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【2020年版】台湾経済の最新状況 | 対中強硬路線をとる蔡政権の続投と中国生産回帰の影響

掲載日:2020年01月23日

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台湾経済の最新状況と、2020年時点での台湾経済の成長率、およびその見通しについて解説します。

2020年1月21日、台湾の行政院(内閣)は、2019年10~12月期の実質経済成長率(速報値)が前年同期比3.38%であったことを発表。2019年11月時点での予想を0.34ポイント上回ったことで、6四半期ぶりに3%台の経済成長率となりました。 2020年1月11日の総裁選では、「一つの中国」を認めないとする与党・民進党の現職・蔡英文(ツァイ・インウェン/さい えいぶん)氏が、過去最多得票で圧勝。対中強硬路線を掲げる蔡氏の再選によって、今後、台湾経済の成長率がどのような動きを見せるかが注目されています。

2016年の時点で「新南向政策」を掲げることで、さらなる経済成長を目指している蔡政権が率いる台湾。台湾という国自体が随一の親日国としても知られており、日本製品の需要も高いことでも有名です。

ただ、台湾経済は電子機器関連を輸出の主要品目としており、その特徴である輸出依存度が高い性格は、2018年の始めより勃興した中国・アメリカの米中貿易戦争の悪影響も受けていることは否ません。

本テキストでは、台湾経済の最新動向と、基本情報も踏まえながら、主要国との関係、さらには日本企業が台湾に進出する際のメリットについても詳しく解説します。

1.台湾経済の最新状況

経済成長率が1年半ぶりに3%を突破

2020年1月21日、台湾の行政院(内閣)は、2019年10~12月期の実質経済成長率(速報値)が前年同期比3.38%であったことを発表。2019年11月時点での予想を0.34ポイント上回ったことで、6四半期ぶりに3%台の経済成長率となりました。

2019年2月の時点では、2019年の実質GDP成長率が前年比2.27%になる見通しが発表されていたことで、景気はやや減退する見込みとされており、2020年1月に控えていた台湾総裁選では、台湾独立志向を持つ与党・民主進歩党(民進党)と、対中融和路線の最大野党・国民党との間での、対中経済問題に関する争点が注目されていました。

「一つの中国」を認めない蔡英文(ツァイ・インウェン/さい えいぶん)氏が圧勝

そんな中国との距離の取り方を最大の争点としていた総裁選でしたが、蓋を開けてみれば、対中強硬路線をとる与党・民進党の現職・蔡英文(ツァイ・インウェン/さい えいぶん)氏が、過去最多得票で圧勝。

経済の脱・中国依存を目指す蔡総統は、中国から台湾への投資回帰を促す補助金などの政策を打ち出しています。

台湾経済の特徴として、もともと輸出依存度が高く、その内訳としても、電子機器関連を輸出の主要品目としていることから、2018年の始めより勃興した中国・アメリカの米中貿易戦争を含む世界経済の停滞に大きく影響を受けていました。

中国からの生産回帰が台湾経済を後押し

もともと台湾経済を牽引してきたのは、アメリカのアップルなどグローバルIT企業の機器生産を担う国内企業とされています。その多くは中国に生産拠点を築くことで成長を果たしましたが、米中貿易戦争の影響を受けて、その生産を台湾に回帰する動きが活発化しているのが現状です。

また先述の蔡政権が掲げる投資回帰の申請総額は2019年に2.6兆円規模までに上昇。蔡政権は今年5月20日にスタートする2期目においても同様の取り組みを強化していくとしています。

2.台湾経済における輸出と個人消費の位置づけとは?

