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【2020年版】インドネシア経済の最新状況 | ジョコ政権が率いる「内需主導型経済」の行方は?

掲載日:2019年12月16日

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2019年〜2020年以降におけるインドネシア経済の成長率と将来の見通しについて解説します。インドネシアならではの「内需主導型経済」の最新状況。さらには再選を果たしたジョコ大統領が促進してきた外資誘致とインフラ開発が、インドネシア経済に及ぼした影響に加えて、2019年5月に発表された第2期ジョコ政権が発表した新たな政策である「シャリア経済マスタープラン」についても言及。

2019年4月29日に発表されて話題となった、インドネシア政府が下した「首都をジャカルタからジャワ島外に移転する閣議決定」についても触れていきます。

ASEANでも随一のイスラム国家と知られるインドネシア。世界第4位の人口を有するインドネシアでは、現在インフラ整備や投資環境の整備が進められています。近年は、現ジョコ政権が促進し、日本が全面支援したとされる「ジャカルタ都市高速鉄道(MRT)南北線」など、ことインフラ整備や外資企業の積極的な誘致もクローズアップされています。

本稿では、2019年〜2020年以降のインドネシア経済をメインテーマに、インドネシアという国の基本情報と、その経済的特徴、更には大国である中国・アメリカとの関係と、日系企業にとってのインドネシア進出のメリットについても詳しく解説します。

1. ジョコ大統領が率いる2020年以降のインドネシア経済の行方は…?

2020年以降もインドネシア特有の「内需主導型経済」が健在

2019年に入ってから野インドネシア経済は、第2四半期までのGDP成長率が5.1%と、その成長が鈍化しており、2019年10月には、世界銀行とIMFがそれぞれ、2019年のインドネシアの経済成長見通しを5.0%と引き下げていました(※世界銀行は5.1→5.0とマイナス0.1ポイント、IMFは5.2→5.0とマイナス0.2ポイント)。

ただ、インドネシア中央統計局が発表した2019年7〜9月期の実質GDPは、前年同期比+5.02%。プラス5%超はこれで11期連続となっており、最終消費が同プラス4.56%、固定資本投資が同プラス4.21%と、いずれも減速してはいるものの、インドネシア経済の最大の特徴である「内需主導型(※国内需要が経済を牽引すること)の経済成長」は依然として順調であるとの見方もできます。

それに対して「外需」は、輸出が同プラス0.02%とほぼ横ばい状態のに対して、輸入が同マイナス8.61%と、大きく減少する結果になりました。

つまり、輸入の減少がGDPに対してプラスに寄与するという(※輸入はGDPのマイナス項目であるので、輸入の増加《減少》はマイナス《プラス》寄与となります)、経済不況時によく見られる形となっています。

ジョコ政権が促進した外資誘致とインフラ開発

2019年4月17日、5年ごとに行われるインドネシアの大統領選にて、ジョコ大統領が再選を果たしました。最大野党グリンドラ党のプラボウォ・スビアント氏との選挙戦は、2014年の前回と同じ構図となっていました。

再選を果たしたジョコ氏の一期目の最大の功績とされるインドネシア初の地下鉄となった「ジャカルタ都市高速鉄道(MRT)南北線」は、日本の三井物産、東洋エンジニアリング、神戸製鉄所が設計および供給などを受注したことでも話題になりました。

日本でも「日本が全面支援した」という形容詞付きで報道される「ジャカルタ都市高速鉄道」が体現しているように、現ジョコ政権が推し進めたインフラ投資策は、2020年以降も形を変えながら進んでいくことが予想されます。ここ1年程の間に、世界の各格付け機関からの評価が改善されているとの報告もあるように、 2020年以降もさらに海外からの直接投資の流入は促進されることでしょう。

また、インドネシアの一人当たり GDPは4,000 ドル近くとなっており、さらに同国政府は開発途上国への政府開発援助 (ODA)を本格的に開始するとも発表。2019年4月の時点で、インドネシアのGDPランキングは世界17位をマークしていますが、 現ジョコウィ大統領は2030年までに世界トップ10にランクインすることを目標に掲げているのです。

ジョコ大統領が新たに掲げる「シャリア経済マスタープラン」とは?

またジョコ政権の注目トピックとしては、2019年5月に、2019~2024年にかけて実施するとされる「シャリア経済マスタープラン」を発表。これはイスラム法(シャリア)にのっとり、飲食品やファッション、観光や医薬品・化粧品や金融サービスなどを発展させることで世界的なシャリア経済国を目指すというマスタープランになります。

具体的には、地方にハラール・ハブの設置、国家ハラール・ファンドの設置、中小零細企業の教育プログラムの実施、ハラール製品専門のeコマースの設立などに従事していくというもの

また、きたる2024年までに、国内金融市場におけるシャリア金融のシェアを、現在の8.58%から20%まで引き上げることも目指しています。

そんな「シャリア経済マスタープラン」と平行して、規制緩和などによる外資系企業の誘致やインフラ投資の拡大をテーマとしてきた、現ジョコ政権の経済政策。今後大きな政策変更が成されない限り、現在も促進され続けている外資の規制緩和が、将来のインドネシアの経済成長には必要不可欠であることは言うまでもありません。

「首都をジャカルタからジャワ島外に移転する閣議決定」とは?

