シンガポールの広告・プロモーション戦略ガイド|チャネル選定から費用・規制まで徹底解説【No.16】
シンガポールは東南アジアのビジネスハブとして、多くの日本企業が市場参入を目指す国のひとつです。しかし、いざ広告やプロモーションを展開しようとすると、「どのチャネルを選べばよいのか」「どの程度の予算を見込むべきか」「規制面で注意すべきことは何か」といった疑問に直面します。
シンガポールの広告市場はデジタルシフトが急速に進み、総広告費の83%以上をデジタル広告が占めるまでに成長しています。一方で、多民族・多言語社会ならではのコミュニケーション設計や、ASAS(広告標準委員会)による広告規制など、日本市場とは異なる配慮が求められます。
本記事では、シンガポールで広告・プロモーションを展開するために必要な知識を、チャネル選定から費用感、法的規制まで体系的に解説します。なお、現地消費者に響く広告コピーの作り方やローカライズの具体的な手法については、別記事「シンガポールの広告コピー術」で詳しく解説していますので、そちらもあわせてご参照ください。
<この記事でわかること>
・シンガポール広告市場の規模と最新トレンド(2025-2026年データ)
・シンガポール消費者の特性と、広告に対する反応の傾向
・デジタル広告・SNS広告・KOLなどチャネル別の特徴と活用法
・販路別(EC・百貨店・セレクトショップ)のプロモーション戦略
・知っておくべき広告規制(ASAS・POFMA)と法的注意点
・チャネル別の広告費用相場と予算配分の考え方
▼ シンガポールの広告・プロモーション戦略ガイド|チャネル選定から費用・規制まで徹底解説【No.16】
1. シンガポール広告市場の全体像と最新動向
シンガポールの広告市場規模と成長トレンド
シンガポールの広告市場は、2024年時点で約26億米ドル(約3,900億円)規模に達しており、年平均4%前後の成長率で拡大を続けています。人口約600万人の小国でありながら、一人あたりGDPはアジアトップクラスを誇り、広告市場の密度と効率性の高さが特徴です。
この成長を牽引しているのがデジタル広告です。特に検索広告は7億600万米ドルと最も高い伸び率を示しており、SNS広告も2025年に前年比10.3%増と二桁成長を記録しています。
シンガポールのデジタルマーケティング市場は2025年から2034年にかけて年平均10.7%の成長が見込まれており、今後もデジタルを中心とした広告投資が拡大していくことは確実です。
デジタル広告が主流|シンガポールの広告費内訳
シンガポールでは総広告費の83%がデジタル広告に投じられており、アジア太平洋地域でもトップクラスのデジタル広告比率を誇ります。
広告費の内訳を見ると、最も大きな割合を占めるのが検索広告(リスティング広告)で、次いでSNS広告、動画広告、ディスプレイ広告と続きます。テレビ・ラジオ・新聞などの従来型メディアは全体の17%程度にとどまっており、デジタルへのシフトが明確に進んでいます。
また、2026年にかけてプログラマティック広告(AIによるリアルタイムの広告配信最適化)の導入がさらに加速すると予測されています。90%のデジタルコンテンツがAIによって生成されるという予測もあり、AI活用はシンガポール広告業界の最重要テーマとなっています。
日本企業がシンガポールで広告を出すべき理由
日本企業がシンガポール市場で広告・プロモーションに取り組む意義は、主に3つあります。
第一に、購買力の高さです。シンガポールの一人あたりGDPは約65,000米ドルで、日本を上回ります。高い可処分所得を持つ消費者が多く、品質の良い製品・サービスに対して相応の対価を支払う意思があります。
第二に、東南アジア展開のテストマーケットとしての機能です。シンガポールは英語が公用語のひとつであり、東南アジア各国のハブ的存在です。シンガポールで成功したマーケティング施策は、マレーシアやインドネシアなど周辺国への横展開がしやすいという利点があります。
第三に、デジタルインフラの充実です。インターネット普及率は96%以上、SNS利用率は88.2%に達しており、デジタル広告が最も効率的にリーチできる市場のひとつです。広告配信プラットフォームのターゲティング精度も高く、少額から効果的なテストマーケティングが可能です。
2. シンガポールの消費者特性と広告への反応
多民族・多言語社会における広告のポイント
シンガポールは中華系(約76%)、マレー系(約15%)、インド系(約7.5%)で構成される多民族国家です。公用語は英語・中国語(マンダリン)・マレー語・タミル語の4つですが、ビジネスや広告のメイン言語は英語です。
広告を制作する際は、ターゲットとする民族・言語グループに応じたクリエイティブ設計が求められます。全体をカバーする広告は英語で制作するのが基本ですが、中華系をメインターゲットとする場合は中国語(簡体字)のクリエイティブも併用すると効果的です。
