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「世界1位のSNS大国フィリピン」で日本のコンテンツをバズらせる6つの方法

掲載日:2018年06月29日

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300年にわたりスペインに統治され、母国語も取り上げられたフィリピン。そんなスペイン統治時代に、武力ではなく知識と労働で国を変えようとしたフィリピンの英雄「ホセ・リサール」をご存じでしょうか?

さる6月、その生誕記念日に合わせてローンチされた、マンガ版『ホセ・リサール』のWEB無料配信が、フィリピン国内はもちろん、ここ日本のコミックファンの間でも大きな話題となりました。

実はこのプロジェクトは、フィリピンに縁のある2社の日系企業のコラボレーションによって実現したのです!

今回は、フィリピンにおける日本コンテンツプロモーションの成功例および、世界No.1とされる国内のSNS普及の実態、さらには「フィリピンで日本のコンテンツをバズらせる6つのポイント」について解説します。

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1. 主人公「ホセ・リサール」の生誕記念日に合わせてWEB無料配信を開始

アクセス集中でサーバーがパンク状態に!?

さる6月19日、フィリピン独立の英雄『ホセ・リサール』の生誕記念日に合わせて、マンガ版『ホセ・リサール』のウェブ無料配信が開始されました。
(マンガWEBサイト:日本語版: https://www.sukima.me/book/title/joserizal/ 英語版:https://www.manga.club/jose/

ホセ・リサール
【©RYO KONNO, MATSUI Takahiro/ TORICO, CCC】

フィリピン国内では公開直前にSNSや各種メディアを通してプロモーションが行われ、マンガに関するSNS投稿は約27,000人がシェア、投稿は300万人ほどの人にリーチしました。

また新聞社やWEBメディアからの取材も多数行われ、CNNニュースにも取り上げられるほどに。さらにテレビでも全ての国内キー局のニュースで大々的に報道され、その結果、マンガの配信サイトには公開初日からフィリピンからのアクセスが集中。サーバーを大幅に増設して対応するほどの状態となったのでした。

実はこの企画は、日本で漫画コンテンツのデジタル配信を行う「株式会社TORICO」と、本稿をライティングしている私の所属する「CCC(Creative Connections &Commons)」の共同企画プロジェクトでした。

※参照:DIGIMA NEWS『フィリピンの英雄「ホセ・リサール」、日本の漫画で現世に復活!』

手前味噌ではありますが、本コラムでは今回のプロモーションの成功ポイントを始めとして、フィリピンにおけるSNSの利用や、日本のコンテンツをバズらせるポイントについて解説いたします。

2. フィリピンにもっと日本のマンガ文化を発信したい

フィリピンでブレイクした日本のV系バンド「宇宙戦隊NOIZ」とは?

弊社「CCC」では、元々マンガを始めとする多くのメディアの翻訳事業を行っています。今回、マンガ『ホセ・リサール』を共同企画させていただいた株式会社TORICO様ともマンガ翻訳でパートナーシップを深めてきました。

そんな中、昨年先方から「フィリピンにもっと日本のマンガ文化を発信したい」という話がありました。マンガは言わずもがな、日本を代表するポップカルチャーです。弊社には以前、日本のポップカルチャーをフィリピンに紹介してプロモーションに成功した経験があったため、まずはその話を共有することにしました。

その経験というのは、2012年~15年にかけてフィリピンで一気に知名度があがった日本のインディーズ系ビジュアルバンド『Uchusentai:Noiz』(以下、宇宙戦隊)のPRプロジェクトなります。

約1ヵ月で、閲覧数100万件&コメント数5,000件超

宇宙戦隊は、2011年に始めてフィリピンを訪問。「地球の平和を守るバンド」というコンセプトを持つ彼らは、海外でもライブ活動を行い、チャリティーコンサートを開いてフィリピンの孤児院を支援したりもしていました。弊社は当時宇宙戦隊の海外版SNSアカウント運営に関わっており、その効果もあってかフィリピンでの知名度も少しずつ上昇していました。しかしバンドはライブ活動が命。ワンマンでライブができるレベルになるためには、まだまだ拡散力が足りません。

そこで弊社からバンドに提案したのが、OPM曲(オリジナル・フィリピン・ミュージックの略)のカバーをするというアイデアでした。フィリピンでは日本の音楽がカバーされることはありますが、その逆は聞いたことがありません。やってみる価値はあるのでは? …という話になりました。

こうして2012年8月、宇宙戦隊はフィリピンのメジャーバンドである、カミカゼ(Kamikazee)のカバーソング「NARDA」をリリースしました。結果的には、リリース直後から予想以上の反響があり、掲載後1週間でYoutubeビデオが50万人の閲覧数となりました。最終的には1ヵ月ほどで100万件に達し、コメントも5,000件を超えました。

フィリピンで日本のコンテンツをPRするための6つのポイントとは?

