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米中対立の今後と日本企業への影響-バイデン政権によって広域化する世界の貿易摩擦

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「米中対立の今後と日本企業への影響」と銘打って、海外事業を展開する日本企業が知っておくべき、トランプとバイデンの相違点、バイデン政権以降の米中経済関係、バイデン政権の対中国戦略について解説していきます。

ある二国間の貿易収支が著しく不均衡になり、自国産業保護の要請が強くなると、関税率アップや非関税障壁が発動されて、その二国間に貿易摩擦が発生します。

振り返ってみれば、日本の高度経済成長期の1960年代、日米間では米国の対日貿易収支の赤字が大幅に拡大し、アメリカで日本製品の破壊や不買運動などが発生しました。また昨今だと、前トランプ政権下において、同大統領が中国との貿易不均衡に強い懸念を示し、自国産業保護のため一部の中国企業に経済制裁を発動し、いわゆる米中貿易戦争が発生しました。

そして、2021年1月、脱トランプを掲げるバイデン政権が誕生しました。トランプ政権の4年間を否定するバイデン大統領なのだから、中国との貿易戦争も緩和されるのでは…? と感じる方もいるかも知れません。

しかしバイデン政権における“脱トランプ”と“中国への姿勢”は決してイコールではないのです。

本テキストでは、バイデン政権およびアメリカの対中国政策の実情と、海外ビジネスに従事する日本企業が知っておくべき、「米中対立の今後と日本企業への影響」について、わかりやすく解説していきます。

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▼米中対立の今後と日本企業への影響-バイデン政権によって広域化する世界の貿易摩擦

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1. トランプとバイデンの相違点とは??

両政権において〝対中国〟という姿勢では大きな違いはない…?

まずは前トランプ政権と現バイデン政権の相違点から見ていきましょう。

テキスト冒頭で述べたように、バイデン政権の〝脱トランプ〟と〝中国への姿勢〟はイコールではありません。

確かに、バイデン大統領は選挙戦の時からトランプ氏を非難し、同氏のモットーであるアメリカファースト(米国第一主義)を否定してきました。そして就任直後から、バイデン大統領はパリ協定に復帰する大統領令に指名し、国連人権理事会やイラン核合意などへの復帰に舵を切るなど、トランプ政権が脱退した3つの協定・機関への回帰を進めています。

また、バイデン大統領はトランプ政権では優先順位が低かった世界の環境問題や人権問題をもっとも重要視し、アメリカファーストとは真逆な国際協調主義をモットーとしています。…確かにそう考えると、バイデン政権になれば対中姿勢も変化すると連想する人は多いことでしょう。

だが、実態は全くそうではありません。事実、「ホワイトハウスに影響力を持つ主要シンクタンクの関係者たちの意見としては、〝中国に対する厳しい姿勢は、共和党や民主党を問わず超党派的な立場から変わらない〟との見方が圧倒的」という、外交・安全保障の専門家からの報告もあるのです。

これまでアメリカは国際社会で圧倒的な力(政治力や経済力、軍事力など)を示してきましたが、中国が米国に迫ってきていることにワシントンの警戒感は日に日に高まってきています。それは、今日の香港問題や台湾問題、尖閣問題などでも明らかでしょう。日本周辺の海域において、中国の軍事力が米国を追い越す日もそう遠くないと言われているのです。

よって、トランプとバイデンを比較した場合、全てが真逆に見える一方で、対中国ということになれば大きな変化はありません。現に、バイデン大統領は米中貿易摩擦については非難しておらず、トランプ政権が連発した対中経済制裁も解除していません。ここには奇妙な連続性が見られるのです。

2. バイデン政権以降の米中経済関係

今後も米中間は経済と貿易を中心に不安定な状態が続く

2021年2月、バイデン大統領は就任後初となる対外政策についての演説を行い、前政権の米国第一主義から国際協調路線へ転換すると表明した一方、中国を“台頭する権威主義”“最大の競争相手”と位置付け、中国の経済分野での不当行為と対決し、人権侵害、知的財産搾取などの攻撃的で強圧的な行動に対抗していくと表明しました。

それ以降今日まで、米中経済分野ではトランプ政権から大きな変化は見られません。

以下より、バイデン政権発足後における、直近の対中国政策について遡って見てみましょう。

2021年5月:
人権侵害が指摘される中国ウイグル問題に言及し、現地で温暖化対策に欠かせない太陽光発電パネルの材料生産が強制労働により行われている恐れがあるとして、同製品を貿易制裁対象に指定するかを検討。

2021年5月:
中国・大連に拠点を置く大手水産会社が所有する漁船内でインドネシア人の乗組員らが強制労働に遭っていたとして、同社が製造する水産製品を一斉に輸入禁止すると発表。