注意すべき点として、シンガポール特有の「Singlish(シングリッシュ)」があります。英語にマレー語や中国語の表現が混ざった口語体で、日常会話では広く使われています。ブランドのトーンによっては、Singlishを取り入れることで親近感を演出できますが、ラグジュアリーブランドやB2B領域では標準英語が適切です。
さらに、宗教的・文化的な配慮も欠かせません。マレー系住民の多くがイスラム教徒であり、食品や美容関連の広告ではハラール対応の有無が購買判断に直結します。特定の民族や宗教を軽視・侮蔑するような表現は、MRHA(宗教調和維持法)に抵触する可能性もあります。
シンガポール消費者の購買行動と情報接触パターン
シンガポールの消費者は、都市型でグローバル志向が強いことが特徴です。2025年1月時点でシンガポールには516万人のSNSユーザーがおり、モバイル接続数は1,050万件(人口比179%)に達しています。
情報収集から購買に至るカスタマージャーニーは、ほぼ完全にデジタル上で完結します。一般的な購買行動パターンは以下のとおりです。
認知段階ではSNS(Instagram・TikTok・Facebook)での広告接触やKOL(Key Opinion Leader)の投稿、Google検索が主要なタッチポイントです。
検討段階ではブランドの公式サイト・ECサイト、レビューサイト、比較コンテンツを参照します。シンガポールの消費者は口コミやレビューを重視する傾向が強く、「他者からの評価」が購買決定に大きく影響します。
購買段階ではECプラットフォーム(Shopee・Lazada)や自社ECサイト、実店舗でのオムニチャネル体験が決め手となります。ライブコマースの人気も高まっており、リアルタイムの動画配信を通じた販売が成長チャネルとなっています。
広告に求められる「信頼性」と「ベネフィット訴求」
シンガポールの消費者は情報リテラシーが高く、広告に対して懐疑的な目を持っています。「なんとなく良さそう」という曖昧なイメージ訴求ではなく、明確なベネフィット(具体的にどんな利益があるのか)と信頼性の根拠(なぜそれが信用できるのか)の両方を求めます。
特に効果的なのは、以下の3つの訴求軸です。
-
具体的なベネフィットの提示。「Visible results in 7 days(7日で目に見える効果)」のように、数値や期間を明示したベネフィット訴求がシンガポール消費者には響きます。
-
自己投資・QOL向上の文脈。シンガポール消費者は「自分への投資」「生活の質の向上」に高い関心を持っています。「Be the best version of you(最高の自分になる)」のような自己肯定メッセージが効果的です。
-
サステナブル・社会的責任。サステナブルで社会的責任を果たしているブランドからの購入意向は、通常の2.5倍に達するというデータがあります。環境配慮やサステナビリティへの取り組みは、広告メッセージにおいても重要な訴求ポイントです。
3. シンガポールの広告チャネル完全ガイド
リスティング広告(Google広告)
シンガポールの検索エンジンシェアは90%以上をGoogleが占めており、リスティング広告はシンガポール市場で最も費用対効果の高い広告チャネルのひとつです。
シンガポール向けGoogle広告のポイントは以下のとおりです。
言語設定:英語をメインとし、必要に応じて中国語(簡体字)キャンペーンも追加します。地域設定はシンガポール全土で問題ありませんが、特定のエリア(オーチャード、マリーナベイなど)に絞り込むことも可能です。
キーワード戦略:英語での検索が主流ですが、中華系ユーザーの一部は中国語で検索します。主要キーワードは英語と中国語の両方でカバーすると取りこぼしを防げます。
競合状況と費用感:シンガポールのリスティング広告は、業種によってはCPC(クリック単価)が日本よりも高くなる傾向があります。一般的な月額予算の目安は20万〜30万円程度で、広告代理店に依頼する場合は手数料として広告費の10〜30%が加算されます。
また、2025年以降、検索行動がGoogle以外のプラットフォーム(TikTok検索・YouTube Shorts・Reddit・AIアシスタント)にも分散する傾向が強まっています。リスティング広告だけに依存せず、複数チャネルでの露出を確保することが重要です。
SNS広告(Facebook・Instagram・TikTok・LinkedIn)
シンガポールのSNS利用率は人口の88.2%に達しており、SNS広告はあらゆる層にリーチできるチャネルとして高い効果を発揮します。
各プラットフォームの特徴と活用法を解説します。
