香港会社設立の流れ・費用・事業形態 & 雇用代行という新しい進出形態とは?
香港での会社設立(法人設立)・登記の流れと費用と手順(手続き、期間、必要書類…etc.)について解説します。併せて、香港現地に拠点を作らず香港事業をスタートできる、「EOR」「GEO」「PEO」と呼ばれる「海外雇用代行サービス」を活用した、新たな香港への海外進出方法についても解説します。
日本企業が香港に会社設立する際は、現地法人・駐在員事務所・支店という、おもに3つの事業形態の中から選択をする必要があります。
本テキストでは、日本企業が香港に進出する際の基本的な事業形態である「現地法人」「駐在員事務所」「支店」に加えて、コロナ禍を経てさらに需要が増している、現地に拠点を設立せずとも香港事業が展開できる「EOR」「GEO」「PEO」と呼ばれる新たな進出形態を含めた、4つの香港事業の展開方法について解説します。
日系企業を含む外資系企業にとって、香港で会社設立・登記をするメリットは多岐に渡ります。従来より、香港の法人税率は「16.5%」という驚異的な低税率を誇っていますが、さらに2018年4月以降は、利益200万香港ドル(約2,800万円)までは、その半分である「8.25%」という2段階税率を採用しています。
また、香港では資本金規制がないに等しく、現地にて会社を設立後も資本金の送金は紐付いておらず、資金繰りに合わせた投資も可能。さらに「2019年 経済自由度指数(Index of Economic Freedom)」においても、25年連続(!)で世界トップの座をキープし続けているほどなのです。
このテキストを参考に、自社の海外事業においてもっとも効率的かつ有意義な事業形態をセレクトして、香港での会社設立・登記を成功させましょう!
Photo by Ryan McManimie on Unsplash
▼香港会社設立の流れ・費用・事業形態 & 雇用代行という新しい進出形態とは?
- 1. 香港で会社設立(法人設立)する3つのメリット
- 2. 香港で会社設立(法人設立)・登記する際の手順と期間
- 3. 香港で会社設立(法人設立)・登記ができる4つの事業形態
- 4. 香港での会社設立(法人設立)・登記にかかる費用とは?
- 5. 香港での会社設立(法人設立)・登記に関する注意事項
▼香港での会社設立(法人設立)・登記を成功させるために
1. 香港で会社設立(法人設立)する3つのメリット
香港で会社設立(法人登記)をするメリットは多岐に渡ります。詳細は次項以降で解説するので、まずは簡潔に香港での法人登記に関するメリットを大きく3つにまとめてみました。
① 最低資本金が1香港(HK)ドル
香港法人の最低資本金は1香港(HK)ドルです。言うなれば、香港では資本金規制はないに等しいと言えます。
もちろん法人設立に必要な資金は資本金以外にもたくさんありますが、例えば、香港に自社の地域統括会社として持株会社を設立するケースでもあっても、同様に1香港(HK)ドルとなっており、資金繰りに合わせた進出が可能となっています。
② 外国人でも(ほぼ)自由に就労でき、1人でも会社が設立できる
香港では外国人が就職できない民間職種が特に定められていません。つまり日本人であっても自由に就労することができます。もちろん就労ビザなどは必要ですし、申請する際に香港人ではなく外国人を就労させる理由を説明しなければなりません。
また、代表者・株主が香港に住所を有していない場合、いわば日本人のような外国人であっても容易に香港法人を設立することができます。
③ 香港の法人税率は16.5%
香港は日本からもっとも近いタックスヘイブンと呼ばれており、法人税率もアジアでもっとも低い16.5%となっています。ただ日本にはタックスヘイブン税制が適用されるので、香港のような20%未満の海外の低税率国に法人を設立したり、あるいはペーパーカンパニーを設立しても、日本の税率が適用されるようになっているのです注意が必要です。
ただ、香港の税制は非常にシンプルな低税率となっており、所得税率は最高17%、住民税、事業税、消費税、相続税、贈与税、関税は基本的に無税(0%)となっています。
さらに、配当収入や利息収入、さらにはキャピタルゲインやオフショア所得に対する課税制度もありません。
2. 香港で会社設立(法人設立)・登記する際の手順と期間
香港で会社設立するメリットに続いては、一般的な香港の会社設立の手順と期間の全体像を理解していただくために、分かりやすく簡略化したフローを下記にまとめましたので、ご覧ください。
