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初期トランプ政権の政策を決定した「影のブレーン」たち

掲載日:2020年05月27日

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『初期トランプ政権の対外政策を決定した「影のブレーン」たち』と銘打って、実際にブレーンたちの権力争いが、当時のトランプ政権の政策にどう反映されたのかを考察します。

2020年5月、中国政府による主導で、香港の治安維持のためとして「香港国家安全法」を制定する動きを受けて、現トランプ政権は、中国の当局者・企業・金融機関などへの制裁措置を検討しています。

アメリカが制裁を実施すれば、中国は報復に動く可能性が高く、新型コロナ収束と同時に、再び米中貿易戦争が活性化することが懸念されています。

振り返ってみれば、世界の注目を集める中、2016年11月、不動産王と呼ばれていたトランプ氏が大統領選で勝利。国際社会に激震が走りました。

大統領に就任して以来、イスラム教7ヵ国の入国禁止や、シリア空爆、パリ協定からの離脱表明など様々な政策を行ってきたトランプ氏。

2020年5月には、アメリカのツイッター社が、トランプ大統領のツイッター投稿に誤解を招きかねない内容が含まれているとして、ユーザーに注意喚起する青色のラベルを初めて表示したことが話題となっています。

そんなトランプ大統領ですが、その就任当初から一貫性がなく、何をしでかすかわからないという印象を持っている方も多いでしょう。しかし、ホワイトハウス内での閣僚たちの権力争いをみれば、これまでトランプ氏の行ってきた政策は一つの原理に基づいて行われていることがわかります。

世界経済がピークアウトした要因のひとつともされている、米中貿易戦争が再び活性化する可能性も否定できない現在、本テキストで改めてトランプ政権の概要を再確認していただき、新型コロナ収束後のアメリカでの海外展開の指標のひとつとしていただけたら幸いです。

1. 極右の元首席戦略官:スティーブン・バノン

スティーブン・バノン(Steve Bannon)

Photo by Flicker

初期トランプ政権を語るうえで欠かせない人物で、去年の大統領選勝利の影の立役者ともいわれています。大手保守系メディア・ブライトバートニュースの元会長。選挙期間中はトランプ陣営の選挙対策本部長を務め、トランプ支持かつクリントン候補を貶める内容の記事を数多く掲載しました。その結果、白人至上主義者や反ユダヤ、反ムスリムの思想をもったこのメディアの読者層がトランプ支持となり、勝利に貢献しました。

彼の貢献に感謝の意を示す形でトランプ氏はバノンに「主席戦略官」「上級顧問」「国家安全保障会議 常任メンバー」(※この役職は権力闘争の末に剥奪されますが後に解説します)という役職を与えました。これは異例の厚遇です。

彼は「イスラム教国家と中国が手を結び、キリスト教国家(アメリカやロシア)と第三次世界大戦を起こす」というかなり異質な陰謀論を信じています。そのため反イスラム、反ユダヤ、反中国、親ロシアです。

2. トランプ氏の義理の息子:ジャレット・クシュナー

ジャレット・クシュナー(Jared Kushner)

Photo by Flicker

トランプの娘クシュナーの夫。ユダヤ人でもあります。トランプ氏からの信頼も厚く上級顧問という役職についています。 ユダヤ人のコネクションが広く、オバマ政権時代に冷え込んだイスラエルとの関係の改善などの橋渡し役を担った他、仲介を求めてきた中国と非公式で何度か対談し、米中首脳会談の調整をしたともいわれています。

2004年に父親が脱税、証人買収、選挙資金の違法献金など計18件の訴因で2年間の実刑判決を受けています。かつて検事時代に父チャールズを訴追したクリス・クリスティを副大統領候補から外してマイク・ペンスを選ばせたとされ「政治を私物化している」という批判をうけるなど、かなりの権力を握っています。親中国派です。

3. 元石油メジャー王:レックス・ティラーソン

レックス・ティラーソン(Rex Tillerson)

Photo by Flicker

アメリカ・石油メジャー最大手のエクソンモービル前会長兼CEOを務めていたレックス・ティラーソン。ロシアとの太いパイプを持つ人物とも言われています。

2012年にロシア石油最大手の国営ロスネフチのセチン社長(元副首相)と北極海と黒海の共同開発を行い、ロシアのプーチン大統領から表彰され、ロシアがクリミア半島を併合し経済制裁を課された時には制裁に反対した過去を持つため、親ロシアの人物と警戒されていました。

トランプ氏から国務長官に任命されました。トランプ氏がパリ協定から離脱した際には公に反対の趣旨に声明をだしました。

4. 偽証罪に問われた前大統領補佐官:マイケル・フリン

マイケル・フリン(Michael Flynn)

Photo by Flicker

大統領補佐官国家安全保障担当を務めましたが、ロシアとの関与が疑われ(「ロシア疑惑捜査」)解任されました。イスラム教について「悪性のガンである」と発言するなど、反イスラムで有名な人物でもあります。日本はフリンと太いパイプを持っていたため、彼の失脚は日本政府にとって衝撃でした。

5. 不敗の狂犬:ジェームス・マティス

ジェームス・マティス(James Mattis)

