ベトナムの外資規制を徹底解説-出資比率の制限とは?投資禁止分野とは?
ベトナムは急速な経済成長とともに、多くの外国企業にとって魅力的な市場となっています。しかし、ベトナム進出の際には「外資規制」という複雑な壁に直面することは避けられません。
「外資規制って何?」「なんだか難しそう…」
こうした疑問をお持ちの日本企業のビジネスパーソンの方も多いことでしょう。この記事では、ベトナムの外資規制について、その基本から具体的な規制内容までを詳しくレクチャーし、ビジネス展開における注意点や攻略法を、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
▼ ベトナムの外資規制を徹底解説-出資比率の制限とは?投資禁止分野とは?
1. そもそも外資規制とは?
ベトナムの進出の壁となり得る「ベトナムの外資規制」について解説する前に、そもそも外資規制とは何かについて簡潔に解説します。
外資規制とは「外国企業が特定の国での投資や事業活動を行う際に適用される法的な制限や条件」
外資規制とは、外国企業や投資家が特定の国でビジネスを行う際に適用される法的な制限や条件のことを指します。これには、外国企業の所有割合の制限、特定の業種への投資禁止、資本金の最低額の設定、政府の許可の必要性などが含まれます。外資規制は、その国の経済的および文化的利益を守るために設けられており、国内企業の保護や重要な産業の制御、文化や社会の保護などを目的としています。
例えば、国の安全保障や公共の利益に関連する分野では、外国企業が影響力を持つことを防ぐために、厳しい規制が課されることがあります。また、国内市場の競争を健全に保つため、中小企業の保護や雇用機会の維持を目的とした規制もあります。
外資規制は国ごとに異なり、その国の経済政策や国際関係に基づいて変動します。国際的な経済協定や組織(例えばWTO)への加盟は、外資規制の緩和や変更に影響を与えることがあります。企業や投資家は、特定の国への進出を検討する際に、これらの規制を十分に理解し、適切な対策を講じる必要があるのです。
2. ベトナムの外資規制の基礎知識
ここから本稿のメインテーマである「ベトナムの外資規制」について解説していきます。
ベトナムは、2007年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以降、多くの分野で外国企業への市場を開放してきました。具体的には、建設業や小売業など、私たちの生活に身近な分野も含まれています。しかし、すべての分野で外国企業が自由に投資できるわけではありません。
ベトナム政府がこれほど厳しく外資規制を行っている理由としては、外資による買収によって、重要な産業が外国資本に支配されることを防いだり、 外国の文化が国内に浸透しすぎることを防ぎ、自国の文化を保護することなどが目的としています。
ベトナムでは、大きく分けて、以下の4つの分野で規制がかけられています。
① 投資禁止・条件付き投資の分野
1つめは「投資禁止分野」と「条件付き投資分野」です。
■投資禁止分野:
この分野では外国企業は一切投資することができません。
■条件付き投資分野:
投資は認められていますが、政府の厳しい審査を受ける必要があります。審査を通過するのが難しく、時間がかかるケースも少なくありません。
② 出資比率による規制
2つめは出資比率による規制です。
多くの分野で外国企業の投資が認められていますが、その企業の出資比率には制限があります。つまり、ベトナム企業との共同出資が求められるケースが多いということです。
③ 資本金による規制
3つめは資本金による規制です。
ベトナムで会社を設立する際の資本金は、原則として自由に決めることができます。しかし、一部の分野では、最低資本金が定められている場合もあります。
④ その他の規制
4つめはその他の規制です。ここでは下記の2つを解説します。
■土地の所有:
外国企業が土地を所有することは、原則として認められていません。
■借入:
外国企業の借入についても、制限がある場合があります。
3. ベトナムでの投資禁止分野とは?
この項では前項にてとりあげた「投資禁止分野」について詳述します。
国防・治安・環境など国家にとって重要な分野への投資は原則禁止
ベトナムでは、国防や治安、環境など、国家にとって重要な分野への投資は、原則として禁止されています。具体的には、以下の4つのビジネスが挙げられます。
① 違法薬物の製造
麻薬など、法律で禁止されている薬物の製造は厳しく禁止されています。
② 歴史文化遺産の破壊
ベトナムの歴史的な建造物や文化遺産を傷つけるような行為は認められません。
③ 有害廃棄物の処理
環境汚染につながるような有害な廃棄物の処理事業も禁止されています。
④ 債権回収
2021年の法改正により、新たに投資禁止分野に加わりました。
これらの分野は、ベトナムの社会や環境に大きな影響を与える可能性があるため、厳しく規制されているので注意が必要です。
4. ベトナムでの条件付き投資分野とは?
