【2026年最新】タイ進出ガイド|ASEAN最大の日系企業集積地でのビジネス環境を徹底解説
タイ進出は、日本企業にとって最も実績のある海外展開先の一つです。ASEAN加盟国の中で最多となる5,800社超の日系企業が集積し、「アジアのデトロイト」と称される自動車産業のサプライチェーンが確立された国として、半世紀以上にわたり日本企業のアジア展開の中核拠点であり続けてきました。
タイ政府はBOI(投資委員会)による手厚い投資奨励制度を整備し、EEC(東部経済回廊)構想による先端産業の誘致にも力を入れています。一方で、合計特殊出生率1.1という深刻な少子高齢化や、クーデターの歴史に見られる政情不安定さといったリスクにも目を向ける必要があります。
本記事では、タイ市場の基本情報からBOI制度の活用方法、進出形態の選び方、日系企業の最新動向まで、タイ進出に必要な情報を網羅的に解説します。Digima〜出島〜は27,000件を超える海外進出相談の実績を持つプラットフォームとして、多くの企業様のタイ進出をサポートしてまいりました。その知見も交えながら、実践的なガイドをお届けします。
この記事でわかること
- ・タイ市場の最新動向とASEANにおける位置づけ
- ・タイ進出の具体的なメリット6つ(BOI制度・EEC・インフラ等)
- ・タイ進出のリスク・注意点6つ(少子高齢化・政情不安・外資規制等)と対策
- ・BOI奨励の有無による進出形態の違いと拠点選びのポイント
- ・日系企業5,800社超の進出動向とタイランド4.0・EV化の影響
- ・会社設立の費用・期間・手続きの流れ
▼タイ進出ガイド
1. タイの基本情報と市場概況
人口約7,000万人・ASEAN第2位の経済規模
タイはインドシナ半島の中央に位置する立憲君主制国家で、正式名称はタイ王国です。人口は約7,000万人でASEAN加盟国中第4位、国土面積は約51万平方キロメートルと日本の約1.4倍の広さを持ちます。首都バンコクは人口約1,000万人を擁する東南アジア有数の大都市であり、政治・経済・文化の中心地として機能しています。
GDPは約5,500億ドル(2025年時点)で、ASEAN域内ではインドネシアに次ぐ第2位の経済規模です。一人当たりGDPは約7,800ドルに達し、世界銀行の分類では「上位中所得国」に位置づけられています。2020年のコロナ禍で大きな打撃を受けたものの、その後は回復基調にあり、2025年以降は年3〜4%台の安定成長が見込まれています。タイ経済の強みは、製造業を中心とした堅実な産業基盤と、観光業による外貨獲得力の高さにあります。
「アジアのデトロイト」と呼ばれる製造業のハブ
タイは「アジアのデトロイト」と称されるほど、自動車産業の集積が進んだ国です。トヨタ、ホンダ、日産、いすゞ、三菱自動車をはじめとする日系自動車メーカーが生産拠点を構え、年間約180万台の自動車を生産しています。自動車部品のサプライチェーンも高度に発達しており、一次から三次までの部品サプライヤーが国内に集積していることが大きな強みです。
自動車産業にとどまらず、電子機器、食品加工、石油化学、医療機器など幅広い製造業がタイに根づいています。国内には300を超える工業団地が整備されており、各工業団地にはインフラ、物流、行政手続きのワンストップサービスが備わっています。タイ東部のチョンブリ県やラヨーン県を中心とする東部臨海地域は、重工業と先端産業の両面で東南アジア随一の産業集積地となっています。
ASEANの地理的中心としての戦略的立地
タイはASEAN地域の地理的な中心に位置し、ミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアの4カ国と国境を接しています。この立地は、ASEAN域内のサプライチェーン構築や市場アクセスにおいて大きなアドバンテージとなります。特にスワンナプーム国際空港はアジアのハブ空港として機能しており、ASEAN主要都市へ2〜4時間でアクセスが可能です。
