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【2020年版】ベトナム経済の最新状況 | 驚異のGDP成長率+2.8%は〝脱コロナ〟の証明か?

掲載日:2020年07月10日

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本記事では、ベトナム経済の2020年における最新状況について、新型コロナ収束後のベトナムの景気動向も含めて詳しく解説していきます。

世界銀行は、2020年6月8日に発表した「世界経済見通し2020年6月版」において、今年のベトナム経済のGDP成長率を、東アジア・太平洋地域の発展途上国の中でもっとも高いプラス2.8%になると予測しました。

後述しますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、まさに世界各国のGDP成長率がマイナス成長予測となっているなかで、ベトナム経済のプラス2.8%成長という予測は、2020年の世界経済において驚異的な数値であり、まさにベトナムが〝脱コロナ〟に成功しつつある証とも言えるでしょう。

本テキストでは、一般情報をはじめ、2019年のベトナム経済事情を振り返りながら、新型コロナ後の2020年以降の景気動向、経済の将来の展望、さらには他国との関係も解説します。

さらには2018年より勃発した米中貿易戦争を契機とする、中国からの生産移管がベトナムに集中していることを含めて、同国に進出する際の日系企業のメリットについても考察していきます。

※(2020年7月10日追記)本記事へのアクセスが急増しており、日本企業のベトナム市場へのニーズの高まりが加速していることが伺えます。一方で、ベトナム進出に関する課題のご相談も多数寄せられています。そこで、そうした課題を解決でき、欧米企業を中心に海外進出時の事業形態として注目を集めている方法「Global Employment Outsourcing(GEO):雇用代行」についてもご紹介させていただきます。なお、現在、日系企業向けにGEOサービスを提供している会社は以下となります。

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1. 新型コロナ収束後のベトナム経済の最新状況

2020年のベトナム経済成長率(予測)はプラス2.8%の世界最高水準

世界銀行は、2020年6月8日に発表した「世界経済見通し2020年6月版」において、今年のベトナム経済のGDP成長率を、東アジア・太平洋地域の発展途上国の中でもっとも高いプラス2.8%になると予測しました。

同発表内においては、世界経済のGDP成長率がマイナス5.2%となっており、世界各国に目を向けてみると、アメリカがマイナス6.1%、ユーロ圏がマイナス9.1%、日本がマイナス6.1%、中国がプラス1.0%、インドネシアが0.0%、マレーシアがマイナス3.1%、タイがマイナス5.0%、フィリピンがマイナス1.9%と予測しています。

以上のように、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、まさに世界各国のGDP成長率がマイナス成長予測となっているなかで、ベトナム経済のプラス2.8%成長という予測は、2020年の世界経済において、いかに群を抜いているかがご理解いただけると思います。

すでに〝新型コロナ対策優等生〟と呼ばれているベトナムですが、ベトナム政府の公式発表によると、2020年7月1日の時点で、ベトナムの感染者数は355人で死亡者は依然ゼロ。ちなみに同じ日付で、日本のコロナ感染者数は18,593名で死亡者数は972名。日本の総人口が約1億2,300万人、ベトナムの総人口が約9,620万人という人口面だけを考慮しても、いかにベトナムの新型コロナ感染対応策が成功しているかが分かります。

また、その他の国際機関による2020年のベトナム経済の展望を見てみると、IMF(= International Monetary Fund / 国際通貨基金)はプラス2.7%(4月1日時点)、アジア開発銀行(ADB= Asian Development Bank)はプラス4.1%(6月18日時点)と予測しており、いずれも例年と比較して大幅に下落しているものの、2020年のベトナム経済のGDP成長率がプラス成長となることを予測しています。

グエン首相は2020年のGDP成長率の目標を5%としているが…?

