HSコードの基礎知識 | HSコードの調べ方&検索方法・決め方・HSコード一覧

「HSコード」とは、HS条約という「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)に関する国際条約」に基づいて定められたコード番号です。
HSコードとは、輸出入の際に、それらの商品を分類する番号であり、その番号から、その商品の関税率や、原産地規則(貨物の原産地(国籍)を決定するためのルール)を調べることができます。
つまり、HSコードとは、国際貿易における世界共通の分類番号であり、輸出入されるさまざまな物品に固有の分類番号をつけることで、その物品がどのような物なのか理解できるようにした〝世界共通の番号(コード)〟なのです。
冒頭で述べたように、HSコードは、国際貿易において非常に重要で、関税に深く関わるものです。TPPやEPAといった自由貿易協定が活性化することで、今後、輸出入において「原産地証明書」などを用意する必要性がさらに高まります。
「EPA」とは、経済連携協定(Economic Partnership Agreement)の略称で、特定の国や地域間の貿易や投資を促進するための条約です。日本企業がEPAを活用すれば、国や商品によっては輸出入時の関税が削減されるケースが多々あるので、貿易事業者はEPAを知っておく必要があります。
そしてEPAを活用するには「原産地証明書」が必要です。原産地証明書とは、輸出入の際の貨物の国籍を証明する書類を指しますが、EPAに基づく原産資格を満たしていることを、原産地証明書で証明することで、通常の関税率よりも低い関税率の適用を受けることができます。
整理すると「EPA」を活用する際に「原産地証明書」が必要であり、さらに原産地証明書に「HSコード」を記載する必要があるのです。
ただ結論から言えば、HSコードは膨大な数となっており、それら全てを覚えることは決して容易なことではありません。しかし、おおまかにHSコードの概要だけでも知ることで、国際貿易における輸出入業務の理解はさらに深まります。
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1. HSコードとは
HSコードとは国際貿易における世界共通の分類番号
HSコードとは、輸出入されるさまざまな物品に固有の分類番号をつけることで、その物品がどのような物なのか、世界共通で理解できるようにしたコード番号です。
HSコードがあることで、輸出入の際に、それらの商品を分類する番号することができ、その番号から、その商品の関税率や、原産地規則(貨物の原産地(国籍)を決定するためのルール)を調べることができるのです。
HSコードの名称の由来は、HS条約という「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)に関する国際条約」に基づいて定められたコード番号なので、HSコードと呼ばれています。
HSコードは、ほかにも「HS番号」「輸出入統計品目番号」「関税番号」「税番」などの呼び方で呼ばれることもあります。
先述のHS条約は、世界税機構(WCO=World Customs Organization)が管理しており、2021年4月現在、HS条約には日本をはじめ159ヵ国及びEUが加盟していますが、条約に非加盟であってもHSコードを使用している国・地域もありますので、合計すると200以上の国と地域がHSコードを使用していることになります。
HS条約は1988年に発効されて以来、その附属書であるHSコード(HS品目標)は5年ごとに改訂されてきました。2022年3月現在、現時点で最新のHSコードは2022年1月に改定されたHS2022と呼ばれるものになります。
なぜHSコードが必要なのか?
では、そもそもなぜHSコードは必要なのでしょうか?