日本とタイの関係は非常に深く、2007年に発効した日タイ経済連携協定(JTEPA)をはじめ、RCEP(地域的な包括的経済連携協定)やASEAN自由貿易協定など、複数の貿易協定がビジネスを後押ししています。皇室・王室間の長年にわたる友好関係もあり、タイ国民の対日感情は極めて良好です。日本語学習者数は約18万人にのぼり、日本文化への関心の高さがビジネス面でも追い風となっています。
2. タイ進出のメリット・魅力
ASEAN最大の製造業集積地と成熟したサプライチェーン
タイ進出の最大のメリットは、半世紀以上かけて築き上げられた製造業の集積とサプライチェーンの厚みです。自動車産業を核として、電子部品、金型、プラスチック成型、金属加工など、あらゆる分野の部品メーカーが国内に揃っています。日本の製造業にとっては、部品や原材料の現地調達が容易であり、新たにサプライチェーンをゼロから構築する必要がありません。
300を超える工業団地には、電力・水道・廃水処理・通信インフラが完備されており、日系の工業団地運営会社(アマタ・ナコーン、WHA等)が日本語での入居サポートを提供しています。工場用地の確保から操業開始までのプロセスが体系化されている点も、タイが「進出しやすい国」として評価される理由の一つです。
BOI投資奨励制度による手厚い優遇措置
タイ政府のBOI(Board of Investment:投資委員会)は、外国企業の投資促進を目的とした強力な奨励制度を運営しています。BOI奨励を受けた企業は、業種やゾーンに応じて法人税の最大8年間免除、機械・設備の輸入関税免除、原材料の輸入関税免除、外国人労働者の就労ビザ・労働許可証の優遇取得、そして外国人の土地所有許可といった大きな恩典を受けることができます。
特に注目すべきは、BOI奨励を受けた企業は外国人事業法の規制を免除され、100%外資による事業運営が認められる点です。通常、タイでは外国人事業法により外国企業のサービス業等への参入が制限されていますが、BOI奨励企業はこの制約を受けません。BOIは東京にも事務所を構えており、日本にいながら事前相談を行うことが可能です。Digima〜出島〜にも「自社の事業がBOI奨励の対象になるか確認したい」というご相談が多く寄せられています。
親日感情と5,800社超の日系企業ネットワーク
タイには5,800社を超える日系企業が進出しており、これはASEAN加盟国の中で最大の数です。バンコク日本人商工会議所(JCC)の会員数は約1,700社に達し、世界最大級の日本人商工会議所として情報交換や事業支援の場を提供しています。すでに多くの日系企業が活動しているということは、日本語対応が可能な会計事務所、法律事務所、人材紹介会社、物流会社などのサポート体制が充実していることを意味します。
タイ国民の親日感情は東南アジアでもトップクラスです。長年にわたる皇室・王室間の交流、日本のODAによるインフラ支援の歴史、そして日本のアニメや食文化の浸透がその背景にあります。「日本企業」「日本製品」に対する信頼は厚く、ビジネスの現場においても日本企業であることが大きなプラスとなります。日系企業の駐在員向けの住居、インターナショナルスクール、医療機関なども充実しており、家族帯同での赴任がしやすい環境が整っています。
ASEANトップクラスのインフラ整備
タイのインフラはASEAN諸国の中でも高い水準にあります。高速道路網は主要都市間を結び、レムチャバン港はASEAN有数のコンテナ取扱量を誇る国際港として機能しています。スワンナプーム国際空港は年間約6,000万人の旅客処理能力を持ち、世界各地への直行便が就航しています。
電力供給も安定しており、ベトナムやインドネシアのような計画停電のリスクは低い水準です。通信インフラも整備が進んでおり、4G・5Gネットワークのカバー率は都市部でほぼ100%に達しています。バンコク市内ではBTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)などの都市鉄道も拡張が続いており、都市部の移動利便性は年々向上しています。このインフラの充実ぶりは、製造業だけでなくサービス業やIT関連企業にとっても魅力的な事業環境を提供しています。