ベトナムのグエン・スアン・フック首相は、2020年のGDP成長率の目標を5%としています。ちなみに2019年の実質GDP成長率は、過去10年間でもっとも高い2018年の7.1%に続く、7.0%(推計値)でした。

それに対して、ベトナム統計総局は、2020年上半期(1月〜6月)の実質GDP成長率を前年同期比1.8%と発表。業種別で見てみると、農林水産業が前年同期比1.2%、鉱工業・建設業が3.0%、サービス業が0.6%の成長となっています。

新型コロナの影響で、ここ10年間でもっとも低い成長率となっていますが、先述のように世界中の経済が低迷する中で、このような成長率を持っていることを鑑みると、2020年以降のベトナム経済の底堅さがうかがい知れます。

2. 2019年のベトナム経済を振り返る

ベトナム政府は2018年に続いて7%台の高成長を目指していた

新型コロナ収束後の2020年以降のベトナム経済の予測に続いては、改めて2019年のベトナム経済を振り返ってみましょう。

2019年12月27日、ベトナム統計総局は2019年の実質GDP成長率(推計値)を前年比7.0%と発表していました。2018年の実質GDP成長率が7.1%と過去10年間でもっとも高い成長率を記録していたベトナムですが、この政府発表は従来の目標値6.6~6.8%を上回り、先述の2018年に続いて7%台の高成長を維持するものとなっていました。

しかし、続く2020年2月12日、ベトナム計画投資省は、現在の新型コロナウイルスの影響が長期化したケースを想定して、GDP成長率が6%を下回るという予測を発表。

新型コロナウイルス感染が2020年第1四半期(1~3月)まで続く場合、2020年のGDP成長目標を6.25%(当初目標より0.55ポイント減)、さらに第2四半期中(4~6月)まで続いた場合は5.96%(同0.84ポイント減)になるとの見通しを示していたのです。

2019年の貿易における黒字幅が過去最高だったベトナム

最新動向として、ベトナム税関総局からの情報によると、2019年の同国の輸出は2,641億8,937万ドル(前年比8.4%増)、輸入は2,530億7,092万ドル(6.8%増)。そして貿易収支は111億1,845万ドルと、4年連続の黒字になるとともに、過去最高の黒字幅を記録しました。

ちなみに約1年前となる、2018年12月27日付では、2018年におけるベトナムの実質GDP成長率は7.1%。2015年~2017年の平均実質GDP成長率が6.5%と、非常に高い経済成長を遂げており(同時期の日本の平均実質GDP成長率は1.3%)、2018年も右肩上がりで過去10年間でもっとも高い成長率となっていました。

加えて、2018年の海外直接投資(FDI=Foreign Direct Investment)は前年比9.1%増の191億ドル(約2兆1,000億円)を記録。6年連続で過去最高額を更新していました。

そして、2018年の輸出総額は2,447億ドル(約26.8兆円)となっており、前年比プラス13.8%。輸入総額は2,375億ドル(約26.1兆円)で前年比プラス11.5%。貿易収支は72億ドル(約7,898億円)となっており、過去最高の貿易黒字をマークしていたほどでした。

3.2019年のベトナム経済を詳しく振り返る【新型コロナ感染拡大以前】

ベトナムのGDPにしめる産業別割合と成長率

ここからはさらに新型コロナ以前のベトナム経済状況を深掘りしていきましょう。在ベトナム日本大使館が発表している「2019年上半期ベトナム経済事情」から、GDPを産業別に見ていきます。

ベトナム統計総局が発表した速報値によると、2019年上半期の成長率は前年同期比で6.76%(1,565.7兆ドン / 666億ドル)で、前年同期の7.05%から減速しています。

そして、2019年上半期(1月〜6月)のベトナムのGDPにしめる各産業分野の成長を見てみると…

■農林水産業:2.39%
(農業:1.30%、林業:4.15%、漁業:6.45%)
※GDP全体における割合:14%


■鉱工業・建設業:8.93%
(製造・加工業:8.93%、鉱業:1.78%、建設業:7.85%))
※GDP全体における割合:36%)


■サービス業:6.69%
(卸・小売:8.09%、金融・保険:7.90%、不動産:4.43%))
※GDP全体における割合:38%)

…と、2018年に続いて「農林水産業」「鉄工業・建設業」「サービス業」それぞれが拡大成長していることが見てとれます。

ベトナムの貿易動向(2019年上半期)主要国別ランキング

続いては、2019年上半期における、ベトナムの貿易動向について、主要国別のランキングから見ていきますしょう。

全体の概要としては…

■貿易総額:2,454億8,000万ドル
※上半期の過去最高を記録 ※貿易収支は4,000万ドルの赤字(速報値)

▼輸出額:1,227億2,000万ドル(前年同期比7.3%増)

■国別貿易ランキング(輸出)
1位:アメリカ:275億ドル(前年同期比27.3%増)
2位:中国:168億ドル(1.1%増)
3位:日本:97億ドル(9.2%増)
4位:韓国:92億ドル(5.5%増)
5位:EU:206億ドル(0.0%減)
6位:ASEAN:131億ドル(7.5%増)

