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ロシア経済制裁の効果は? 日本企業への影響は? 世界各国の対応は?

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「ロシア経済制裁の効果」と「日本企業への影響」、さらには「対露制裁において異なる世界各国の対応」についても解説します。

2022年5月を過ぎても、依然としてロシアはウクライナから軍を撤退させる気配は見せず、次はモルドバかと近隣諸国は警戒を強めています。5月18日には、フィンランド・スウェーデンがロシアの脅威を現実のものと受け止め、NATO(北大西洋条約機構)への加盟を申請したことが世界中で話題となりました。

両国のNATO加盟までには数ヵ月かかるとされていますが、これが現実となれば、中立化政策によってロシアとの関係を維持してきたフィンランドとスウェーデンのバランス外交が終わりを告げることとなります。

上記のことからも、欧米主導のロシアへの経済制裁はさらに強固なモノとなるようにも思えますが、視点を欧米から東アジア・東南アジア・中東・アフリカ・南米と移していくと、それとはまた違った情景が見えてきます。

果たして欧米主導によるロシア制裁はどれほどの効果があるのでしょうか? そして対露制裁によって日本企業はどのような影響を受けるのでしょうか?

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1. ロシアへの経済制裁による日本企業への影響

ロシアに所在する日系企業の半数以上が事業停止

欧米主導によるロシアへの経済制裁は強化・拡大される一方で、企業にとってロシア国内での経済活動は難しくなるばかりです。

もちろん日本企業もその影響を強く受けています。

たとえば、JETRO(以下ジェトロ)が、ロシアに所在する日系企業211社に対して、4月15日~19日にかけて実施した企業アンケート調査によると、ロシアのウクライナ侵攻後のロシア事業の現状について、「一部もしくは全面的に事業(操業)を停止」と回答した企業が半数以上の55%に達し、前回3月の調査から12%も上昇したことが分かりました。

また、「通常どおり、または検討中」が44%だった一方、「撤退済み、もしくは撤退を決定」と回答した企業も1%に上りました。撤退という選択肢は企業にとってそのコストも伴うことから決して簡単ではないでしょうが、ロシアリスクの長期化を見込んだ決断だったのでしょう。

ロシアに所在する日系企業の半数以上が〝脱ロシア〟の動き

また、同様にジェトロが3月に発表した企業調査によると、今後半年から1年後の見通しとして、「ロシアからの撤退」と回答した企業が6%(ロシアに進出する企業211社のうち回答した97社が対象)に達し、同様に「縮小」が38%、「分からない」が29%、「現状維持」が25%、「拡大」が2%と半数近くの企業が脱ロシアの動きを示しました。

ジェトロがロシアによる侵攻前にも同様の調査を実施しましたが、その際「縮小」が17%だったので、軍事侵攻で日本企業の脱ロシアの動きが一気に加速化したことになります。

※参照:
ロシア・ウクライナ情勢下におけるロシア進出日系企業アンケート 調査結果(2022年4月)」JETRO

ロシア・ウクライナ情勢下におけるロシア進出日系企業アンケート調査結果」JETRO

2. 日本政府による経済制裁の内容とは? 日本企業の脱ロシア化の背景とは?

日本政府によるロシアへの経済制裁の内容について

このセクションでは、日本政府によるロシアへの経済制裁の内容と、前述した日本企業の脱ロシア化の背景について見ていきましょう。 そもそも日本政府による諸外国に対する経済制裁措置は、従来より国連安保理決議や有志国連合の協調による国際的な要請を受けて実施されています。

具体的には「外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき発動される措置であり、貿易規制や資本取引規制が行える処置を指します。

そして一口に経済制裁といってもその方法は多岐に渡ります。

おもなものに金融制裁や輸出入規制、入国制限(国外追放)、資産凍結などがありますが、欧米ロシア双方とも、政府高官の資産凍結や入国制限、またロシア産の原油や天然ガス、小麦などの輸入規制などを行っています。