これらの要因はなんだったのでしょうか?



動画に寄せられたコメントの傾向を以下にまとめてみました。

●1. フィリピン文化が日本に認められて嬉しいという評価が非常に多い
●2. フィリピンを誇りに思えた、というコメントが多数見られる。
●3. 「日本ありがとう」「フィリピンコンテンツ最高」「日本もフィリピンもLOVE!」のように両国への愛情を表現するコメントが非常に多い
●4. 次は何をカバーしてほしい、という期待のコメントが非常に多い
●5. カバーしてほしい曲名やバンド名が多数列挙され、さらにバズる原因となる
●6. 上記4番のように、他の読者に影響を与えるような、バズを更に伸ばすコメントを残すひとが多数現れる
●7. 「オリジナルより良い」「オリジナルのほうが良い」というコメントが散見され、これも物議を醸してバズる原因となる
●8. ビジュアル系という日本の特殊なカルチャーと、現地コンテンツのマッチングが興味の対象となっている
●9. 男女問わず比較的幅広い年齢層がコメントしている
●10. 英語、タガログ語、ビサヤ語、時には不完全な日本語などが入り乱れてコメントが書かれる
●11. アンチコメントもたまに見受けられるがアンチコメントもバズには重要

…上記を総合して判断すると、ポイントは下記の6つになると思われます。

【フィリピンで日本のコンテンツをバズらせる6つの方法】
■1. メインのコンテンツが現地由来である
■2. 現地の人々の現地、または文化への愛情がポジティブに刺激される
■3. 現地の文化へのリスペクト(敬意)が感じられる
■4. 現地人にとって斬新さがある(今までと違うメディアや特に海外の文化とのコラボレーションなど)
■5. 単発のイベントであったとしても、発展性が感じられる
■6. 自由なコメントが可能であり、ユーザーが各自の意見を出し始める


これらの経験を元に、今回の「マンガプロジェクト」では、どのような手法であればフィリピンにマンガ文化を根付かせるきっかけが作れるか?」について協議していきました。

協議の結果、フィリピン由来であり現地人に愛されるコンテンツというポイントから、フィリピン独立の英雄である『ホセ・リサール』のマンガ化が最も相応しいのではないか? …という結論に至ったのです。

マンガ化に当たっては様々なジャンルが考えられましたが、歴史的偉人であるホセ・リサールへの敬意を示すべきとの側面から、史実(とされていること)にできるだけ忠実に作品をつくるという方向性も打ち出されました。

また「フィリピンの歴史的偉人を日本のマンガ家が手がける」というプロジェクト自体が斬新であるため、ある程度の反響も期待できます。読者を刺激するために週間連載で進めることも決まりました。そしてSNS上でのバズ効果、メディア効果を最大限に活かすため、配信日はホセ・リサールの誕生記念日に合わせることにしました。

その結果は冒頭に記載した通りです。

以上が今回の『ホセ・リサール』マンガ企画の経緯概要になります。

公開直前のFacebook投稿によるプロモーションや、マンガへの読者からのコメントには、「宇宙戦隊」のときと同様、前述のような内容のコメントが2,000件以上も寄せられました。

3. フィリピンのソーシャルメディア利用率は世界No.1

メインのプロモーションにFacebookを利用

今回のプロジェクトでは、メインのプロモーションにFacebookを利用しました。

イギリスの調査会社「We Are Social」のデジタル2018レポートの結果ではフィリピンのソーシャルメディア利用率は世界一だとされています(下記参照)。同レポートによれば、SNSの使用時間の1日平均は3時間57分でした。

さらに別のデータではFacebookのユーザー人口が6700万人とのデータもあり、フィリピンにおけるインターネットの利用人口とほぼ同値となっているとの見方もあります。

フィリピンは人口がすでに1億人を突破していますが、この値を人口と比較してみても7割近くのフィリピン人がユーザーとなっている状況です。確かに現地を見回してみると5歳の女の子でもアカウントを所持しています(※ほとんどのケースでは、親御さんが子供のアカウントを作ってそこに画像などを掲載しているケースだと思われます)。