■項目別(輸出)
1位:電話・電子部品:235億ドル(前年同期比4%増)
2位:電子・電子部品:155億ドル(14.3%)
3位:繊維・縫製品:150億ドル(9.9%増)

■輸出に占める資本の内訳
外資系企業:859億ドル(前年同期比5.9%増)※総輸出額の70%
地場企業:368億2,000万ドル(前年同期比10.8%増)


ーーーーーーーーーーーーーーーー

▼輸入額:1,227億6,000万ドル(前年同期比10.5%増)

■国別貿易ランキング(輸入)
1位:中国:368億ドル(前年同期比21.9%増)
2位:韓国:229億ドル(1.2%増)
3位:日本:88億ドル(0.9%減)
4位:アメリカ:71億ドル(22.1%増)
5位:ASEAN:163億ドル(6.4%増)
6位:EU:69億ドル(8.4%増)

■項目別(輸入)
1位:電話・電子部品:243億ドル(前年同期比20.9%増)
2位:機械・部品:179億ドル(14.8%増)
3位:織物・繊維製品:67億ドル(7.6%増)

■輸入に占める資本の内訳
外資系企業:702億ドル2,000万ドル(前年同期比7.8%増)※総輸入額の57%
地場企業:525億4,000万ドル(前年同期比14.4%増)

対ベトナム海外直接投資(FDI)の国別累積動向

このセクションの最後に「対ベトナム直接投資(FDI)の国別動向」を見ていきましょう。

海外直接投資(FDI=Foreign Direct Investment)とは、外資企業が海外にて経営参加や技術提携を目的に行う投資を指します。具体的には、海外現地での法人の設立や外国法人への資本参加や不動産取得などを通じて実施します。いわば、このFDIが増加するほど、海外企業からの人気が高いと言えます。

以下2019年前半のベトナムのFDIについてまとめます。

■2019年の1月〜6月までのFDI認可額
184.69億ドル(前年同期比9.2%減)

■2019年1月〜6月までのFDI認可額が減少した理由
2018年6月に住友商事によるハノイスマートシティ計画への41.38億ドンの投資と、韓国ヒューングループによるポリプレピレン製造と液化石油ガス保管倉庫建設への12.01億ドルの投資などの、いわゆる大型の新規投資案件が認可されるという特殊事情があったため、翌年の2019年前半のFDI認可額が減少したと見られる

■ベトナムにおける国・地域別の海外直接投資ランキング
1位:香港:53.04億ドル
2位:韓国:27.31億ドル
3位:中国:22.86億ドル
4位:シンガポール:21.99億ドル
5位:日本:19.50億ドル

中国の投資額増加に注目。米中貿易戦争の影響より、中国企業による製造工場のベトナムの生産移管が急速に増加したのがその理由で、投資額が174%も増加。特に新規投資額は前年同期比で411.1%の増加。認可額に占める割合も2018年上半期の4.1%から2019年上半期は8.3%と大幅に増加している

※上記のデータおよび表はすべて、在ベトナム日本国大使館「2019年上半期ベトナム経済事情」より抜粋

4.ベトナム経済の成長の歴史とGDPが増加した要因

「ドイモイ政策」の恩恵を受ける経済成長

直近のベトナム経済の最新事情に続いては、改めてベトナム経済成長の歴史と要因について見ていきましょう。

前項までで解説した、近年の著しいベトナム経済成長のそもそもの発端となったのは、1980年代から始まった「ドイモイ(刷新)政策」と言えます。

「ドイモイ政策」とは、当時支援を受けていたソ連・東欧諸国の東側陣営の援助の削減や国際連合の制裁の背景から制定されました。本格的に政策が施行され始めたのは、ソ連崩壊後の92年からであると言われています。90年代後半には、タイのバーツ暴落から始まったアジア通貨危機がありましたが、通貨の流出制限が功を奏し、直接的な被害を受けることはありませんでした。

また2009年には、リーマンショックが起き世界的な不況となりましたが、この時も被害は最小限にとどまりました。現在でもこのドイモイ政策に則り、経済政策が実施されています。

高い経済成長率を誇るベトナムですが、課題としてインフレに伴う物価の上昇が挙げられます。2007年にベトナムがWTO(世界貿易機関 / World Trade Organization)へ加盟した際には、外資系企業からの投資が相次ぎ、約30%まで上昇しています。2011年にも金融緩和により、インフレ率が上昇しました。

しかしながら、現在では引締め政策によりインフレ率を抑えることに成功しており、金利や物価は安定しています。

今後は外資投資が加速する?

