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【2019年版】香港経済の最新状況 | リセッション(景気後退)突入の危機

掲載日:2019年11月08日

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香港経済の最新状況を、基本情報およびその特徴も含めて、デモの影響で10年ぶりにリセッション(景気後退局面)に突入してしまった現状についても詳しく解説します。

2019年10月31日、香港政府は、同年の第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率の推定値が前年同期比で-2.9%であったと発表。2四半期連続のマイナス成長を踏まえて、香港経済が「リセッション(景気後退局面)」に突入したと表明しました。

その理由については「香港における社会混乱が深刻な影響をもたらした」と説明。さらに「輸出は改善する気配はなく、社会混乱が収束する兆候も見られない。2019年通年の香港経済がマイナス成長となる事態は避けられない」という旨の見解を述べています。

香港経済の停滞および、このたびのリセッション(景気後退局面)は、香港で事業を展開する日系企業の業績にも影響が及ぶ可能性があります。

香港政府は、香港経済の発展および産業の高度化のために、海外からの投資を歓迎していますが、本テキストでは、今日の香港経済を特徴づけた、「一国二制度」「レッセフェール」「コモン・ロー」という3つのポイントの解説に加えて、香港経済の特徴と構造、タックスヘイブンとしての香港について、さらには日本企業の香港への進出動向など、現在の香港経済を理解する上で知っておくべきトピックについて考察していきます。

1. 香港経済の最新事情【2019年版】

香港経済がリセッション(景気後退局面)に突入

香港政府は、2019年10月31日、同年の第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率の推定値が前年同期比で-2.9%であったと発表。その理由については「香港における社会混乱が深刻な影響をもたらした」と説明。2四半期連続のマイナス成長を踏まえて、香港経済が「リセッション(景気後退局面)」に突入したと表明しました。

中国本土からの観光客が42%減少

具体的には、民間消費支出は3.5%減、建設や設備投資などの固定資本形成は16.3%減、サービス輸出は13.7%減となっています。

特に下落が目立つのは個人消費です。個人消費は香港のGDPの7割を占めていますが、8月の小売売上は前年同月比で23%の減少。内訳としては、宝飾品や時計といった、中国本土からの観光客に人気がある品目が目に見えて下落している状況となっており、観光客の約8割を占める中国本土からの観光客が42%減少したことが、今回のマイナス成長に大きく響いていると見られています。

香港政府は「2019年通年もマイナス成長となる」と表明

今回のように四半期ベースでマイナス成長となったのは、2009年第3四半期以来10年ぶり。すでに5ヵ月続いている政府への抗議活動(デモ)が香港域内の経済に打撃を与えているとされています。

今後の見通しについても、政府は「輸出は改善する気配はなく、社会混乱が収束する兆候も見られない。引き続き、香港の消費および投資マインドに悪影響が及ぶ」と指摘。さらに「年末にかけても景気の下振れ圧力が継続する。2019年通年の香港経済がマイナス成長となる事態は避けられない」という旨を述べています。

政府への抗議活動が勃発する以前から、世界各国の例にもれず、香港経済も失速していましたが(2019年4〜6月期の経済成長率は10年ぶりの低い伸び率でした)、世界経済に大きな影響を与えている米中貿易戦争に加えて、今回の政府への抗議活動が、さらに大きな打撃を与えることとなりました。

2. 現在の香港経済を形作った3つのポイント

香港経済の最新状況に続いては、香港および香港経済の基本情報について解説します。このセクションでは、今日の香港経済を特徴づけた、「一国二制度」「レッセフェール」「コモン・ロー」という3つのポイントについて述べていきます。

イギリス占領下で独自の発展を遂げた香港経済

そもそも香港の正式名称は「中華人民共和国香港特別行政区」となります。香港に中国人が住み始めたのは唐の時代からと言われていますが、現在の国際都市としてのスタートは、19世紀に入ってからとなります。

1839年に始まった第一次アヘン戦争において英国軍によって占領された香港島が、1842年に締結された南京条約によって、イギリスに永久割譲されたことが歴史の大きな転換期とされており、その後も、イギリスによる植民地経営のもと、中国人移民を受け入れ、中国大陸および華僑を結ぶ貿易基地として成長を続けてきました。