■香港で会社設立(法人設立)・登記する際の手順と期間
次項からは、香港で会社設立(法人設立)・登記ができる3つの事業形態について解説します。
3. 香港で会社設立(法人設立)・登記ができる4つの事業形態
「現地法人「支店」「駐在員事務所」「EOR・GEO・PEO」、
日本企業が香港で会社設立・登記する場合、おもに下記の4つの事業形態から選択する必要があります。
■1: 有限公司(現地法人)
■2: 支店
■3: 駐在員事務所
■4: EOR・GEO・PEO
香港での一般的な事業形態は「現地法人」「支店」「駐在員事務」と「EOR・GEO・PEO」と呼ばれる雇用代行サービスを加えてに4つの事業形態から選択することができます。
日本企業が香港に進出する事業形態でもっとも一般的なのは、有限公司(現地法人)の私的有限責任会社という形態になります。その他、駐在員事務所や本社を日本に置いたまま、香港に支店を設立することも可能です。
上記の4形態の概要と申請の手順に加えて、4つの事業形態を選択した際のメリット&デメリットについて解説します。
1:有限公司(現地法人)[手続きの流れ・コスト・メリット&デメリット]
【概要】
有限公司は、香港の現地法人で一般的な形態になります。駐在員事務所とは異なり、販売や営業といった収益に関連する業務が可能です。中国との経済協定により、中国との貿易をスムーズに行うことができます。
また、設立にあたっては、外資100%出資の会社を18歳以上の取締役1名と最低資本金1香港ドル(約14円)から設立することができます。
有限公司の形態には、有限責任会社と無限責任会社の2つがあります。香港に現地法人として設立する場合は、基本的には有限責任会社の形態になります。有限責任会社では、出資方法、会社区分の違いにより、形態が異なります。
日本企業の進出形態として一般的なのが、株式による有限責任会社の設立です。
有限公司は公開会社と私的会社に分かれますが、日本企業の会社設立形態として多いのが、私的会社です。私的会社は、社員数や株主の譲渡に制限がある代わりに、決算書公開や株主総会の招集通知に関して、公開会社と比べて手間がかかりません。
参考:
JETRO「香港進出に関する制度情報」
【申請の手順と必要書類】
有限公司の設立は、使用しようと検討している企業名が香港の既存の企業に登録されていないかを確認する必要があります。これは、Cyber Search Centreのウェブサイトで確認することができます。Cyber Search Centreでは、すでに登記済みの企業名を見ることができるため、事前の確認は必須です。
確認後、会社設立に向けて書類を準備することになります。申請にあたっては、24時間利用可能な「e-Registry」というポータルサイトから、オンラインで申請が可能です。有限公司での法人手続きには、以下の書類が必要になります。
【現地法人設立に必要な書類】
・設立申請書
・設立予定の有限公司の定款
・商業登記所への通知書
(JETRO:拠点を設立するための方法および留意点:香港より)
さらに、設立申請書の申請にあたっては、以下の情報が必要になります。
・会社名
・現地法人の住所
・登録済の株式資本
・出資者の株式取得数
・出資者の同意書への署名
また、定款についても下記のように盛り込むべき内容が定められています。
・会社名
・会社目的
・株主の責務(有限・無限責任)
・株主の出資額(有限会社のみ)
・資本金or株主の出資情報(株主会社のみ)
(JETRO:外国企業の会社設立手続き・必要書類(香港)より)
商業登記所への通知書には、3年間の商業登記証を選択します。上記の書類と合わせて、法人登記手数料1,720香港ドル(約24,300円)と商業登記手数料2,250香港ドル(約31,900円、1年間有効)、または5,900香港ドル(約83,600円、3年間有効)を支払う必要があります。オンラインで法人登記を行った場合は、1時間程度で登録書が発行されるため、迅速に会社設立ができます。
【有限公司(現地法人)のメリット】
現地法人の形態をとるメリットとしては、現地での迅速な意思決定が可能になることが挙げられます。また、日本の法律で禁止されている海外の保険に加入することが可能になり、日本の約2~3倍の利回りのある保険商品も購入することもできます。
また、香港法人名義の国外資産である、不動産・金融商品・ライセンスなどを他人に売却する場合、資産自体の売却を行うのではなく、香港法人の株式を売却するという手段を取ることも可能です。それによって迅速なM&A(バイアウト)をスムーズに行うことができます。