日本政府は2022年2月26日の閣議決定後、関連する告示を公布・施行。その後、数回にわたって追加制裁が実施されています。

日本企業の脱ロシア化の背景にあるのは「日露関係の冷え込み」

日本政府のロシアへの経済制裁と比例して、前述したように日本企業の脱ロシア化が加速化する背景には、間違いなく今日の日露関係の冷え込みがあります。

今日の岸田政権は、ロシア政府高官の資産凍結や高級品目の輸出停止だけでなく、ロシア外交官を国外追放するなど制裁を強化し続けています。ロシアも日本に対して対抗措置をとる構えで、たとえば日本外交官を国外追放するなど、今後両国の間では経済制裁の応酬がヒートアップする可能性があります。

3. 欧米主導の対露制裁は効果があるのか? | ロシア国内の失業者増の可能性も

では、ロシアによる侵攻から3ヵ月を迎える中、欧米主導の対露制裁は効いているのでしょうか。

これについては現在進行中であるので、明確な答えは難しいですが、少なくとも以下のことが言えます。

欧米主導のロシア制裁はまったく効果がないわけではない

まず、侵攻以降、モスクワやサンクトペテルブルクなどロシア各都市では、マクドナルドやアディダス、アップルやスターバックスなど世界的な欧米企業が相次いで営業停止、撤退し、今後も再開する目途が立っていません。

日本企業でもトヨタや日産など自動車メーカーも今日操業を停止するなどしています。

こういった現状にモスクワ市長は4月、今後モスクワ市内の外国企業で働く20万人あまりが失業する恐れがあると警戒感を滲ませていますし、60万人が失業する恐れを指摘する声もあります。

当然ながら、ロシア人の中にもウクライナ侵攻を非難する人は多くいますし、侵攻以降、ロシアを脱出したロシア人も30万人いると言われています。こういった人々は言論統制が敷かれる現ロシアに失望しており、今後国外から反プーチンの声が高まる可能性も十分あるでしょう。 

こういった視点に立てば、欧米主導の対露政策は効果的と捉えられ、経済的締め付けが強化されることでロシア経済が悪化し、また軍事技術の必要な資材が入手できなくなるなどで、ロシアの軍事力が劣化していくことは考えられます。

4. ロシア制裁に対する世界各国の対応

ここからは「ロシア制裁に対する世界各国の対応」と銘打って、いわゆる欧米主導とされるロシア制裁に対して、世界各国がどのような対応をしているのかを見ていきます。

日本の報道だけに限定すると、世界各国がロシア制裁に対して積極的な印象を受けることが多いと思います。しかし、視点を俯瞰させると、欧米主導のロシアへの経済制裁には多くの課題があるのも事実です。

中国 | 欧米主導のロシア制裁から距離を置く

まず中国ですが、その存在感は強大です。中国は依然としてロシア非難を避け、むしろロシアを孤立させるべきではないとして経済的にはロシア接近を図っています。世界経済における中国の存在力を考えると、中国が欧米と一線を画している現実は、プーチン大統領が強気の態度を誇示できる背景にあります。

インド | エネルギー分野でロシアに依存

また、今後世界の主要経済大国になるインドの存在も大きいと思われます。インドは長年軍事技術をロシアに依存しており、両国の関係は良好です。インド自身もパキスタンや中国との国境では紛争問題を抱えており、ロシアの軍事技術はそれに対応する意味でも不可欠なものになっています。

インドはロシアによる侵攻を支持していませんが、国連対露批判決議では棄権に回るなどロシア非難を避け、むしろ欧米がロシア産原油や天然ガスの輸入を制限するなか、エネルギー分野でのロシア依存を深める姿勢を示しています。