Facebook:シンガポールで最も利用者数が多いSNSのひとつで、30代以上を中心に幅広い層にリーチできます。B2C・B2Bの両方で活用可能で、詳細なターゲティング機能が強みです。地域・年齢・性別・興味関心・行動履歴に基づく精密なオーディエンス設定が可能です。
Instagram:ビジュアル訴求に優れたプラットフォームで、ファッション・美容・飲食・旅行など消費財の広告に適しています。Instagram Storiesやリール(短尺動画)を活用した広告フォーマットが高いエンゲージメントを獲得しています。
TikTok:Z世代・ミレニアル世代への圧倒的なリーチ力を持ち、シンガポールでも急成長しています。短尺動画広告、ブランドチャレンジ、TikTok Shopなど、エンターテイメント性の高い広告フォーマットが特徴です。TikTokは「検索エンジン」としても利用されるようになっており、ブランド発見の重要なチャネルです。
LinkedIn:B2Bマーケティングで最も効果的なプラットフォームです。シンガポールはアジア太平洋地域の企業本社が集積する都市であり、意思決定者への直接リーチが可能です。業種・職種・役職・企業規模でターゲティングできるため、高単価商材のリード獲得に適しています。
KOL・インフルエンサーマーケティング
KOL(Key Opinion Leader)マーケティングは、シンガポールの消費者が口コミや第三者評価を重視する特性を活かした効果的なプロモーション手法です。
シンガポールのKOLマーケティングで成果を出すためのポイントは3つあります。
ブランドメッセージとの一貫性。KOLに任せきりにせず、メインメッセージとKOL投稿のトーンを統一することが重要です。一貫性の欠如は信頼を損ない、広告効果を大きく低下させます。
マイクロKOLの活用。フォロワー数万人規模のマイクロKOLは、フォロワーとの距離が近く、高いエンゲージメント率を示します。予算が限られる日本企業の初期展開では、マイクロKOL複数名との連携が費用対効果の面で優れています。
事前のすり合わせ。商品の価値構造、訴求ポイント、NG表現などを事前に共有し、ブランドらしさを保ちながらKOLの個性を活かせるバランスを見つけることが成功の鍵です。
動画広告(YouTube・TikTok)
動画広告は、シンガポールの広告市場において最も成長が著しいフォーマットのひとつです。特に短尺動画(15秒〜60秒)は、スマートフォンでの視聴を前提とした設計が求められます。
YouTubeはシンガポールで高い到達率を持つプラットフォームです。プレロール広告(動画再生前に表示される広告)やバンパー広告(6秒の短尺広告)が一般的です。長尺のブランドストーリー動画を配信するのにも適しています。
TikTokはエンターテイメント性の高い短尺動画が主流です。広告感が薄く、ユーザー生成コンテンツ(UGC)風のクリエイティブが高いパフォーマンスを発揮します。
2026年にかけて、AR(拡張現実)を活用したSNS広告キャンペーンが400%増加するという予測もあり、動画とインタラクティブ技術の融合が次のトレンドとして注目されています。
OOH広告・交通広告
シンガポールはコンパクトな都市国家であるため、OOH(Out of Home)広告も高い到達効率を発揮します。
主要な掲出場所としては、MRT(地下鉄)駅構内・車内広告、オーチャードロードやマリーナベイエリアのデジタルサイネージ、バス車体広告、タクシーのデジタルスクリーンなどがあります。
特にDOOH(Digital Out of Home)はプログラマティック配信に対応しており、天気・時間帯・周辺のイベントなどに応じたリアルタイムの広告出稿が可能です。デジタル広告とOOH広告を連動させた「オムニチャネルキャンペーン」がシンガポールでは有効とされています。
メディアタイアップ・PR
シンガポールのメディア環境では、The Straits Times(ストレーツ・タイムズ)、Channel News Asia(CNA)、Mothership などの現地主要メディアとのタイアップ記事・PR記事が、ブランド認知向上に効果的です。
メディアタイアップは広告規制の観点からも注目されるべきチャネルです。純広告よりも編集記事の形式をとるため、消費者の広告回避心理を緩和しながら情報を届けることができます。ただし、シンガポールでは広告とエディトリアルコンテンツの区別を明確にするガイドラインがあるため、「#ad」「#sponsored」などの表記ルールを守る必要があります。
4. 販路別プロモーション戦略
シンガポール市場で消費財のプロモーションを展開する際は、販路(販売チャネル)ごとに戦略を設計することが重要です。シンガポールの消費者は「どこで買えるか」に価値を見出す傾向があり、販売チャネルそのものがブランド評価に大きく影響します。
EC・D2Cのプロモーション設計