さらに、香港あるいは国外で、個人名義で不動産や金融商品などに投資していた場合、当該個人の死亡により各種資産の凍結がなされ、資産の移動や換金が困難となるケースがあります。しかし香港法人があることによって、国外資産を保有していた場合でも、死亡後の資産の承継が容易になるというメリットもあります。
【有限公司(現地法人)のデメリット】
香港での法人設立手続きはアジアでもっとも簡単と言っても過言ではありません。ただ、香港に住所がなければならず、さらに現地在住の秘書役を選定して、登記する必要があります。もちろん、これらのこれらの秘書役や住所は、いわゆる“名義借り”も可能ですが、毎年会社登記局へ年次報告書を提出しなければなりません。
また、香港駐在員の給料に関しては、日本本社がそれほど多くは負担できないというデメリットがあります。ただ、現地法人・支店という事業形態ならば、自らの営業活動が可能なので、それほど気にすることはないでしょう。
2:支店[手続きの流れ・コスト・メリット&デメリット]
【概要】
外国法人の「香港支店」として進出する事業形態です。支店の役割も有限公司と同様ですが、香港に進出する場合は、日本法人(香港以外)による支店設立が認められます。
【申請の手順と必要書類】
日本法人による支店の設立には、以下の書類を提出する必要があります。
【現地法人設立に必要な書類】
・設立申請書
・会社を示す認証謄本(定款等)
・設立認可証の認証謄本(登記簿謄本でも可)
・最新の会計報告書の認証謄本
・商業登記所への通知書
(JETRO:外国企業の会社設立手続き・必要書類(香港)より)
上記の書類は英訳済みの上、国際公証人による翻訳証明が必須です(翻訳者が日本在住であれば日本の公証、香港在住であれば香港の公証)。
さらに設立申請書にあたっては、以下の情報を盛り込む必要があります。
・支店の設立日時
・香港・日本での拠点
・本社の事業所所在地
・取締役・秘書・支店の代表者に関する情報
・商業登記所への通知書
登記手数料については、有限公司と同様の手数料が必要になります。しかし、支店は駐在委事務所と同様、商業登記証を毎年更新する必要があるため、原則として、1年有効な商業登記証を取得することになります。
支店も有限公司と同じように、会社登記申請と同時に商業登記申請を行うことができます。
【申請の手順と必要書類】
香港の場合、香港の法律に則って外資企業の拠点として扱われます。
登記申請には、香港居住者である授権代表者を1人以上選ぶ必要があります。授権代表者は、支店設立の責任者であると言えます。登記手続きには、現地法人と同様、「BizFile」からオンライン申請することができます。登記料は300SGD(香港ドル / 約24,000円)が必要になります。
手続きの段階としては、2段階あります。最初の段階では、支店名の申請、その次段階には、支店登記となります。支店登記手続きには以下の書類が必要になります。
【支店設立に必要な書類】
・親会社の設立証明書
・親会社の定款
・会社の取締役の情報
・授権代表者の詳細と選任の覚書
・授権代表者の権限に関する覚書
・登記上の支店所在地の詳細
・親会社の直近の監査済み財務諸表(必要な場合)
これらの書類を提出して認可を受けられれば、支店を設立することができます。設立後も、登記番号の記載や財務諸表等の提出が求められます。
【支店のメリット】
メリットとしては、親会社名義で資金調達が可能な点です。その一方で有限公司と異なり法人格を持たないため、支店の責任はすべて日本の本社が負うことになります。
【支店のデメリット】
支店登録する際に留意すべきポイントは、登記手続上で提出する書類が多くなること、見積もりや請求書を発行する際には商業登録をする必要があることのふたつです。
支店という事業形態は、駐在員事務所と違って、現地法人同様に、営業活動は可能ですが、本社と合算して申告・納税をする必要があります。
例えば、香港支店で稼いだ利益は香港分を除き、基本的には日本の法人税率分を支払う義務が発生します。そもそも香港外で獲得した利益は課税対象外ですので、香港会社設立の最大のメリットである低減率(法人税率16.5%、個人所得税標準税率15%)を享受することができなくなってしまいます。
3:駐在員事務所[手続きの流れ・コスト・メリット&デメリット]
【概要】香港の駐在員事務所は、他国と同様、販売や営業といった収益に絡む営利活動は禁止されています。主な業務内容としては、現地の市場調査や情報収集といった業務になります。