経済成長は低調も個人消費は今後も拡大の見込

前項を踏まえた上で、今後の台湾経済は、やや低調ながらも成長する見込みです。その一方で、個人消費も拡大するという予測があります。これは、国内失業率の低下や「一例一休」制度の導入による残業代の支給で、所得が増えたことが起因しています。

2019年以降も輸出部門が大きく減退することはなく、さらには賃金の上昇もその一因としています。先述のように輸出部門も緩やかな横ばい状況のため、個人消費は緩やかに上昇していくと見られています。

次世代インフラ建設で投資の強化を目指す

2017年に台湾政府が定めた「前瞻基礎建設計画」では、次世代インフラの建設を行うことで、投資の強化を目指しています。具体的には…

(1)風力発電や太陽光発電等のグリーンエネルギー
(2)ネットやITインフラ
(3)治水、水供給等の環境インフラ
(4)高速鉄道や台湾鉄道の高度化、都市MRT等の鉄道インフラ
(5)駐車問題の改善、道路の改善等の都市・農村インフラ

を挙げています。その中でも特に金額的に大きいのは、鉄道インフラの整備となっており、訪台した観光客や現地の住民の生活の高めることを優先としていることが考えられます。

3.台湾経済と「新南向政策」

ASEAN・南アジア諸国との関係を強化

2016年、中国との融和路線をとる馬英九(ば えいきゅう/マー・インチウ)総統が率いる国民党に代わって、台湾初の女性総統として蔡英文(ツァイ・インウェン/さい えいぶん)氏が率いる民進党が8年ぶりに政権を奪回しました。

蔡政権の経済政策として特徴的なのは「新南向政策」です。これは、蔡総統就任後の2016年に打ち立てられた政策で、経済発展が著しいASEAN10ヵ国、南アジア6ヵ国、オーストラリアとニュージーランド、計18ヵ国との関係を強化し、台湾の経済発展を目指すといった政策です。

この政策では、下記4つの軸を主軸として、経済成長を目指すとしています。

(1)経済貿易協力
(2)人材交流
(3)資源の共有
(4)地域の連携

経済貿易協力では、ターゲット国のインフラ建設協力や、スマート医療、IoTシステムの輸出、さらにはEコマースでの台湾製品の発信、教育やヘルスケア分野での輸出の推進を目指しています。

人材交流では、専門性の高い人材を育成・交流を図るとしています。具体的には、台湾の大学の海外分校の設立、台湾専門のクラスの設立をすることで、台湾の専門家の育成の強化を目指します。また、交流促進の為にビザ申請等の手続きを簡素化する計画があります。

台湾で働いている外国人専門家や技術者には、評価制度を設け、一定の基準を満たした場合にビザの延長許可措置が可能になる施策も盛り込まれています。

資源の共有では、文化や観光、医療等のターゲット国の生活の質向上を目指すとしています。

文化面では、メディアやゲームを利用した台湾のブランディングの向上、観光分野では、ターゲット国からの旅行者へのビザ規制緩和、医療分野では、医薬品の認証、新薬、医療機器の開発の協力を目指しています。

最後に地域の連携では、ASEANやインドとの経済連携協定締結を積極的に図るとしています。これにより、台湾からのターゲット国への投資を期待しています。また、南アジアへの進出も第三国との連携で目指すとしています。

4. 台湾の基本情報

初の女性総統が担う台湾

この項からは、改めて台湾の基本情報について解説します。台湾は、約2,400万人の人口で、面積は九州より少し小さく、主要都市は、台北市や高雄市があり、経済や観光の拠点となっています。主要言語は、中国や台湾語、客家語となっています。

台湾では、中国国民党の流れを汲んでいることから、「三民主義(民族独立,民権伸長,民生安定)」による民主共和制が敷かれており、更には、五権分立(行政,立法,監察,司法,考試)という制度があります。

現在、台湾の元首である総統には、蔡英文(さい えいぶん)氏が務めており、台湾初の女性総統として話題になりました。

現在、3年目の任期を迎えていますが、中国との両岸政策や経済政策で、大きな成果が見られないことから、国内では支持率が下落しており、不支持率が支持率を上回っている状態が2017年の11月から続いています。

また、近年では2018年6月の大阪北部地震や7月の西日本豪雨の際に、蔡英文総統がtwitterに投稿した日本語のお見舞い文が注目を浴びました。西日本豪雨では、2,000万円の義援金を台湾政府が寄付しています。

5. 台湾と主要諸国との関係は?

