「加熱するフィリピンの外食ビジネス」大手フランチャイズ3社の出店費用を徹底比較!
「外国人経営者が外国資本100%でレストラン経営ができる日も近い」という街頭コメントが、現地のテレビ番組で取り上げられるなど、ますます外国資本規制緩和ムードが加熱するフィリピン。
本稿では、そんなフィリピンに進出を果たしている大手外資の「シェーキーズ」「マクドナルド」のフランチャイズ費用を徹底比較。
さらに両者の比較に加えて、フィリピン大手の「ジョビリー」のフランチャイズ費用も解説。また、3社にまつわる、知っていると自慢できる(?)ちょっとした小話(エピソード)もあわせてご紹介!
それぞれのサービスやフランチャイズ費用を比較することで、日系の飲食企業としてフィリピンに進出する際のビジネスチャンスを考察していきます。
1. シェーキーズ
アメリカ・日本・フィリピンで主に展開
アメリカ生まれのピザチェーンのシェーキーズは、1954年4月30日にカリフォルニア州サクラメントにて、記念すべき一店舗店舗目をオープン。開店したのは週末でしたが、開店直後はピザ窯が完成しておらず、ビールだけを販売し、翌月曜日にはその売上利益でピザの材料を購入したという逸話が残っています。
シェーキーズの店名は、創業者のひとりである「シャーウッド・ジョンソン」のニックネーム、“Shakey”に由来しています。
日本版HPの「シェーキーズの歴史」によると、「シェーキーズとは、シャーウッド・ジョンソンが喜びの表現としてお客様と何度も握手を繰り返し「シェイクハンド」することから「シェーキーズ」と呼ばれるようになった…」という主旨のことが書いてあります。
しかしながら不思議なことにこの話は英語情報では発見できませんでした…。その代わりにすぐに見つかるのが、「ジョンソン氏は第二次大戦中に患ったマラリアの後遺症で神経障害があり、体が震えていた」ため、震えの状態を表す形容詞である「Shakey」がニックネームとなった…というもの。何はともあれ、この情報の食い違いが意図的なものでないことを願います…。
さて実はシェーキーズは、アメリカ・日本・フィリピンで主に展開しており、他国への進出店舗数は非常に少ないのです。
日本のシェーキーズは1973年に東京都で1号店がオープン。「日本シェーキーズ株式会社」は三菱商事とキリンの合弁で発足しました。一方、フィリピンでは、1975年にフィリピン最大のビール製造会社であるサンミゲル社の資本により一店舗目がオープンしています。
直接の関係はないと思われますが、その後キリンはサンミゲル社の49%の株式資本を獲得。そのため、奇しくも、日本においてもフィリピンにおいても、シェーキーズの経営には少なからずキリンが関わっている、という結果になったのでした。
フィリピンでのフランチャイズ
シェイキーズはフィリピンでは非常に人気が高く、2015年の時点で150店舗以上を同国内にて展開しています。この数はオリジナルのアメリカ合衆国内の店舗数を大幅に上回っているとのこと。
フィリピンのオーナー企業は中東や中国、アジア(日本とマレーシアを除く)、オーストラリアなど他の地域の商標使用権も獲得しています。日本の店舗数は、2017年12月現在、22店舗。
参考までに日本とフィリピンとのフランチャイズ価格を比較してみました。
フィリピンでのフランチャイズ費用
■投資額は1,800万~2,500万ペソ
(※場所、店舗規模などによって変動。 1,800万ペソ=4,000万円程度)
■上記投資に含まれるもの
● 店舗建設費 (内装・外装)
● キッチン設備、家具、備品等
● 初期運用支出(Pre-operating expenses)
● フランチャイズ費(※フランチャイズは10年更新を基本とし、双方の合意により5年毎の更新が可能)
● サイト選定戦略・プラン
● マーケティング・広告サービス
● 財務システム(共通・標準)
● 購入・配品のルート・システム全般
● 運営システム・サポート
● 人材トレーニング
● 調査・開発・品質管理
● デザイン・建設、技術サポート
日本でのフランチャイズ費用
●開業資金:設備・内外装工事一式:6,500万円〜 198㎡モデル
(※店舗規模により異なる/物件取得費を除く/消費税別)
● 加盟金:300万円
● デザイン基本設計料:100万円
● ロイヤリティ:純売上の5%
● 広告費:純売上の1%
フィリピンならではの人口ボーナスのメリットに注目
上記のように日本とフィリピンのフランチャイズ費を比較すると、初期投資の額は、3分の2程度と推察されますが、注目したいのは、むしろ客単価や商品の値段。
例えば、ラージサイズピザ(3〜4名用)の価格を比較してみましょう。日本ではラージが1,430円、フィリピンでは541ペソ/1,140円(為替換算:2018年4月現在)。価格は約日本の8割。円高がもう少し進むとこの差は相殺されるでしょう。