バイデン大統領はインドのそういった姿勢に不快感を示しており、対ロシアを巡って今後米国とインドの関係が冷え込む恐れもあります。 

中東諸国 | サウジアラビアはロシア制裁に懐疑的な見方

さらに、日本経済にとって重要な中東諸国やASEAN諸国も欧米主導の対露制裁には参加しておらず、そこには大きな乖離があるといえます。

たとえば、中東の大国サウジアラビアは欧米による対ロシア制裁には参加せず、むしろそれに対して懐疑的な立場を示しています。トランプ大統領の4年間、米国とサウジアラビアの関係は極めて良好でしたが、イラン核合意への復帰や脱炭素など地球温暖化対策を重視するバイデン政権になって以降、両国の関係は冷え込んでいます。

長年、サウジアラビアとイランは中東の覇権を巡って長く対立し、サウジアラビアはイランへ接近を試みるバイデン政権を良く思っていません。また、シェールオイルで潤う米国はサウジアラビアにとってライバル関係にあり、OPECプラスにように、むしろ石油市場でサウジアラビアとロシアは対米で共闘関係にあるといえます。

最近も、ロシア産原油への締め付けが強化される中、バイデン政権がサウジアラビアに「もっと原油の蛇口を開いて欲しい」と電話会談を打診しましたが、サウジアラビアやUAEはそれを拒否しました。今日、対ロシアを巡って欧米と中東には大きな意識の違いがあります。 

ASEAN諸国 | シンガポール以外はロシア制裁に及び腰

また、ASEAN諸国も同様に、シンガポール以外の国は対露制裁に加わっていません。

最近、岸田総理がインドネシアとベトナム、タイのASEANを相次いで訪問しました。今回の最大の狙いは、対ロシアでASEAN諸国に共同歩調を促すことでしたが、会談では対ロシアへの経済制裁で日本とASEANでは姿勢の違いが表面化しました。

今年11月に開催されるG20主要20か国・地域の首脳会議で議長国となるインドネシアのジョコ大統領は4月、ウクライナのゼレンスキー大統領を招待するほか、ロシアのプーチン大統領が出席する予定だと明らかにしました。これについて米国のバイデン政権は反発しましたが、ジョコ大統領は世界が結束するべきで亀裂を生じさせるべきではないとの意思を示しています。

中南米・アフリカもロシア制裁には消極的

他にも中南米やアフリカの多くの国々も対露制裁には消極的です。

こういった世界の現状を考慮すれば、世界における欧米の力の低下も考慮すれば、欧米主導の対ロシア経済制裁には限界があり、今後抜け道がさらに拡大する可能性があります。日本としてはどこまで欧米と足並みを揃えるか、極めて難しい問題でもあります。

5. 今後の海外ビジネスにおいて日本企業に求められることとは?

海外進出企業は地政学リスクに関する対策のアップデートをする必要がある

今回のロシア軍事侵攻によるウクライナ情勢からも分かるように、今後の海外ビジネス市場においては、潜在化していたリスクが一気に顕在化および肥大化してしまい、多くの海外進出企業がそれに悩まされるケースが起こり得ます。

国際政治や安全保障研究の視点からいえば、今後も間違いなくウクライナ情勢のような事態は世界で発生するでしょう。具体的には、紛争やテロによって、石油の原油価格などが上昇したり、各国の経済の見通しが不透明になってしまうことなどです。

実際、それらのリスクを100%避けることは現実的ではなく、大小どちらにしろ、企業はその影響を受けることになります。

よって、重要なのは〝予防〟ではなく〝備える〟ことです。

今後は事業計画の延長線上に、企業としての「地政学リスク」への意識向上が求められます。さらに言えば、経営者自身がより地政学リスクへの意識を高めなければなりません。

世界でビジネスを展開していくにあたって、そこにあるのはチャンスや可能性だけではなくリスクも存在することを改めて肝に銘じる必要があります。

企業や経営者による危機管理意識の向上、これが現在の海外ビジネスにおいて新たに求められていることです。海外進出企業は各種リスクに関する対策のアップデートをする必要があると言えるでしょう。

6. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

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今回は、欧米主導の「ロシアへの経済制裁の効果」と「日本企業への影響」について解説しました。

海外ビジネスの事業計画を立てる際には、ぜひ今回解説したような一連のグローバルリスクも考慮していただければ幸いです。

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