EC(Eコマース)やD2C(Direct to Consumer)での展開は、初期投資を抑えながらシンガポール市場をテストできる有効な方法です。
事前のSNS施策が鍵。EC立ち上げ前からSNSアカウントを開設し、KOLとの連携による認知獲得を進めておくことが重要です。「ローンチ前にファンを作る」という発想が、シンガポールのEC成功の基本戦略です。
英語対応のカスタマーサポート。シンガポールの消費者は購入前にチャットで質問する傾向が強く、英語での即時対応が購買率に直結します。WhatsAppやLINE的なチャットツールの導入が効果的です。
SNSとECの同時ローンチ。SNSでの認知施策とECサイトのオープンを同時に仕掛けることで、認知から購買への導線を最短化できます。
百貨店・商業施設でのプロモーション
TANGSやION Orchardなどの百貨店・商業施設への出店は、ブランドの信頼性を高める有効な手段です。「あの百貨店で売っている」という事実が、シンガポール消費者にとっての品質保証として機能します。
ローカライズされた接客スタッフの教育。現地採用スタッフに対して、ブランドストーリーや製品の価値を正確に伝えるトレーニングが不可欠です。
POPデザインの現地最適化。日本の店頭POPをそのまま持ち込むのではなく、英語で、シンガポール消費者の関心事(成分、効果、使用感など)を端的に訴求するPOPを制作します。
メディア連携イベント。百貨店でのポップアップイベントに現地メディアやKOLを招待し、SNSでの拡散を促すPR施策を組み合わせることで、オフラインとオンラインの相乗効果を生み出します。
セレクトショップ・小売店でのプロモーション
セレクトショップへの展開では、ブランドの世界観やストーリー性が重要な差別化要因となります。
ブランドストーリーの体験型設計。単なる商品陳列ではなく、ブランドの背景や哲学を感じられる空間演出が求められます。日本のクラフトマンシップや素材へのこだわりは、シンガポールの消費者にとって魅力的なストーリーです。
限定商品・コラボレーション。シンガポール限定デザインや、現地ブランドとのコラボレーション商品は、話題性と希少性の両面で効果的です。
KOLイベントの開催。店舗でのKOLイベント(ミートアンドグリート、商品体験会など)は、フォロワーへの直接的な訴求と、SNS上でのUGC(ユーザー生成コンテンツ)獲得に有効です。
5. シンガポールの広告規制と法的注意点
ASAS(広告標準委員会)とSCAPの基本ルール
ASAS(Advertising Standards Authority of Singapore)は、シンガポールの広告における自主規制機関です。CASE(消費者協会)の下部組織として設置されており、SCAP(Singapore Code of Advertising Practice)と呼ばれる広告行動規範に基づいて、広告の適正性を審査します。
ASASの主な役割は以下のとおりです。
広告掲載の可否についての助言・指導。広告主や広告代理店に対して、SCAPへの適合性について事前アドバイスを行います。
消費者からの苦情受付・審議。すべてのメディアにおける広告に対して消費者からの苦情を受け付け、SCAPへの違反の有無を審議します。違反が認められた場合、程度に応じて是正勧告や制裁措置が講じられます。
SNS広告における#ad表示の徹底。インフルエンサーマーケティングやSNS上のPR投稿に対して、広告であることの明示(#ad、#sponsoredなどの表記)を求めています。表示が不十分な場合は是正勧告が行われます。
SCAPは法的拘束力を持つ規制ではなく業界の自主規制ですが、違反した場合は広告掲載の差し止めや業界からの制裁を受ける可能性があるため、実質的に遵守が求められます。
POFMA(オンライン偽情報防止法)への対応
POFMA(Protection from Online Falsehoods and Manipulation Act)は、オンライン上の虚偽情報や誤解を招く情報に対して、大臣が訂正命令を出すことができるシンガポールの法律です。
広告に関連するPOFMAの注意点は以下のとおりです。
虚偽または誤解を招く広告表現は対象となりえます。製品の効果を過度に誇張した広告や、事実と異なるクレームを含む広告は、POFMAの適用対象となるリスクがあります。
訂正の表示が命じられることがあります。POFMAに基づき、大臣は該当するオンラインコンテンツに訂正文の掲載を命じることができます。企業の信頼を大きく毀損する事態につながりかねません。
SNS事業者にも責任が及びます。SNSプラットフォーム上の広告が問題となった場合、広告主だけでなくSNS事業者にも是正措置が求められることがあります。
業種別の広告規制(医薬品・食品・金融)