香港で経済活動を行う場合は、後述する有限公司(現地法人)・支店に格上げをする必要があります。
【申請の手順と必要書類】
駐在員事務所の手続きには、会社登記は不必要ですが、商業登記が必要です。商業登記の手続きは容易なため、有限公司や支店設立と比べると、簡単に設立することができます。
【支店設立に必要な書類】
駐在員事務所の設立に必要な書類は、商業登記所への通知書のみが必要です。その他、商業登記証書と倒産時賃金保護基金の証書が必要になります。駐在員事務所の設立においては、商業登記料として2,000香港ドル(約28,000円)、また、基金の課徴金として、250香港ドル(約3,500円)が必要になります。
また、毎年更新が必要なため、その都度、商業登記所へ商業登記料を支払う必要があります。
【駐在員事務所のメリット】
駐在員事務所は、情報収集や連絡業務といった限られた活動のみ許可されており、営業活動は不可となっています。香港に駐在員事務所を設立するケースとしてのメリットは、大きな投資をする前に、香港での市場調査や分析を実施できることです。また、原則として課税所得は発生しません。ただ数年に一度、申告書の提出が必要です。
【駐在員事務所のデメリット】
営業活動は法人及び支店にのみ認められています。したがって駐在員事務所としての営業活動は不可となっています(結果として営業活動を行った場合は、日本法人のPermanent Establishment(PE)として、当該PEから生じる香港源泉所得に対して事業所得税が課される可能性がある)。
4:「EOR」「GEO」「PEO」[手続きの流れ・コスト・メリット&デメリット]
【概要】
コロナ禍によってオンラインワークの有効性が実証および実現されたことにより、近年ここ日本でも急速に需要が増しているのが「EOR」「GEO」「PEO」(*)と呼ばれる新たな海外進出形態です。
*「EOR」「GEO」「PEO」の綴りと日本語訳は以下の通り。それぞれ厳密には意味が異なりますが、日本で提供されている各サービスの内容としては重複する部分も多く、本テキストでは、それらを一括して「雇用代行サービス」と定義しています
・EOR=Employer of Record / 記録上の雇用主
・GEO=Global Employment Outsourcing | Global Employment Organization / 国際雇用委託 | 国際雇用組織
・PEO=Professional Employment Organization / 習熟作業者派遣組織
アメリカを初めとする欧米企業ではすでに一般的に浸透しており、「EOR」「GEO」「PEO」それぞれ厳密にはやや違いがありますが、いずれも「海外現地に拠点がない企業の現地人材雇用およびそれらに伴う人事・労務管理を代行してくれるサービス」を指すという面ではほぼ同じであるとご理解ください。
上記で述べたように、香港で海外事業を展開するには、現地法人・駐在事務所・支店といった方法がありますが、いずれの方法も相応のコストが発生し、リスクも伴います。また、現地法人を設立したり駐在員事務所を立ち上げて香港事業を展開をするには、事業開始までに時間がかかるケースが多く、スピード感を持った香港進出はなかなか難しいのが現実です。
しかし、「EOR」「GEO」「PEO」と呼ばれる一連の雇用代行サービスでは、それらのサービス提供企業が、香港進出を希望する日本企業の代わりに、現地の雇用主として、現地従業員と雇用契約を締結し、人事労務手続きや税務申告などのバックオフィス関連業務を、香港進出を希望する日本企業に代わって担当してくれます。
つまり、香港進出を希望している日本企業は、現地で働いてくれる人材を確保することができれば、現地に拠点を設立しなくても香港事業を開始できるのです。
海外での複雑な人材管理業務を代行してもらうことで、よりスピーディーに香港事業をスタートできることに加えて、より重要なプロジェクト業務にリソースを集中することも可能になります。仮に現地から撤退をする際も法人清算の必要がなく、撤退リスクも削減することができます。
もちろん、香港進出を希望している日本企業は、自ら選定した現地人材を各サービスの提供会社に雇用させることができます。つまり、自社事業を任せるに相応しい現地人材を主体的に選定した上で現地事業を展開するという面では、現地法人の設立と大きく変わらないと言えるでしょう。
【「EOR」「GEO」「PEO」のメリット】