スワンナプーム空港を核としたASEANハブ機能
タイの地理的優位性は、ビジネスにおいて極めて重要な意味を持ちます。バンコクからASEAN主要都市までのフライト時間は、ジャカルタまで約3時間、ホーチミンまで約1.5時間、シンガポールまで約2.5時間、ヤンゴンまで約1時間と、いずれも短時間でアクセスが可能です。このため、多くの日本企業がタイを「ASEAN地域統括拠点」として活用しています。
タイをハブとして、周辺のCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)への展開を図る「タイ+ワン」戦略は、多くの日系企業で採用されている実績のあるアプローチです。タイで培った経験とノウハウを活かしながら、成長著しい周辺国市場へ段階的に進出していくことで、リスクを抑えつつASEAN全体での事業拡大が可能になります。
EEC(東部経済回廊)による先端産業の誘致
EEC(Eastern Economic Corridor:東部経済回廊)は、チャチューンサオ県、チョンブリ県、ラヨーン県の東部3県を対象とした大型経済開発プロジェクトです。タイランド4.0政策の中核として位置づけられ、ロボティクス、航空・宇宙、バイオテクノロジー、デジタル、次世代自動車(EV)といった先端産業の誘致を進めています。
EEC地域への投資にはBOIの通常の奨励に加え、追加的な税制優遇や土地利用の特別措置が適用されます。ウタパオ国際空港の拡張、高速鉄道の整備、デジタルパーク・タイランドの建設など、インフラ投資も大規模に進められています。従来の製造業に加え、研究開発拠点やデジタル関連企業の集積を目指すEECは、タイの産業構造の高度化を担う国家プロジェクトとして、今後も日本企業にとって重要な投資先となるでしょう。
3. タイ進出のリスク・注意点
政情不安定さ(クーデターの歴史)
タイの最大のカントリーリスクとして挙げられるのが政情の不安定さです。タイでは1932年の立憲革命以降、十数回のクーデターが発生しており、直近では2014年にプラユット陸軍司令官(当時)による軍事クーデターが起きています。2023年に民政移管が実現し、セター政権を経て現在は安定化の兆しが見られますが、タイの政治構造には軍・王室・政党間の複雑な力学が存在し、中長期的な政治リスクはゼロとは言い切れません。
ただし、過去のクーデターにおいても、外国企業のビジネス活動が直接的に妨害されたケースは極めて限定的でした。タイ政府は政権の如何にかかわらず外国投資の促進を一貫して重視しており、BOI制度の継続性も担保されています。対策としては、現地の政治情勢を常にモニタリングし、有事の際のBCP(事業継続計画)を策定しておくこと、そして複数国に拠点を分散させるリスクヘッジ策を講じておくことが有効です。
深刻な少子高齢化と労働力不足(合計特殊出生率1.1)
タイはASEAN諸国の中で最も少子高齢化が進んでいる国です。合計特殊出生率は1.1と、日本(1.2)をも下回る水準にまで低下しています。65歳以上の高齢者人口は全体の約14%に達し、国連の基準では「高齢社会」に分類されています。この人口構造の変化は、特に製造業の現場における労働力不足として顕在化しつつあります。
現在、タイの製造業現場ではミャンマーやカンボジアからの外国人労働者に依存する割合が増加しています。しかし、外国人労働者の管理やコミュニケーションの課題も生じています。対策としては、生産工程の自動化やロボットの導入を進めること、BOI奨励を活用してオートメーション関連投資の優遇を受けること、そして採用力を高めるための福利厚生の充実が考えられます。中長期的には、タイを「労働集約型の生産拠点」から「高付加価値型の技術拠点」へと位置づけ直すことが、この課題への本質的な回答となります。
