EUと日本の関税はいくら?関税撤廃やCNコード、関税率の調べ方を解説
「EUの関税の基礎知識」と銘打って、EUの関税体系・種類・課税基準や、EUの関税率を調べる3つの方法、さらには、日EU経済連携協定、EU関税同盟…など、EUの関税制度に関する基本情報をわかりやすく解説します。
EU(European Union)とは欧州連合のことであり、27カ国が加盟している政治経済同盟です。27カ国もの主権国家が共通の通貨(ユーロ)を使う単一市場を完成させている、他に類を見ない共同体です。2020年にイギリスが離脱したことでも話題になりました。
そんなEUの「関税の基礎知識」を改めて確認しておきましょう。
▼EUの関税制度の基礎知識 | EUの関税率を調べる3つの方法 / 関税体系・種類・課税基準…ほか
▼アナタの海外ビジネスを成功させるために
1. そもそも関税とは?
関税とはなにか?
EUの関税制度について解説する前に、改めて「関税」について解説します。
そもそも「関税」とはどんな税なのでしょうか? 関税は「輸入品に対して課される税金」のことです。
関税とは海外から輸入する貨物に対して、国が課す税金であり、税関で徴収されます。
国内の産業保護や市場の経済を安定させるための税金であり、関税率は国によって異なります。
ほかの税金と同じく国庫収入となるので、元来は国家の財源としての機能も重視されていましたが、今では他国からの輸入品に対して課税することで国内の産業を保護するという役割が主となっています。
関税率には2種類あり、それぞれ「条約」に基づいて設定されている関税率と、「法律」に基づいて設定されている関税率があります。
法律に基づいて設定されている関税率は「国定税率」と言い、日本では「関税定率法」と「関税暫定措置法」で定められています。
2. EUの関税の体系・種類・課税基準
関税に関する基礎の基礎に続いては、EUの関税の体系・関税の種類・課税基準について見ていきましょう。
EUの関税の体系
EUの関税は域内と域外で異なっており、域内の取引には関税はかかりません。域外の取引については域外共通関税制度によって共通の関税率が定められていますが、各国・地域との個別協定に基づいた関税制度もあるため、関税同盟や自由貿易協定などに基づく関税率が適用されることもあります。
EUにおける関税の品目分類
域外共通関税制度によって定められている共通関税の設定のためにある分類表が策定されており、これは合同関税品目分類法(CN:Combined Nomenclature)と呼ばれています。この分類に基づいた品目コードはCNコードといい、6桁まではHSコードの分類、7桁から8桁目まではEU独自のCN分類からなる8桁のコードです。
EUにはTARICによる分類もあります。TARICとは「EU統合関税率(TARIC:Integrated Tariff of the European Union)」と呼ばれるデータベースであり、これはCNに基づいた共通関税率や貿易政策による措置や関連規定などをまとめたものです。このTARICには10桁の分類コードがあり、CNコードにTARICによる2桁の分類を加えたものとなっており、より詳細な品目を特定できるものとなっています。
EUにおける関税の種類
EUの関税はほとんどが従価税です。従価税とは「価格に従う」関税であり、輸入品の価格に対して課されるため、同じ税率なら価格が高い輸入品の方がより関税が高くなるという特徴があります。
ちなみに、従価税に対して従量税という関税の種類も存在し、従価従量を組み合わせた併用型の関税もあります。
■従価税とは
「価」の文字通り、輸入品の価格に対して税を課すのが従価税です。税率が同等であれば、価格が高い物品の方が、税金が高くなります。
■従量税とは
「量」の文字通り、輸入品の量に対して税を課すのが従量税です。量とは例えば個数や重量などを指します。税率が同等の場合、少ないものより多いもの、軽いものより重いもの、小さいものより大きいものの方が、税金が高くなります。
■併用型
国や品目によって従価税と従量税を両方課されることもあれば、どちらかより高い方もしくは低い方が選択されることもあります。
EUにおける課税基準
EUでは原則CIF価格が基準となりますが、調整してもらえるケースもあります。
■CIF価格とは
CIFとは、「Cost, Insurance and Freight」の略であり、運賃保険料込みの規則のことです。輸出者が荷揚げするまでの費用を負担し、その後の費用は輸入者が負担します。この規則においての取引価格のことをCIF価格といいます。
CIFなどのインコタームズ(= International Commercial Terms / 国際貿易取引条件)については下記のテキストもぜひご参照ください
3. 日本とEU間の輸入適用税率について
続いては、日本とEU間の輸入適用税率について解説します。
原産地が日本である製品に対しては、EUでは基本的に共通関税が適用されますが、日EU経済連携協定の原産地規則を満たしており、かつEPA利用の申告を行った場合はEPAに基づく特恵関税が適用されます。