さらに1979年の中国による改革開放政策導入以降は、複数の経済特区を持つ広東省とともに、急速な経済発展を遂げることに成功したのです。

「一国二制度」「レッセフェール」「コモン・ロー」という3つのポイント

1997年まではイギリスの植民地であった香港ですが、同年7月1日に、その後50年間は資本主義体制が維持されるという、いわゆる「一国二制度」 を前提に、中国へと返還されました(※2047年には「一国一制度」になることが、いわゆる〝2047年問題〟として、若者を中心に香港市民の間に浸透しています)。

そんな香港が今日の経済発展を遂げた大きな要因のひとつに、「レッセフェール(自由放任主義)」と呼ばれる、〝政府の積極的不介入〟を掲げた経済政策があります。英領植民地期において、政庁が企業活動には介入せず、企業は市場原理にしたがってのみ活動するという原則が、香港経済に大きな活力を生み出したとされています。

また、コモン・ロー(慣習法)を踏襲する「香港特別行政区基本法」に基づく司法制度の導入も見逃せません。原則として中国本土の法律が適用されないため、中国本土とは異なる、今日の香港ならではの市場経済および資本主義体制を保持することができたのです。

3. 香港経済の特徴と構造

このセクションでは、先述の3つの経済施策が形作った、現在の香港経済のおもな特徴と構造について考察していきます。

サービス業を主体とした経済構造

香港の主要産業は、商業、金融、不動産業、観光、運輸・通信から成り立っています。製造業においては、すでに生産拠点を中国本土に移転していることも香港ならではの特徴と言えるでしょう。特筆すべきは、サービス産業がGDPの9割を占めていること。まさにサービス業をメインとした経済構造となっています。

香港経済

※外務省 「中華人民共和国(People’s Republic of China) 基礎データ」より抜粋

レッセフェール(自由放任)政策を背景とした規制の少なさ

先述した、2047年まで有効な「一国二制度」が採用されていることで、イギリス統治時代の「レッセフェール(自由放任)政策」が踏襲されています。その結果、政府が必要以上に規制をしない、市場経済の原理にまかせたマーケットが香港ならではとされています。

また1973年に為替管理法が撤廃されたことで、資金調達や通貨交換、海外から及び海外への送金が自由に行えるのも香港ならではと言えるでしょう。

シンプルな税制と低い税率

香港はアジア有数のタックスヘイブン(租税回避地)として知られていますが、その税制もシンプルです。以下、香港の税制について述べていきます

■香港域内のみが課税の対象

そもそも日本に居住する居住者は国内、国外を問わず、全世界で発生した所得に課税されるのに対して、香港は源泉地基準を採用しているので、香港域内源泉のみが課税の対象となっている。その結果、全世界所得が対象とならない。

つまり、日本のように居住・非居住で区別せず、その所得が国内で発生したものか否かというくくりで国内所得にのみ課税される。その結果、国外所得は非課税となる。

■法人への課税は「事業所得」のみで、一律16.5%

■個人への課税は「所得税」のみで、実質最高15.0%

■キャピタルゲイン(株式や債券などの保有している資産を売却することによって得られる売買差益)に対しては非課税

■株式配当に対しては非課税

■相続税なし

■付加価値税(消費税)なし

ほぼないに等しい一般物品への関税

香港ではほとんどの一般物品に関税がかかりません(※酒、たばこ、炭化水素油(ガソリンなど)、メチルアルコールをのぞく)。

そもそも香港には貿易規制措置がほとんど存在せず、戦略物資、医薬品、繊維品などの一部の製品をのぞいて輸出入許可が不要となっています。許可が必要なケースでも、その手続きは簡略化されており、短い期間で許可を取得できる仕組みになっています。

香港経済の基本情報

セクションの最後では、改めて香港経済の基本情報について見てみましょう。経済の基本情報を下記にまとめたのでご覧ください。

※外務省 「中華人民共和国(People’s Republic of China) 基礎データ」より抜粋

4. タックスヘイブンとしての香港

「タックスへイブン対策税制」の改正に注意

タックスヘイブンとは租税回避地という意味です。具体的には、直接には国際取引をしない日本企業が、香港のような税負担の低い国に子会社を設立し、その子会社を通じて取引をすることで、税負担を軽減する方法が挙げられます。