外国人事業法による業種規制
タイには外国人事業法(Foreign Business Act)と呼ばれる法律があり、外国企業の参入を制限する業種が3つのカテゴリーに分類されています。リスト1は外国人に完全に禁止されている業種(新聞業、農業、畜産業等)、リスト2は閣議の承認を条件に許可される業種(武器関連、運輸等)、リスト3は商務省事業開発局長の許可を条件に参入可能な業種(サービス業全般、卸売・小売等)です。
この規制により、多くのサービス業において外国企業が単独で100%出資の会社を設立することが難しくなっています。一般的な対応策としては、BOI奨励を取得する(外国人事業法の適用除外)、タイ人パートナーとの合弁会社を設立する(タイ側出資比率51%以上)、または外国人事業許可(FBL)を取得する方法があります。なお、名義借り(ノミニー)による外国人事業法の回避は違法行為であり、厳しい罰則の対象となるため絶対に避けるべきです。
上昇傾向にある人件費
タイの人件費はASEAN域内では中〜上位に位置しており、ベトナム、カンボジア、ミャンマーなどと比較すると割高です。最低賃金は地域によって異なりますが、バンコクおよびその周辺では日額370バーツ(約1,500円)程度で、月額換算では約9,000〜10,000バーツ(約3.6万〜4万円)の水準です。さらに、エンジニアや管理職クラスの給与水準は年々上昇しており、「安い労働力」を主たる目的とした進出は適さない段階に入っています。
対策としては、タイへの進出目的を「コスト削減」ではなく「付加価値創出」に転換することが重要です。タイの労働者は、ベトナムやカンボジアの労働者と比較して、製造業における熟練度や品質管理能力が高いとされています。この「質」に見合った対価を支払いつつ、生産性向上への投資と組み合わせることで、トータルでのコスト競争力を維持する戦略が求められます。
洪水などの自然災害リスク
2011年のタイ大洪水は、日系企業を含む多くの外国企業に甚大な被害をもたらしました。アユタヤ県やパトゥムターニー県の工業団地が水没し、日系企業だけで数百社が被災、サプライチェーンの寸断による影響は世界規模に及びました。この経験はタイ進出における自然災害リスクの深刻さを改めて認識させるものでした。
2011年以降、タイ政府は大規模な治水対策を実施し、工業団地側でも防水壁の建設や排水システムの強化が進められています。しかし、モンスーン気候に位置するタイでは、毎年の雨季に一定の洪水リスクが存在することは避けられません。対策としては、工業団地の選定時に標高や過去の浸水履歴を確認すること、洪水保険への加入、サプライチェーンの複線化、そしてBCPの策定が重要です。EEC地域は比較的高台に位置し、2011年の大洪水でも被害が軽微だった実績があります。
許認可手続きの煩雑さと規制の複雑性
タイでのビジネスにおいては、各種許認可手続きが煩雑で、関係官庁の判断に時間がかかることがあります。特に工場操業許可(Ror Ngor 4)の取得、環境アセスメント(EIA)の承認、外国人の労働許可証の取得・更新などは、書類の不備や追加要求により想定以上の時間を要することがあります。タイ語での申請書類の作成が求められるケースも多く、言語面のハードルも存在します。
対策としては、タイの行政手続きに精通した現地コンサルタントや法律事務所を早期に起用することが最も効果的です。BOI奨励企業であればBOIのワンストップサービスセンターを活用でき、ビザや労働許可証の取得手続きが大幅に簡素化されます。Digima〜出島〜でも、タイの法務・労務手続きに精通した専門家をご紹介しており、「許認可手続きの進め方がわからない」といったご相談に対応しています。
4. タイへの進出方法と拠点選びのポイント
BOI奨励の有無で大きく変わる進出形態