CCC提供
(出典:Time Spent on Social Media, Global Digital Report 2018)

インターネットの平均利用時間にして、TOPのタイ(9時間38分)に続いて、世界第2位(9時間28分)となっており、SNSの普及率も高くなっています。

これらのデータと、これまでの経験則から、プロモーションにFacebookを利用する有効性の高さは明らかです。

CCC提供
(出典:Time Spent Per Day of the Internet, Global Digital Report 2018)

4. ASEAN諸国におけるSNSマーケティングの実態とは?

カスタマーロイヤリティを上げることがおもな目的

最後に、フィリピンを含むASEAN諸国におけるSNSマーケティングについて言及しておきたいと思います。

まずは、SNSを使ったマーケティングでよく使われる「バズる」とか「バズ・マーケティング」という言葉について。この表現はすでに日本では定着した感があるものの、一応ここで復習しておきましょう。

「バズる」は英語の「Buzz」から来ており、蜂などの虫のは音がブンブンなる様子の擬音語として使われるほか、ひとがガヤガヤと噂をするという意味でも使われます。

ただし英語での表現の場合には、「バズってる」「噂になっているよ」というときには、ウイルス(virus)が広がるというニュアンスで、「Go viral」という言い方が好んで使われる傾向があります。

お話がやや横道にそれましたが、つまりバズ・マーケティングとは、「口コミを利用したマーケティング手法」であり、「バズる」とは、SNSなどでの書き込みでシェアされ、情報が急速に拡散されていく状態を指します。

ではフィリピンでは、ことマーケティングにおいて、現地のマーケターはSNSをどのように利用しているのでしょうか?

フィリピンを含む、環太平洋、ASEAN諸国でのマーケターの活動についてのデータを下記にご紹介します。

・ブランディング 46%
・カスタマーサービスページ 43%
・セールス 38%
・他のプロモーションの助長 37%
・ユーザーデータのマイニング 27%

環太平洋およびASEAN地域の「マーケター」と呼ばれる人たちの92%がSNSを利用しているとされています。まずは彼らがどうSNSを利用しているのかを見てみましょう。

一番多いのが「ブランディングに関する利用」であり、その46%が利用しています。プロダクトや企業に関するインサイトや、開発秘話などを語ることによって、カスタマーロイヤリティを上げることがおもな目的とされています。

次に多いのが「カスタマーサービスでの利用」が43%。FacebookなどのSNSページでカスタマーサービスの専門ページを用意して、顧客リテンションに努めています。

さらに「プロダクト紹介」など、直接的にセールスを行う手法で38%が利用しています。

そして「SNSで他のプロモーション活動に関する情報拡散」などを37%のマーケターが行っています。

最後が「ユーザーデータのマイニング」で27%となっています。

またオンラインショッピング等のE-コマースでは、47%がSNS連動でアドバタイジングを行っており、全体の30%がSNS内に「購入ボタン」を設けています。

フィリピンを始めとする新興国のSNSプロモーションに関しては、上記のようなSNSマーケティングの一般的な利用と、前述の成功事例のような「現地の人々の心をくすぐる題材」とをうまく掛け合わせることが重要なのではないかと考えます。

以上、フィリピンにおける日本コンテンツプロモーションの成功例、及びSNSの普及、マーケティングにおけるSNSの利用についてまとめてみました。

今後、日本製品、日本コンテンツをフィリピンを始めとするASEAN諸国へ輸出していこうとする方々の参考になれば幸甚です。

■企画/​構成 
株式会社クリエイティブコネクションズ&コモンズ
Founder:三宅一道(ミンダナオ日本人商工会会頭)

■参考文献
(フィリピンを含む環太平洋地域のマーケターのSNS利用法)
出典:
News bytes Philippines: Study: Social media taking over in PH marketing, customer service (http://newsbytes.ph/2016/09/01/study-social-media-taking-over-in-ph-marketing-customer-service/
Kantar TNS
http://www.tnsglobal.com/

この記事を書いた人

Ichido Miyake

三宅 一道

株式会社クリエイティブコネクションズ&コモンズ

2001年よりバンドマンから一念発起してフィリピン・ダバオ市に移住。2012年に株式会社クリエイティブコネクションズ&コモンズを設立。ミンダナオ日本人商工会議所(JCCM)・会頭も務める。

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