【台湾企業の海外進出から学ぶ】外国投資を特定地域に集中させる戦略とは?

本稿では【台湾企業の海外進出】について解説します。
もはや、企業のグローバル戦略は国家戦略の優先課題となっています。そうした事情はどの国も一緒です。各国、様々な施策を打ったり、その国の企業同士が協力しあい、海外進出を進めています。
親日国として知られている、台湾も例外ではありません。昨年は、台湾企業である「鴻海精密工業」によるシャープ買収といったトピックもあり、大きな注目を集めました。小国でありながら世界的規模の企業を多数抱える台湾は、海外進出の得意な国としても認知されています。そんな台湾企業の海外進出戦略から学び取れることは何でしょうか?
台湾企業の海外進出 〜鴻海によるシャープ買収ほか〜
1. 台湾が誇る世界的企業とは?
限定的な内需が海外進出の必然性を生み出す
台湾は、人口が約2300万、大きさが日本の九州と同程度という比較的小国と言える国です。国内総生産(GDP)も5000億ドル程度と日本の約10分の1の経済規模となっています。
本誌5号の本連載で韓国企業の海外進出について述べたときも指摘しましたが、限定的な内需が海外進出の必然性を生み、結果として海外で活躍する企業が多くなっていきました。
例えば、EMS(電子製品受託生産企業)世界最大手の「鴻海精密工業」、PCやスマートフォンのメーカー「ASUS」や「Acer」、そして「中華航空(チャイナエアライン)」などは、みなさんもよく耳にしたことがある企業ではないでしょうか。
こうした企業は、高い技術力と安価な労働力を結びつけ、世界にインパクトを残すサービスを提供することで、グローバル市場でその立場を強めていきました。
しかし、台湾企業が海外で活躍できる理由はそれだけではありません。実はこうした大きな企業だけではなく、中小企業の海外展開が上手い国としても台湾は注目されているのです。
2. 外国投資を特定地域に集中させる台湾企業
特定の地域にまとまって進出する理由とは?
国際経営論などを専門とする東京大学大学院経済学研究科准教授・天野倫文氏は『地を読み、時を読む台湾企業の海外進出』(JB PRESS)という記事の中で、台湾企業の「外国投資を特定地域に集中させる」戦略を指摘しています。
中国やベトナムでの企業進出に際して、日本企業や韓国企業の進出分布は、基本的に経済規模に比例しています。
例えば、ベトナムであれば、南部のホーチミンと北部のハノイという2大経済圏に同程度の企業数が進出しています。
一方で、台湾企業の比率は圧倒的に南部の割合が大きくなっているのです(4倍程度の差がある)。これこそ台湾企業の海外進出の特徴であり、戦略であると天野氏は指摘しています。
小国であるがゆえに、台湾企業は日本や韓国の企業と比べ、資本力や数で劣ってしまうケースが多くなってしまいます。海外ビジネスにおいて、自国の企業が多いことは大きなアドバンテージになります。お互いにクライアントを紹介し合うことも可能ですし、お互いのサービスを活用する機会も増えるからです。
そのため、台湾企業は特定地域にまとまって進出し、他国企業との競争力を生み出そうとしているのです。新規開拓が必要となる海外ビジネスにおいて、かなりのビジネスリスクを抑えることができる戦略と言えるでしょう。
3. 日本の中小企業や地方自治体への大きなヒントに
今後の台湾企業の動向に注目すべし
このような戦略の恩恵を最も感じるのは小規模の事業者でしょう。
例えば、日本企業のベトナム投資として真っ先に思い浮かぶのは、大和ハウスや富士通、ホンダなどの大企業だと思います。これに対して台湾企業のベトナム投資は多業種にわたると天野氏は指摘しています。
先述の記事によれば、台湾企業のベトナムへの業種別投資状況を見ると、「第1位が衣服・靴・木材などの軽工業、第2位が二輪車(モーターサイクル)や自動車関係の重工業、第3位が農業、第4位が建設、第5位が不動産、第6位がホテル・観光、第7位が工業区開発となる」とのこと。中小事業者が中心となる衣服・靴・木材などの軽工業の投資が目立っているのです。
さて、こうした事実は日本の中小企業の海外進出に大きなヒントを与えてくれるのではないでしょうか。
近年、地方の中小企業の海外進出機運が高まりを見せています。そうした企業からの相談を、地方自治体や地銀などが受けるケースも増えています。地域おこしや地方企業の活性化策として、自治体や政府機関としても力を入れていきたい分野と言えるでしょう。
そうした企業を束ね、海外の市場を開拓していくにあたって、台湾企業の動きや行っていることを研究することで大きなチャンスを生み出せるはずです。新興国での台湾企業の動向に注目です。
