みいただきありがとうございます。本日は海外ビジネスの成否を分ける「デスクリサーチ」の重要性と具体的な進め方について、詳しく解説したいと思います。

国内市場が成熟する中、多くの経営者が海外展開やインバウンドビジネスに活路を見出そうとしています。しかし、その輝かしい可能性の裏には、「文化の違い」「法規制の壁」「予測不能な市場トレンド」等、多くのリスクが潜んでいます。

「現地のことは、行ってみなければ分からない」
「まずはテストマーケティングだ、とりあえず売ってみよう」
「現地の有力バイヤーに会って話をしたら色々わかるさ」

こうした行動力は経営者にとって不可欠な資質です。しかし、羅針盤も海図も持たずに荒波に漕ぎ出すのは、無謀な賭けと言わざるを得ないように、海外ビジネスにも「羅針盤」や「海図」の役割を果たすものが必要です。その重要な一部が、今回解説する「デスクリサーチ」です。

無駄な投資を避け、成功確率を飛躍的に高める戦略の土台作り。本記事では、海外ビジネスに挑む経営者の皆様が、勘や国内の成功体験に頼るのではなく、データに基づいた意思決定を下すための「デスクリサーチ」のポイントを、実践的なステップに沿って網羅的に解説します。

1. デスクリサーチとは何か ~ 勘と経験に頼らない海外ビジネス

「デスクリサーチ」(Desk Research)とは、その名の通り「机(デスク)の上」で完結するリサーチ手法です。具体的には、インターネット、業界レポート、統計データ、文献、新聞、雑誌など、既に公開されている情報(二次情報)を収集・分析することを指します。これは、実際に現地に赴いてインタビューやアンケート調査、視察を行う「フィールドワーク(Field Work)」と対比される概念です。

なぜ、海外ビジネスの第一歩がフィールドワークではなく、デスクリサーチなのでしょうか?それは、デスクリサーチが「低コスト・短時間で、市場の全体像と構造を把握する」ために最も効率的な手段だからです。

現地に飛ぶには多大なコストと時間がかかります。しかし、デスクリサーチであれば、日本にいながらにして、その国の市場規模、成長性、法規制、主要な競合、さらにはターゲットとなる人々のライフスタイルまで、かなりの解像度で把握することが可能です。

経営者にとってのデスクリサーチの価値は、「感覚的な意思決定」を「データに基づく意思決定」へと転換させる点にあります。資金・人材・時間の制約が多く、失敗が許されない中小企業にとっては、このステップを省略したり、軽視したりしてはなりません。デスクリサーチは海外ビジネスの成否を分ける超重要ポイントだと心得てください。

2. デスクリサーチを成功させるために

デスクリサーチは、単なる「情報集め」の作業ではありません。成功のための戦略立案に直結する「知的な生産活動」です。この知的な生産活動の成否は、リサーチを開始する前の「設計図」で9割決まると言っても過言ではありません。

2.1. リサーチ目的の明確化

最も重要なステップです。ここが曖昧なまま「とりあえず調べてみよう」と始めると、情報の海に溺れ、時間を浪費し、漫然とした断片的な情報が集まるだけに終わります。
目的の明確化で重要なことは「何を知りたいか」という主観的な問いを立てることではありません。「何を(あるいは、どう)決断する」のかと、「決断するために、何を知る必要があるか」という客観性のある問いを立てることです。具体的な例を挙げて、解説しましょう。

悪い例(曖昧な目的):

「タイの市場について知りたい」
「欧米からのインバウンド客について調べたい」

これでは、目的が漫然としすぎているのは明らかですね。

良い例(明確な目的):

【海外進出】
「当社の健康志向の高級日本茶(製品)を、タイのバンコク(市場)の中高年の上位中間層~富裕層(ターゲット)向けにEC販売(チャネル)することが可能か判断するため(目的)、現地の競合製品の価格帯、主要なECプラットフォーム、および関連法規(輸入規制・関税)を知りたい。」