タイへの進出形態を検討する際、最も重要な分岐点となるのがBOI(投資委員会)の奨励を受けるかどうかです。BOI奨励を受ける場合、外国人事業法の規制が免除され、100%外資での会社設立が可能になります。加えて、法人税の最大8年間免除、機械・原材料の輸入関税免除、外国人の労働許可取得の優遇など、非常に手厚い恩典が用意されています。一方、BOI奨励の対象とならない業種の場合は、タイ人パートナーとの合弁会社設立(タイ側出資比率51%以上)や外国人事業許可(FBL)の取得が必要になります。
BOI奨励の対象業種は、製造業を中心にバイオテクノロジー、デジタル関連、ロボティクス、医療機器などの先端分野まで幅広くカバーされています。BOI東京事務所では日本語での事前相談が可能であり、自社の事業がBOI奨励の対象になるかどうかを確認するところから始めることをお勧めします。Digima〜出島〜にも「BOI奨励を受けられる業種かどうか確認したい」「工業団地の選び方を相談したい」といったご相談が多く寄せられています。
バンコク vs 工業団地(東部臨海地域)
拠点選びにおいては、事業の内容に応じてバンコク都市部と地方の工業団地の使い分けが重要です。バンコクは、地域統括本部、営業拠点、サービス業、IT関連企業の拠点として適しています。日系企業向けのオフィスビルが多数あり、シーロムやスクンビットなどのビジネス地区にはレンタルオフィスやコワーキングスペースも充実しています。
製造業の拠点としては、チョンブリ県やラヨーン県を中心とする東部臨海地域が最適です。アマタシティ、WHA、ピントーン、イースタンシーボードなど大規模な工業団地が集積しており、日系企業の入居実績も豊富です。工業団地内にはレンタル工場やBOT(Build-Operate-Transfer)方式の工場建設サービスもあり、初期投資を抑えた進出も可能です。また、EEC地域に立地する場合はBOIの追加恩典も活用できるため、先端製造業やR&D拠点の設置に特に有利です。
駐在員事務所・支店・現地法人の選択
タイへの進出形態には、駐在員事務所、支店、現地法人(タイ法人)の3つの選択肢があります。駐在員事務所は営業活動が行えず、市場調査や取引先との連絡業務に限定されますが、設立手続きが比較的容易で初期の情報収集段階に適しています。支店は本社と同一法人格として営業活動が可能ですが、タイの支店は外国人事業法の規制を受け、業種によっては設立が認められない場合があります。
最も一般的な進出形態は現地法人の設立です。BOI奨励を取得した上で100%外資のタイ法人を設立するか、タイ人パートナーとの合弁でタイ法人を設立するかが主な選択肢となります。BOI奨励の有無、事業内容、投資規模、パートナーの有無などを総合的に判断し、自社に最適な形態を選択することが重要です。初めてのタイ進出であれば、まず駐在員事務所で市場調査を行い、その後現地法人の設立に進むという段階的なアプローチも有効です。
5. タイに進出している日本企業の動向
ASEAN最大の日系企業集積地:5,800社超の実績
タイには5,800社を超える日系企業が進出しており、ASEAN加盟国の中で最大の集積地です。この数字は2位のベトナム(約2,400社)の2倍以上にのぼります。業種別では自動車・自動車部品をはじめとする製造業が全体の約半数を占め、次いで卸売・小売業、サービス業が続きます。近年では、IT・デジタル関連、飲食業、教育サービス、ヘルスケアなど非製造業の進出も増加傾向にあります。
バンコク日本人商工会議所(JCC)の会員数は約1,700社で、世界各地の日本人商工会議所の中でも最大規模です。JCCは業種別の部会活動や政策提言、タイ政府との対話窓口として機能しており、新規進出企業にとっても貴重な情報収集と人脈構築の場となっています。JCCが主催するセミナーや交流会は、タイのビジネス環境をリアルに把握する絶好の機会です。
自動車産業のEVシフトと日系企業への影響
