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タイ会社設立・法人登記の流れ 〜駐在員事務所・現地法人・支店の違いなど〜

掲載日:2018年08月27日

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本稿では、タイの法人設立・法人登記について見ていきます。

タイでは、経済特区や外資優遇制度、更には、外資出資比率、業界によって会社形態が異なってきます。そのため、法人設立・法人登記にあたっては、登記代行企業に依頼することが一般的です。

もちろん、タイでも支店や駐在員事務所の設立が可能です。2017年には、タイで駐在員事務所の手続きが簡略化されたため、今後増える可能性があります。支店設立は、銀行をはじめとした金融業が多く、進出可能な業種は限られています。

1. タイの会社形態とは?

日本企業がタイに進出するにあたって、複数の会社形態があります。ここでは、日本企業を含めた外資系企業が開業可能な会社形態について見ていきます。

駐在員事務所

タイでの駐在員事務所は、販売や営業といった営利活動はできず、基本的には現地の情報収集や本社との連絡を行う非営利の形態になります。

今までは、手続きに費用と手間がかかっていました。しかし、2017年にタイ政府により、駐在員事務所設立の手続きが大幅に緩和されました。この手続きについては後述します。また今後、手続きの緩和によって、駐在員事務所を設立する日本企業が増加する可能性があります。

地域統括事務所・地域統括会社(IHQ)

地域統括事務所、地域統括会社(IHQ)は、海外に多くの子会社を保有している企業が、ヨーロッパやアジアなど、地域ごとを統括するための会社形態です。

日本企業にとっては、タイを輸出拠点として、子会社や工場を設立するケースが多くあります。そのため、タイに地域統括会社を設立することは、東南アジアの製造拠点としても期待することができます。

また、タイに地域統括会社を設立することで、企業集団内での税率軽減や為替リスクの軽減など、金銭の負担を軽減することができます。

現地法人

タイでもっとも一般的である進出形態が現地法人です。現地法人は、非公開会社と公開会社で分かれています。

非公開会社は、進出する日本企業が多く採用する形態です。株式の譲渡や資金調達に制限がかけられています。一方公開会社は、上場を目指す企業が採用する形態であり、株式や資金調達について制限がありません。

また、最近では、タイ投資委員会(BOI:Board of Investment)による投資奨励政策や外資規制の緩和、工業団地への進出による優遇制度により、日本企業をはじめ、外資系企業の進出がしやすくなりました。

タイの支店は、現地法人と同様、販売や営業といった営利活動が可能ですが、外資規制により銀行をはじめとした金融機関の設立が多く、それ以外は設立が難しいとされています。しかし、プロジェクトによる一時的なジョイントベンチャーの設立は認められており、これも支店の一形態として数えられます。

2. タイの会社形態とは?

会社形態によって手続きは異なる

タイで日本企業が進出する際には、4つの代表的な会社形態がありますが、やはり法人設立・法人登記の手続きは異なってきます。

特に現地法人では、基本的な手続きは共通していますがタイ投資委員会(BOI)の投資奨励制度を申請するかしないか、また、工業団地に進出するかしないかによっても手続きが異なってきます。

地域統括事務所・地域統括会社の手続き

地域統括事務所・地域統括会社(IHQ)の認定を受けるには、条件があります。基本的に、マネジメントサービス・テクニカルサービス・コンサルティングや材料調達等の支援サービスを提供している企業が対象となります。また、関係会社は、持株基準や経営権基準の要件を満たしている必要があります。

この要件を満たす場合、法人税の免税や源泉所得税の軽減等の恩恵が受けられます。

関連:EY Japan「国際統括本部と国際貿易センターに対するタイの新しい優遇税制について

駐在員事務所設立の手続き・必要書類

タイの駐在員事務所設立は、2017年に大幅な規制緩和が施行されました。これによって、駐在員事務所の設立の為に必要な企業登録番号(TAX ID)の取得の手続きが容易になりました。

従来では、企業登録を発行するためには、外国人事業ライセンスの取得が必須でした。ライセンスの取得には、親会社の資本金の0.5%(最大25万バーツ(約85万円))が必要で、申請期間も3カ月以上必要でした。

設立後も、3年以内に事務所経費として300万バーツ(約1,020万円)以上を現地に持ち込む必要があり、時間とお金がかかっていました。

改定後は、商務省事業開発局に以下の書類を提出します。

・タイ国内でビジネスを行う外国法人の会計帳簿および帳簿記載必要書類の保管場所報告フォーム
・外国法人の登記簿謄本
・駐在員事務所責任者の任命状
・責任者のパスポートのコピーまたは、申請代理人の国民証のコピー
・申請代理人への委任状
・駐在員事務所の地図

(JETRO「駐在員事務所設立手続き:タイ」より)

不備なく書類が提出された場合、企業登録番号(TAX ID)が即日発行されます。また、手続きにかかる手数料も不要になり、経費送金についても200万バーツ(約682万円)が必要となりましたが、これも従来と比べて金銭的な負担が軽減できます。

現地法人設立の手続き・必要書類

現地法人設立の基本的な手続きは以下の通りになります。

1.会社名の予約
2.基本定款の登記
3.設立総会の開催
4.会社登記

(JETRO「外国企業の会社設立手続き・必要書類(タイ)」より)

会社名の予約は、設立する法人の発起人が行います。事前に類似の商号・会社名があるかを確認します。その後、商務省事業開発局やバンコク登記局等の管轄当局に予約申請を行います。申請から許可まで2~3日かかります。