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ユビーク株式会社
ユビークは、鎌倉と東京を拠点に、海外市場への進出支援と、そのための包括的なコミュニケーションを企画・実行する専門性を兼ね備えた、ユニークな経営コンサルタント・広告代理店です。ユビークは、ブランドが世界に向けて伝えたい内容を正確に、かつ各マーケットの文化に合わせて伝えることで、その成長に寄与します。
ユビーク株式会社とは
1997年、マイケル・フーバーがMDH Consultants KKを設立。日本企業や日本市場へ参入しようとする外国企業にコンサルティングサービスを提供していました。2015年に社名をユビーク株式会社に変更し、創業時から「企業開発のコンサルティング」と「マーケティング支援サービス」を着実に実践し、サービスを提供してきました。また、国内外の経験豊富な専門家と連携して「ブティック」を設立し、彼らの知見や能力を活かして、サービスの拡大を続けています。ユビークの中核は、品質とお客様への情熱、そしてプロフェッショナルなサポートです。
コミュニケーションと新技術
ユビークのコアチームは、日本およびグローバルでコミュニケーションのためのコンテンツを数十年にわたって企画・制作してきた経験を有しています。企業開発のコンサルティングから、翻訳、コピーライティング、ネーミング、ライティングなど幅広いサービスを提供し、それぞれが重要な役割を果たしています。また、出版物やビデオ、雑誌、書籍、広告の制作といった多面的なプロジェクトに領域を拡げ、さらには世界に展開するウェブサイト、SNS、ポータル、コンテンツマネジメントシステムを構築するデジタル領域へと進化してきました。
大手グローバル企業の社内や、広告・マーケティング会社のサプライヤーとして多様な仕事に携わってきたユビークは、コミュニケーションについて確固たる基盤を有しています。クライアント内外の視点からコミュニケーション・プロジェクトに必要な要素に精通しているため、企業と代理店のどちらのパートナーとしても優位性を持っています。
ユビークの専門的なスキルは進化し続けており、エンターテインメント製品や体験、マーケティングプログラム、市場調査、製品開発やテストにおいて大きな可能性を秘めたバーチャルリアリティ(VR)などの新たな技術にも焦点を当てています。テクノロジーやシステムが急速に進化している中、日本国内だけでなくグローバルに、企業のニーズに沿ったモバイルソリューションやソフトウェア開発をブランドに対して提供していきます。その一方で、「コンテンツ・イズ・キング」であり、最高品質のコンテンツが必須であるという事実を見失うことはありません。
マーケティング・インテリジェンス・サービス
最も成功しているマーケターは、消費者が何を求めているのかをより深く理解するために、トレンドやテクノロジーを常に把握しています。リサーチや情報分析はBtoCのマーケティングに活用されてきましたが、BtoBにおいても重要です。ユビークは、双方の分野でトップレベルの研究・分析を行うだけでなく、VRのような新しい技術を製品開発やマーケティングキャンペーンのテスト段階の時間短縮・コスト低減に活用している企業との提携を進めています。
これからのユビーク
ユビークは今後もグローバル企業に直接サービスを提供するとともに、広告代理店と連携したプロジェクトを遂行していきます。この2つの顧客基盤を拡大しながら、リソースやサプライヤーのネットワークを構築することで、個々のプロジェクト課題に最適な人材のマッチングを図ります。同時に、VRをはじめとする新しいビジネスチャンスに挑戦。中長期的には、企業や代理店に最高品質の成果を提供するために、ニッチを開拓します。また、日本のみならず海外のグローバル企業とのコンサルティング関係を構築し、新しい技術を積極的に導入することにより、バーチャル化が進む世界でコミュニケーションを強化していきます。
ユビークはデジタル時代にふさわしいプロセスと統合的なアプローチによって課題を解決する、信頼のおけるパートナーになりたいと考えています。重要なのは、未来に向けた理想のロードマップを戦略的に構築することです。日本から世界へ、世界から日本へ。時と場所を超えたコミュニケーションで人とブランドをつなぎ、ブランドにクリエイティブな力を吹き込む。それがユビークです。
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ユビーク株式会社
代表取締役
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