切っても切れない中国との関係

中国と台湾は、政治的な関係は非常に悪いですが、経済的にみると、2017年度も中国への輸出が台湾全体の約3割を占めており、中国の存在感は大きいといえます。今後も蔡政権は、中国との経済関係を維持していくとの見方もありますが、政治と経済のダブルスタンダードとなっており、両国関係は、不安定であると見ることもできます。

特に両国では、「92年合意」を巡って対立しています。この「92年合意」は、「中国と台湾は一つの中国である」というもので、中国側としては、「台湾は中国の一部である」という前提の下で、経済活動、外交活動を継続しています。

最近では、中国当局が各国の航空会社に「台湾」の表記を改めるように強制したこともあり、「92年合意」問題が再び世界的に取り上げられるようになりました。

歩み寄りを見せるアメリカとの関係

アメリカと台湾の関係は良好です。2018年3月にはアメリカ議会で「台湾旅行法」が可決され、全レベルのアメリカ職員が、台湾当局の職員との面会ができるようになりました。また、台湾にとって中国だけでなくアメリカも有力なビジネスパートナーでもあることから、今回の米中貿易摩擦問題は、看過できない問題になっています。

先の「台湾」の表記問題では、トランプ大統領は、中国の呼びかけに対し批判をしています。アメリカとしては、激化する米中貿易摩擦の中で、台湾に歩み寄っていると見ることができます。

6.台湾進出のメリット

経済特区で優遇制度あり

日本と台湾は、非常に良好です。特に台湾は親日国として知られています。経済的にも日本は、台湾にとって主要なパートナーとなっており、今後は新南向政策の下に、経済協力か拡大することが考えられます。

具体的な分野としては、バイオやロボットのハイテク産業分野や医薬品分野、IoTを用いたクリーンエネルギー分野、介護やバリアフリーのようなヘルスケア分野が挙げられます。

将来、台湾としても第三国と協力して南アジア(インド、バングラデシュ等)への進出を計画していることから、共同出資の合同会社設立、三国間貿易などの施策が考えられ、台湾企業との協業は、潜在的な可能性があると言えます。

海外進出の第一歩としての可能性

台湾では、進出する際に日本のビジネスモデルを大きく変える必要がないというメリットがあります。これは、台湾と日本の企業文化が似ていることが要因の一つとして考えられます。

中国やタイ・シンガポール等のASEANに進出する際には、ビジネスモデルを大きく変える場合があり、台湾でも多少ビジネスモデルを変える必要がありますが、中国や東南アジアと比べて、その手間はかかりません。

また、香港やシンガポールと比べて不動産コストは低いため、最初の海外進出としても非常に魅力的です。

7. 優良な台湾進出サポート企業をご紹介

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今回は台湾経済の最新動向を見てきました。台湾は、日本との国交は持っていないものの、日本に関心がある人が多く、ジャパンブランドも受け入れられやすいと考えられます。また、個人消費も堅調なことから、外食や飲食産業にも需要があるかもしれません。一方で、訪日台湾旅行客も多いため、国内のインバウンド市場にも需要があるといえます。

従来より親日で潜在性が高い台湾ですが、現地に進出する際には、もちろん現地のパートナーを探すことがもっともスムーズです。その際に必要なのは、そのような手続きのサポートです。

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(参照文献)
「台湾 基礎データ」 外務省
「台湾の「新南向政策」の推進計画について」 台北駐日経済文化代表処(2016年10月14日)
「台湾経済の動向と日本企業台湾進出有望業種」」野村総合研究所(2016年12月)
「台湾経済の現状と展望~発足1周年を迎えた蔡英文政権の課題~」 みずほ総合研究所(2017年6月)
「トランプが「台湾旅行法」に署名すれば戦争に発展=中国国営英字紙」 Newsweek(2018年3月2日)
「蔡総統就任2周年 支持率前月より回復も30%台=民間団体/台湾」 フォーカス台湾(2018年5月20日)
「台湾が西日本豪雨の義援金2千万円贈呈」 日本経済新聞(2018年7月12日)

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この記事を書いた人

「Digima〜出島〜」編集部

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