「EOR」「GEO」「PEO」を活用することで、法人登記や労務に関する手続きを回避および削減でき、時間的コストが短縮できます。したがって、現地人材の雇用が完了すれば、現地拠点設立と比較してよりスピーディーに香港事業をスタートすることできます。
さらに、低コストかつ迅速に香港事業を開始できるため、香港事業の可能性を見極めたい段階でトライアル的な香港進出も検討できます。
また、現地在住の法定代表者(日本でいう代表取締役)を選定する必要がないため、日本から駐在員を送らずとも、現地事業の運営が可能になります。
加えて、香港事業が拡大した場合は現地法人の移行も可能であり、各サービスで雇用した人材はそのまま現地法人に移管されるので事業の連続性を保つこともできます。
仮に現地からの撤退する場合でも法人清算をする必要がないため、撤退のリスクとコストも削減することができます。
【「EOR」「GEO」「PEO」のデメリット】
一般的に、香港で獲得した契約は、香港の顧客と日本本社との間の契約となり、現地の顧客からの支払いも香港から日本へ送金してもらう必要がでてきます。
また、香港現地に法人を設立しているわけではないので、現地での売上を計上することができません。よって小売業や飲食業といった現地で実店舗を出店する事業には向いていません。
さらに、事業規模が小さい間は大きな問題となりませんが、事業規模が拡大するとより柔軟な運営をしていくために現地法人の設立を検討することも必要がです。
また、許認可が必要なサービスに関しては、手間や費用が別途生じる可能性があります。
4. 香港での会社設立(法人設立)・登記にかかる費用とは?
香港で法人登記した場合の大まかな費用感
次に、香港での会社設立および法人登記をする際に生じるであろう、その大まかな費用感について見ていきます。今回は多くの業種業態において関係がある「最低資本金」「会社設立費用」「オフィス賃貸料」の3つのトピックをピックアップして解説します。
最低資本金
資本金額は1香港ドルから可能となっています。1香港ドルが株主として責任を持たなければならない上限となっていますが、一般的には1万香港ドルで設定されるケースが多いようです。
また、ここでいう資本金とは、株主の責任範囲を示す授権資本金のことを指しますが、授権資本金の0.1%を資本登録料(Capital Duty)として当局に支払います。資本登録料は30,000香港ドルが上限となっています。
会社設立費用
香港では、会社登記の申請提出は、同時に商業登記の申請提出とみなされます。
会社登記費用
会社登記の手数料として1,425香港ドル、設立証明書の発行手数料とし295香港ドル、計1,720香港ドルが必要です。設立証明書は、オフィスの賃貸契約を結ぶ際などに必要ですが、仮に会社が設立できなかった場合は1,425香港ドルは払い戻されます。
商業登記費用
1年間有効な商業登記証は2,000香港ドル、3年間有効な商業登記証は5,200香港ドルとなっています。
オフィス賃貸料
世界でもっともオフィス賃貸コストが高いのは香港の中環(セントラル)地区とされており、2018年4月には史上最高値となる134.3香港ドルを記録しています(※香港ポスト「中環の高級オフィス賃料、史上最高値を更新」より)。
香港の不動産物件の表示方法は、sq.ft(平方フィート)。日本で使われている面積単位の平米(㎡)で換算する場合は1sqf = 0.093㎡で計算します。
また、オフィスやテナント募集の際には、ロビー、エレベーターホール、階段などの公共部分の負担割合が賃貸面積に含まれているパターンが多くあるので、以下を参照してください。
Gross 表示:共有部分を含む面積。室内面積は70~80%前後
Lettable 表示:占有面積。室内有効面積は90%前後
Net Area 表示:室内、壁中心からの内側面積、日本における実質有効面積
さらに家賃以外にかかる諸費用として、下記の3つが挙げられますが…
管理費(マネージメントフィー):毎月の支払い
不動産税(カバメントレーツ):3ヵ月に1回の支払い
土地賃貸料(ガバメントレント):香港返還後にできた新しい徴収。3ヵ月に1回、不動産税と一緒に請求がくる
近年は、上記諸費用を含めた家賃設定が一般的となっているようです。
5. 香港での会社設立(法人設立)・登記に関する注意事項
規制対象か優遇対象かは事前に確認
基本的に外資出資が自由な香港ですが、外資規制業種(ネガティブリスト)も存在します。香港のネガティブリストの多くは、環境汚染や公害、危険業種に関連する業種が対象となっています。そのような問題が起きる可能性のある業種は、担当する部局に許可を得る必要があります。