シンガポールでは業種に応じた個別の広告規制も存在します。
医薬品・ヘルスケア:HSA(保健科学庁)が医薬品、健康食品、医療機器などの広告を規制しています。科学的根拠のない効能表現や、医師の推薦を装った広告は禁止されています。
食品:SFA(シンガポール食品庁)が食品の広告・表示を管轄しています。栄養成分の表示ルールやヘルスクレームの制限があり、「ヘルシーチョイス」ロゴの使用には認定が必要です。
金融:MAS(シンガポール金融管理局)が金融商品の広告を規制しています。リスク表示の義務、利回りの表示方法、消費者保護に関するルールが詳細に定められています。
これらの業種で広告を展開する場合は、現地の広告代理店や法律事務所に事前確認を依頼することを強く推奨します。
6. シンガポール広告の費用相場と予算の考え方
チャネル別の広告費用目安
シンガポールの広告チャネル別の費用目安は以下のとおりです(2025年時点の目安であり、業種・競合状況により変動します)。
Google広告(リスティング):月額20万〜30万円程度が一般的な開始予算。CPC(クリック単価)は業種によりSGD 1〜10程度。金融・不動産・教育など競争が激しい業種では高くなる傾向があります。
Facebook・Instagram広告:月額10万〜30万円程度から開始可能。CPM(1,000インプレッションあたりの費用)はSGD 5〜15程度が目安です。ターゲティングの精度が高いため、少額でもテスト運用が可能です。
TikTok広告:最低出稿額はキャンペーンレベルでSGD 500程度。インフィード広告やブランドテイクオーバーなどフォーマットにより費用が大きく異なります。
KOL・インフルエンサー:マイクロKOL(フォロワー1万〜5万人)で1投稿あたりSGD 200〜1,000程度。メガKOL(フォロワー10万人以上)では1投稿あたりSGD 3,000〜10,000以上になることもあります。
OOH(屋外広告):MRT駅構内のデジタルサイネージで月額SGD 5,000〜20,000程度。オーチャードロードの大型ビルボードではさらに高額になります。
広告代理店の活用と費用感
シンガポール市場での広告運用に不慣れな企業は、現地の広告代理店を活用するのが一般的です。
日系広告代理店のメリット:日本語でのコミュニケーションが可能で、日本企業のビジネス慣習を理解しています。ただし、現地の消費者インサイトやクリエイティブ力は現地系代理店に劣る場合もあります。
現地系広告代理店のメリット:シンガポール消費者の感性を熟知しており、ネイティブ品質のクリエイティブを制作できます。ただし、日本語対応ができないケースが多く、ブランドの意図を正確に伝えるためのコミュニケーションコストが発生します。
ハイブリッド型の選択肢:日系と現地系の両方と連携する企業も増えています。戦略設計は日系代理店と、クリエイティブ制作やKOL調整は現地系代理店と、というように役割分担するアプローチです。
代理店費用は、手数料型(広告費の10〜30%)、月額固定型(SGD 3,000〜10,000程度)、プロジェクト型など契約形態によりさまざまです。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. シンガポールで広告を出すにはいくらかかりますか?
チャネルや業種によって異なりますが、デジタル広告であれば月額10万〜30万円程度からテスト運用を開始できます。Google広告やFacebook・Instagram広告は少額から柔軟に予算設定が可能です。KOLマーケティングを含む本格的なプロモーション展開では月額80万〜200万円程度が目安となります。広告代理店に依頼する場合は、広告費に加えて手数料(10〜30%)が発生します。
Q2. シンガポールの広告は何語で制作するのが基本ですか?
基本的には英語で制作します。シンガポールのビジネス・広告の主要言語は英語であり、民族を問わず最も広くリーチできます。ただし、中華系をメインターゲットとする場合は中国語(簡体字)のクリエイティブを併用すると効果的です。広告コピーの言語選択やローカライズの具体的な手法については、別記事「シンガポールの広告コピー術」で詳しく解説しています。
Q3. シンガポールで効果的なSNS広告プラットフォームはどれですか?
ターゲット層によって最適なプラットフォームは異なります。幅広い年齢層へのリーチにはFacebook、ビジュアル訴求の消費財にはInstagram、Z世代・ミレニアル世代にはTikTok、B2Bマーケティングにはリンクドインが適しています。シンガポールのSNS利用率は人口の88.2%と非常に高く、WhatsAppも日常的なコミュニケーションツールとして広く普及しています。
Q4. KOL(インフルエンサー)の選び方のポイントは?