更に、2017年9月の時点で、マニラの中心部のレストランの1日の最低賃金が512ペソ(約1,000円)で、一方東京は1時間約1,000円。フィリピンでは1時間の労働賃金で1日分が賄えてしまいます。
…にも関わらず、日本とフィリピンの商品の値段はさほど変わらないのです。人口ボーナスで消費者・労働者が増えるフィリピンでの飲食店展開には非常に魅力があると言えるでしょう。
2. マクドナルド
2005年より100%フィリピン資本のオーナー企業
日本とフィリピンの両国はもちろん、世界中の人々に知られているフランチャイズ・チェーン「マクドナルド」。フィリピンのマクドナルドの全権を所有する企業は「Golden Arches Development Corporation」です。
2005年には米国本社から完全独立して100%フィリピンのオーナー企業となっています。
フィリピンのマクドナルドは、国内で500店舗以上を展開。この数字は日本の約2,900店舗に比べると非常に少なく感じますが、フィリピンのハンバーガーチェーンは、後述するフィリピンを代表するファストフードチェーンである「ジョリビー」が牽引しており、マクドナルドは苦戦しているという背景があります。
とは言っても、ここ数年において年間30店舗程度の増加は見受けられるため、ビジネスとしては非常に成長していると言えます。またフィリピンのマクドナルドは、直営店が全体の20%で、残りはすべてフランチャイズとなっています。
日本で開店するには、土地物件以外に最低5,000万円以上が必要です。店舗取得などを考慮すると、1億円~2億5,000万円程度が必要となると言われています。
一方、フィリピンでも下記の通り、最低でも総額で3,000万ペソ~5,000万ペソ(7,000万円~1億2,000万円程度)必要であるので、フランチャイズによって店舗をオープンする費用は日本の半分といったところでしょうか。
しかしながら、客単価と労働賃金を考えると初期費用の差分以上のビジネスチャンスをフィリピンに感じてしまいます。
「ビッグマック指数」での比較
ここでは、経済学などでよく話題に挙がる「ビッグマック指数」を比べてみましょう。ビックマック指数とは、その指数に加えて、1個のビッグマックを購入するのに必要な労働時間を算出すると、各都市の経済水準をある程度測定比較できるというスグレものなのです。
1886年にイギリスの経済専門誌「エコノミスト」が発表してから、ビッグマック指数はあらゆる場面で使われています。
さて、2018年1月のビッグマック指数では、日本が3.4、フィリピン2.6。フィリピンが日本の76%となっています。現在の為替でビッグマックの価格を単純に比べてみると、日本390円、フィリピン148ペソ(約320円)なので、フィリピンの比率は日本の82%。いずれにせよ日本の7~8割の価格なのです。
一方、労働賃金はどうなっているのでしょうか? 前述のシェーキーズの行でも触れた労働賃金は、日本の時給がほぼフィリピンの日当に等しい額です。
では、日本では落ち目と言われている(?)マクドナルドの人気はどうでしょう? フィリピンにおいては、どのマクドナルドの店舗も夜中まで賑わっている。私見ではありますが、この傾向は向こう10年は続くと思われます。
つまり、マクドナルドのフランチャイズ事業は、店舗を建ててしまえば「勝てる」ビジネスである…と言えるのです。ジョリビーなどもこれと同様のことが考えられます。
下記は、フィリピンと日本におけるマクドナルドのフランチャイズ費用の比較となります。
フィリピンでのフランチャイズ費用
■費用総額:3,000万~5,000万ペソ(※7,000万円~1億2,000万円程度)
■上記費用に含まれるもの
●フランチャイズ期間:10年または土地リースの期限(短いほうが選択される)
●マクドナルドのフランチャイズ標準パッケージには下記が含まれている
○建築関連のデザインや、プラン必要に応じた店舗物件等の改善、その他店舗関連業務
○厨房、エアコン、排気設備、レジ、座席、看板、インテリア、緊急用発電機、その他備品、設備
日本でのフランチャイズ費用
■総額(1億~2億5,000万円)※下記参照情報
●初期費用:5,000万円(店舗・土地・リース等は含まず)
● 店舗取得額:店舗によってことなる(店舗取得額の最低25%以上の自己資金の保有が必要)
● フランチャイズ期間 10年
● 初期費用/加盟費用:250万円
● ロイヤリティ 1:3%(店舗の合計売上に基づく割合)
● ロイヤリティ 2:(レントロイヤリティ:店舗の合計売上に基づく一定割合または、固定ベースレント金額)
● 広告宣伝費:4.5%
開店当初の「商品を1週間無料で配るという暴挙」とは!?