一方、香港への投資を優遇している業種もあります。例えば、FintechやIT、クリエイティブが挙げられます。香港へ進出する際には、自身の業種が規制対象か優遇対象化を予め確認しておく必要があります。
6. 優良な香港の会社設立(法人設立)・登記代行企業をご紹介
御社にピッタリの香港進出サポート企業をご紹介します
香港の会社登記手続きは、明快で分かりやすいと言われています。しかし、独力で会社登記を行うと、時間的コストが多くかかってしまいます。
香港で会社登記を行う場合、現地の登記手続きに詳しい会社登記代行企業に依頼することが一般的です。その道のプロフェッショナルである登記代行会社および「EOR」「GEO」「PEO」の一連の雇用代行サービスを提供している企業に依頼することをオススメします。依頼することで、短時間かつスムーズに法人設立が可能になります。
「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な香港の登記代行企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。
「香港に進出したいがどのように登記をすればいいかわらない」「どんな書類が必要なのかわからない」「香港進出においてEOR・GEO・PEOのいずれかのサービスの導入を検討したい」「早く登記を完了させたい」…といった、香港進出における会社設立。登記代行のご質問・ご相談を承っています。
ご連絡をいただければ、香港進出専門コンシェルジュが、御社にピッタリの会社設立・登記代行企業をご紹介いたします。まずはお気軽にご相談ください。
(参照文献)
・JETRO(2012)「香港進出に関する制度情報」
・JETRO(2017)「拠点を設立するための方法および留意点:香港」
・JETRO(2018)「外国企業の会社設立手続き・必要書類(香港)」
・JETRO(2018)「外資に関する規制」
・JETRO(2018)「外資に関する奨励」
・InvestHK「香港での会社設立」
(当コンテンツの情報について)
当コンテンツを掲載するにあたって、その情報および内容には細心の注意を払っておりますが、掲載情報の安全性、合法性、正確性、最新性などについて保証するものではないことをご了承ください。本コンテンツの御利用により、万一ご利用者様および第三者にトラブルや損失・損害が発生したとしても、当社は一切責任を負わないものとさせていただきます。
海外ビジネスに関する情報につきましては、当サイトに掲載の海外進出支援の専門家の方々に直接お問い合わせ頂ければ幸いです。
この記事が役に立つ!と思った方はシェア
海外進出相談数
2,000
件突破!!
最適サポート企業を無料紹介
コンシェルジュに無料相談
この記事をご覧になった方は、こちらの記事も見ています
オススメの海外進出サポート企業
-
YCP Group
自社事業の海外展開実績を活かしてアジア圏への海外展開を完全代行、調査やM&Aもサポート
マッキンゼー/ボストンコンサルティンググループ/ゴールドマンサックス/P&G出身者を中心とする250人規模の多機能チームが、世界20拠点に構えるグループ現地法人にて事業展開する中で蓄積した成功&失敗体験に基づく「ビジネス結果に直結する」実践的かつ包括的な海外展開サポートを提供します。
YCPでは各拠点にてコンサルティングサービスだけでなく自社事業を展開しています。市場調査フェーズからスキーム構築/定常的なビジネスマネジメントまで、事業主として一人称で取り組んできたからこそ得られた現地市場ノウハウや専門知識を活用し、教科書的な「べき論」に終始せず、ヒト/モノ/カネの観点から海外展開リスクを最小化するためのサービス開発を行っています。
<主要サービスメニュー>
・海外展開完全代行:
事業戦略~実行までの各フェーズにて、全ての業務を完全に代行
・海外調査:
マクロデータに表れない市場特性を探るための徹底的なフィールド調査を踏まえたビジネスに直結するインサイトを提供
・海外M&A:
買収後の統合実務や定常経営実務までを包括的にサポート -
ABCD株式会社
私たちは貴社のセカイビジネス(主に欧米+アジア進出)の共創パートナーです。
私たちABCDは、貴社の海外事業部としてセカイ進出を共創するパートナーです。
これまでの実績は700社を越え、さまざまな業種業態の企業の進出支援を行っております。
■私たちは...