日EU経済連携協定とは
日EU経済連携協定とは日本とEUの間で締結されたEPAであり、2013年に交渉を開始し、2018年に署名、2019年に発効されました。アベノミクス成長戦略の重要な柱の一つとしても注目された協定です。
これによって日本とEUにおける貿易や投資といった経済活動が自由化されることとなりました。関税撤廃率は99%。自動車部品の9割以上が関税撤廃となり、日本ワインの輸入規制も撤廃されたことで、協定発効後にはワインや乗用車などの貿易が拡大。一定の効果が見込めたようです。
政治・外交・社会関係の緊密化を目的として締結された「日EU戦略的パートナーシップ協定」とは相互補完し合う関係にある協定です。
日EU経済連携協定のメリットとは
前述したとおり、日EU経済連携協定を締結することで多くの品目に対する関税が撤廃され、貿易は拡大傾向に転じました。関税撤廃によって貿易が促進された点で、大きなメリットがあったと言えます。
4. EUの関税同盟とは?
「関税同盟(customs union)」からスタートしたEU
このセクションでは、EU貿易の最大のメリットでもある単一市場を成り立たせてている「EUの関税同盟」について解説します。
複数の国が互いに課している関税を減免し、域外の取引に対しては共通の関税を課す協定を締結することを関税同盟と言います。
この関税同盟はEUの成り立ちに深い関係があります。EUの原加盟国であるベルギー、西ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダが1968年7月1日に関税同盟を作り、ここからヨーロッパの経済統合へとつながっていきます。
現在の欧州連合関税同盟(EUCU)は、EU加盟国とモナコ、アクロティリおよびデケリアからなる関税同盟であり、EUCU加盟国間の貿易には関税はかかりません。
5. EUの関税率を調べる3つの方法
EUの関税率を調べる方法はおもに「World Tariff」「RULES OF ORIGIN FACILITATOR」「税関などでHSコードを調べる」の3つ
このセクションではEUの関税率を調べる方法について解説します。
前項までで解説した品目に対してのEUの関税を調べるにはどのような方法があるのでしょうか?
そもそも輸出先での関税率を調べるのは容易ではありません。通常は下記のような複雑な調査を要します。
1,貨物のHSコードを特定
2,輸出国と輸入国の間のFTAの有無を調べる
3,相手国での一般関税率やFTA関税率、原産地規則を、協定文を読み確認する
4,上記で調べた以外に別のFTAの存在の有無を確認する
5,別のFTAがあった場合、どちらが関税率、原産地規則において有利かを検討する
これを見るとなかなか大変そうですが、最近は関税率を調べるのにとても便利なツールが用意されており、EUの関税率を調べるには、下記の3つの方法があります。
① World Tariffで調べる
② RULES OF ORIGIN FACILITATORで調べる
③ EUの税関などでHSコードを調べる
以下よりそれぞれの方法およびツールを見ていきましょう。
「World Tariff」で調べる
「World Tariff」で調べてみるのが1つ目の方法です。「World Tariff」とは、オンラインで利用できるFedEx社が運営する関税データベースのこと。本来は有料のツールですが、JETROのサイトからユーザー登録すれば日本居住者は無料で利用することができます(JETRO以外から登録してしまうと有料となるので注意!)。
この「World Tariff」には世界175カ国の関税率や関税関連情報が収録されており、HS番号をクリックするだけで原産国別に最も低い税率が表示されます。通常の関税だけでなく、特恵関税も確認することができる優れものです。
https://www.jetro.go.jp/theme/export/tariff/
「RULES OF ORIGIN FACILITATOR」で調べる
「RULES OF ORIGIN FACILITATOR」で調べるのが2つ目の方法です。
「RULES OF ORIGIN FACILITATOR」とは、WTO、WCO、ITCが合同で開発した無料ツール。
複雑な関税調査の手間を省くことで、中小企業がより貿易を活発に行えるようになることを目指して作られた関税削減ツールです。
原産地規則のデータベースには190カ国以上で適用されている貿易協定のデータが入っています。情報を抽出するのも非常に簡単です。
https://findrulesoforigin.org/
EU税関などで「HSコード」を調べる
3つ目はとても基本的な方法ですが、税関でHSコードを調べる方法もあります。
最初にそもそもHSコードとは何かについて解説します。
HSコードとは、日本語では「輸出入統計品目番号」、「関税番号」、「税番」などと呼ばれる関税率を決めるために使われる世界共通の品目番号で、現在では200以上の国と地域がHSコードを使用しています。6桁が世界共通の番号であり、以降の数字は国によって桁数や数字が異なります。
