【完全ガイド】タイでの会社設立 | 成功する進出のための手続きと実例を徹底解説

タイは、ASEAN地域の中でも経済成長が著しく、日本企業の進出先として重要な位置を占めています。特に製造業やサービス業を中心に、多くの企業がこの国をビジネスの拠点としています。
しかし、成功するためには、タイ独自の規制や法人設立プロセスを正しく理解し、自社に最適な法人形態を選択することが欠かせません。
そこで、本記事では、株式会社や有限会社、地域統括会社(IHQ)など、法人形態ごとの特徴や設立に必要な費用、具体的なステップを詳しく解説します。また、成功事例や失敗事例を交えながら、タイ進出をスムーズに進めるための実践的なアドバイスを提供します。これからタイ進出を検討している方にとって、必読のガイドとなる内容です。ぜひ最後までご覧ください!
▼ 【完全ガイド】タイでの会社設立 | 成功する進出のための手続きと実例を徹底解説
タイ進出の背景と日本企業の動向
タイはASEAN地域の中でも経済の中心的な役割を果たしており、多くの日本企業にとって魅力的な進出先となっています。タイの人口は約7000万人で、そのうち約50%以上が中間所得層以上に分類されています。この購買力のある層の増加により、国内市場が拡大している点が大きな魅力です。また、地理的な利点もあり、タイを拠点にASEAN全域への輸出や物流展開を行う企業が増えています。
日本企業の動向を見てみると、海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima~出島~」が発行する『海外進出白書 2023-2024』のデータでは、日本企業の74%がアジアを進出先として選んでおり、その中でタイは中国に次ぐ第2位にランクインしています。特に製造業やサービス業での進出が目立っており、その理由として「安定したインフラ」「政府の投資優遇政策」「労働力の質とコストパフォーマンスのバランス」が挙げられています。
しかし、課題も少なくありません。同白書によれば、約60%の企業が「現地の法規制の複雑さ」を、40%が「文化や商習慣の違いによるマネジメントの難しさ」を挙げています。これらの課題を克服するためには、事前準備と専門家の協力が欠かせないと言えるでしょう。
法人形態の種類と選び方:タイ進出を成功させるための基礎知識
さて、そんなタイで会社を設立する際には、事業の目的や規模、将来的な計画に基づいて適切な法人形態を選ぶことが重要です。日本企業にとっては「株式会社」が最も一般的ですが、事業規模や進出のステージによっては「有限会社」や「支店」、さらには「地域統括会社(IHQ)」などが適する場合もあります。
- 株式会社(Public Company Limited)
- 有限会社(Limited Company)
- 支店
- 地域統括会社(IHQ)
それぞれの法人形態には、特有の利点や条件、必要な費用がありますので、慎重に選択することが成功の鍵となります。詳細についても見ていきましょう。
株式会社(Public Company Limited)
株式会社は、日本企業がタイで製造業やサービス業を本格的に展開する場合に最も一般的に採用される法人形態です。この形態では、最低3名の株主が必要であり、通常は外国人の出資比率が49%までに制限されています。ただし、BOI(タイ投資委員会)の認定を受けることで、外国人が100%出資することも可能です。また、資本規模が大きい場合に適しており、柔軟な資金調達が可能であるため、投資家からの信頼を得やすいのが特徴です。
株式会社を設立する際の初期費用は、資本金や登記費用、専門家の手数料などを含めておおよそ50万~100万バーツ(約200万~400万円)が目安です。資本金の最低額は事業内容によって異なりますが、外国人を雇用する場合には1人あたり50万バーツ以上の資本金が必要とされることが一般的です。設立後も、会計や税務申告の管理費用が継続的に発生します。
また、株式会社は、柔軟な株式の売買が可能であり、将来的に株式上場を検討している企業にとって理想的な形態です。ただし、設立手続きや管理が複雑であるため、専門家のサポートを受けながら進める必要があります。
有限会社(Limited Company)
有限会社は、進出初期の段階や中小規模の事業を計画している企業に適した法人形態です。最低3名の株主が必要で、外国人の出資比率は通常49%が上限となっています。設立手続きが比較的簡単で、初期費用や維持コストを抑えられる点が特徴です。
有限会社の設立費用は、資本金、登記費用、そして専門家への依頼費用を含めて、20万~50万バーツ(約80万~200万円)が一般的な目安です。最低資本金は通常200万バーツ(約800万円)以上が求められますが、事業内容によって異なります。運営中の維持費用も比較的低く抑えられます。
そのため、有限会社は、初期コストを抑えつつタイ市場への進出を試みる場合に適しています。一方で、資本規模が大きくなると対応が難しくなるため、事業が拡大した際には法人形態の変更を検討する必要があるかもしれません。
支店(Branch Office)
支店は、日本本社が直接タイ国内で事業を行う形態です。本社が直接運営を行うため透明性が高く、効率的な資金運用が可能です。この形態は、タイ市場に特化した柔軟な対応は求められないが、本社の延長として営業活動を行う場合に適しています。
支店を設立する際には、最低300万バーツ(約1,200万円)の資本金が必要です。また、商務省の許可を取得するための申請費用や弁護士への依頼費用が発生します。設立費用全体の目安としては、50万~100万バーツ(約200万~400万円)程度が想定されます。
支店設立のメリットは、本社と収益を統合しやすく、運営の一元化が可能な点がメリットです。ただし、営業活動を行うにはタイ商務省の許可が必要であり、収益活動が認められる範囲が制限される場合があります。
地域統括会社(International Headquarters: IHQ)