*企業のセカイビジネスの開拓・拡張・成長をミッションとして各分野から集まった組織
*成功のノウハウだけでなく、失敗におけるノウハウも貴社支援に活用
*セカイビジネスを""A""(立ち上げ)から事業推進(""toZ""/プロジェクトマネジメント)まで伴走
*セカイ各国・各分野の現地協力社&6万人を超える現地特派員により、セカイビジネスを共創
■3つのサポート領域
①BtoB販路開拓サポート
セカイ各国の現地企業との取引創出を目的としたサポート。
現地企業の探索条件の設計から着手し、企業探索・アポイント取得・商談〜交渉〜契約までワンストップで対応。
②BtoC販路開拓サポート
セカイ各国の消費者に直接販〜集客することを目的としたサポート。
販売はECモール・越境ECサイトを中心とし、集客はSNS活用から各種プロモーション(インフルエンサーマーケティング・広告運用など)海外でのブランディングを含めたマーケティング戦略全般対応。
③セカイで法人・店舗開業
セカイ各国現地に店舗開業を包括的にサポートすることを目的としたサポート。
現地法人設立(M&A含む)や店舗開業に伴う不動産(内装業者)探索や人材探索、各種手続き・ビザ申請等、ワンストップで対応。
■サポート対象エリア
基本的にはセカイ各国の支援に対応しておりますが、
これまでの多く携わってきたエリアは、アメリカ・ヨーロッパ・東南アジア・東アジアです。
■これまでの支援で最も多かったご相談
- 海外進出って何をすればよいの?
- 初めての海外進出をどのように進めれば不安、手伝って欲しい
- どこの国が最適なのか、一緒に考えて欲しい
- 進出検討中の国や市場を調査・分析し、自社との相性が知りたい
- 現地競合企業の情報・動向が知りたい
- どんな売り方が最適か、アドバイスが欲しい
- 海外進出事業計画策定を手伝って欲しい
- 事業戦略・マーケティング設計がしたい
- 食品・コスメ・医薬品に必要なFDA申請を手伝って欲しい
- 海外で販路開拓・拡張がしたい
- 海外現地企業と取引がしたい
- 海外現地法人設立(ビザ申請)をサポートして欲しい
- 海外でプロモーションがしたい
- 越境EC(自社サイト・モール)販路を広げたい・深めたい
- 海外のデジタルマーケティング戦略をサポートして欲しい
- 海外向けのウェブサイト(LP)をつくってほしい
- 海外向けのECサイトをつくってほしい
- 海外のSNS・ECの運用を手伝って欲しい
- すでに活動中の現地法人の悩み解決を手伝って欲しい
- 海外で店舗開業(飲食店含む)を総合サポートして欲しい
■主要施策
①BtoB販路開拓サポート
- 海外販路開拓・現地企業マッチングサポート
- 市場調査/現地視察
- 事業計画設計
- 海外ビジネスマッチング(現地企業探索サポート)
- 海外人材 探索・手配サポート
- 翻訳・通訳サポート
- 手続き・申請(FDA申請含む)サポート
- 海外税務/法務/労務/人事 サポート
- 輸出入/貿易/通関 サポート
- 海外販路開拓・現地企業マッチングサポート
- 各種市場調査/分析
↳企業信用調査
↳競合調査/分析
↳法規制調査
↳有識者調査・インタビュー
↳消費者調査・インタビュー
↳現地テストマーケティング
↳ウェブ調査/分析
②BtoC販路開拓サポート
- EC/越境EC運用代行サポート
- 各種サイト運用代行
- SNS運用代行サポート
- サイト(EC/多言語/LP)制作
- コンテンツ(画像・動画)制作デジタルマーケティングサポート
- プロモーションサポート
- SEO強化サポート
- Webプロモーション
↳インフルエンサープロモーション
↳現地メディアプロモーション
↳広告運用(リスティング広告・SNS広告など)
③法人・店舗開業
- グローバル飲食店開業サポート
- 現地法人設立サポート
- 現地視察サポート
- ビザ申請手続き
- 現地人材探索
- MAサポート
- クラウドファンティングサポート -
GoGlobal株式会社
企業のグローバル戦略を一気に加速!最短2週間で海外進出・雇用を実現
企業の海外進出に関連する一連のサービス
1. Employer of Record(“EOR” = 海外雇用代行)サービス
・GoGlobalの現地法人において貴社の指定する人員を雇用代行します。貴社は手間と時間の掛かる法人設立(法人登記、ライセンス取得、銀行口座開設)、および法人設立後の維持管理業務(バックオフィス体制の構築、決算、税務申告、給与計算、規則策定、等)の負担なく、海外で迅速に事業を開始できます。EORで雇用した社員の状況はGoGlobalが提供するシステム上でいつでも閲覧可能です。EORを利用することで貴社は、自身で現地法人で社員を雇用する場合と同様に事業を展開しつつ、管理負担を大幅に削減することが可能となります。