KOL選定では、フォロワー数よりも「エンゲージメント率」と「ブランドとの親和性」を重視すべきです。マイクロKOL(フォロワー1万〜5万人)は費用対効果が高く、フォロワーとの信頼関係が強い傾向があります。選定の際は、過去の投稿内容がブランドの世界観と合っているか、フォロワーの属性(年齢・性別・興味関心)がターゲットと一致しているかを確認しましょう。現地の代理店やKOLマッチングプラットフォームを活用するのも有効です。
Q5. シンガポールの広告規制で気をつけるべきことは?
ASAS(広告標準委員会)のSCAP(広告行動規範)を遵守することが基本です。誇大表現や根拠のないクレームは禁止されており、SNS広告では「#ad」「#sponsored」の表示が求められます。また、POFMA(オンライン偽情報防止法)により、虚偽や誤解を招く情報の発信には訂正命令が出される可能性があります。医薬品・食品・金融などの業種では個別の規制も存在するため、事前に現地の専門家に確認することを推奨します。
Q6. 日本から遠隔でシンガポールの広告運用は可能ですか?
デジタル広告(Google広告、SNS広告)については、日本からの遠隔運用が十分に可能です。広告プラットフォームの管理画面は場所を問わずアクセスでき、ターゲティングや予算調整もリアルタイムで行えます。ただし、クリエイティブのローカライズ(現地消費者に合わせたコピーやビジュアルの最適化)、KOLとの連携、OOH広告の出稿などは、現地の広告代理店やパートナーとの協力が不可欠です。時差が1時間と小さいため、リアルタイムのコミュニケーションは取りやすい環境です。
Q7. シンガポールの広告で成果を出すためのKPIは?
広告の目的に応じてKPIを設定します。認知獲得が目的であれば「リーチ数」「インプレッション数」「CPM(1,000インプレッション費用)」、ウェブサイトへの集客が目的であれば「クリック数」「CTR(クリック率)」「CPC(クリック単価)」、コンバージョン(購入・問い合わせ)が目的であれば「CV数」「CVR(コンバージョン率)」「CPA(顧客獲得単価)」「ROAS(広告費用対効果)」を指標とします。テストマーケティング段階ではまず複数チャネルでCTRとCPCを比較し、本格展開段階でCPAやROASの最適化に注力するのが効果的です。
8. まとめ
シンガポールは、購買力の高い消費者、充実したデジタルインフラ、東南アジアのハブとしての地理的優位性を兼ね備えた、日本企業にとって魅力的な広告市場です。
シンガポール進出に関するご相談は、ぜひWMH(ワールド・モード・ホールディングス株式会社)までお気軽にお問い合わせください。
この記事が役に立つ!と思った方はシェア
海外進出相談数
27000
件突破!!
最適サポート企業を無料紹介
コンシェルジュに無料相談
この記事をご覧になった方は、こちらの記事も見ています
オススメの海外進出サポート企業
-
YCP
グローバル22拠点✕800名体制で、現地に根付いたメンバーによる伴走型ハンズオン支援
<概要>
・アジアを中心とする世界21拠点、コンサルタント800名体制を有する、日系独立系では最大級のコンサルティングファーム(東証上場)
<サービス特長>
・現地に根付いたローカルメンバーと日本人メンバーが協働した伴走型ハンズオン支援、顧客ニーズに応じた柔軟な現地対応が可能
・マッキンゼー/ボストンコンサルティンググループ/ゴールドマンサックス/P&G/Google出身者が、グローバルノウハウを提供
・コンサルティング事業と併行して、当社グループで展開する自社事業群(パーソナルケア/飲食業/ヘルスケア/卸売/教育など)の海外展開実績に基づく、実践的なアドバイスを提供
<支援スコープ>
・調査/戦略から、現地パートナー発掘、現地拠点/オペレーション構築、M&A、海外営業/顧客獲得、現地事業マネジメントまで、一気通貫で支援
・グローバル企業から中堅/中小/スタートアップ企業まで、企業規模を問わずに多様な海外進出ニーズに応じたソリューションを提供
・B2B領域(商社/卸売/製造/自動車/物流/化学/建設/テクノロジー)、B2C領域(小売/パーソナルケア/ヘルスケア/食品/店舗サービス/エンターテイメントなど)で、3,000件以上の豊富なプロジェクト実績を有する
