フィリピンの新たな会社形態「OPC(One Person Corporation)」〜一人会社の設立や規制を解説!〜

フィリピンの会社法が近年改正され、OPC(One Person Corporation)という新たな法人形態が導入されました。この新制度は、特にスモールスタートや市場テストを行いたい企業にとって非常に有効な選択肢となっています。
本記事では、OPCの特徴、メリット、デメリットについて詳しく説明し、フィリピンで海外ビジネスをスタートできる一つの方法を解説します。
▼ フィリピンの新たな会社形態「OPC(One Person Corporation)」〜一人会社の設立や規制を解説!〜
1. OPC(One Person Corporation)とは?
OPC(One Person Corporation)は、その名の通り、一人の株主によって所有・管理される法人形態です。この形態の導入により、法人の資産は株主の個人資産とは別個に扱われるため、有限責任のメリットが享受できます。つまり、株主個人の資産が法人の債務に対して保護されるのです。
主要な要件
- 取締役の居住要件:取締役がフィリピンの居住者である必要はない
- 会計責任者と法人秘書:フィリピン現地の人が必要
2. OPC(One Person Corporation)の3つのメリット
OPC(One Person Corporation)は、中小企業や新規事業を立ち上げる際にいくつかのメリットを提供します。
特に展開スピード、コスト、リスクの面で優れており、フィリピンでのビジネス拡大に最適です。それでは、OPCの具体的な3つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
【メリット①】設立のシンプルさ
OPCの大きな利点は、その設立プロセスの簡便さです。通常の法人では複数の取締役や株主が必要ですが、OPCでは一人で設立・運営が可能です。
これにより、迅速なビジネス立ち上げが実現できるため、単一株主の中小企業におすすめです。
【メリット②】スモールスタートと市場テスト
新しい市場に参入する際、大量のリソースを投入するリスクを避けたい場合にOPCは最適です。簡単に設立できるため、スモールスタートやパイロット・テストを行うのに非常に適しています。
また、有限責任のため、ビジネスの失敗が個人の財産に及ぶリスクを最小限に抑えることができます。
【メリット③】フィリピン国内でのビジネス拡大
既にフィリピンでビジネスを行っている企業が、新たな地域でビジネスを展開する場合にもOPCは有効です。新たに別の法人を設立する必要がないため、コストと手間を大幅に削減できます。
3. OPC(One Person Corporation)の3つのデメリット
フィリピンのビジネス環境において新たな法人形態として注目されているOPC(One Person Corporation)ですが、メリットだけでなく、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、覚えておくべき3つのデメリットについて解説します。
メリットとデメリットを比較して、フィリピン進出に活用してみましょう。
【デメリット①】大規模企業には不向き
OPCは、単一の株主による所有・管理が基本であるため、多くの人や会社が関わる大規模企業には適していません。既存の投資家や関係者が新しい事業に意見を持つ場合、OPCではその意見を反映させることが難しいです。
【デメリット②】資本調達の制約
将来的に会社を大きくしたい場合や、追加の資本を調達したい場合にも、OPCは適していません。OPCは他の投資家を迎え入れることができないため、株式を通じての資本調達が困難です。
投資家が会社の一部を所有したいと思っても、OPCではそれが実現しません。
【デメリット③】フィリピン人所有が必要な業界
外国投資ネガティブリストに基づき、特定のビジネスにはフィリピン人の持分が必要です。このような業界では通常の法人が必要であり、OPCは適用されません。
外国投資ネガティブリストに関する詳細は別の記事で説明いたしますが、このリストに該当するビジネスを行う場合、OPCは選択肢から外れることになります。
4. OPC(One Person Corporation)の設立方法
OPCの設立手続きはシンプルであり、必要な書類も少なく済みます。具体的には、以下の書類が必要です。
- 定款
- 株主の身分証明書
- 設立費用の支払い証明書
これらの書類を提出し、フィリピン証券取引委員会(SEC)の承認を得ることでOPCが正式に設立されます。
設立後は、通常の法人と同様に会計報告や税務申告を行う義務があります。特に、会計責任者と法人秘書を現地人で構成する必要があるため、現地の法律や規制に詳しい専門家の支援を受けることがおすすめです。
5. OPC(One Person Corporation)を活用してフィリピン進出を成功させる
OPC(One Person Corporation)は、フィリピンでのビジネスをスモールスタートや市場テストとして始めたい企業にとって有効な手段の一つです。設立がシンプルで迅速に行える一方で、大規模な資本調達や多くの関係者が関わるビジネスには適していない点には注意が必要です。
フィリピンのビジネス環境は急速に変化しており、OPCの導入はその一環として注目されています。適切なビジネス形態を選択することで、フィリピン市場での成功をより確実なものにすることができるでしょう。
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弊社は、会計事務所を母体とした26ヵ国39拠点に展開するグローバルコンサルティングファームです。
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[ it’s about people ]
~人財こそ会社の原動力~
Innovare JapanはInnovare groupの日本拠点です。
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