2.海外採用代行サービス
・貴社の海外事業に必要な人材の採用を支援します。GoGlobalの持つアジア各国及びアメリカのリクルーティング会社とのネットワークを活用し、数多くの候補者の中から貴社の事業を成長のために最適な人材の採用を支援します。 -
株式会社ダズ・インターナショナル
*欧米+アジアへの海外進出を"デキル化"伴走サポート*
私たちは日本企業のアメリカ・東南アジア・東アジアへのグローバル展開をサポートします。
支援実績社数500社を超え、見えてきた成功と失敗の共通点・傾向から、"企業の「やりたい」を『デキル化』する" をモットーに、新しい市場への挑戦に伴走します。
事業をしっかり前に進めるための"デキル化支援"として、これまでに携わった海外進出支援の中で、効果的な支援手法として、これらの3つのサービスラインナップを用意しております。
------------------------------------
01:デキル化伴走サポート
私たちが貴社のグローバルマーケティングチームになります。
海外進出のアイデア段階から伴走し、すべき/すべきでないことをミエル化し、デキるサイズ(実現可能な行動)に落とし込み、デキル化。
貴社のグローバルマーケティングチームとして積極的な事業推進を伴走します。
------------------------------------
02:グローバルマーケティング各施策
各フェーズ(調査・設計・実施)で、幅広い施策サポートを。
海外進出の各フェーズ・各施策を必要な分だけサポート。
ご要望と協議により、最適な関わり方・契約形態にて支援。
------------------------------------
03:グローバルデキル化エージェントサポート
私たちが貴社の海外ビジネスのハブ役(エージェント)を担います。
グローバル展開に必要な現地企業・専門企業/専門家を、探索〜選定〜交渉まで実施。
"どのような企業が事業推進に必要になるかの設計"から携わります。
貴社にとってどんな企業がパートナーとして最適か、第三者視点で精査・提案いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
以下2点が私たちの海外進出支援におけるバリュー(&理念)です。
■第三者ならではの貢献
企業支援の現場で私たちは「売る側」でも「買う側」でもない、第三者です。
私たちは「売る側」にも「買う側」にも肩を入れない、俯瞰的な位置に在るべきだと考えています。
"新しい市場でビジネス展開するためには、これらの3つの視野が必要"です。
- 主観:進出する企業(売る側|販売主の視野)
- 客観:進出する企業のお客様(法人・個人)や取引企業(買う側|消費者の視野)
- 俯瞰:わたしたち(第三者|売る側と買う側を俯瞰した視野)
それぞれの視野・立場だからこそ気づけること・見えること・わかることがあり、当然、偏りもある中でそのバランスをまとめる第三者が必要になります。
私たちはこれまで多くの支援実績やノウハウ(企業の成功・失敗の傾向と対策)に加え、第三者ならではの冷静さを持ち、事業推進を共に進めていく伴走者です。
------------------------------------
■会話にこだわり抜くこと
たとえば「成功したいんです」「失敗したくないんです」というコトバ。
これらのコトバたちは人によって意味も定義もまるで違うものです。
私たちは企業との会話で聞きます。
「あなたにとって成功とはどのような状態ですか?」
「失敗とはどのような状態ですか?」
どのような意味・思惑・意志を持ったコトバなのかもわからなければ、貢献なんてできません。
わかった気になって、会話のつもりが独り言になってしまうと、不協和音は鳴ってしまうものです。
私たちは、どんな当たり前のことも聞き、話します。
私たちの仕事において、会話はもっとも重要です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ -
プルーヴ株式会社
貴社の海外事業進出・展開をサポートさせていただきます
プルーヴは世界市場進出における事業戦略の策定と実行のサポートを行っている企業です。
「グローバルを身近に」をミッションとし、「現地事情」に精通したコンサルタントと「現地パートナー」との密な連携による「現地のリアルな情報」を基にクライアント企業様の世界市場への挑戦を成功へと導きます。