基本定款の登記では、3人以上の名前を定款に署名することで現地法人を設立できます。投棄料は500バーツ(約1,700円)ですが、2020年12月31日までに現地法人を設立する場合、インターネットでは350バーツ(約1,200円)、経済特区内に設立する場合は250バーツ(約850円)になります。

基本定款には、

・会社名 ・資本金、発行株式数、1株あたりの額面額 ・設立目的 ・発起人の情報(氏名、住所、職業等) ・現地法人の所在県 ・取締役の責任

を盛り込む必要があります。

その後、株式の引き受けを行います。引き受けが完了した後は、設立総会を開催し、

・株主総会、取締役会の規定(付属定款)の採択 ・発起人の設立準備の承認 ・取締役の選任と権限、監査人(タイ人公認会計士)の決定 ・株式引受人の情報や引き受け株式数等の承認 ・株式対価の支払い

を検討する必要があります。その後は、会社登記を行い、登記局に以下を提出します。

・3人以上の株主の情報(氏名、住所、職業等) ・(代表)取締役の氏名、住所、職業 ・代表取締役のサイン権と署名 ・本社と支社の住所 ・付属定款 ・初回の資本金払込金額

登記料は、5,000バーツ(約17,000円)ですが、2020年12月31日までに登記を行う場合、ネットでは、3,500バーツ(約12,000円)、経済特区内では、2,500バーツ(約8,500円)となります。また、500万バーツ(約1,700万円)以上の資本金をもつ会社は、別途提出の書類があります。

関連:JETRO「外国企業の会社設立手続き・必要書類(タイ)

支店

支店手続きには、以下の手続き・書類が必要となります。

・宣誓供述書、会社登記簿謄本(英訳、タイ語訳済、公証有) ・担当官の面接 ・申請受理 ・審査、許可

が必要となります。また、1事業にあたり年間300万バーツ(約1,020万円)以上の経費を使用しなくてはなりません。

3. タイの法人設立の注意事項とは?

製造業と非製造業でも形態が異なる

タイでは、外資優遇制度として、タイ投資委員会(BOI)の投資奨励制度やタイ工業団地公社(IEAT:Industrial Estate Authority of Thailand)による優遇制度があります。基本的に、これらの制度は、製造業が申請できます。

BOIの投資奨励制度では、外資の100%出資や最大8年間の法人税の免税、輸出用材料の輸入関税の1年間免税等が挙げられます。

また、IEATによる優遇制度を受ける場合には、IEATが管理する工業団地に進出する必要があります。内容としては、BOIの制度と被る点も多いですが、法人税や関税の免税がないため、それを補う形で、BOIとIEATの制度を利用することが一般的です。

非製造業では、製造業と異なり、優遇制度を受けられる条件があります。また、会社形態や資本金額、外資出資比率によって進出形態も異なる点も注意です。

資本金1億バーツ(約3億4,000万円)以上の場合は、規制を受けることなく外資100%の出資が可能になります。

また、外国人事業許可を取得することで、外資100%の会社を設立ができます。しかし、外国人事業許可をもらうためには、タイの国益にかなうかどうか等の観点から審査を受ける必要があり、取得は難しいとされています。

その他、商社等をはじめとした卸売業向けの法人には、国際貿易センター(ITC:International Trade Center)という制度を利用してBOI認可を受けることができます。認可を受けるには、資本金が1,000万バーツ(約3,400万円)以上、BOIの優遇措置対象外であることが挙げられます。この制度を利用することで、外資100%の法人設立が可能になります。

卸売業以外のサービスでは、BOIの対象となっている業種で認可受けることができます。この場合は、貿易投資支援事務所(TISO:Trade and Investment Support Office)の制度が利用できます。主な業種としては、コールセンターや機械設備のメンテナンス等のサービスが考えられます。

ITCとTISOの場合、国内市場に参入はできず、ITCの場合は、商品の輸出入業が主ですが、TISOは、タイに進出した外資系企業に対するサービスが主になります。

関連:KPMG「タイでの「統括拠点」設立における制度上のリスクと対策

それ以外では、タイ企業との合弁会社設立の方法があります。この場合は、外資出資比率は50%未満とされています。そのため、合弁会社で設立を検討している場合は、現地パートナーの調査、選定や合弁契約の準備が必要になります。

4. タイの会社形態は複雑に分かれる

以上、タイの法人設立・法人登記手続きについて見てきました。タイでは、外資出資比率、更には進出する業界によって、会社形態が異なっており、手続きも複雑です。また、製造業の場合、経済特区に進出する可能性もあるため、手続きには何が必要なのかがわかならなくなってしまいます。

タイの法人登記は、不備なくスムーズに手続きができる場合、1カ月~1カ月半の期間が必要だと言われています。一般的に、タイで法人設立・法人登記を行う場合は、プロフェッショナルである法人登記代行企業に依頼することが一般的です。

5.優良な法人登記代行企業をご紹介

海外進出に必須の法人設立登記。進出する国によって、法令や制度が違います。

「Digima〜出島〜」には、厳選な審査を通過した優良な法人登記代行企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。

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(参照文献)
・EY Japan「国際統括本部と国際貿易センターに対するタイの新しい優遇税制について
・JETRO「外国企業の会社設立手続き・必要書類(タイ)
・JETRO「駐在員事務所設立手続き:タイ
・朝日ビジネスソリューション「タイ・バンコクの製造業進出支援・会社登記・会計処理・BOI申請・労働許可証、ワークパミット取得等
・久野康成『タイの投資・M&A・会社法・会計税務・労務【第二版】』TCG出版

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