2019年4月29日の閣議でジョコ大統領は首都移転計画について話し合い、ジャカルタをジャワ島外に移転する方針を決めています。

具体的には、中央銀行や投資調整庁、金融庁などはジャカルタに残し、残りの行政・立法・司法の中央の機能を新首都に移す方針です。以前より、慢性的な交通渋滞や地盤沈下など首都ジャカルタが抱える問題は山積みでした。

移転先はジャカルタから北東に900kmほど離れたカリマンタン島(州)中部のパランカラヤが有力候補地に挙がっています。移転予算は323兆~466兆ルピアを想定しており、移転が実現するのは5~10年かかるとみられています。いずれにせよ首都移転には大規模なインフラ開発がさらに必要で、開発資金の確保など解決すべき課題は多いとされています。

2. インドネシア経済およびインドネシアの基本情報

ASEAN唯一のイスラム国家

ここからは改めてインドネシアという国の基本情報およびインドネシア経済の基本情報を解説します。

インドネシアは、人口約2.5億人の島国で、国民の85%以上がイスラム教を信仰している、ASEANでも唯一のイスラ―ム国家です。首都はジャカルタで、全人口の約10分の1がジャカルタ首都圏に集中しています。人口では東京に次いで世界で2番目に多いとされています。

そのようなインドネシアですが、1994年までは、スカルノやスハルトによる開発独裁が続いていました。現在では、民主化を目指す動きが進んでいます。2004年には、国内で初めて大統領選挙が行われ、スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領が選ばれ、2014年まで、2期(1期5年)務めました。現在は、ジョコ・ウィドド氏が大統領に就任し、2019年まで務めます。

ジョコ大統領は、インフラの整備や手続きの簡略化、労働問題の解決を重点課題としています。上記の問題を解決することで、投資環境を改善し、外資の誘致を目指し、更には国内での投資を増加させようとしています。



インドネシア経済の基本情報

続いてはインドネシア経済の基本情報をまとめた表を添付しますのでご確認ください。

インドネシア経済

※外務省「インドネシア共和国(Republic of Indonesia)基礎データ」より抜粋

3. 資源に依存するも高い成長率を誇るインドネシア経済

資源輸出依存度が高い

インドネシアは、ASEANの中でも資源大国と言われています。輸出の多くは、資源に頼っており、2011~2012年・2013年~2016年では、経済成長率が6%前後から5%前後に推移しています。これは、天然ガスや原油といった資源の価格が要因の一つとなっています。

2011年からの2年間は、価格が高騰しており、資源への投資が盛んにおこなわれました。

安定した経済成長率

インドネシアは、ASEANの中でも年平均5.6%で安定した経済成長率を誇っています。しかしながら年単位で見ると、2011年と2012年は、6%前後でしたが、2014~2016年は5%前後となっており、経済成長は、やや鈍化しています。現在では、資源価格が回復してきたこともあり、インドネシアのGDPは5.1%となっています。また、2018年は5.3%になると予測しています。また、ジョコ大統領は、2020年までにGDPを7%まで増加させることを明言しています。

また、現地通貨ルピアも他の新興国と比べ安定している事から、為替リスクが少ないという面もあります。

4. 主要諸国との関係は?

蜜月な中国との関係

インドネシアにとって中国は、最大の輸出入国となっています。最近では、インドネシアの高速鉄道の建設プロジェクトに中国が中心となって、計画を進めています。これは、中国が「一帯一路」構想を進めるにあたって、非常に重要なプロジェクトとして位置付けています。

その他にもインドネシア大手財閥のリッポーグループが、中国最大のSNS「微信(Wechat)」を運営しているテンセントに出資しています。

中国とASEANでは、FTAを締結しており、インドネシアを含め、中国との関係はより密接になっていくと考えられます。

良好な関係を保ちつつあるアメリカ

アメリカとの経済関係は、中国と比べるとあまり深くはないようです。アメリカは、インドネシアにとって主要な輸出先となっています。

オバマ政権時は、良好な関係を築いていましたが、トランプ大統領の就任後は、イスラム圏7ヵ国からの入国制限令により抗議の声も少数ながら出ました。これに対し、ジョコ大統領は、静観するように指示しています。

しかしながら、この7ヵ国には、インドネシアが含まれていないことから、良好な関係は続いていると判断しています。今後、ジョコ大統領は、入国制限を受けたイスラム国家の「橋渡し」として、トランプ大統領の首脳会談開催を目指しています。

