アメリカ貿易の基礎知識 | 貿易相手国ランキング / 米大統領選・米中貿易摩擦・新型コロナが与える影響…ほか
「アメリカ貿易の基礎知識」として、アメリカ貿易の特徴と基本情報、最新トピックとして、新たなアメリカ貿易の方向性、今なお終息する気配のない「米中貿易摩擦(戦争)」および「新型コロナ感染拡大」がアメリカ貿易に与えている影響について解説します。
さらに、アメリカのおもな貿易相手国と貿易額や貿易品目について、日米貿易からみた両国の経済概況についてもあわせて考察していきます。
アメリカへの海外展開を考えている日系企業が知っておくべき「アメリカ貿易の基本情報」としてお役立てください。
▼アメリカ貿易の基礎知識 | 貿易相手国ランキング / 米大統領選・米中貿易摩擦・新型コロナが与える影響…ほか
▼ アメリカでの海外ビジネスを成功させるために
1. アメリカ貿易の基本情報
消費大国アメリカの貿易赤字は5年連続で増加
消費がGDPの約7割を占める消費大国であるアメリカ。消費財の輸入規模が大きいため、アメリカの貿易赤字は5年連続で増加しています。
2018年国際収支ベースの財・サービス貿易は、輸出が2兆5,013億ドルと前年比6.3%増。輸入は3兆1,290億ドルと7.8%増。貿易赤字は14.1%増の6,277億ドルとなりました。
2. アメリカの貿易相手国ランキング&各国との貿易額
アメリカの貿易総額上位6カ国・地域
このセクションでは、アメリカの貿易相手国ランキングと各国との貿易額について見ていきましょう。
■輸出
財輸出は前年より増加。中国は米中通商摩擦における中国の報復関税措置などの影響により、2018年以降の輸出は減少傾向にあります。
■輸入
財輸入も前年より増加しており、2018年には対中追加関税実施前の駆け込み需要による影響もあり、中国からの輸入はさらに増加。2019年に入ると追加関税などの貿易摩擦の影響により、中国からの輸入は減少しています。。
※データ抜粋:「日本の主な貿易相手国 / アメリカ(アメリカ合衆国)」JFTC(一般社団法人日本貿易会)きっず サイト
アメリカのおもな貿易品目
ここからは、アメリカ貿易におけるおもな貿易品目について見ていきます。
■輸出(2018年)
通信機器は2.7%減となったものの、2018年は多くの財が前年比増となりました。
(構成比32.5%を占める工業用原材料が16.6%増。原油は115.8%増、液化天然ガスは26.1%増。民間航空機エンジンは19.0%増、一般機械5.2%増、コンピューター周辺機器8.0%増など。)
■輸入(2018年)
構成比22.7%の工業用原材料が13.5%増。資本財は民間航空機と通信機器が減少しましたが、コンピューターや電気機器など増加した項目も多く、8.2%増となりました。
※データ抜粋:「世界貿易投資報告 / 米国 / 2019年版」JETRO
3. アメリカ貿易の最新トピック
このセクションからは、アメリカ貿易の最新トピックとして、バイデン政権における米中貿易摩擦(戦争)の現状、および新型コロナウイスル感染拡大の影響について見ていきましょう。
バイデン政権になっても米中貿易摩擦は続く
2021年1月、脱トランプを掲げるバイデン政権が誕生しました。
バイデン大統領は大統領選挙の時からトランプ氏を非難し、同氏のモットーであるアメリカファースト(米国第一主義)を否定。就任直後より、パリ協定に復帰する大統領令に指名し、国連人権理事会やイラン核合意などへの復帰に舵を切るなど、トランプ政権が脱退した3つの協定・機関への回帰を進めています。
共和党のトランプ大統領は就任時より、生産拠点を中国から米国に戻した企業を優遇する異端の新税制「米国第一」を掲げていました。
トランプ大統領の経済対策の柱は「2つの減税」でした。1期目には10年で1.5兆ドル(約159兆円)という大規模減税を実現。さらに2期目は米国生産を税優遇する「メード・イン・アメリカ減税」を実行。貿易においても、自国生産を前面に押し出した「米国第一主義」を重要視していました。
対する民主党候補のジョー・バイデン氏ですが、選挙戦の時から、トランプ大統領の「米国第一」に対して、増税と巨額の投資を掲げつつ、トランプ大統領がお株とも言える「バイ・アメリカン(米製品の購入)」「メード・イン・アメリカ(米国製)」というワードも飛び出していました。
選挙戦の時から、仮に次のアメリカ大統領が変わっても、「米国第一」を掲げたアメリカ政府主導の保護主義政策に基づいた貿易は今後も続くことが予想されていました。
たしかにバイデン大統領は、トランプ政権では優先順位が低かった世界の環境問題や人権問題を重要視し、アメリカファーストとは真逆な国際協調主義をモットーとしています。しかし、バイデン大統領は米中貿易摩擦については制裁を緩める気配はなく、トランプ政権が連発した対中経済制裁も解除していません。
2020年時点では「米中貿易戦争は休戦」とされていたが…?