【インバウンド】
「当旅館の『伝統文化体験プラン』(製品)を、ドイツ・フランスからの30~40代の・個人旅行(FIT)者で日本旅行リピーター(ターゲット)に訴求するため(目的)、彼らが旅行計画時に最も信頼している情報源(SNS、インフルエンサー、メディア)と、彼らが『コト消費』に求める価値観(本物志向、写真映えなど)、販売チャネル(予約サイト、旅行代理店等)を知りたい。」

これなら、目的は極めて明確です。目的が明確であれば、集めるべき情報と、切り捨てるべき情報が自ずと見えてきます。

2.2. 調査項目の体系化・明確化

目的が定まったら、それを達成するために必要な情報を整理します。ここではビジネスフレームワークの活用が非常に有効です。(いくつかのフレームワークを、シリーズ2シリーズ3でも解説しているのでそちらもご一読ください。)下記にその一例をお示しします

マクロ環境分析(PEST分析など)

・Politics (政治・法規制): 政情安定度、外資規制、関税、労働法、(インバウンドなら)ビザ要件、対日感情など。

・Economy (経済): GDP成長率、物価、為替レート、最低賃金、可処分所得など。

・Society (社会・文化): 人口動態、宗教、言語、ライフスタイル、価値観、日本文化への関心度、主要なSNS、流行など。

・Technology (技術): インターネット普及率、EC化率、物流インフラ、主要な決済手段(キャッシュレス比率)など。

ミクロ環境分析(3C分析など)

・Customer (市場・顧客): 市場規模、成長性、ターゲット層のデモグラフィック(年齢、性別、所得)とサイコグラフィック(価値観、趣味嗜好)、情報収集行動、購買決定要因(KBF)など。

・Competitor (競合): 現地企業、日系企業、その他外資企業は誰か。各社の強み・弱み、製品ラインナップ、価格帯、プロモーション戦略、シェアなど。

・Company (自社): (これはデスクリサーチ対象外ですが、上記2つと比較するために整理)

これらの項目を事前にリストアップすることで、リサーチが網羅的かつ効率的になります。

3. 信頼できる情報源の選定

調査項目が決まったら、いよいよ具体的な情報収集です。しかし、インターネットの情報は玉石混交なのが現実です。経営判断の材料とするには、信頼できる情報源を見極める「目利き」が不可欠です。 優先順位の高い順に、それぞれの特徴を見ていきましょう。

3.1. 公的機関の情報

政府機関や国際機関が発表するデータは、最も信頼性が高い「一次情報」です。マクロ環境や市場の全体像を把握する上で欠かせません。

主な情報源:

JETRO (日本貿易振興機構): 国・地域別情報、各種レポート、貿易投資相談Q&Aなど、海外ビジネスの情報の宝庫です。

JNTO (日本政府観光局): 訪日外客統計、国別の市場動向レポートなど、インバウンド戦略の必須のデータが揃います。

各国政府の統計局、中央銀行、観光庁: 人口動態、経済指標、入国者数など、極めて信頼度の高いデータソースです。

国際機関 (世界銀行, IMF, OECD,国連の専門機関など): グローバルな視点での経済見通しや統計データが得られます。

3.2. メディア・報道

主な情報源:

・日本の主要新聞、経済誌の外信面(海外ニュース)
・現地の主要新聞、経済誌(オンライン版含む)
・現地の業界専門メディア、業界団体のレポート
(日系・外資系の)信頼できるシンクタンクが発行する分析レポート

3.3. 競合企業・先発企業

競合他社や先行する企業を分析することは、実践的な戦略を作る上で欠かせません。既に同業他社の進出事例がある場合は、先発企業の事例を詳細にチェックしましょう。

主な情報源:

・競合他社(現地企業、日系含む)の公式ウェブサイト、プレスリリース、IR情報(上場企業の場合)
・現地の主要ECサイト(Amazon, Shopee, Lazada, Tmallなど)での販売価格、製品レビュー、プロモーション手法
・(インバウンドなら)競合となるホテルやアクティビティ事業者のウェブサイト、OTA(Expedia, Booking.comなど)での打ち出し方

3.4. SNSや口コミ

データやレポートでは見えない、ターゲット消費者の「生の声」を拾うために不可欠です。特にインバウンド戦略では極めて重要です。

主な情報源:

グローバル: Instagram, Facebook, X (Twitter), TikTok, Reddit, TripAdvisor, Google Maps
中国: 小紅書 (RED), Weibo (微博), Douyin (抖音)
韓国: NAVER Blog, Instagram
※国によって主流のプラットフォームが全く異なる点に注意が必要です。

3.5. それぞれのメリット、デメリット

これらの情報源は一長一短であり、偏った情報収集は判断を誤らせます。公的機関の「マクロな事実」と、SNSの「ミクロな本音」を組み合わせるなど、多角的に情報を集めることが重要です。以下の表は情報源のメリット・デメリットを簡単にまとめたものです。

4. 専門の調査会社によるウェブアンケートの活用

「リサーチの重要性は分かったが、自社にリソース(人手、時間、語学力)がない」、「デスクリサーチだけでは決定的な情報がわからなかった」という経営者の方も多いでしょう。そのような場合には、デスクリサーチの延長として、調査会社を起用し、ウェブアンケートすることは有効な選択肢です。
調査会社を活用してウェブアンケートを実施するメリットは、単なる「作業代行」ではありません。以下に調査会社を使うメリットをまとめてました。

専門性とアクセス:
リサーチの専門家が体系的に調査を行うだけでなく、一般にはアクセスが難しい有料データベースや、特定のターゲット層に直接アプローチできる大規模な調査パネルを活用した情報収集が可能です。

客観性:
社内の希望的観測やバイアスを排除した、第三者による客観的な分析結果が得られます。また専門の調査会社は信頼できるパネル(アンケート回答者)を持っており、中小企業では実現できない信頼性の高いアンケートを実施できます。

時間短縮:
経営者や担当者は、情報収集やアンケート実施といった「作業」から解放され、リサーチ結果に基づく「戦略立案と意思決定」という本来の業務に集中できます。

いくつかの日本の大手調査会社は、アジア、欧米、中南米など、世界数十カ国にまたがる大規模な独自の消費者パネルネットワークを保有しています。工夫次第では中小企業でも手の届く価格でオリジナルのアンケート調査を行うことができます。

例えば、「この製品コンセプトは、オーストラリアの20-30代女性に響くか?」「この地域のインバウンド観光客への認知度はどれくらいか?」等を、ウェブアンケートで比較的低コストかつ迅速に、定量的に検証することが可能になります。これは、デスクリサーチでは追いかけきれない情報を集めるための次のステップとして極めて有効です。

もちろんコストはかかりますが、誤った戦略による数千万円~数億円規模の無駄な投資と時間の浪費による機会損失を考えれば、初期段階でのリサーチ費用は「コスト」ではなく、将来の損失を防ぐ「保険」であり、成功への「投資」と言えるでしょう。

ただし、調査会社に「丸投げ」してはいけません。前述のように「デスクリサーチの 目的と調査項目」を自社で徹底的に考え抜き、それを調査会社と共有し、パートナーとして伴走してもらう姿勢が、活用の成否を分けます。

5. デスクリサーチの注意点

最後に、経営者が陥りがちなデスクリサーチの注意点について解説します。チェックリストとして活用してください。

□チェックポイント1.情報の「鮮度」と「信頼性」には問題ないか。

得られた情報は、常に「その情報はいつのものか?」「誰が(どの機関が)発表したものか?」を自問してください。特にコロナ禍を経て、世界の消費行動や観光動態は激変しました。3年前の情報は、もはや「過去」かもしれません。