富国生命のレポートによると、ベトナムは、EUとのFTAの締結、AEC(アジア経済共同体)の発足、更には、TPPへの加盟をここ数年で行っており、スピード感を持って門戸を開放しています。それに伴い、より外資系企業からの投資が増加すると推測されています。

また、2050年まで安定的に成長を遂げると推測しており、非常に将来性が高い国と言えます。

5. ベトナム経済&ベトナムの基本情報

多民族国家で仏教が優勢

この項では改めてベトナムの経済基本情報を解説します。

ベトナムは、人口約9,270万人の国で主要民族であるキン族(越人)と53の少数民族からなる多民族国家です。公用語はベトナム語ですが、ハノイや観光地では通じます。

ビジネスにおいては、英語がスタンダード(現地の地場企業は、ベトナム語しか通じないことが多い)となっており、今後も英語ができる人材は、労働人口の拡大とともに増加する見込みです。

宗教は、日本と同じ大乗仏教が優勢でその他にキリスト教やイスラーム教、ヒンドゥー教、最近では「カオダイ教」という新興宗教も人気を博しています。

ベトナム経済の基本情報

最後にベトナム経済の基本情報を表にまとめましたのでご参考ください。

ベトナム経済_03

※外務省 「ベトナム社会主義国基礎データ」 より抜粋

6. 米中貿易戦争の恩恵を受ける「ベトナム経済の現状」

急増する「中国からベトナムへの生産移管」

2019年以降、中国製造業の海外移転の波が世界を覆っており、世界で事業を展開するグローバル企業はもちろん、中堅企業においても「中国からの生産移管」の波が広がりつつあります。

その恩恵を受けているのがベトナムであり、国内の雇用創出にも好影響が出ており、GDPの支出面から見ても、その7割を占める個人消費などの最終消費支出が前年同期より7%増加しています。

それに加えて、中国にほど近いベトナム北部のハイフォン市の実質成長率は2018年の時点で16%。同市は輸出港である「ハイフォン港」があり、この伸び率は、18年7月にアメリカより発動された対中国の制裁課税「第1弾」の恩恵を受けているのです。

またハイフォンにおける最大の工業団地である「DEEP C」にも、中国からの生産移転を目論む、中国企業からの視察が増加しています。

「ミニ中国」「チャイナプラスワン」と呼ばれるベトナム

ベトナムは、中国と同様に共産党による一党社会主義体制を敷いています。「ミニ中国」「チャイナプラスワン」として呼ばれることもありますが、これは、政治体制並びに経済政策が非常に中国と類似していることから来ています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、ベトナムは、中国と同様に、ODAによるインフラの整備と外貨獲得、外資系企業主導の輸出主導での工業・経済発展を推進し、更には、自国通貨の流出制限を行い、世界的不況の際もダメージを少なくしている、と報告されています。

7. ベトナムと他国の貿易関係 / ASEANでの立ち位置は?

最大貿易国のアメリカ

ベトナムにとって最大の貿易国はアメリカです。ベトナムの輸出先としては、最大の輸出国であり、主に、衣服や靴といったアパレル、木材品や水産物を輸出しています。東南アジアの中でもアメリカとの輸出取引は最大とも言われています。

しかしながら現在、ベトナムとの貿易では、貿易摩擦が生じています。2017年の時点では、米越間の取引は540億米ドル(約6兆円)と過去最高を記録していましたが、米中貿易戦争を受けて、アメリカの貿易赤字も拡大している傾向にあります。

今後、アメリカが中国への対応と同様に、自国の黒字回復のため、ベトナムへ同様の措置をとることも考えられ、現在も関係性が安定しているとは言えません。

「よき友」で「よきライバル」である中国

現在、ベトナムにとって、アメリカに次いで2番目の貿易国となっているのが中国です。2005年には、ベトナムと中国間でFTAを締結しました。主に中国からは、繊維原料や機械設備を輸入し、衣服や繊維を輸出しています。

