中国の飲食店出店|食品経営許可と日本食材の輸入規制、開業までの流れ
中国に飲食店を出すときに、日本と大きく違うのは食材です。店舗の許可は定められた期間で下りる仕組みになっていますが、日本から持ち込みたい食材は産地や工場の登録によって輸入できないことがあります。メニューを決めてから仕入れ先を探すと行き詰まるので、現地で作れる味を先に考えます。
中国の飲食市場は2025年に5兆7,982億元に達しましたが、競争も激しく、店の入れ替わりが多い市場です。市場の状況、食品経営許可の手続き、日本の食材の輸入規制、店舗と人の準備、開業までの流れを解説します。
この記事でわかること
- ・中国の飲食市場の規模と競争の激しさ
- ・飲食店の開業に必要な食品経営許可
- ・日本の食材を使うときの輸入規制と現地調達
- ・店舗の立地、衛生、人の育て方
- ・中国に飲食店を出すまでの流れ
▼目次
1. 中国の飲食市場は大きく店の入れ替わりも多い
中国の飲食市場は日本とは桁の違う大きさです。ただ、参入する店も閉じる店も多く、価格競争も厳しくなっています。日本で人気があることは、中国で売れる理由の1つにはなっても、十分な理由にはなりません。市場の規模、競争の状況、日系の飲食チェーンの動きを確かめて、出店する意味を考えます。
飲食収入は5兆7,982億元で3.2%の伸び
中国国家統計局によると、2025年の飲食収入は5兆7,982億元で、前年より3.2%増えました。小売全体の3.7%増を下回っていて、勢いは以前より落ち着いています。とはいえ規模は非常に大きく、地域や業態によって伸びているところもあります。全国の平均だけを見ず、狙う都市の所得と外食の習慣、競合の価格を調べます。デリバリーの比率が高いことも、日本の市場との大きな違いです。
店の入れ替わりが激しく価格競争も厳しい
報道によると、中国の飲食店は約700万店あり、1年で約半数が閉店し、ほぼ同じ数が開店しているといわれます。正確な数字は調査によって異なりますが、参入しやすい分だけ入れ替わりが激しい市場です。低価格の店が増えていて、高めの価格を維持するには理由が必要です。開業の資金だけでなく、売上が安定するまでの運転資金を見込んでおかないと、良い店でも続けられません。
日系の飲食チェーンにも話題の店がある
厳しい市場の中でも、日本の飲食チェーンが支持を集める例があります。東洋経済の報道によると、スシローが2025年12月に上海で1号店を出したときは、待ち時間が10時間を超えました。日本の外食への関心は続いています。ただし、大手は価格と品質を両立させる仕組みを持っています。自社の強みが何で、それを中国でも再現できるのかを考えることが出発点です。飲食業のメリットは日本の飲食業の中国進出の解説でも紹介しています。
出典:中国国家統計局「2025年12月份社会消费品零售总额增长0.9%」(2026年10月確認),ビジネス+IT「年350万が閉店…中国の飲食店が今ヤバい」(2026年10月確認),東洋経済オンライン(2026年10月確認)
2. 中国の飲食店出店に必要な許可

飲食業は、外商投資のネガティブリストに区分が設けられていません。外資でも現地法人を作って店を出せます。その代わり、食品の安全についての許可が欠かせず、店舗の設備も審査の対象です。物件を決めてから許可が取れないと分かると、家賃だけが出ていきます。会社の設立、食品経営許可、店舗の確認を順に説明します。
現地法人を設立して店舗の住所で登記する
自社で店を運営するには、中国に現地法人を設立して、市場監督管理部門で登記をします。ジェトロの情報では、外資の会社の形として法人企業などがあり、必要な書類は投資の形で変わります。店舗の住所を登記するときは、賃貸借契約が必要になることがあるので、物件探しと並行して進めます。経営範囲には飲食サービスを入れます。店舗を増やす計画があるなら、支店の登記の扱いも最初に確かめておきます。
食品経営許可は10営業日以内の決定が原則
飲食店には食品経営許可が必要です。2023年12月1日に施行された管理弁法では、地方の市場監督管理部門が申請の受理から10営業日以内に許可するかを決め、必要なら5営業日まで延ばせるとされています。許可証の有効期間は5年です。審査では、調理場の配置、衛生の設備、食品安全の管理体制などが確かめられます。実際の運用は地域で異なるので、内装の設計の前に、所管の部門の案内を確かめます。
消防と環境の確認は内装の前に確かめる
飲食店は火と油を使うので、消防の確認や排気、排水についての基準が厳しくなります。商業施設によっては、飲食が入れる区画や排気の設備が限られています。物件の契約の前に、調理の方法に合う設備を設置できるかを確かめます。後から排気を通せないと分かると、メニューを変えるか物件をあきらめることになります。内装の注意点は中国店舗の内装の解説にまとめています。
出典:中国政府網「食品经营许可和备案管理办法」(2026年10月確認),中国商務部「外商投资准入特别管理措施(2024年版)」(2026年10月確認),ジェトロ「外国企業の会社設立手続き・必要書類」(2026年10月確認)
3. 日本の食材は産地と工場の登録を先に確かめる