Photo by Flicker

海兵隊大将としてアメリカ統合戦力軍司令官、NATO変革連合軍最高司令官、アメリカ中央軍司令官を歴任した人物で、トランプ氏から絶大な信頼を得て国防長官に任命されました。マティスが戦場で不敗であったことからMad Dog(狂犬)というあだ名がついています。

彼への信頼は米議会の両院も認めるほどで、「彼が国防長官になるならトランプでも大丈夫」という声があがりました。実際にトランプ大統領が主張していたテロ容疑者の水責め復活にも反対し、トランプ大統領は「必ずしも私は賛成しないが、私が任せている彼(マティス)の意見を優先する」と、復活を断念させました。

詳しくは後述しますが国家安全保障会議常任メンバーに選ばれたバノンと権力闘争をし、バノンを安全保障分野から失脚させたともいわれています。ロシアに対しては強硬姿勢をとっています。


6. トランプ政権の政策に大きな影響を与えたブレーンたちの権力闘争

「ロシア疑惑」で風向きが変わる

トランプ政権の影のブレーンたちを紹介したところで、このセクションでは、実際に権力闘争がどう政治に影響を与えたかを解説していきます。

トランプ大統領は就任当時、選挙での功績からスティーブン・バノンの意見を重宝していました。その証拠に1月27日に署名したイスラム系国家の7ヵ国からの入国を禁止した大統領令は、反イスラムの思想を持つバノン氏の提言だったと言われています。

大統領就任当初、トランプ氏は「米国の納税者が(ロシアが侵攻する)ウクライナに気をかけなければいけない理由は何か」「中国を為替操作国に認定する」などのような親ロシア、反中国と解釈できる声明を数多く出していました。

またロシアと関係の深いティラーソン氏を国務長官に任命したことからも親ロシア政権方針は明らかでした。これもスティーブン・バノンやフリンの政権内での影響力の大きさを表していました。風向きが変わったのは、フリンがロシアとの関与を疑われ失脚してからです。トランプ氏もロシアとの接触が疑われ、親ロシア路線が厳しいものとなっていきます。

アメリカ軍にがシリア空軍基地へ空爆

ここから権力闘争が本格化します。

軍経験のほとんどないバノン氏が国家安全保障会議 で軍事面まで介入している状況をマティス国防長官は快く思っていませんでした。また、反ユダヤの支持層を持つバノン氏とユダヤ人であるクシュナー氏の不仲も度々報じられました。さらにフリン氏の失脚後、そのポストにマティス国防長官と価値観を共有するマクマスター氏が就任。マティス、クシュナー、マクマスターといったそうそうたるライバルとの闘争に敗れ、4月4日スティーブバノンが国家安全保障局の常任理事から解任。

その3日後に事件が起こります。4月7日のアメリカ軍によるシリア空軍基地への空爆です。

これはバノン氏やフリン氏がホワイトハウス内での権力を握っていた時には起こりえないことでした。なぜならばロシアはシリアを金銭面、軍事面で支援しておりであり、シリアに攻撃することはロシアの逆鱗に触れることは明白だからです。親ロシア派であるフリン氏が失脚しバノンが国家安全保障会議から外され、ロシア強硬派のマティス達が権力を握ったことを裏付ける事件だったのです。

事実そこからトランプ氏はバノン時代の親ロシア、反中国の方針を180度転換し、米中首脳会談を実現し中国接近かつ、ロシアに対する強硬姿勢を強めていきました。

この一連のできごとは、政権内で誰が権力を握っているかを理解することは、トランプ氏の政策、方針の理解につながることを示唆しています。


7. 変化したトランプ政権内のパワーバランス

2017年7月現在の政権内のパワーバランス

2017年7月の時点では、マティス氏とクシュナー氏が政権内で影響力を持っていると言われていました。

一時はこのまま失脚かと思われたバノン氏ですが、またも政権内で息を吹き返しつつあります。あくまで安全保障から追い出されたのであり、上級顧問、主席戦略官の立場は固辞しています。パリ協定からの離脱はバノン氏の提言だという見方が強いです。ティラーソン氏や、娘のイバンカ氏すら反対声明を出していたにも関わらず、離脱を決めたところを見ると、一定の権力を取り戻しつつあるようです。

ただし安全保障分野に関してはマティス氏がトランプ氏から絶大な信頼得ていることや、トランプ氏自身がロシアとのかかわりを疑われている現状を考えれば、親ロシアに再び舵を切る可能性はほとんどないと考えられます。

一時は接近を図った中国との関係ですが、南シナ海において航行の自由作戦を決行し、台湾への武器の売却を決めるなどアメリカは再び中国を牽制する動きが目立っています。しかし経済を重視するトランプ氏だけに中国との関係をむやみに荒立てることは望まないでしょう。ある程度圧力をかけつつ、経済分野の協力を拡大させていくと考えられます。


8. 優良なアメリカ進出サポート企業をご紹介

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今回は、初期トランプ政権の対外政策を決定した「影のブレーン」たちの権力争いが、当時のトランプ政権の政策にどう反映されたのかを考察しました。

大統領に就任以来、トランプ氏はこれまで、政権内で力をもつ人物の意見を反映させるような政策を打ち出してきました。つまり〝トランプ関連のニュースの裏で誰がうごいていたのか?〟に注目することはアメリカの今後の動きをある程度予測するのを助けます。

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「Digima〜出島〜」編集部

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