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マレーシア進出メリット・デメリット

掲載日:2016年05月24日

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photo by Elyktra on flickr

10年連続(2006年〜2015年)で日本人が移住したい国No.1に選ばれており、ビジネスもしやすい環境と言われているマレーシア。1957年のイギリスからの独立以来、一貫して政権を維持している保守政権の下、国内総生産(GDP)はアジア諸国連合(ASEAN)の中でも2位となっており、現在も成長し続けている国となっています。

それでは、そんなマレーシアに進出するメリット・デメリットとは何でしょうか? 本記事では、まずメリット・デメリットについてまとめた上で、最新の経済状況のデータをもとに補足していきます。

マレーシア進出、3つのメリットとは?

メリット1 ルックイースト政策の恩恵

ルックイースト政策は、1981年に当時のマハティール首相によって提唱されました。日本の集団主義や勤労倫理を学び、自国のビジネスに取り込もうというものです。個人の利益より集団の利益を優先しようとする事を学び、過度の個人主義や道徳・倫理の荒廃をもたらす西欧的な価値観を修正すべく提唱されました。マレーシアの発展に寄与し、アセアンの中でリーダーシップを取れるような国に急成長させてきたこの政策は現在に至るまで貫かれています。そのため、日本への理解が深く、親日国家でもあり日本語を話せる人も少なくありません。ビジネスの場面において、日本人のメンタリティやモラルをちゃんと心得ていることが大きなメリットとなります。

メリット2 積極的な外資企業の誘致

2つ目のメリットとしてあげられるのは外資に対する規制がほとんどなく、積極的に外資企業を誘致していることです。2009年以降サービス産業の自由化を発表しそれまでの外資の資本規制を緩和しました。現在は製造業、流通・サービス業では、一部を除き、100%外資が認められているため、規制緩和がマレーシア進出の後押しとなっています。

メリット3 人口増加×所得上昇=市場魅力

マレーシアの人口は約3000万人(2015年)と決して大きくなく、マーケットとしては目立ってはいません。しかし、実は人口ピラミッドがいまだにきれいな三角形を形作っており、さらに出生率も高いため、今後の人口増加率をみるとこの先10年で3500万人くらいにまでなるだろうと予測されています。それと同時にGDPも高水準で成長していて、「若年層を中心とした人口増加」×「一人当たりの所得急上昇」のカケ算によって購買力が倍々ゲームのように増えていくということが明らかになっています。市場としての魅力も非常に高くなっています。

マレーシア進出、3つのデメリットとは?

デメリット1 ブミプトラ政策によるマレー系優遇政策

マレーシアでは昔から移民が多く、イギリスから独立後、経済的に豊かな中国系人と先住民であるマレー人の対立が絶えませんでした。対立の原因が経済格差であったために、マレー人を経済的に優遇する国策がブミプトラ政策です。1971年から始まり、2009年には見直されましたが、今も名残を残しています。企業の根幹に関わるケースもあり、企業内でマレー系の人びとを優遇するよう促す政策や政治的な力学も存在します。こうしたリスクに対するマネジメントには、気をつける必要があります。

デメリット2 宗教・文化の違い、「ハラル認証」

そして、前述したとおりマレーシアは移民国家であり、様々な人種・文化によって形成されています。その中で気をつけるべき点はイスラム教におけるハラル認証です。ハラル認証とは、イスラム教が摂取を禁じている豚肉やアルコール等を使わないなど戒律に従って製造したことの証明をいいます。日本人には馴染みの薄いイスラム独特のマーケットルール、ハラル認証で苦労するマレーシア進出企業も多いのが現状です。過去にはキューピーや味の素と言った大手企業もハラル認証が取得できず、苦労することがありました。

デメリット3 多様な人種の中のジョブホッピング

東南アジアでビジネスを行うにあたって、リスクの1つとしてあげられるのがジョブホッピング(短いスパンで転職を繰り返すこと)です。マレーシアは移民国家で多様な人種が故、その対応策も多様化しているようです。人種が異なれば価値観や習慣も異なるので、それぞれの違いを理解したジョブホッピングへの対応が求められます

日本企業に有利なマレーシア、求められるのは現地適応力

上記ではメリット・デメリットを簡単にまとめました。その政策や魅力的な市場環境からやはり進出がしやすいマレーシアですが、一方、日本との文化や宗教の違いがあるため押さえるべき点がいくつかあります。ただ、その成長力はやはり著しいものがあり、一時の水準には及ばないものの、現在もGDP成長率は平均4%台をキープしています。その背景にはやはり、所得の上昇と並行した人口増加率にあり、今後もますます市場としての魅力が高まることが期待できます。さらには、「ルックイースト政策」から培われている日本への理解が後押しし日本人気も右肩上がりです。経済成長もあり、増加した富裕層をターゲットとした、日本製品のみを取り扱う伊勢丹も、2016年10月にクアラルンプールにオープンされました。

伸び続ける日本人気と成長率が日本企業の進出をさらに後押ししています。その中で、日本とは違うということをしっかり理解することが、成功の一因となってきます。難しいと言われている「ハラル認証」やプミプトラ政策に対して、現地の商習慣としっかり向き合い理解することが第一歩です。リスクをしっかり抑えることで魅力的市場であるマレーシアへの進出意義はより大きなものとなります。

深刻な通貨危機の先にさらなる発展、進出タイミングの見極めが重要

2016年、マレーシアの通貨リンギットが歴史的下落を見せました。特に、対ドルで大幅に下落しており、18年ぶりのドル高・リンギ安水準に迫っています。閉店する飲食店や建設を中断したショッピングモールがあったり、人の採用や広告・販促を控えたりなど、心理的にもリセッションが始まったという声が出始めています。マレーシア中央銀行は2016年12月2日に通貨安対策を打ち出しましたが、2017年以降の先行きはなお不透明となっているのが正直な現状です。

その要因としてナジブ政権への不安や世界的な原油価格の下落が影響。そして、ドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝って以降、同氏が掲げる積極財政を材料に米長期金利が上昇している中、今後米国への資金集中が強まるとの見方からリンギットが売られ通貨安になっています。

歴史が証明するように、景気には必ず上げ下げの波があり、今後回復に向かうことも予期されます。輸出産業がリードを続けてくれたり、新幹線を代表する内需プロジェクトでカバーしたりすることでこの苦境を凌ぐことができれば、2017年以降は上向きに転ずるのではと考えます。またリンギが歴史的に安いということは、外国から見ればマレーシア企業が割安に感じるはずなので、いまのうちにどんどん投資されやすいということでもあります。政府がさらなる規制緩和を戦略的に行うことにより、外貨獲得につながるとも思えます。今後、自社のビジネスモデルと照らし合わせて、進出をするタイミングを見極めるということが重要になってきます。

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