日本の味を出すために日本の食材を使いたいと考える企業は多いはずです。ただ、中国には日本産の食品についての輸入規制があり、産地や品目によっては輸入できません。工場の登録がないと輸入できない食品もあります。メニューを決める前に、使いたい食材を1つずつ確かめます。現地で作る方法とあわせて考えます。
10都県の食品は輸入が止まっている
中国は福島、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、新潟、長野の10都県で作られた食品の輸入を止めています。新潟県産の精米は例外です。それ以外の地域でも、野菜や果物、乳製品、茶葉などは事実上輸入できないとされています。農林水産省とジェトロの資料で、自社の使いたい品目の扱いを確かめます。産地が複数ある原料を使った加工食品は、特に注意します。
水産物は条件つきで最新の確認が要る
水産物は2023年8月に全面的に止まり、2025年6月29日から10都県を除く地域の産品について、条件つきで再開されました。放射性物質の検査や産地の証明に加えて、水産物の加工施設の再登録が必要です。2025年11月の報道では、申請した697施設のうち輸出できるのは3施設にとどまっていました。寿司や海鮮のメニューは、日本からの調達に頼らない計画を立てます。最新の状況は仕入れの前に確かめてください。
書類と登録の不備で止まる例が多い
ジェトロの分析によると、日本産の食品が中国で輸入を認められなかった例の60.2%は、書類と登録の不備でした。2025年は飲料と酒類が全体の50.8%を占めています。海外の食品工場の登録情報、輸出の証明書、インボイス、ラベルの表記を一致させ、5年ごとの登録の更新を管理します。2026年6月1日には登録の新しい規定(280号)が施行される予定とされていたので、対象の品目は施行後の内容を確かめます。
出典:農林水産省「中国の輸入規制の概要」(2026年10月確認),ジェトロ「水産物の輸入規制、輸入手続き(中国)」(2026年10月確認),ジェトロ「中国食品輸入規制分析(2)輸入不許可の60%が書類違反(日本編)」(2026年10月確認),OANDA マーケットニュース「日本産水産物の対中輸出再開」(2026年10月確認)
4. 飲食店の立地と味と人の決め方
許可と食材の見通しが立ったら、どの場所で、どの味と価格で、誰が運営するのかを決めます。日本の店をそのまま持っていくのではなく、守るものと変えるものを分けることで、現地で続けられる店になります。立地の選び方、味と価格の決め方、人の採用と教育を順に説明します。
客層と昼夜の人の流れで場所を選ぶ
同じ都市でも、オフィス街は昼の需要、住宅地は夜と週末、ショッピングモールは買い物客と、客層が変わります。候補の場所を昼と夜に訪ね、人の流れと周りの店の価格を確かめます。デリバリーが多い地域なら、広い客席や高い賃料の場所でなくても売上を作れます。賃料には歩合が入ることもあるので、売上の見込みごとに利益を計算します。退店の条件も、契約の前に読んでおきます。
守る味と変える味を分けて試食する
現地で調達した材料で、日本の味をどこまで再現できるかを試作します。看板のメニューで守る部分と、現地の好みに合わせて変える部分を分けます。価格は競合と客層から逆算し、原価の中で高い材料を置き換えられないかを検討します。醤油やだしを現地で作る工場と組む方法もあります。試食は日本人だけでなく、狙う客層の中国の人にしてもらいます。日本人の評価と違うことが、最も大切な情報になります。
店長に任せる範囲を決めて人を育てる
飲食店は人の入れ替わりが多いので、作業の手順を写真や動画で残し、誰でも同じ品質で作れるようにします。日本の接客をそのまま求めるのではなく、なぜそうするのかを説明します。店長には、シフト、仕入れの発注、販促についてどこまで任せるのかを決めておきます。労働契約や社会保険の手続きは現地の法律に沿って進めます。本社から人を送る期間と、現地の店長に交代する時期も最初に決めます。
5. 中国に飲食店を出すまでの流れ

飲食店の出店では、物件を見つけてから慌てて会社を作ると、許可や工事の遅れで家賃だけを払うことになります。図の順番で進めると、準備の手戻りを減らせます。直営で出すのか、現地の企業と組むのかもこの段階で決めます。各段階で確かめることを説明します。商標の登録は早いほど安全なので最初に動きます。
市場と味を確かめて商標を押さえる
最初に現地を訪ねて競合の店を食べ歩き、価格と味を確かめます。試作の段階で、食材の調達先の候補も探します。あわせて、店名とロゴの商標を中国で登録します。中国は先に出願した者が優先される仕組みなので、進出を決める前でも早めに動く価値があります。中国語の店名も考えて登録します。発音や意味が中国語でどう受け取られるかを、現地の人に確かめてから決めます。
直営か現地企業との提携かを決める
自社で運営するなら、味とブランドを管理しやすくなります。現地の企業とフランチャイズや合弁を組むなら、物件や人材、行政との手続きで相手の力を借りられます。ただし、品質の基準を守らせる仕組みが必要です。1店舗目は直営で売り方を固め、広げる段階で提携に切り替える方法もあります。契約の前に、相手の店舗を実際に見て、運営の水準を確かめます。信用調査も行います。
物件の前に許可の要件を確かめて開業する