同じ物品であるにもかかわらず、名称が異なっていたり、そもそも製品名だけではどのような物品なのかわかりづらかったりすると困ってしまいます…。そういった際に、世界共通のHSコードが役に立つのです。
商品を輸出入する際、各物品はいずれかの品目コードに分類され、コードからは関税率、原産地規則を調べることができます。固有の番号によって物品がどういったものなのかを示すHSコードは、関税を決めたり、規制品や制限品を見分けるために使われたりする、輸出入申告に必要不可欠なものです。
また、HSコードは各国政府が輸出入の統計データをとるためにも使われています。
HSコードは関税が優遇される「EPA」を活用するために必要な「原産地証明書」に記載する必要がある
HSコードは、国際貿易において非常に重要で、関税に深く関わるものです。TPPやEPAといったFTA(自由貿易協定)が活性化しつつある現在、輸出入において「原産地証明書」などを用意する必要性がさらに高まります。
そもそも「EPA(※1)」とは、経済連携協定(Economic Partnership Agreement)の略称で、特定の国や地域間の貿易や投資を促進するための条約です。日本企業がEPAを活用すれば、国や商品によっては輸出入時の関税が削減されるケースが多々あるので、貿易事業者はEPAを知っておく必要があります。
そしてEPAを活用するには「原産地証明書」が必要です。原産地証明書とは、輸出入の際の貨物の国籍を証明する書類を指しますが、EPAに基づく原産資格を満たしていることを、原産地証明書で証明することで、通常の関税率よりも低い関税率の適用を受けることができます。
整理すると…
「EPA」を活用する際に「原産地証明書」が必要であり、さらに原産地証明書に「HSコード」を記載する必要があるのです。つまり、EPAを活用して、関税の優遇処置を受けるには、HSコードを知っておくと理解も深まる
…ということになります。
EPAについての詳細は…
『EPAの基礎知識 |貿易におけるEPAの活用メリット&EPAの利用方法を解説』
…で解説しています。
原産地証明書についての詳細は…
『「原産地証明書」の基礎知識 | 〈 証明書の種類→認定基準→取得方法〉の3ステップで解説』
…をぜひご覧ください。
※1
EPA:
経済連携協定(Economic Partnership Agreement)が正式名称。特定の国や地域間の貿易や投資を促進するための条約
※2
原産地証明書:
貨物の原産地を証明する書類のこと。英語では「Certificate of Origin」
HSコードの種類
200以上の国や地域で使われているHSコードですが、HSコードを使わない国もあります。例えばアメリカとブラジルはそれぞれ独自のコードである「HTSコード」「NCMコード」を使用しています。下記よりそれぞれ見ていきましょう。
■HTSコード
HTSコードはアメリカのHSコードです。HTSとは「Harmonized Tariff Schedule」の略。国際的に統一されている関税システムを米国に適用する為につくられたもので、互換性のないコードです。
基本品目分類番号が6桁であるHSコードに対し、HTSコードは基本品目分類番号が4桁となっており、4桁の末尾に2桁と4桁の拡張コードをつけ、品目の確定が行われます。
■NCMコード
ブラジルなど、南米の貿易圏である「メルコスール(南米南部共同市場)」の加盟国では、MCMコードを使用しています。NCMは「Nomenclature Comum do MERCOSUL」の頭文字をとったものです。合計8桁のコードですが、6桁まではHSコードと同じです。
2. HSコードの決め方
HSコードは誰がどのようにして決める?
HSコードが国際貿易になくてはならないコード番号であることはご理解いただけたと思います。では、HSコードとは誰がどのように決めるのでしょうか?
輸出入する品目のHSコードは、輸出者が、つまりは輸出する本人が決めます。実行関税率表や輸出統計品目表などを確認し、品目の特徴を照らし合わせて最も適当なHSコードを選ぶ必要がありますが、慣れていないと決して容易ではない作業です。そこで、税関の事前教示制度を活用したり、専門の業者に任せたり…というケースが多々あります。
HSコードを決めるための世界共通のルールとは?
国際貿易で必要不可欠なHSコードには当然世界共通のルールが存在します。
各国の関税率表は、HS条約の品目表(HS)に基づいて作成されており、一般に、関税率表の6桁の号までを「HSコード」と呼んでいます。
HSコードは「部」「類」「項」「号」で構成されており、HSコードは輸出と輸入ではコードが微妙に異なります。また、HS条約に基づいた世界共通の番号は6桁までとなっています。6桁以降は各国が任意の桁数を付け足して活用しています。
アップライトピアノのHSコードの構造
では、この「部」「類」「項」「号」について、HSコードが920110のアップライトピアノを例に見ていきましょう。
まず、6桁の上2桁である「92」の部分を「類」と言います。この例で言うと、類「92」は「楽器並びにその部分品及び付属品」となります。
続く2桁の「01」は「ピアノ(自動ピアノを含む)、ハープシコードその他鍵盤のある楽器」となり、「類」を含む上4桁の「9201」の部分を「項」と言います。
さらに2桁の「10」が加わり「類」と「項」含めた6桁の「号」である「920110」が「アップライトピアノ」となります。(※ちなみに、ピアノはアップライトと、グランドピアノとで6桁のコードが変わり、グランドピアノは「920120」となります)
7桁以降は国ごとに定められた細分方法が使われており、日本では上6桁の号に「統計細分=下3桁」を加えた番号「000」からなる9桁である「920110000」がアップライトピアノとして定められています。