ベトナムにとっては、最大の輸入先となっています。しかしながら、政治的な問題もあり、友好関係が安定的に続くとはいえない状況があります。この状況について、Forbesは、「ベトナムと中国は、最も良きライバルであり、良き友でもある」と述べています。

歴史的に、2ヵ国は離れたり、歩み寄ったりを繰り返しており、現在は、比較的安定していますが、将来的に「ケンカ別れ」をしてしまう可能性もないとは言い切れません。

また、2018年より勃発し現在も過熱し続けている米中貿易摩擦の影響に加えて、中国国内の人件費の高騰や政府による環境規制の強化なども合わさって、ベトナムに生産拠点を新設する中国企業の動きが活発化している状況は押さえておくべきポイントでしょう。

大型投資が盛んな日本

日本は、ベトナムの輸出入先として存在感を示しています。2009年には、日越間のEPA(経済連携協定)が締結されました。

2017年には、ベトナムの直接投資国として、総合商社を中心とした大型投資により首位になり、投資国としても存在感を高めています。また、ベトナム政府も日本の投資を歓迎しており、日本の技術力を以て、農業部門やハイテク部門、更には食品衛生部門での投資を拡大したいと考えています。

日本は、今後もベトナムの長期的な優良パートナーとして期待されています。

ASEANでのベトナムの立ち位置は「優等生」

ASEANの中で、経済的な影響力を高めているのがベトナムです。今では、ASEANの優等生として、その地位を確立しています。

ベトナムは後進ASEAN諸国として数えられていますが、今やその中でも急激に発展していることから、中進ASEAN諸国といっても過言ではありません。

このベトナムの躍進については、下記の4つの要因があると考えられています。

1.労働人口の割合が高い
2.年々生産力が上昇している
3.中産階級層の拡大
4.未開拓の市場が多く、外資系企業の投資が期待できる

また、2020年2月12日に欧州本議会で承認された「EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)」と「EU・ベトナム投資保護協定(IPA)」により、これらの発効後5年間でベトナムのGDPは2.18~3.25%増加し、EU向け輸出は2025年には42.7%増加することが見込まれています。

したがって、ベトナムの強みであるアパレル製品の輸出の増加によって、今後ASEANでもより影響力を強めると考えられています。

8. ベトナム経済の今後の課題

インフラが未整備

ベトナムでは、インフラの未整備が課題としてあります。

近年まで、電力不足で停電等が多く見られましたが、電力に関しては、改善されてきています。しかし物流・交通インフラについては、整備が遅れています。

特に大都市(ホーチミン-ハノイ)をつなぐ交通機関の脆弱さが指摘されています。主な交通機関としては、鉄道・トラック・船舶が挙げられますが、本数が少ない鉄道は老朽化しており、トラックでは、渋滞が常態化している為、ホーチミン-ハノイ間で3~4日ほどかかってしまいます。

また、二大都市圏は、河川部に面しているため、船が入りにくいという現状があります。政府では、高速道路の建設、港湾の整備、地下鉄の敷設を計画していますが、インフラ事情を改善するには、まだ時間がかかる見込みです。

しかしながら、政府はインフラの問題については、最優先で対応している為、数年後には解決されそうです。

国営企業の改革が遅い

ベトナムには、国営企業が多いという指摘がされています。

これは、国内外の競争力の向上を目指すという意味では障害になります。現在、国営企業の民間払い下げも行っていますが、あまりうまくいっていない現状があります。

また、2015年には、国内大手企業への外資出資の規制を撤廃しましたが、情報の開示性が低いことや国の干渉が多いことから、こちらもうまく機能していません。

労働コストの上昇

労働者の賃金が安いと言われていますが、2012年から2018年までに、約2倍まで最低賃金が上昇している点が挙げられます。

2018年には、前年比平均6.5%引き上げ、約175ドルまで上昇しています。その為、ミャンマー(約110ドル)やカンボジア(約170ドル)より高くなっており、「ベトナムが低賃金な国で、労働コストが安い」と言われなくなる日も近いかもしれません。

9. ベトナム進出のメリットとは?