2018年3月にトランプ政権が、中国からアメリカへ輸出される鉄鋼製品に関税をかけたことから始まった「アメリカと中国による、お互いの国の輸出品に対する関税の引き上げ合戦」は、米中貿易摩擦、あるいは米中貿易戦争とも呼ばれています。
その後、2018年7月にロボットなど約800品目に対して340億ドル相当の25%の関税を、同年8月には半導体などの約300品目に対して160億ドル相当の25%の関税をかけるとトランプ政権が圧力をかけたことに対抗し、中国の習近平政権は2018年3月に大豆などの約500品目に340億ドル相当の25%の関税を、同年7月には自動車などの約300品目に160億ドル相当の25%の関税をかけるという声明を発表します。
2018年8月、アメリカが家具・家電などの約5,700品目に2,000億ドル相当の10%関税をかけることを発表すると、中国は液化天然ガスなどの約5,200品目に600億ドル相当の5%または10%の関税をかけるとし、関税の引き上げ合戦はますますエスカレート。
2018年12月のアルゼンチンおよび、2019年6月の大阪での「G20(主要20ヵ国・地域)サミット」を経て、トランプ大統領と習近平国家主席は会談し、現時点では「米中貿易戦争は休戦」とされています。
その後、2019年12月より中国湖北省武漢市で発生した「新型コロナウイルス」の感染拡大が始まりました。米中貿易戦争の勃発から2年近く経っても両国の貿易摩擦の収束の道筋が見えず、世界各国の企業が「中国からの生産移管」を実施あるいは視野に入れ始めた矢先のことでした。
新型コロナウイルスがアメリカ貿易に与えた影響
新型コロナウイルスが世界的に感染拡大を進めている中で、アメリカの感染者数と死者数は急激に増加し、現在、世界一となっています。経済活動の低下による企業への影響も顕著で、製造業で生産を中断、もしくは通常未満の稼働率で生産している企業が7割近くに達したとのデータもあります。生産が落ち込む以上、輸出輸入にも影響が出ることは避けられないでしょう。
2020年1月〜2月前半までの米中関係は比較的安定していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、米中対立はさらに悪化。米中貿易摩擦から端を発した「中国からの生産移管」の波は、これからさらに広がりを見せていくでしょう。
すでにアメリカの有名企業であるAppleとブルックスは自社製品の生産を中国からベトナムに移管しており、ほかにも世界の名だたる企業が中国から他国へと生産を移管しています。
4. 日米貿易について
最後のセクションでは、日米貿易について解説していきます。
■日米貿易の貿易額
●貿易額
輸出: 1,364億8,100万ドル[2017年]
輸入: 676億500万ドル[2017年][2017年]
■日米貿易におけるおもな貿易品目
●品目
輸出: 自動車・同部品(37.1%)、一般機械(22.5%)、電気・電子機器(12.6%)、化学品等(9.1%)など
輸入: 食料品・農水産物(18.9%)、化学品等(18.1%)、一般機械(11.1%)、光学機器・医療機器(10.3%)、航空機・同部品(9.7%)など
※( )内はシェア
日米貿易からみた両国の経済概況
基本的・戦略的利益を共有し,日米安保体制を中核とする同盟関係にあるのが日本とアメリカです。
日本にとってアメリカは輸出入総額の15%を占める貿易相手国であり、日米間の物品貿易に関する協定である『日米貿易協定』が2020年1月1日に発効されました。これは関税に関する部分のみの協定なのでFTAとなります。日本が最重要視している米は保護されていますが、日本に対して、乳製品や牛肉などの輸入を迫る内容となっています。