仮に日本在住が1年以上であれば、国内税法(所得税)上、「居住者」として取り扱われ、全世界所得に対し課税されます。よって、香港法人から配当を受け取れば、日本において配当所得として課税されます。

しかし、香港は軽課税国(税率20%未満)に該当するので、香港法人の発行済株式のうち50%超を居住者及び内国法人が保有していた場合、当該発行済株式のタックスヘイブン対策税制の適用対象となるのです。

しかし、タックスヘイブンに本籍を有していても、その地で実質的な事業を行っていない場合は、日本で税金を納める必要があります。

日本の「タックスへイブン対策税制」は、そんな香港のようなタックスへイブン(軽課税国)を利用して租税回避を図る行為を排除する制度です。国内企業が低税率の海外子会社に所得を移転することで、日本での法人税負担を不当に軽減することを防ぐため、一定の要件に該当する海外子会社の所得について、国内企業(海外子会社の株主)の所得と合算して日本で課税するものです。

税制改正によって、「タックスへイブン対策税制」の適用要件が改正されているので注意が必要です。

5. 日本と香港の貿易関係

日本は香港にとって第3位の貿易相手国

香港にとって、日本は中国本土・アメリカに続く第3位の貿易相手国です。具体的には、第6位の域内産品輸出先、第3位の再輸出先、そして第2位の輸入相手国となっています。

2014年の日本への輸出は1,315億香港ドル(2兆567億円)、輸入は2.889億香港ドル(4兆5,184億円)で、対日赤字となっています。

日本にとっての香港は、農林水産物の最大の輸出先となっており、2014年の農林水産物の輸出総額は6,117億円のうち、香港は1,343億円で全体の22%で、国・地域別で1位となっています(※2位:アメリカ、3位:台湾、4位:香港、5位:韓国)。

6. 日本企業の香港への進出動向

香港に進出している日本企業は1,688社

最後の日本企業の香港への進出動向について見てみましょう。

香港政府は、香港経済の発展および産業の高度化のために、海外からの投資を歓迎しています。香港には外資導入規制はほとんど存在せず、業種も公共部門(水道・鉄道など)、金融、危険物の製造・販売以外であれば、ほぼ自由に進出が可能となっています。

東京商工リサーチの調査によると、2019年10月現在、香港に進出している日本企業は1,688社。拠点数は2,288カ所に及んでいます。業種は、耐久財や消耗品の卸売業、輸送に付帯するサービス業、飲食店など多岐に渡って展開しています。

香港に進出している日系企業2,288拠点のうち、産業別でもっとも多いのが卸売業の1,308拠点(構成比57.1%)。大手商社を始め、電機メーカー、食品会社など、たくさんの有力企業が香港にて事業を展開しています。

7. 優良な中国進出サポート企業をご紹介

御社にピッタリの香港進出サポート企業をご紹介します

今回は香港経済の最新事情について解説しました。

いまだ「逃亡犯条例」改正を発端とする域内の混乱が続いている現在の香港。本テキストでも考察してきたように、香港経済の停滞および、このたびのリセッション(景気後退局面)は、香港で事業を展開する日系企業の業績にも影響が及ぶ可能性があります。

香港経済の正常化は、日中貿易戦争の鎮静化同様に、世界経済の正常化にも繋がります。そもそも先述したように、日本と香港の貿易関係は、相互に深いものであることは言うまでもありません。このたびの抗議活動の長期化によって、旅行者の減少はもちろん、香港への外国投資の減退が懸念されていますが、日本を含む世界中の企業にとって、香港が海外ビジネスにもっとも適した地域のひとつであることは間違いありません。

「Digima〜出島〜」には、厳選な審査を通過した優良な香港進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。

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(参照文献)
・外務省 「香港(Hong Kong) 基礎データ
・山口銀行国際部「香港の概況と投資環境」

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この記事を書いた人

「Digima〜出島〜」編集部

「Digima〜出島〜」編集部

株式会社Resorz

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