それでも労働コストや物価が安い

ベトナムの労働コストが上昇している点については、先ほど指摘しましたが、それでも安い労働コストであると言えます。また、物価も上昇していますが、日本の約3分の1と非常に安いです。その上、ベトナム人は、一般的に勤勉であり、労働生産性が高いと言われています。

その為、進出企業としては、ITのオフショア開発をはじめとした、人件費が主要なコストとなる事業を展開している企業の進出が見られます。

経済特区や工業団地があり、進出しやすい

東南アジアでは、外資企業誘致の為、経済特区や工業団地開発に積極的な投資を行っています。日系企業も経済特区、工業団地開発に参画しており、大手商社やデベロッパーが現地の土地を買収し、オーナーとして運営している日系企業団地があります。

経済特区や工業団地は、港や空港など貿易拠点に近い土地で開発されることが多く、利便性が高い点、更には税制優遇やビザ要件の緩和などの特典があり、進出しやすい体制を整えています。

日系工業団地では、域内への進出前の計画から進出後までフルサポートしている場合が多く、初めての海外進出でもリスクを最小限にして現地法人を立てることができます。

ベトナムでも工業団地や経済特区が設けられており、日系工業団地としては、双日が運営しているロンドウック工業団地やタンロン工業団地があります。

特にホーチミンを中心としたベトナム南部の投資が盛況です。

今後も、工業団地の開発は進むと思われます。その為、ベトナムの進出機会は多くありそうです。

10.「Global Employment Outsourcing(GEO)」とは?

【概要】

まだまだ耳慣れない言葉であるGlobal Employment Outsourcing(GEO)ですが、欧米企業を中心に海外進出時の事業形態として注目を集めている方法です。ベトナム進出において、「現地法人」の手続きは煩雑で、大きなコストが必要となります。一方で、「支店」や「駐在員事務所」では規制や制限が出てきてしまいます。その双方の課題を解決するために「雇用代行」という方法をとるのが、Global Employment Outsourcing(GEO)です。

この方法では、短期間(最速1週間)、低コストで、ベトナムにて事業活動(営業活動)をスタートさせることができます。不確定要素の多い海外ビジネスにおいて、柔軟な戦略を取ることができる手法として、今まさに多くの企業が取り組み始めている手法です。初期の顧客獲得のためのテストマーケティング活動、現地販売代理店の管理、海外でのエンジニアチームの確保、また現地法人ができるまでのつなぎなどに活用が可能です。またコロナによる渡航制限で出張で対応できなくった場合に、現地人材を採用して現地事業を継続させるケースも増えてきています。

仕組みとしては、Global Employment Outsourcing(GEO)では、現地のGEOサービスの提供会社とサービス契約を結びます。そして、GEOサービス提供会社は、進出を検討している企業が指定する「現地責任者(ベトナムビジネスを任せたい人材)」を現地で雇用します。その人材が、サービス提供会社が提供するサービスの一環として、進出企業の事業活動を行うという仕組みです。日本では派遣に近い仕組みですが、一番大きな違いとしては、進出を検討している企業が自ら選定した人材をGEOサービス提供会社に雇用させる点です。すなわち、自社の事業を任せるに相応しい人材を自ら主体的に選ぶという点では、現地法人と大きく変わりません。

この仕組みによって、煩雑な手続きを必要とせず、駐在員事務所ではできないような事業活動をベトナム現地で行うことができるようになります。

geo
【GEOサービスの流れ】
まずは、現地で事業を任せたい人材を探す必要があります。こちらに関しては、必要に応じて、GEOサービス会社がサポートしてくれます。 そして、GEOサービス会社とサービス契約を結びます。GEOサービス会社は、進出企業の想定する雇用条件に基づき、現地の法令に基づく雇用契約書を作成し、対象の人材と雇用契約を締結します。雇用された人材は進出企業の専属の人材として事業活動を行います。

たったこれだけで、最速1週間ほどで、ベトナムビジネスを開始することができるのです。

現在、日系企業向けにGEOサービスを提供している会社は以下となります。

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https://goglobalgeo.com/geo/

【Global Employment Outsourcing(GEO)のメリット】

一番のメリットは、低コストで、迅速に事業を開始できるため、ベトナム事業の可能性を見極めたい段階でトライアル的に進出できることです。会社設立にかかる費用は必要ありませんし、煩雑な手続きによる時間的コスト、人的コストも発生しません。現地に候補者さえいれば最短1週間で事業を開始可能です。また、設立後のバックオフィス業務(決算、税務申告、給与計算、規則策定等)が発生しないので、事業活動に専念できます。もちろん、事業が拡大した場合は、現地法人に移行することが出来ますし、その際にはGEOで雇用していた人材はそのまま現地法人に移管されるので事業の連続性を保つことが出来ます。さらに、仮に撤退が必要な際にも法人清算をする必要がないため、海外進出のハードルが下がります。