前項に続いて、ベトナムにて外資投資が規制されている「条件付き投資分野」を詳述します。
金融業や放送業などが「条件付き投資分野」に該当
条件付き投資分野は、投資自体は認められていますが、政府の許可が必要な分野です。例えば、金融業や放送業などがこれに当たります。
この分野への投資を行うためには、以下の様な手続きが必要になります。
■事業計画書の作成:
投資内容や事業計画を詳細に記載した書類を作成します
■政府への申請:
作成した事業計画書を政府に提出し、審査を受けます
■許可書の取得:
審査に合格すれば、投資許可書が発行されます
5. ベトナムでの外資企業に対する出資比率の制限
ここからは、ベトナムでの外国企業に対する「出資比率による規制」ついて詳しく見ていきましょう。
出資比率の制限って?
出資比率の制限とは、外国企業がベトナムの企業に出資する場合、その出資比率が法律によって定められていることを指します。
例えば、「外国企業の出資比率は合弁会社の資本金の49%を超えてはならない」といったように、具体的な数値が定められているケースが多いです。
なぜ出資比率に制限があるの?
出資比率に制限があるのは、外資による買収によって、重要な産業が外国資本に支配されることを防ぐことや、大手外資企業との競争に弱い中小企業を守るため、また外資企業の進出によって、国内の雇用が失われることを防ぐため等の理由で設けられています。
例えば、通信業では、ネットワークインフラを備える場合は、外国企業の出資比率は49%まで、銀行業では、商業銀行の株式で出資する場合、外国企業の出資比率は30%までとされています。
【分野別】外資企業に対する出資比率の制限の具体例
外資企業に対する出資比率の制限の具体例としては、以下のような産業があります。
通信業
- インターネット回線: 外国企業の比率は49%まで。
- 携帯電話の基地局: 外国企業の比率は49%まで。
映画産業
- 映画の製作、配給、上映を行う会社を設立する場合、外国企業の比率は51%まで。
銀行業
- 銀行の株式を取得する場合、外国企業の比率は30%まで。
海運業
- ベトナムの国旗を掲げる船を運航する場合、外国企業の比率は49%まで。
- 海外との間の船舶運航を行う場合、外国企業が100%出資可能。
鉄道
- 鉄道会社を設立する場合、外国企業の比率は49%まで。
以上はほんの一部をご紹介したのみです。
実態としては、規制の緩和が明示されていても投資許可が下りないというケースもあり得ます。
100%外資で投資可能な分野でさえ、実際のところ投資審査を通過できないこともあるのです。
6. 2017年のWTO加盟によって「出資比率による規制」が開放された11分野とは?
前項までで述べたように、ベトナムでの外国企業の出資比率には制限があります。
しかし、2007年のWTO加盟に伴い、12の分野のうち11の分野において市場を開放することが発表されました。
最後に、出資比率による規制が開放された分野について解説します。
12の分野のうち11の分野において市場が開放
解放された11分野とは以下になります。
① 法律、会計、監査、税務、コンサルティングサービス
② 情報通信などのコミュニケーションサービス
③ 建設サービス
④ 卸売り、小売、フランチャイズなどの流通サービス
⑤ 教育サービス
⑥ 汚水廃棄物処理などの環境サービス
⑦ 保険、銀行、証券などの金融サービス
⑧ 病院などの健康関連サービス
⑨ ホテル、旅行業などの観光サービス
⑩ 娯楽サービス
⑪ 海上、航空、鉄道、道路などにおける運送サービス
これらの11分野は段階的に市場開放が進んでいます。
また「③ 建設サービス」「 ④ 流通サービス」の分野においては、既に外資100%による進出が可能となっています。
7. ベトナム進出なら「東京コンサルティングファーム」にお任せください
今回は「ベトナムの外資規制」について解説しました。
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本稿で解説した、ベトナムの外資規制に関するご相談はもちろん、海外進出から海外子会社管理、クロスボーダーM&A、事業戦略再構築など、海外進出に関する課題がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※本記事は、ベトナムに関する一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません
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現地法人設立(M&A含む)や店舗開業に伴う不動産(内装業者)探索や人材探索、各種手続き・ビザ申請等、ワンストップで対応。
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基本的にはセカイ各国の支援に対応しておりますが、
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■これまでの支援で最も多かったご相談
- 海外進出って何をすればよいの?