5. インフラ、投資環境整備に注力

投資環境整備で外資誘致

インドネシアは、タイヤベトナムと比べ、外資誘致などのアウトバウンドはそれほど整備されていないこともあり、内需主導型の経済となっています。しかしながら、ジョコ政権は、これに対し中小企業の起業促進や税制改革、税関や貿易手続きの簡素化を行い、外需主導型への転換を目指しています。

これにより、世界銀行のビジネス環境ランキングでは、大幅に順位を上げることができました。また、労働問題でも最低賃金の定式化など、一定の成果を挙げています。今後、投資環境をより整備していくにあたり、各国とのFTAの活用と見直しが必要になってくるかもしれません。

成果見えないインフラ投資、日本にも利あり

インドネシアでは、国民の大半がバイクを利用しており、ジャカルタ等の都市圏では、交通渋滞が懸念されています。交通渋滞をはじめ、インドネシアでは、インフラの整備が遅れています。

これに対し、2014年以降のジョコ政権では、そうしたインフラ問題に取り組んでいますが、この点についてはまだ成果が出ていません。しかし、電力に関しては、改善傾向が続いており、民間の電力事業の参入などにより、大型プロジェクトが進んでいます。

一方、陸上のインフラについては、未だ改善されていません。その為、中国が出資した高速鉄道計画は、渋滞解消の一歩となるのかもしれません。この高速鉄道計画ですが、未だに遅々として進んでおらず、インドネシアと日本は、別の高速鉄道計画で協力していく可能性が高まっています。

6. インドネシア進出のメリット

個人消費市場として大きな可能性

インドネシアでは、通貨が安定していることから、個人消費が拡大しており、消費財を始めとした小売業界に可能性があります。2020年までには、インドネシアで人口の約5分の1が中間層入りとされています。消費財系の企業では、セブンイレブンやファミリーマートといったコンビニがインドネシアに進出しています。

今後も拡大の傾向は続くと見られ、小売業界だけでなく、サービス消費という点でもメリットがあります。特にインバウンド市場では、その人口数からアプローチできる人数が他のASEAN諸国より多い、またビザの発給要件が緩和され、訪日がより簡単になったという利点があります。

実際、2017年には、35万人以上のインドネシア人が日本を訪れており、年々訪日インドネシア人の数は増加しています。

市場成長性の期待度が高い

インドネシアは、世界第4位の人口であり、今後も2070年まで人口が増加するとの予測があります。更に、生産年齢人口も2055年まで増えると期待されています。このため、上記の消費市場の拡大だけでなく、長期的にも経済成長が続くと見込まれています。

また、インドネシアは内需主導型の経済なので、原油や天然ガス、パーム油がおもな輸出製品となっており、自動車や機械などの工業製品の輸出は上記資源の輸出より劣っているという現状があります。

その為、製造業の進出という点においては、新たな市場を開拓することができ、現時点でも人口が日本の2倍以上となっているため、その市場性も非常に高いと言えます。

7. 優良なインドネシア進出サポート企業をご紹介

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今回はインドネシア経済の最新事情について解説しました。親日で既に進出している日系企業も多いインドネシアですが、今後人口ボーナスが控えているフィリピンと同様に、長期的なさらなる人口の増加が見込まれるという点でも、魅力的な進出先であることは間違いありません。

現在、インドネシアでは2,000社ほど日系企業が進出していますが、現状よりさらに投資環境が整備されれば、進出を検討する企業はさらに増加していくことでしょう。

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(参照文献)
・外務省
インドネシア共和国 基礎データ
・みずほ総合研究所(2014年)
消費市場としてのインドネシア・フィリピンの評価 ~現地調査を踏まえて市場の成長性と課題を探る~」みずほ総論集Ⅰ号, pp.41~62
・Japan In-depth(2017年2月9日)
トランプ政権に秋波送るインドネシア
・みずほ総合研究所(2017年2月14日)
任期折り返しを迎えるインドネシア 現政権にの改革は道半ば」 ・三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2017年6月13日)
インドネシア経済の現状と今後の展望 ~堅調な経済成長を続ける世界第四位の人口大国~
・じゃかるた新聞(2018年1月18日)
訪日客35万人超え 昨年 前年比3割増、10年間で5倍に
・REUTERS(2018年2月7日) 「インドネシアの中期成長率、5.6%に加速へ =IMF
・日本経済新聞(2018年2月13日)
焦るジョコ氏「https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26849250T10C18A2EA1000/日本と赤い糸」 中国頼みの開発進まず
・日本経済新聞(2018年6月28日)
インドネシア財閥、中国テンセントに出資、デジタル事業強化
・Record China(2018年7月2日)
中国受注のインドネシア高速鉄道、建設工事がようやく全面スタート ―中国メディア
・NHK NEWS WEB(2018年7月15日)
インドネシア大統領「高速鉄道で日本と協力続ける」
・国際通貨研究所(2018年7月27日)
「インドネシア経済の足元の動向 」
・JETRO(2019年05月22日)
「ジョコ大統領、イスラム経済戦略を発表 」

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この記事を書いた人

「Digima〜出島〜」編集部

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