■日本関税協会の「Web輸出統計品目表」
https://www.kanzei.or.jp/statistical/expstatis/headline/hs1dig/j#hs1dig03
※日本側のHSコードを調べる
■EU 税制・関税同盟総局
https://trade.ec.europa.eu/access-to-markets/en/home
※EUのHSコードを調べる
6. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
御社にピッタリの海外進出サポート企業をご紹介します
今回は「EUの関税の基礎知識」と銘打って、EUの関税体系・種類・課税基準や、EUの関税率を調べる3つの方法、さらには、日EU経済連携協定、EU関税同盟…などについて解説しました。
27もの国が加盟しているEU。貿易の際のルールが統一されているため、輸出しやすいのが特徴です。また、近年締結された日EU経済連携協定によって関税がほぼ撤廃。さらに輸出しやすい地域となりました。
EUに限らず、海外貿易、海外進出などを考える上では、海外の最新事情を税制だけでなく色々な角度から知っておくことが大切です。なかなか調査に自社のリソースを避けないなら、専門家に頼ってみるのも一つの方法です。
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(参照文献)
「EU 関税制度」JETRO
(当コンテンツの情報について)
当コンテンツを掲載するにあたって、その情報および内容には細心の注意を払っておりますが、掲載情報の安全性、合法性、正確性、最新性などについて保証するものではないことをご了承ください。本コンテンツの御利用により、万一ご利用者様および第三者にトラブルや損失・損害が発生したとしても、当社は一切責任を負わないものとさせていただきます。
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- 海外販路開拓・現地企業マッチングサポート
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弊社コンパスポイントでは、越境EC、各国Amazon特有のノウハウに加え、
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海外進出の各フェーズ・各施策を必要な分だけサポート。
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03:グローバルデキル化エージェントサポート
私たちが貴社の海外ビジネスのハブ役(エージェント)を担います。
グローバル展開に必要な現地企業・専門企業/専門家を、探索〜選定〜交渉まで実施。
"どのような企業が事業推進に必要になるかの設計"から携わります。
貴社にとってどんな企業がパートナーとして最適か、第三者視点で精査・提案いたします。
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以下2点が私たちの海外進出支援におけるバリュー(&理念)です。
■第三者ならではの貢献
企業支援の現場で私たちは「売る側」でも「買う側」でもない、第三者です。
私たちは「売る側」にも「買う側」にも肩を入れない、俯瞰的な位置に在るべきだと考えています。
"新しい市場でビジネス展開するためには、これらの3つの視野が必要"です。
- 主観:進出する企業(売る側|販売主の視野)
- 客観:進出する企業のお客様(法人・個人)や取引企業(買う側|消費者の視野)
- 俯瞰:わたしたち(第三者|売る側と買う側を俯瞰した視野)
それぞれの視野・立場だからこそ気づけること・見えること・わかることがあり、当然、偏りもある中でそのバランスをまとめる第三者が必要になります。
私たちはこれまで多くの支援実績やノウハウ(企業の成功・失敗の傾向と対策)に加え、第三者ならではの冷静さを持ち、事業推進を共に進めていく伴走者です。
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■会話にこだわり抜くこと
たとえば「成功したいんです」「失敗したくないんです」というコトバ。
これらのコトバたちは人によって意味も定義もまるで違うものです。
私たちは企業との会話で聞きます。
「あなたにとって成功とはどのような状態ですか?」
「失敗とはどのような状態ですか?」
どのような意味・思惑・意志を持ったコトバなのかもわからなければ、貢献なんてできません。
わかった気になって、会話のつもりが独り言になってしまうと、不協和音は鳴ってしまうものです。
私たちは、どんな当たり前のことも聞き、話します。
私たちの仕事において、会話はもっとも重要です。
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