- 初めての海外進出をどのように進めれば不安、手伝って欲しい
- どこの国が最適なのか、一緒に考えて欲しい
- 進出検討中の国や市場を調査・分析し、自社との相性が知りたい
- 現地競合企業の情報・動向が知りたい
- どんな売り方が最適か、アドバイスが欲しい
- 海外進出事業計画策定を手伝って欲しい
- 事業戦略・マーケティング設計がしたい
- 食品・コスメ・医薬品に必要なFDA申請を手伝って欲しい
- 海外で販路開拓・拡張がしたい
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- 海外現地法人設立(ビザ申請)をサポートして欲しい
- 海外でプロモーションがしたい
- 越境EC(自社サイト・モール)販路を広げたい・深めたい
- 海外のデジタルマーケティング戦略をサポートして欲しい
- 海外向けのウェブサイト(LP)をつくってほしい
- 海外向けのECサイトをつくってほしい
- 海外のSNS・ECの運用を手伝って欲しい
- すでに活動中の現地法人の悩み解決を手伝って欲しい
- 海外で店舗開業(飲食店含む)を総合サポートして欲しい
■主要施策
①BtoB販路開拓サポート
- 海外販路開拓・現地企業マッチングサポート
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- 海外ビジネスマッチング(現地企業探索サポート)
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- 翻訳・通訳サポート
- 手続き・申請(FDA申請含む)サポート
- 海外税務/法務/労務/人事 サポート
- 輸出入/貿易/通関 サポート
- 海外販路開拓・現地企業マッチングサポート
- 各種市場調査/分析
↳企業信用調査
↳競合調査/分析
↳法規制調査
↳有識者調査・インタビュー
↳消費者調査・インタビュー
↳現地テストマーケティング
↳ウェブ調査/分析
②BtoC販路開拓サポート
- EC/越境EC運用代行サポート
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- SNS運用代行サポート
- サイト(EC/多言語/LP)制作
- コンテンツ(画像・動画)制作デジタルマーケティングサポート
- プロモーションサポート
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- Webプロモーション
↳インフルエンサープロモーション
↳現地メディアプロモーション
↳広告運用(リスティング広告・SNS広告など)
③法人・店舗開業
- グローバル飲食店開業サポート
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- ビザ申請手続き
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- クラウドファンティングサポート -
GLOBAL ANGLE Pte. Ltd.
70か国/90都市以上での現地に立脚したフィールド調査
GLOBAL ANGLEは海外進出・事業推進に必要な市場・産業調査サービス、デジタルマーケティングサービスを提供しています。70か国90都市以上にローカルリサーチャーを有し、現地の言語で、現地の人により、現地市場を調べることで生きた情報を抽出することを強みとしています。自社オンラインプラットホームで現地調査員管理・プロジェクト管理を行うことでスムーズなプロジェクト進行を実現しています。シンガポール本部プロジェクトマネージメントチームは海外事業コンサルタント/リサーチャーで形成されており、現地から取得した情報を分析・フォーマット化し、事業に活きる情報としてお届けしております。
実績:
東アジア(中国、韓国、台湾、香港等)
東南アジア(マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ等)
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北米(USA、メキシコ、カナダ)、南米(ブラジル、チリ等)
中東(トルコ、サウジアラビア等)
ヨーロッパ(イタリア、ドイツ、フランス、スペイン等)
アフリカ(南アフリカ、ケニア、エジプト、エチオピア、ナイジェリア等) -
株式会社レイン
海外ビジネスの羅針盤として 〜レイン独自の専門家ネットワークで総合支援〜
【会社概要】
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企業のグローバルな展望に基づいた海外進出の支援をしています。
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持つ大学教授陣、また、現地の内情に精通した各国の調査会社などから構成されます。
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及び、世界各地における効果的な調査とその分析により、現地の最新状況をつぶさに把握する
ことが可能です。
■レインは現地のリサーチだけでなく、海外視察のプラニングからビジネスパートナーの発掘、
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【レインの特徴】
①『日本からの視点と世界のトレンドの交差点から最新情報を提供』
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日本企業を含む多くのグローバル企業との幅広いプロジェクト経験を持っており、日本国内
と海外双方の視点からビジネスを熟知しています。
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日本やアジアの大学教授陣との連携により、学術的な観点を取り入れた専門知識のインプッ
トだけでなく、様々な専門家・有識者の窓口として応用もできます。また、このようなネッ
トワークを活用し産学連携プロジェクトを企画することも可能です。
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大規模な調査については、現地の内情に精通した各国の現地調査会社や、その地域特有の文化、
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精度の高い情報収集と分析を可能にしています。
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東南アジア >>> タイ・インドネシア・ベトナム・フィリピン・マレーシア・シンガポール 他
南アジア >>> インド・スリランカ・ネパール・パキスタン・バングラデシュ
中東 >>> トルコ・UAE・サウジアラビア
欧州 >>> イギリス・スペイン・イタリア・フランス・ドイツ・スウェーデン
アフリカ >>> 南アフリカ・エジプト・ジンバブエ・ケニア
北米 >>> アメリカ・カナダ
中南米 >>> ブラジル・アルゼンチン・メキシコ