そして「部」ですが、これは全ての貿易対象品目を21に分けた大分類を指します。こちら「部」については後ほど詳しく説明します。
順番として「部」→「類」→「項」→「号」の順に、分類が細かくなっていきます。
3. HSコードの調べ方
HSコードの検索の仕方とは?」
このセクションではHSコードの調べ方について解説します。
HSコードは、輸出と輸入、さらに国などによって変わります。したがってHSコードを調べるには以下の3つのポイントに注意しなければなりません。
① 日本のHSコードを調べる:輸入するとき
② 日本からのHSコードを調べる:輸出するとき
③ 取り引きする国の輸出入のHSコードをを調べる:取り引きする国の関税やEPAの原産地規則の確認
HSコードは日本関税協会のWebタリフ
でも調べることができますが、分類の見方などに慣れていないと探すのはなかなか大変です。
そこで、税関の事前教示制度を利用することをおすすめします。事前教示制度とは、輸入の前に税関に対して、貨物の関税分類(税番)や関税率などについての照会を文書で行い、文書によって回答を受けることができる制度です。
Eメールでも事前教示制度を受けることができますが、口頭による事前教示と同じ扱いとなり、輸入申告時の税関の審査において尊重されるものではないことに注意が必要です。ただし、この場合でも特定の手続きを踏むことで、文書による事前教示と同等の申請にすることができます。
また、製法、成分割合など、機密事項がある場合にはセキュリティの問題がありますので、Eメールによる照会はできません。
さらに詳しく知りたい場合は…税関サイト「輸出入通関手続きの便利な制度」
必要な文書は…税関のHP 関税法関係[C様式]
などがあります。
ただ、いずれにせよ、HSコードを自分で調べて書類に記入したとして、それが誤ったHSコードであった場合、本来の関税額と異なってしまうので、輸入者に確認してもらったり、あるいは通関業者に依頼する方法がベターかもしれません。
4. HSコード一覧
HSコードは「部・類・項・号」で構成される
最後にHSコードについて確認して本テキストを終わりにします。
HSコードの大分類である「部」は21種類。その中に97の類があり、部の中に項や号があります。
このセクションでは、前項で詳しく解説できなかった、21種類の「部」について見ていきましょう。
第1部 動物(生きているものに限る)及び動物性生産品
第2部 植物性生産品
第3部 動物性又は植物性の油脂及びその分解生産物、調製食用脂並びに動物性又は植物性のろう
第4部 調製食料品、飲料、アルコール、食酢、たばこ及び製造たばこ代用品
第5部 鉱物性生産品
第6部 化学工業(類似の工業を含む)の生産物
第7部 プラスチック及びゴム並びにこれらの製品
第8部 皮革及び毛皮並びにこれらの製品、動物用装着具並びに旅行用具、ハンドバッグその他これらに類する容器並びに腸の製品
第9部 木材及びその製品、木炭、コルク及びその製品並びにわら、エスパルトその他の組物材料の製品並びにかご細工物及び枝条細工物
第10部 木材パルプ、繊維素繊維を原料とするその他のパルプ、古紙並びに紙及び板紙並びにこれらの製品
第11部 紡織用繊維及びその製品
第12部 履物、帽子、傘、つえ、シートステッキ及びむち並びにこれらの部分品、調製羽毛、羽毛製品、造花並びに人髪製品
第13部 石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに類する材料の製品、陶磁製品並びにガラス及びその製品
第14部 天然又は養殖の真珠、貴石、半貴石、貴金属及び貴金属を張った金属並びにこれら
第15部 卑金属及びその製品
第16部 機械類及び電気機器並びにこれらの部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品
第17部 車両、航空機、船舶及び輸送機器関連品
第18部 光学機器、写真用機器、映画用機器、測定機器、検査機器、精密機器、医療用機
第19部 武器及び銃砲弾並びにこれらの部分品及び附属品
第20部 雑品
第21部 美術品、収集品及びこっとう
HSコードの分類要素
すでにご説明したとおり、HSコードは「部」「類」「項」「号」からなっており、大分類である「部」から「類」「項」「号」と品目を細分化して示す構造となっています。
HSコードの一覧表
最後にHSコードの一覧表についてですが、税関サイトにある、輸出統計品目表、輸入統計品目表に記載がありますので、詳しくはこちらをご参照ください。
5. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します
今回は「HSコードの基礎知識」として、HSコードの種類やルール、実際に輸出入を行う際のHSコードの調べ方や検索方法…などについて解説しました。
グローバル化が進む現代において、貿易をスムーズに進めるために必要不可欠なHSコード。輸出入を考えている製品のHSコードを調べるのは決して容易ではありませんが、税関の事前教示制度など、便利なシステムを活用することで、自分で調べることができます。
とは言え、書類に記入したHSコードが誤りの場合思わぬトラブルが発生する可能性もあります。また輸出入に必要な業務はそれだけではないため、まずは専門家に相談してみてはいかがでしょうか?
「Digima〜出島〜」には厳正な審査を通過した様々な支援を行う優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。
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