□チェックポイント2.「日本語の情報」だけで判断していないか。

日本語の情報だけで判断することは、デスクリサーチに潜む最も危険な罠の一つです。日本語で得られる海外情報は、誰かが翻訳・編集した「二次情報」に過ぎず、情報が古かったり、偏っていたりするリスクがあります。

特に「日本はすごい」という発信には警戒を怠らないでください。日本語で書かれた、日本や日本製品・サービスを持ち上げる記事は、インターネットでのアクセスを集めやすいため、大げさに書いていることや真偽不明の情報が少なくありません。

この罠にはまらないためには、必ず現地語や英語でも同様の検索をしてください。現地語が読めなくとも、AIや翻訳ツールを駆使してでも一次情報(現地の報道、政府発表、競合サイト)にあたる執念が、情報の精度を左右します。

□チェックポイント3.自社の「バイアス(思い込み)」が入っていないか

「日本で受け入れられているものは、海外でもウケるはずだ」「インバウンド客は皆、日本の伝統が好きだろう」といった、国内での成功体験や固定観念は捨ててください。リサーチは「仮説を裏付けるため」ではなく「事実をフラットに知るため」に行うものです。 仮説に反する不都合な真実こそ、本当に知るべき価値ある情報であり、もしそれにたどり着いたなら、デスクリサーチは「成功」と言えます。

□チェックポイント4.情報集めが目的化していないか

情報を集めることが目的化し、分析に時間をかけすぎて意思決定ができなくなっては本末転倒です。残念ながら、日々刻々変化する海外ビジネスでは、デスクリサーチだけで100%の完璧な情報を得ることは不可能です。

「想定の8割の情報が集まったら、いったん判断し、必要なら次の仮説を立てる」、「今ある情報で最善の意思決定は何か」を常に意識しましょう。リサーチのためのリサーチになることは絶対に避けてください。

□チェックポイント5.デスクリサーチの「限界」を理解しているか

デスクリサーチで分かるのは、あくまで「事実(What)」や「傾向(How)」です。しかし、ビジネスで本当に重要なのは、ターゲットが「なぜ(Why)」そう考えるのかと、その背景に対する深い洞察、そして製品やサービスを通じての「なぜ」に対する回答です。

デスクリサーチは重要ですが万能ではありません。ここで得た仮説を検証するために、次のステップである「フィールドワーク(現地調査、インタビュー等)、あるいは前述のウェブアンケートなど)」が必要になることを忘れてはなりません。

結論:デスクリサーチなき海外進出に、成功はない

海外ビジネスやインバウンド事業において、デスクリサーチは「羅針盤」であり「海図」です。これを持たずに航海に出ることは、勘と度胸に頼った無謀なギャンブルに他なりません。

無料で始められ、戦略の精度を劇的に高め、無用なリスクを回避することができる「デスクリサーチ」。これほど費用対効果の高い「投資」は他にありません。失敗の許されない中小企業こそ、精度の高いデスクリサーチが必要です。

経営者の皆様には、ぜひこの「デスクリサーチ」を、海外ビジネスにおける最初の、そして最も重要な戦略的ステップとして位置づけていただきたいと思います。海外進出の第一歩は、皆さんの「机の上」から始まります。世界市場への確かな歩みを、ここから踏み出してください。

デスクリサーチのサポートなら「サウスポイント」にお任せ下さい!

「デスクリサーチに必要な項目作りを手伝ってほしい」
「どのように情報を集めればいいのか」

もし、そういった疑問や不安をお持ちでしたら、ぜひ私たち合同会社サウスポイントにご相談ください。私たちは世界と日本を結ぶ架け橋「沖縄」から、これまで数多くの日本企業様の海外展開をサポートしてまいりました。貴社の現状と目標に合わせて、デスクリサーチからフィールドワークまでサポート可能です。

なお、本シリーズ「中小企業のための海外ビジネス成功完全マニュアル」は全12回の連載です。次回以降も、海外進出を成功させるための情報を順次公開予定です。これからも応援よろしくお願いします!

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