物件の候補が出たら、契約の前に排気と消防、食品経営許可の要件を確かめます。そのうえで契約し、会社の登記、内装、許可の申請、採用と研修を並行して進めます。工事の遅れは珍しくないので、開業日を早くから告知しすぎないようにします。開業の前には、少人数の招待などで実際に営業を試します。開業の直後はSNSや予約アプリで話題を作り、レビューへの対応も欠かさず行います。
6. 開業のあとに利益を残す運営
中国の飲食店は開業の話題が落ち着いたあとが本番です。集客がアプリやSNSに頼る面が大きく、原価と賃料の管理も欠かせません。開業の直後の売上だけで判断せず、3か月から半年の数字で見ます。デリバリーの扱い、毎月の数字の見方、続けるかどうかの判断の基準を説明します。
デリバリーとアプリの手数料を計算に入れる
中国ではデリバリーや共同購入のアプリを使う消費者が多く、新しい客を集める手段になります。ただし、手数料と割引で利益が残らないことがあります。店内と同じメニューをそのまま載せず、持ち帰りに向く商品と価格を別に考えます。アプリのレビューは来店の判断に直結するので、担当者を決めて確認します。どの販路でいくら利益が残っているのかを、メニューごとに毎月確かめます。
原価と人件費と賃料を毎月確かめる
毎月の数字は、原価率、人件費率、賃料の比率を基本に見ます。現地の調達先に切り替えるだけで原価が大きく変わることもあります。一方で、仕入れ先が変わると味が変わるので、切り替えの前に試作します。店長に数字を共有すると、現場で工夫が生まれます。日本本社は細かい承認を減らし、見るべき数字と判断の基準を決めておくと、現地の動きが速くなります。為替の影響も分けて見ます。
続けるか変えるかの基準を決めておく
開業の前に、何か月で単月の黒字にするのか、累積の赤字がいくらになったら見直すのかを決めます。基準があれば、売上が伸びないときに感情で判断せずに済みます。場所を変える、業態を変える、現地の企業に運営を任せるといった選択肢もあります。撤退には契約の解除や従業員への対応、会社の清算の手続きが必要になるので、手間と費用も見込みます。うまくいった場合に2店舗目を出す基準も一緒に決めます。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 外資でも中国に飲食店を出せる?
出せます。2024年版の外商投資のネガティブリストに、飲食業の区分は設けられていません。現地法人を設立して登記し、食品経営許可を取得して営業します。ただし、会社の設立の実務や店舗の審査の運用は地域によって異なります。現地の企業と合弁やフランチャイズで組む方法もあります。計画の段階で最新の規制を確かめ、店舗の場所が決まったら、所管の部門の案内を確認してください。
Q2. 日本の食材を使えないと日本の味は出せない?
すべての材料を日本から運ばなくても、味を近づける方法はあります。現地の日系の工場や、現地で作られた調味料を使っている店もあります。看板の味を決める材料だけを、輸入できる産地と工場から調達する方法もあります。輸入できるかどうかは産地と工場の登録で決まるので、試作の前に確かめます。原価と安定供給を考えると、現地で調達できる割合を増やすほうが、続けやすい店になります。
Q3. 食品経営許可はどのくらいで取れる?
2023年に施行された管理弁法では、申請の受理から10営業日以内に決定し、必要な場合は5営業日まで延ばせるとされています。決定のあとは5営業日以内に許可証が出されます。ただし、これは申請が受理されてからの期間です。調理場の配置や設備が基準に合わないと、工事の直しが必要になり、時間がかかります。地域によって運用が違うので、内装の設計の段階から要件を確かめておくと安全です。
Q4. 小さな店でも中国に出店できる?
可能ですが、現地法人の設立と維持の費用が店の規模に比べて重くなりがちです。1店舗だけの出店では、管理の人件費も利益を圧迫します。そのため、現地の企業に味と運営を任せるフランチャイズや技術提携のほうが負担を抑えられる場合があります。逆に、商標は規模にかかわらず早く押さえておきます。自社で何を担当し、どこを任せるのかを整理してから、投資の大きさを決めます。
Q5. 開業までどのくらいの期間を見ておけばよい?
会社の設立、物件の契約、内装の工事、許可の申請、採用と研修を並行して進めるので、地域や物件によって大きく変わります。特に工事と許可は、設備の条件によって長引くことがあります。開業の時期を決めるときは、余裕を持って計画し、賃料が発生する時期と売上が立つ時期のずれを資金計画に入れます。具体的な期間は、物件と都市が決まった段階で、現地の支援企業に見積もってもらうと確実です。
8. 中国への飲食店出店をDigima〜出島〜に相談する
中国の飲食店出店は、許可、食材、立地、人のどれか1つが欠けても進みません。現地の事情を知らないまま物件を決めると、手戻りが大きくなります。自社で進める場合と相談する場合には、それぞれ次のような違いがあります。
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| 費用 | 調査の人件費がかかる | 相談と紹介は無料 |
Digima〜出島〜に相談するメリット
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