タイの自動車産業は、いま大きな転換点を迎えています。タイ政府は「30@30」政策を掲げ、2030年までに国内自動車生産台数の30%をEV(電気自動車)とする目標を設定しました。この政策のもと、EV購入への補助金や物品税の引き下げ、充電インフラの整備が急速に進められています。
このEVシフトにおいて、中国のBYDやGAC(広汽集団)などの中国系EVメーカーがタイに大規模な投資を行い、急速にシェアを拡大しています。日系自動車メーカーにとっては、これまで「アジアのデトロイト」として築いてきた優位性が揺らぐリスクがある一方、EV関連のサプライチェーン構築やバッテリー技術の投資といった新たなビジネスチャンスも生まれています。部品メーカーにとっても、EV化に対応した技術転換が生き残りの鍵となります。Digima〜出島〜でも、「EVシフトへの対応をどう進めるべきか」「EV関連のサプライチェーンに参入したい」といったご相談が増加しています。
タイランド4.0とS-Curve産業への転換
タイ政府が推進する「タイランド4.0」は、従来の労働集約型経済から、テクノロジーとイノベーションを軸とした高付加価値経済への転換を目指す国家戦略です。この戦略のもと、「S-Curve産業」として次世代自動車、スマートエレクトロニクス、医療・ヘルスツーリズム、農業・バイオテクノロジー、食品加工の「ファースト・Sカーブ」5分野と、ロボティクス、航空・ロジスティクス、バイオ燃料・バイオ化学、デジタル、医療ハブの「ニュー・Sカーブ」5分野が重点産業に指定されています。
日本企業にとって、このタイランド4.0は脅威と機会の両面を持っています。既存の製造業モデルだけでは成長が見込みにくくなる一方、ロボティクスやデジタル技術、医療関連など日本が強みを持つ分野での新たな市場が開かれています。BOIもS-Curve産業への投資に対しては通常以上の優遇措置を設けており、日本企業の技術力を活かした進出に追い風となっています。
6. よくある質問(FAQ)
Q. タイ進出のメリットは何ですか?
タイ進出の主なメリットは、5,800社超の日系企業が集積する安心感のあるビジネス環境、BOI(投資委員会)による法人税免除・機械輸入関税免除などの投資奨励制度、ASEAN屈指の充実したインフラと300以上の工業団地、地理的にASEANの中心に位置するハブ機能、親日的な国民感情、そしてEEC(東部経済回廊)を中心とした先端産業の誘致政策が挙げられます。
Q. タイのBOI投資奨励制度とは何ですか?
BOI(Board of Investment:投資委員会)は、タイ政府が外国企業の投資を促進するために設けた制度です。対象業種に認定されると、法人税の最大8年間免除、機械・原材料の輸入関税免除、外国人の土地所有許可、外国人就労ビザの優遇などの恩典が受けられます。特に重要なのは、BOI奨励企業は外国人事業法の規制を免除され、100%外資での事業運営が可能になる点です。EEC地域への投資には追加的な優遇措置も用意されています。
Q. タイ進出のリスクや注意点は?
主なリスクとして、クーデターの歴史に見られる政情不安定さ、合計特殊出生率1.1という深刻な少子高齢化と労働力不足、外国人事業法による業種規制、ASEAN域内で上昇傾向にある人件費、洪水などの自然災害リスク、そして許認可手続きの煩雑さが挙げられます。いずれも事前の情報収集と、現地の法務・労務に精通した専門家との連携により、十分に対処可能なリスクです。
Q. タイでの会社設立にかかる費用と期間は?
タイでの会社設立は、BOI奨励を受ける場合と受けない場合で大きく異なります。BOI申請を伴う場合は認可取得まで2〜4ヶ月程度かかり、その後の法人登記手続きに1〜2ヶ月を加えて計3〜6ヶ月程度が目安です。BOIなしの場合は法人登記自体は2〜4週間で完了しますが、外国人事業法の規制により出資比率に制限がかかることがあります。初期費用は業種や規模により異なりますが、数百万円から数千万円が一般的な目安となります。