余談でありますが、マクドナルド関係筋のあるビジネスパーソンからうかがった「開店当初の話」が、経営者である自分としては非常に興味かったので、ここに紹介しておきます。
フィリピンのマクドナルド第一店舗目は1985年に誕生しましたが、既に数年前からジョリビーが展開していたこともあり、スタート時は苦戦を強いられたとのこと。地方都市展開も同様で、ある都市ではマクドナルドをオープンしたものの初月はほとんど人が入らなかったといいます…。
その理由は「価格」と「味のしょっぱさ」。確かにマクドはジョリビーと比べて甘くない。マクドナルドのハンバーガーは当初、フィリピンローカルの舌には、あまり受け入れられなかったのでしょう。そこで店舗オーナーは、マクドナルドの商品を1週間無料で配るという「暴挙」に出ました。1週間かけて味に「慣れさせる」という計画です。
…その結果、やはりというべきか、これが予想通り功を奏し、それからは地元民のリピーターで店が賑わうようになったのです。
この逸話にはいろいろと考えさせられる部分があります。ちなみにフィリピンでは、マクドナルドはマックではなく「マクド」と呼ばれています。日本の関西での呼び方と同じですね。
3. ジョリビー
マクドナルドよりジョリビーが市場規模が大きい
本稿の締めくくりとして、マクドの比較となる「ジョリビー」のフランチャイズ費用をご紹介しましょう。
フィリピンのビジネスに興味がある方であれば、フィリピンのハンバーガー業界では、マクドナルドよりジョリビーが市場規模が大きいことはご存知でしょう。
ジョリビーを運営するJFC(The Jollibee Foods Corp)は、各種飲食フランチャイズチェーンを傘下に率いて、ジョリビーの800店舗を含む、合計2,200店舗以上の飲食店をフィリピン国内で展開しています。
ジョリビーは1975年に初店舗がオープン。フィリピン以外の国でも100店舗以上が進出しています。
フランチャイズ費用
■店舗建設込:3,000万ペソ~4,000万ペソ
■含まれるもの
● 店舗建設
● 厨房・店内設備、備品、エアコン
● 看板
● 初期オペレーション費用 等
■含まれないもの
● 土地等のリース
● フード材料費
● 従業員の給与・賃金
● その他関連費用
このようにジョリビーのフランチャイズ費用水準は、マクドナルドのそれとほぼ同様と考えることができます。ちなみに、2014年ごろの同社のフランチャイズ費用は2,500万~3,500万ペソでした。
4. フィリピンにおける飲食事業の可能性
待たれる外国資本の規制緩和
シェイキーズ、マクドナルド、ジョリビーフランチャイズ費用の比較と併せて、フィリピンにおける小売業進出への可能性ついて述べました。費用のイメージはある程度つかめていただけたのではないでしょうか。
フィリピンでの小売業における外国資本の規制緩和が実際されることを想定して、ぜひ現地進出への参考資料としていただければ幸いです。
■企画/構成
株式会社クリエイティブコネクションズ&コモンズ
Founder:三宅一道(ミンダナオ日本人商工会会頭)
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