【Global Employment Outsourcing(GEO)のデメリット】
ベトナムで獲得した契約は、ベトナムの顧客と日本本社との間の契約となり、顧客からの支払いもベトナムから日本へ送金してもらう必要があります。事業規模が小さい間は大きな問題となりませんが、事業規模が拡大するとより柔軟な運営をしていくために現地法人の設立を検討する必要がでてきます。また、法人を設立しているわけではないので、現地で売上を立てることができません。そのため、小売や飲食などといった現地で売上を立てる事業には不向きです。また、許認可が必要なサービスに関しては、手間や費用が別途生じる可能性があります。

11. 優良なベトナム進出サポート企業をご紹介

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今後も成長が見込まれるベトナム。PWCの調査によると、2050年までに実質経済成長率は年平均5.4%であると推計されています(日本は1.4%)。

短期的に見ても、長期的に見ても非常に将来性が高い国、それがベトナムです。また、労働人口も多く平均年齢の30歳と若いため、今後の労働市場としても魅力的です。

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(引用文献)
・外務省 「ベトナム社会主義国基礎データ
・在ベトナム日本国大使館「2019年第1四半期ベトナム経済事情
・富国生命「ベトナム経済の現状と課題
・PwC プレスリリース「PwC、調査レポート「2050年の世界」を発表し、主要国のGDPを予測‐2020年以降、中国の成長は大幅に鈍化するものの、世界の経済力の新興国へのシフトは止まらず
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング 「ベトナム経済の現状と今後の展望~タイを抜いてインドシナ半島最大の輸出国に成長したベトナム~
・JETRO「最低賃金、2018年にも引き上げへ-労働組合は全国一律最低賃金を要求-(マレーシア)
・Forbes「China And Vietnam, Best ‘Frenemies’ Forever
・双日株式会社「ベトナムロンドウック工業団地事業

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「Digima〜出島〜」編集部

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    GoGlobal株式会社

    企業のグローバル戦略を一気に加速!最短1週間で海外進出を実現

    ご利用企業からの評価

    ※ご利用企業から集めた評価をもとに作成

    総合評価
    サポート実績数
    120
    価格
    3
    対応
    3
    スピード
    5
    知識
    5

    企業の海外進出に関連する一連のサービス
    1. Global Employment Outsourcing(“GEO” = 海外雇用代行)サービス
    ・GoGlobalの現地法人において貴社の指定する人員を雇用代行します。貴社は手間と時間の掛かる法人設立(法人登記、ライセンス取得、銀行口座開設)、および法人設立後の維持管理業務(バックオフィス体制の構築、決算、税務申告、給与計算、規則策定、等)の負担なく、海外で迅速に事業を開始できます。GEOで雇用した社員の状況はGoGlobalが提供するシステム上でいつでも閲覧可能です。GEOを利用することで貴社は、自身で現地法人で社員を雇用する場合と同様に事業を展開しつつ、管理負担を大幅に削減することが可能となります。

    2.海外採用代行サービス
    ・貴社の海外事業に必要な人材の採用を支援します。GoGlobalの持つアジア各国及びアメリカのリクルーティング会社とのネットワークを活用し、数多くの候補者の中から貴社の事業を成長のために最適な人材の採用を支援します。

  • オススメ

    YCP Group

    自社事業の海外展開実績を活かしてアジア圏への海外展開を完全代行、調査やM&Aもサポート

    ご利用企業からの評価

    ※ご利用企業から集めた評価をもとに作成

    総合評価
    サポート実績数
    500
    価格
    5
    対応
    5
    スピード
    5
    知識
    4

    マッキンゼー/ボストンコンサルティンググループ/ゴールドマンサックス/P&G出身者を中心とする250人規模の多機能チームが、世界20拠点に構えるグループ現地法人にて事業展開する中で蓄積した成功&失敗体験に基づく「ビジネス結果に直結する」実践的かつ包括的な海外展開サポートを提供します。

    YCPでは各拠点にてコンサルティングサービスだけでなく自社事業を展開しています。市場調査フェーズからスキーム構築/定常的なビジネスマネジメントまで、事業主として一人称で取り組んできたからこそ得られた現地市場ノウハウや専門知識を活用し、教科書的な「べき論」に終始せず、ヒト/モノ/カネの観点から海外展開リスクを最小化するためのサービス開発を行っています。