Q. タイの少子高齢化は進出にどう影響しますか?
タイの合計特殊出生率は1.1と日本を下回る水準にまで低下しており、ASEAN諸国の中では最も高齢化が進んでいます。労働力人口の減少により、特に製造業の現場では人材確保が課題となっています。対策としては、ミャンマーやカンボジアからの外国人労働者の活用、生産工程の自動化・DX推進、そしてBOI奨励によるロボティクス関連投資の優遇制度の活用が有効です。長期的にはタイの拠点を「労働集約型」から「高付加価値型」へ転換していく視点が重要です。
Q. タイランド4.0とは何ですか?
タイランド4.0は、タイ政府が2016年に打ち出した国家経済戦略で、従来の労働集約型・資源依存型の経済から、イノベーションと高付加価値産業を中心とした経済への転換を目指す政策です。ロボティクス、航空宇宙、バイオテクノロジー、デジタル、医療ハブなど10の重点産業(S-Curve産業)を指定し、EEC(東部経済回廊)を中心に集中投資を行っています。日本企業にとっては、技術力を活かした新たなビジネスチャンスが広がっています。
Q. 外国人事業法の規制にはどう対応すべきですか?
外国人事業法の規制への主な対応策は3つあります。第一に、BOI奨励を取得する方法です。BOI奨励企業は外国人事業法の適用が免除され、100%外資での事業運営が可能になります。第二に、タイ人パートナーとの合弁会社を設立する方法(タイ側出資比率51%以上)です。第三に、外国人事業許可(FBL)を商務省から取得する方法です。名義借り(ノミニー)による規制回避は違法行為であり、厳しい罰則の対象となるため絶対に避けるべきです。
Q. タイ進出で利用できる支援制度はありますか?
JETROバンコク事務所の海外展開支援サービス、BOIの投資奨励制度、JBICやNEXIによる金融支援・貿易保険など、公的な支援制度が複数利用可能です。また、Digima〜出島〜のようなプラットフォームを通じて、タイ進出に精通したコンサルタントや法律事務所、会計事務所などの専門家に相談することもできます。27,000件を超える海外進出相談の実績から、御社に最適な支援企業をご紹介しています。
7. まとめ:タイ進出を成功させるために
タイは、5,800社超の日系企業が集積するASEAN最大の日本企業拠点であり、BOI投資奨励制度による手厚い優遇措置、「アジアのデトロイト」として成熟したサプライチェーン、ASEANの地理的中心に位置する戦略的ハブ機能、そして長年にわたる親日的な国民感情という、日本企業にとって極めて魅力的な進出先です。
一方で、少子高齢化による労働力不足、政情不安定さのリスク、外国人事業法による業種規制、上昇する人件費、自然災害リスクといった課題も存在します。これらのリスクは、BOI制度の活用、適切な拠点選定、そして現地の事情に精通した専門家との連携により十分に管理可能ですが、事前の調査と準備が成功の鍵を握ります。
特に現在のタイは、EVシフトやタイランド4.0といった産業構造の大転換期にあり、従来の「安い製造拠点」という位置づけから「高付加価値型の技術拠点・ASEANハブ」への転換が求められています。この変化をチャンスと捉え、自社の強みを活かした戦略的な進出計画を策定することが重要です。
Digima〜出島〜は、27,000件を超える海外進出相談の実績を持つ支援プラットフォームです。タイ進出に精通したコンサルティング企業、会計事務所、法律事務所、人材紹介会社など、多数の専門家が登録しており、貴社のニーズに合ったパートナーを無料でご紹介いたします。「BOI奨励の対象になるか確認したい」「工業団地の選び方を相談したい」「EVシフトへの対応策を検討したい」など、どの段階のご相談でもお気軽にお問い合わせください。
8. 優良な海外進出サポート企業をご紹介
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2017年7月日本・沖縄と海外の万国津梁の架け橋を目指して、企業の海外展開支援を目的として沖縄・那覇で設立。アジア・欧州を中心に沖縄県内・沖縄県外企業の海外進出・国際展開のサポートを実施しています。2022年7月には観光産業の伸びの著しい石垣市に八重山事務所を開設しております。