<主要サービスメニュー>
① 初期投資を抑えつつ、海外取引拡大を通した円安メリットの最大化を目的とする、デジタルマーケティングを活用した海外潜在顧客発掘、および、海外販路開拓支援
② 現地市場で不足する機能を補完し、海外事業の立ち上げ&立て直しを伴走型で支援するプロフェッショナル人材派遣
③ アジア圏での「デジタル」ビジネス事業機会の抽出&評価、戦略構築から事業立ち上げまでの海外事業デジタルトランスフォーメーションに係るトータルサポート
④ 市場環境変動に即した手触り感あるインサイトを抽出する海外市場調査&参入戦略構築
⑤ アジア特有の中小案件M&A案件発掘から交渉/実行/PMIまでをカバーする海外M&A一気通貫支援
⑥ 既存サプライチェーン体制の分析/評価/最適化、および、直接材&間接材の調達コスト削減 -
合同会社サウスポイント
世界と日本をつなぐ架け橋「沖縄」から海外展開を支援しています
2017年7月日本・沖縄と海外の万国津梁の架け橋を目指して、企業の海外展開支援を目的として沖縄・那覇で設立。アジア・欧州を中心に沖縄県内・沖縄県外企業の海外進出・国際展開のサポートを実施しています。2022年7月には観光産業の伸びの著しい石垣市に八重山事務所を開設しております。
沖縄をハブに、台湾・中国・香港・ベトナム・タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・オーストラリア・ニュージーランド・イギリス・ドイツ・ブラジル各国にパートナーエージェントを配置し、アメリカ合衆国・インドは提携先を設けていますので、現地でも情報収集、視察等も直接支援可能、幅広く皆様の海外展開とインバウンド事業をサポートしております。 -
株式会社ダズ・インターナショナル
アジア・アメリカ・ヨーロッパ進出における伴走支援と現地対応力
私たちは企業の海外挑戦を設計→実行→着地まで伴走支援いたします。
これまでの企業支援数は1,500社以上です。
私たちは『どの国が最適か?』から始まる海外進出のゼロ→イチから、
海外進出後のマーケティング課題も現地にて一貫支援いたします。
※支援主要各国現地にメンバーを配置し、海外進出後も支援できる体制
------------------------------------
■サポート対象国(グループ別)
↳アジア①(タイ・ベトナム・マレーシア・カンボジア・インドネシア・フィリピン・ラオス)
↳アジア②(日本・香港・シンガポール・台湾・韓国)
↳アジア③(ドバイ・サウジアラビア・インドバングラデシュ・モンゴル・ミャンマー)
↳欧米(アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ)
※サポート内容により、対応の可否や得意・不得意な分野はあります。
------------------------------------
■対応施策ラインナップ
①"市場把握"サポート
目的は"海外現地を理解し、事業の成功可能性を上げる"こと。
(以下、含まれる施策)
↳市場概況・規制調査
↳競合調査
↳企業信用調査
↳現地視察企画・アテンド
②"集客活動"サポート
目的は"海外現地で売れるためのマーケティング活動を確立"すること。
↳多言語サイト制作
↳EC運用
↳SNS運用
↳広告運用(Google/Metaなど)
↳インフルエンサー施策
↳画像・動画コンテンツ制作
③"販路構築"サポート
目的は"海外現地で最適な海外パートナーとの取引を創出"すること。
↳商談向け資料制作
↳企業リストアップ
↳アポイント取得
↳商談創出・交渉サポート
↳契約サポート
④"体制構築"サポート
目的は"海外現地で活動するために必要な土台"をつくること。
↳会社設立(登記・銀行口座)
↳ビザ申請サポート
↳不動産探索(オフィス・倉庫・店舗・住居)
↳店舗開業パッケージ(許認可・内装・採用・集客)
↳人材採用支援(現地スタッフ採用支援)
------------------------------------ -
GLOBAL ANGLE Pte. Ltd.