2021年3月:
中国に対抗するため、人工知能や電気自動車、AIや脱炭素技術などハイテク分野に今後8年間で2兆ドルを超える投資を実施していく方針を発表。

2021年3月:
中国西部新疆ウイグル自治区で不当な人権侵害が行われているとして、関係する中国当局者の制裁を発動。

2021年3月:
華為技術(ファーウェイ)、海能達通信(ハイテラ)、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)など中国通信会社が5社を、2019年に制定された米国内の通信ネットワーク保護法によって国家安全保障上の脅威に指定。

2021年2月:
バイデン大統領が脱中国依存を目指すべく。半導体やレアアース、医薬品などの輸出入先を根本的に見直す大統領令に署名。

以上は最近の事例となりますが、今後も米中間では経済と貿易の領域を中心に不安定な情勢が続くことはほぼ確実と言っていいでしょう。バイデン政権が突如姿勢を軟化させることはありません。

そして、海外事業を展開する日系企業に理解していただきたい重要なポイントとしては…

現在のアメリカの中国に対するスタンスは、少なくともあと4年間、もしくは4年後の選挙で再び民主党が勝利すれば8年間は続くということ。さらに、中国への厳しい姿勢はワシントンでは総意的なものであり、それは中長期的に続くということを危機管理的に意識する必要があるということです。

3. バイデン政権が執る「対中国戦略」とは?

バイデンは友好国や同盟国と協力しながら中国に対抗する

最後のセクションでは、バイデン政権の対中国戦略について考察します。

上述したように、トランプとバイデンを比較した場合【対中姿勢】においては両者の基本スタンスは変わりません。

しかし【対中戦略】、要はどうやって中国に対抗するかという部分では大きく異なるのです。

先に答えを言うと、トランプが米国独自で中国に対抗した一方で、バイデンは友好国や同盟国と協力しながら中国に対抗するのです。

これは、トランプ政権で米欧関係は最悪にまでに冷え込んだものの、バイデン政権になりそれが劇的に改善されたこととも関係しています。

バイデン大統領は上述の演説の際、中国への対応手法について言及し、トランプのような米国単独で制裁を次々に課す方法は採らず、日本やオーストラリア、欧州などの友好国や同盟国と連携しながら対応していく姿勢を鮮明にしました。

また、バイデン政権以降は、英国やフランスやドイツなど欧州主要国とアメリカとの関係強化が進み、対中国での結束が一段と強くなっています。

さらに、日本が位置するアジア太平洋地域においても、Quad(クアッド)(※)と呼ばれる日米豪印4カ国の結束が強まっていますが、最近はそのクアッドに欧州が接近し、“自由民主主義陣営vs中国陣営”の様相が色濃くなってきているのです。

これらの状況を経済的視点からいうと、トランプ時代の米中貿易戦争は2国間内で発生していたのに対し、バイデン時代の貿易戦争はその範囲を超え、第3国を巻き込む形で展開されていく可能性があります。

つまり「貿易摩擦の広域化」です。これが日系企業の海外事業にどう影響を与えるかが、今後の日本企業の海外ビジネスにおける最大のポイントとなるのです。

※Quad(クアッド)
日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4ヵ国からなる、安全保障および経済協議で協力する枠組み。2021年3月には4ヵ国の首脳によるオンラインでの協議が行われ、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP=Free and Open Indo-Pacific)に関する共同声明が発表された。4ヵ国の関係強化が推進される背景には、「一帯一路」を掲げる中国の存在があるとされている

4. 優良な海外進出サポート企業をご紹介

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ここまで「米中対立の今後と日本企業への影響」をメインテーマに、トランプとバイデンの相違点、バイデン政権以降の米中経済関係、バイデン政権の対中戦略というトピックに絞って解説しました。

改めて本テキストのポイントをまとめると…

① 脱トランプを掲げるバイデン政権になっても中国への厳しい姿勢は変わらない

② バイデン政権は友好国と協力して中国に対抗する戦略で、トランプ政権時より貿易摩擦の影響が広域化する可能性がある


…となりますが、上記の2点こそが、海外ビジネスに携わる日系企業および日本のビジネスパーソンにとって重要なポイントとなります。

バイデン政権の対中政策がトランプ以前と変わらないまま、両国の貿易摩擦の影響が広域化していくことは、輸出入禁止や関税引き上げなど何らかの規制や制限に直面する可能性が大きくなることを意味します。

今後、海外進出をしている(or画策している)多くの日本企業が、バイデン政権下の経済安全保障情勢の行方をこれまで以上に注視し、想定されるリスクをいち早く把握することはもちろんのこと、従来の経営的視点だけでなく、いわゆるカントリーリスクとして、駐在員(及びその帯同家族)の安全・保護を含めた、より包括的な危機管理対策を講じていく必要が増す可能性を心に留めておくべきでしょう。

「Digima〜出島〜」には、厳正な審査を通過した優良な海外進出サポート企業が多数登録しています。当然、複数の企業の比較検討も可能です。

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