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※サポート内容により、対応の可否や得意・不得意な分野はあります。
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■対応施策ラインナップ
①"市場把握"サポート
目的は"海外現地を理解し、事業の成功可能性を上げる"こと。
(以下、含まれる施策)
↳市場概況・規制調査
↳競合調査
↳企業信用調査
↳現地視察企画・アテンド
②"集客活動"サポート
目的は"海外現地で売れるためのマーケティング活動を確立"すること。
↳多言語サイト制作
↳EC運用
↳SNS運用
↳広告運用(Google/Metaなど)
↳インフルエンサー施策
↳画像・動画コンテンツ制作
③"販路構築"サポート
目的は"海外現地で最適な海外パートナーとの取引を創出"すること。
↳商談向け資料制作
↳企業リストアップ
↳アポイント取得
↳商談創出・交渉サポート
↳契約サポート
④"体制構築"サポート
目的は"海外現地で活動するために必要な土台"をつくること。
↳会社設立(登記・銀行口座)
↳ビザ申請サポート
↳不動産探索(オフィス・倉庫・店舗・住居)
↳店舗開業パッケージ(許認可・内装・採用・集客)
↳人材採用支援(現地スタッフ採用支援)
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GLOBAL ANGLE Pte. Ltd.
70か国/90都市以上での現地に立脚したフィールド調査
GLOBAL ANGLEは海外進出・事業推進に必要な市場・産業調査サービス、デジタルマーケティングサービスを提供しています。70か国90都市以上にローカルリサーチャーを有し、現地の言語で、現地の人により、現地市場を調べることで生きた情報を抽出することを強みとしています。自社オンラインプラットホームで現地調査員管理・プロジェクト管理を行うことでスムーズなプロジェクト進行を実現しています。シンガポール本部プロジェクトマネージメントチームは海外事業コンサルタント/リサーチャーで形成されており、現地から取得した情報を分析・フォーマット化し、事業に活きる情報としてお届けしております。
実績:
東アジア(中国、韓国、台湾、香港等)
東南アジア(マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ等)
南アジア(インド、パキスタン、バングラディッシュ等)
北米(USA、メキシコ、カナダ)、南米(ブラジル、チリ等)
中東(トルコ、サウジアラビア等)
ヨーロッパ(イタリア、ドイツ、フランス、スペイン等)
アフリカ(南アフリカ、ケニア、エジプト、エチオピア、ナイジェリア等) -
株式会社東京コンサルティングファーム
【26ヵ国39拠点】各国日本人駐在員が現地にてサポートいたします。
弊社は、会計事務所を母体とした26ヵ国39拠点に展開するグローバルコンサルティングファームです。
2007年に日本の会計事務所として初めてインドに進出し、翌年ASEAN一帯、中南米等にも進出しました。歴が長く、実績・ノウハウも豊富にございます。
海外進出から海外子会社管理、クロスボーダーM&A、事業戦略再構築など国際ビジネスをトータルにサポートしています。
当社のサービスは、“ワンストップ”での サービスを提供できる環境を各国で整えており、特に会計・税務・法務・労務・人事の専門家を各国で有し、お客様のお困りごとに寄り添ったサービスを提供いたします。
<主要サービス>
・海外進出支援
進出相談から登記等の各種代行、進出後の継続サポートも行っています。月額8万円~の進出支援(GEO)もご用意しています。また、撤退時のサポートも行っています。
・クロスボーダーM&A(海外M&A)
海外企業の買収・売却による進出・撤退を支援しています。
・国際税務、監査、労務等
各国の税務・会計、監査や労務まで進出時に必要な業務を幅広く行っています。
・現地企業マッチングサポート
海外販路拡大、提携先のリストアップ、代理店のリストアップ、合弁パートナー探し等を行うことができます。TCGは現地に拠点・駐在員がいるため現地企業とのコネクションがあり、スピーディーに提携先のリストアップなどを行うことができます。