70か国/90都市以上での現地に立脚したフィールド調査
GLOBAL ANGLEは海外進出・事業推進に必要な市場・産業調査サービス、デジタルマーケティングサービスを提供しています。70か国90都市以上にローカルリサーチャーを有し、現地の言語で、現地の人により、現地市場を調べることで生きた情報を抽出することを強みとしています。自社オンラインプラットホームで現地調査員管理・プロジェクト管理を行うことでスムーズなプロジェクト進行を実現しています。シンガポール本部プロジェクトマネージメントチームは海外事業コンサルタント/リサーチャーで形成されており、現地から取得した情報を分析・フォーマット化し、事業に活きる情報としてお届けしております。
実績:
東アジア(中国、韓国、台湾、香港等)
東南アジア(マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ等)
南アジア(インド、パキスタン、バングラディッシュ等)
北米(USA、メキシコ、カナダ)、南米(ブラジル、チリ等)
中東(トルコ、サウジアラビア等)
ヨーロッパ(イタリア、ドイツ、フランス、スペイン等)
アフリカ(南アフリカ、ケニア、エジプト、エチオピア、ナイジェリア等) -
アクシアマーケティング株式会社
「どの国が自社に適しているのか、客観的データで判断したい」そんなお悩みにお答えします
海外市場の中でも、調査・分析に特化したサービスを提供しております。
たとえば、市場の調査・分析に関しては、外部環境の影響を推測するPEST分析や、ビジネスモデルの仮説検証などを「正確かつ包括的」に実施しております。なぜその情報が必要なのか、クライアントのご相談背景まですり合わせをすることを徹底していることが強みとなっています。
競合の調査・分析については、対象企業の強みや弱みを把握するためのSWOT分析、マーケットシェアや競合企業の分析などを行い、「その企業がなぜ成功・失敗したのか」を徹底的に掘り下げます。
また、得られたデータや分析から、具体的な戦略と実行可能な施策提案まで行っております。貴社の「適切な経営判断」のために、合理的かつ包括的な支援を心がけています。
ありがたいことに、これまでたくさんの企業様を支援させていただきましたが、相談いただくほどんどの企業様が、
「どの国・地域に参入すべきかわからない」
「進出に踏み切れる客観的データがない」
「海外進出がはじめてだから落とし穴が多そうで困っている」
などいったお悩みを抱えています。こういったお悩みの企業のご担当者は、ぜひ一度、アクシアマーケティングにご連絡ください。
東南アジアや中国、韓国、インドをはじめ、北米や欧州といった幅広い国・地域での調査実績があり、調査・分析に特化している弊社が、貴社の海外事業の成功に向けて、伴走支援させていただきます。
【主要サービスメニュー】
市場調査
競合分析
アライアンス支援
【よくご相談いただく内容】
「どの国・地域に参入すべきかわからない」
「進出に踏み切れる客観的データがない」
「海外進出がはじめてだから落とし穴が多そうで困っている」
「市場規模や成長性を正確に把握できていない」
「公開情報が少ないニッチな市場を細かい粒度で分析したい」
「現地の消費者ニーズや嗜好が理解できない」
「競合他社の動向や市場内でのポジショニング戦略が定まらない」
「法規制、税制、輸入関税などの複雑な規制を把握するのが難しい」
「効果的なマーケティング戦略や販売チャネルを見つけ出せない」
「現地でのビジネスパートナー探しや信頼できるサプライヤーの選定が困難」
「その地域特有の慣習、文化を把握できていない」
など
①市場調査
進出を考えている市場をマクロ的視点、ミクロ的視点から調査・分析いたします。
潜在ニーズやトレンド、製品・サービスの適合性など、多岐にわたる範囲に対応しております。
「どういった情報があれば、適切な事業判断が下せるのか」といった姿勢を徹底しており、適切な情報を漏れなく提供することができます。
市場調査では、有識者へのヒアリングなど多くのサービスを展開しておりますが、貴社にとって適切な調査・分析をご提案させていただきます。
「バイアスがかかった状態で判断してしまっていそう」といったお悩みを抱えるご担当者の方は、壁打ちからでも対応できますので、まずはご相談ください。
②競合調査
「競合がなぜ成功・失敗したのかわからない」といったご相談をよくいただきます。
弊社の競合調査では、競合の戦略を徹底的に解剖し、貴社のマーケティング戦略の支援まで実施します。
サービス内容としては、業界の第一線を走る方への一次取材などをご提供しております。
また、他社が関わる分野の調査ということもあり、匿名性や守秘義務も徹底遵守しています。そのため、クライアントからも大変好評をいただいております。
③アライアンス支援
双方に適切なパートナーシップ構築であることをポリシーとしています。
数多くの企業と提携を結んでいる弊社が、貴社の適切なパートナーをご提案させていただきます。
海外進出をご検討されている企業さまに多くご依頼を受けているサービスの1つです。
「はじめての国・地域」だからこそ、事業を成功させるには、協業することは重要な要素となってきます。
自信をもって、提携企業様をご提案させていただきますので、ぜひ一度ご相談ください。






