地域統括会社(IHQ)は、多国籍企業がASEAN全域やその他の地域での業務を統括するために設立される形態です。この法人形態は、タイ政府が外国企業を誘致するために設けた特別な制度であり、財務管理、マーケティング、物流支援など、広範囲な業務を行います。特に、ASEAN地域全体を視野に入れて事業を展開する企業にとっては最適な選択肢といえます。
IHQの設立には、タイ国内および海外の関連会社を統括するための年間売上が15億バーツ(約60億円)以上であることなど、高い要件が求められます。設立費用は通常の法人形態よりも高額で、500万バーツ(約2,000万円)を超える場合もあります。ただし、法人税や関税の大幅な優遇措置を受けられるため、長期的なコスト削減効果が期待できます。
IHQは、ASEAN地域全体を統括する拠点として設立されるため、税制優遇措置や経済特区内での事業展開が可能です。しかし、設立条件が厳しく、資本力のある企業向けの形態といえます。
法人形態の比較
法人形態を選ぶ際のポイント
法人形態を選択する際には、事業内容や資本規模、進出計画を明確にした上で、各形態の特徴や費用を比較検討することが重要です。本格的な事業展開を考えている場合には「株式会社」が適しており、初期コストを抑えたい場合には「有限会社」が現実的な選択肢となります。また、ASEAN全域での統括業務を考えている企業には「地域統括会社(IHQ)」が非常に魅力的です。
それぞれの法人形態にはメリットと注意点がありますので、専門家の助言を受けながら選択を進めることで、タイ進出をスムーズに進めることが可能になります。
タイでの会社設立プロセス
タイで会社を設立するには、いくつかの重要なステップがあります。それぞれの手続きには細かい規定や条件があるため、事前にしっかりと計画を立てて進めることが大切です。以下に、設立プロセスを順を追って詳しく解説します。
ステップ1:会社名の予約
まず、商務省(DBD)で会社名の予約を行います。候補名を3つ以上用意し、事前にオンラインで申請するのが一般的です。この手続きには約3日間かかり、手数料は500バーツ(約2,000円)程度です。会社名は他社と重複しないことが条件で、タイ語または英語で登録する必要があります。
ステップ2:会社定款の作成
次に、会社定款(Memorandum of Association)を作成します。この書類には、会社の名称、所在地、資本金、株主構成、事業内容などが記載されます。特に資本金については、最低200万バーツ(約800万円)が求められますが、外国人従業員を雇用する場合はさらに高額になることがあります。この段階では、法律事務所や専門家の協力を得る企業が多く、手数料として約10万~20万バーツ(約40万~80万円)が必要です。
ステップ3:法人登記
法人登記は、会社設立の中核となる手続きです。タイ商務省にて定款や株主リスト、賃貸契約書などを提出します。登記費用は資本金に応じて計算され、通常は資本金の約0.5%に相当します。たとえば、資本金が500万バーツ(約2,000万円)の場合、登記費用は25,000バーツ(約10万円)程度となります。この手続きには約1週間かかることが一般的です。
ステップ4:税務登録と社会保険手続き
法人登記が完了した後、税務番号を取得するためにタイ国歳入局で税務登録を行います。VAT(付加価値税)の登録も必要で、年間売上が180万バーツ(約720万円)を超える事業はVAT登録が義務付けられています。また、従業員を雇用する場合は、社会保険機構への登録が必要で、これには1,000~3,000バーツ(約4,000~12,000円)の手数料が発生します。
成功事例と失敗事例から学ぶ進出のポイント
成功事例:自動車部品メーカーの成功
日本のある中小自動車部品メーカーは、タイ進出後わずか3年で売上を2倍に増やすことに成功しました。この企業は、BOI認定を取得して法人税免除や輸入関税の減免措置を活用しました。また、バンコク近郊に工場を設立し、ASEAN地域全体をターゲットにした物流ネットワークを構築しました。さらに、タイ人労働者のマネジメントには現地マネージャーを採用し、文化的なギャップを埋めることで生産性を向上させました。
失敗事例:飲食チェーンの撤退
一方で、日本の飲食チェーンがタイ市場で苦戦を強いられた事例もあります。この企業は、日本国内で人気のメニューをそのままタイに導入しましたが、現地の消費者ニーズを十分に調査していなかったため、競合店との差別化に失敗しました。さらに、現地スタッフの高い離職率が影響し、安定した運営ができず、3年で撤退を余儀なくされました。この事例は、市場調査や現地文化への適応がいかに重要であるかを示しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 会社設立にかかる期間はどれくらいですか?
A. 通常、会社設立の全プロセスには約1~2か月かかります。ただし、BOI認定の取得や追加手続きが必要な場合には、さらに数週間が必要です。
Q2. 最低資本金はいくら必要ですか?
A. 最低資本金は通常200万バーツ(約800万円)ですが、事業内容や外国人従業員の雇用状況
によって変動します。たとえば、外国人1人を雇用する場合には50万バーツ(約200万円)の追加資本金が必要です。
Q3. 法人税率はどれくらいですか?
A. タイの法人税率は20%ですが、BOI認定を受けた企業や特定の事業分野では優遇措置が適用され、5~10%または免税となる場合もあります。
まとめ:タイでの進出を成功させるために
タイでの会社設立は、計画的に準備を進めることで成功の可能性を大きく高めることができます。『海外進出白書 2023-2024』のデータや事例を活用し、リスクを最小限に抑える計画を立てることが重要です。また、現地の専門家やパートナーの協力を得ることで、タイ独自の規制や文化に対応した事業展開が可能となります。
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