2019年6月発表の内閣府月例経済報告では着実に回復が続いていたとされるアメリカの景気ですが、現在、新型コロナウイルスの感染が拡大しており、感染者数死者数共に世界一という状況です。
2020年3月の内閣府月例経済報告では、感染症の影響により、アメリカの経済活動が抑制されていることから、景気は下押しされていると発表されています。当面、感染症の影響が続くと見込まれるため、事業再開の目処が立たない企業も数多く、かなり厳しい状況になると予想されます。また、「金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある」とも発表されています。
通商問題の動向及び影響,今後の政策の動向及び影響,金融資本市場の変動の影響等にも留意しておきましょう。
5. 優良なアメリカ進出サポート企業をご紹介
御社にピッタリのアメリカ進出サポート企業をご紹介します
今回は「アメリカ貿易の基礎知識」として、米中貿易摩擦(戦争)および新型コロナウイスル感染拡大の影響について解説しました。
消費大国であるがゆえに、貿易赤字が増加し続けているアメリカ。米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大などがアメリカの貿易に与える影響は大きく、今後も動向が気になるところです。
発効されたばかりの日米貿易協定についてもしっかりチェックしておきましょう。
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「公開情報が少ないニッチな市場を細かい粒度で分析したい」
「現地の消費者ニーズや嗜好が理解できない」
「競合他社の動向や市場内でのポジショニング戦略が定まらない」
「法規制、税制、輸入関税などの複雑な規制を把握するのが難しい」
「効果的なマーケティング戦略や販売チャネルを見つけ出せない」
「現地でのビジネスパートナー探しや信頼できるサプライヤーの選定が困難」
「その地域特有の慣習、文化を把握できていない」
など
①市場調査
進出を考えている市場をマクロ的視点、ミクロ的視点から調査・分析いたします。
潜在ニーズやトレンド、製品・サービスの適合性など、多岐にわたる範囲に対応しております。
「どういった情報があれば、適切な事業判断が下せるのか」といった姿勢を徹底しており、適切な情報を漏れなく提供することができます。
市場調査では、有識者へのヒアリングなど多くのサービスを展開しておりますが、貴社にとって適切な調査・分析をご提案させていただきます。
「バイアスがかかった状態で判断してしまっていそう」といったお悩みを抱えるご担当者の方は、壁打ちからでも対応できますので、まずはご相談ください。
②競合調査
「競合がなぜ成功・失敗したのかわからない」といったご相談をよくいただきます。
弊社の競合調査では、競合の戦略を徹底的に解剖し、貴社のマーケティング戦略の支援まで実施します。
サービス内容としては、業界の第一線を走る方への一次取材などをご提供しております。
また、他社が関わる分野の調査ということもあり、匿名性や守秘義務も徹底遵守しています。そのため、クライアントからも大変好評をいただいております。
③アライアンス支援
双方に適切なパートナーシップ構築であることをポリシーとしています。
数多くの企業と提携を結んでいる弊社が、貴社の適切なパートナーをご提案させていただきます。
海外進出をご検討されている企業さまに多くご依頼を受けているサービスの1つです。
「はじめての国・地域」だからこそ、事業を成功させるには、協業することは重要な要素となってきます。
自信をもって、提携企業様をご提案させていただきますので、ぜひ一度ご相談ください。
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