    <主要サービスメニュー>
    ・海外展開完全代行:
    事業戦略~実行までの各フェーズにて、全ての業務を完全に代行

    ・海外調査:
    マクロデータに表れない市場特性を探るための徹底的なフィールド調査を踏まえたビジネスに直結するインサイトを提供

    ・海外M&A:
    買収後の統合実務や定常経営実務までを包括的にサポート

  • オススメ

    サイエスト株式会社

    海外ビジネスプロシェッショナルが長年培った人脈・ノウハウをフル活用し、貴社のもう一人の海外事業部長として海外事業を推進します。  

    ご利用企業からの評価

    ※ご利用企業から集めた評価をもとに作成

    総合評価
    サポート実績数
    1000
    価格
    4
    対応
    4
    スピード
    4
    知識
    5

    全ての企業と個人のグローバル化を支援するのが、サイエストの使命です。
    サイエストは、日本の優れた人材、企業、サービス、文化を世界に幅広く紹介し、より志が開かれた社会を世界中に作り出していくための企業として、2013年5月に設立されました。
    近年、日本企業の国内事業環境が厳しい局面を迎える中、アジアを筆頭にした新興国が世界経済で存在感を増しています。
    それに伴い、世界中の企業がアジアなどの新興マーケットの開拓を重要な経営戦略のひとつと位置付け、一層注力の度合いを高めています。
    サイエストは、創業メンバーが様々な海外展開事業に携わる中で、特に日本企業の製品、サービス、コンテンツには非常に多くの可能性を秘めていると、確信するに至りました。
    ただ、海外市場開拓の可能性はあるものの、その実現に苦労している企業も少なくありません。
    我々はその課題を

    (1)海外事業の担当人材の不足
    (2)海外事業の運営ノウハウの不足
    (3)海外企業とのネットワーク不足

    と捉え、それぞれに本質的なソリューションを提供してまいります。
    また、組織を構成する個人のグローバル化も支援し、より優れた人材、企業、そしてサービスや文化を世界中に発信してまいります。
    そうして、活発で明るい社会づくりに貢献することで、日本はもちろん、世界から広く必要とされる企業を目指します。

  • オススメ

    GLOBAL ANGLE Pte. Ltd.

    50か国/70都市以上での現地に立脚したフィールド調査

    ご利用企業からの評価

    ※ご利用企業から集めた評価をもとに作成

    総合評価
    サポート実績数
    80
    価格
    5
    対応
    5
    スピード
    4
    知識
    5

    GLOBAL ANGLEはオンライン完結型の海外市場調査サービスを提供しています。50か国70都市以上にローカルリサーチャーを有し、常に調査ができる様にスタンバイしています。現地の言語で、現地の人により、現地市場を調べることで生きた情報を抽出します。シンガポール本部コンサルタントチームは海外事業コンサルティングを行っているスタッフで形成されている為、現地から取得した情報を標準化されたフォーマットに落とし込み、成果物品質はコンサルクオリティを保証します。

  • オススメ

    インサイトアカデミー株式会社

    海外で"収益"を生み出すグローバル人材育成研修プログラム

    ご利用企業からの評価

    ※ご利用企業から集めた評価をもとに作成

    総合評価
    サポート実績数
    1000
    価格
    3
    対応
    3
    スピード
    3
    知識
    3

    インサイトアカデミーは、「グローバル人材」=「海外で"収益"を生み出せる人材」と定義し、グローバル人材の育成要件を整理。

    1. グローバルマインド
    2. 経営知識/スキル
    3. 修羅場を乗り越えた数
    4. 異文化の理解
    5. 言語力

    を5つの要件とし、それぞれをカバー出来る500以上の動画をオンラインで配信。
    トヨタ自動車、マーサージャパン、アデランス、PwC、フォルクスワーゲン、McKinsey & Company、日本ルミナリア、西村あさひ法律事務所等、大手グローバル企業出身の5000人もの海外事業が実戦経験者が講師を務める、国内唯一のグローバル人材育成専門のオンライン研修サービスです。
    オンラインですので、海外駐在員や海外事業従事者にいつでもどこでも何度でも学習可能。また、海外事業経験平均25年の講師陣から、教科書では決して得られない実戦的ノウハウが得られます。

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