フィリピン外資規制を避けて100%外資の現地法人を設立する方法
フィリピンで事業を行いたいと考える日本企業にとって、外資規制は大きなハードルの一つです。しかし、フィリピンの外資規制には例外があり、事業の形態や内容次第では100%外国資本で現地法人を設立することが可能です。2022年には外資規制関連3法(公共サービス法改正、小売自由化法改正、外国投資法改正)が改正され、外資規制が大幅に緩和されました。通信や運送などの分野では外資100%での参入が可能となり、小売業でも最低払込資本金が2,500万ペソに引き下げられています。
本記事では、フィリピンの外資規制を回避しながら100%外資の現地法人を設立する具体的な方法について解説します。
▼ フィリピン外資規制を避けて100%外資の現地法人を設立する方法
この記事でわかること
- フィリピンの外資規制「ネガティブリスト」の仕組みと、輸出業が規制対象外となる理由
- 2022年の外資規制関連3法改正による規制緩和の内容
- BPO型企業など、100%外資で設立できる事業形態の具体例
- 最低資本金規制の撤廃と輸出企業への適用
- 輸出企業でも40%まで国内販売が認められる仕組み
- CREATE MORE法(2024年施行)による法人税率の優遇措置
- 投資家リース法の2025年改正による土地リース期間の延長
1.「輸出業」なら外資規制が適用されずに100%の外国資本が認められる
フィリピンの外資規制は「ネガティブリスト」と呼ばれるリストに基づいています。このネガティブリストはフィリピン国内での販売活動に関わる規制であり、リストに記載された業種では外国資本の出資比率に制限が設けられています。現在有効なのは2022年6月に改定された第12次ネガティブリストであり、従来よりも規制対象業種が縮小されています。
しかし、フィリピン国内での販売を行わない「輸出業」に該当する企業であれば、このネガティブリストの規制は適用されません。つまり、100%外国資本で自分の会社を持つことが可能です。
代表的な例がBPO(Business Process Outsourcing)型企業です。コールセンター、会計業務の受託、ソフトウェア開発、CAD設計、データ分析といった業務は、フィリピン国内の顧客に販売するのではなく、海外の顧客にサービスを提供する形態であるため、輸出企業とみなされます。このような事業形態であれば、外資規制を受けることなく100%外資での法人設立が実現できます。
2. 輸出業でも最低資本金規制の撤廃が適用
フィリピンでは会社法の改正により、最低資本金規制が撤廃されました。この改正は輸出企業にも適用されます。なお、外資比率が40%を超える企業については、原則として最低払込資本金20万ドルが必要とされています。先進技術を有する企業や、50人以上の直接雇用を行う企業など、一定の条件を満たす場合には10万ドルに引き下げられます。ただし、輸出企業についてはこの払込資本金の要件が課されないため、少額の資本金でも法人設立が可能です。
これにより、輸出型の事業であれば、資本金の面でも大きなハードルなくフィリピンでの法人設立に臨むことができます。
3. 輸出業でも40%までならフィリピン国内での生産が可能
輸出企業として100%外資で設立した場合でも、すべての売上を海外向けにしなければならないわけではありません。フィリピン国内での販売は、全体の40%までであれば認められています。
この40%の国内販売枠があることで、輸出を主軸としながらもフィリピン国内市場にもある程度参入することが可能です。海外向けの事業と国内向けの事業を組み合わせることで、より柔軟なビジネス展開が実現できます。
4. 限定的な国内販売許可について
輸出企業として国内販売の許可を受けるためには、定款(Articles of Incorporation)の「主たる目的(Primary Purpose)」の欄に「輸出業務に従事する」旨を明確に記載する必要があります。この記載がなければ、輸出企業としての扱いを受けることができず、外資規制の対象となってしまいます。
法人設立の段階から、定款の記載内容には十分注意を払い、輸出企業としての位置づけを明確にしておくことが重要です。
外資企業に対する最新の投資優遇措置
2024年11月に施行されたCREATE MORE法(Corporate Recovery and Tax Incentives for Enterprises to Maximize Opportunities for Reinvigorating the Economy)により、PEZA(フィリピン経済区庁)やBOI(投資委員会)に登録した企業の法人税率が、従来の25%から20%に引き下げられました。この優遇措置は外資企業にも適用されるため、輸出型企業としてフィリピンに進出する場合、税制面でも大きなメリットを享受できます。
さらに、2025年には投資家リース法が改正され、外国人投資家が土地をリースできる期間が最大99年に延長されました。フィリピンでは外国人や外資企業による土地の所有が認められていませんが、長期リースによって事実上の拠点確保が容易になっています。この改正により、工場やオフィスの長期的な運営計画が立てやすくなり、フィリピンへの投資がより安定的なものとなっています。
まとめ
フィリピンの外資規制は、ネガティブリストに基づく国内販売に関する規制であるため、輸出業に該当する事業形態であれば100%外資での現地法人設立が可能です。BPO型企業のように海外向けにサービスを提供するビジネスモデルは、その代表的な例です。最低資本金規制の撤廃も輸出企業に適用され、40%までの国内販売も認められているため、柔軟な事業展開が実現できます。
加えて、2022年の外資規制関連3法の改正により規制対象業種が縮小され、2024年施行のCREATE MORE法では登録企業の法人税率が20%に引き下げられるなど、フィリピンにおける外資企業への投資環境は年々改善しています。2025年の投資家リース法改正による土地リース期間の延長(最大99年)も、長期的な事業計画を立てるうえで追い風となっています。
ただし、定款への適切な記載や最新の規制内容の確認など、法人設立にあたっては専門家の助言を得ながら慎重に進めることをお勧めします。
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