「海外赴任」を成功に導く「海外駐在員」のメンタルサポート方法とは?

海外赴任をしている海外駐在員が陥りやすいメンタルのケア方法について解説します。
古くは、大手メーカーや総合商社の社員が中心であった「駐在員」や「海外赴任者」。しかし、日本企業の海外進出の加速とともに、中小企業やスタートアップでも駐在員を置くケースが増加しています。また、現地工場の責任者から、営業担当者、進出前のリサーチ担当者など、その役割も多様化し、海外ビジネスにおける「駐在員」の重要性も増しています。
一方で、「海外駐在員」の抱える悩みや課題なども顕在化してきており、場合によっては大きなトラブルに繋がっているケースもあります。
そこで、本記事では、その気になる生活や給与面、そして苦労するポイントなど、「駐在員のリアル」を解説。海外駐在員が海外事業において果たす役割の重要性、成功する駐在員活用法、そして海外赴任ならではの海外駐在員のメンタルケア方法について解説します。
▼「海外赴任」を成功に導く「海外駐在員」のメンタルサポート方法とは?
1. 海外赴任・海外駐在員とは何か?
本題に入っていく前に、「海外赴任」「海外駐在員」という言葉について改めて解説します。
大きな責任と不安の双方を抱える「海外赴任者」
そもそも駐在員とは、海外への転勤により、海外で生活している従業員を指します。また、海外への転勤を「海外赴任」と言います。ここで注意が必要なのは、もともと海外現地法人での就業を前提に雇用された従業員は「現地採用」などとされ、区別されることです。
冒頭でも述べましたが、かつて「海外駐在員」を置く企業は、大手メーカーであったり、大手銀行や商社が中心でした。しかし、海外進出の加速とともに、中小企業やスタートアップの駐在員が増えている現状があります。その背景には、海外人材、特に中国やASEAN人材の活用があります。現地に工場やITの開発拠点を設ける際に、その責任者として自社社員を派遣するケースが増加しているのです。
そのため、かつては欧米中が中心であった「海外駐在員」ですが、ASEANへの赴任も増えている状況にあります。ASEANは一般的に生活環境が日本に比べ整っていないケースなども多く、そのことが様々な課題が顕在化している一因にもなっています。例えば、気候の違いや生活習慣などの違いにより体調を崩しやすくなってしまうこともあるでしょう。また、そうした際に現地医療への不安を感じることも大きな課題となります。
そして、価値観の相違や言葉の違いによって生じる従業員との軋轢、日本本社からのプレッシャーも駐在員に重くのしかかってきます。
つまり「海外駐在員」「海外赴任者」は、責任・負担ともに非常に大きい存在と言えるでしょう。
2. 海外赴任する海外駐在員のメリットは?
「さて、そんな「駐在員」「海外赴任者」ですが、苦労も多い半面、当人にとってのメリットも大きいと言えます。具体的には下記のようなメリットが挙げられます。
海外赴任のメリット① 所得面の優遇
まず、最も気になるであろう「お金」のメリットです。会社経営の都合で、海外赴任を命じられる従業員に対して、ほとんどの企業が「特別手当」や「住宅補助」を提供しています。そのため、一般的に年収・給与は、1.5倍になると言われています。また、駐在先での所得税・住民税は会社が負担するため、手取りの金額は1.8倍になるとも言われています。
また、福利厚生などを充実させているケースもあり、治安の良い高級住宅街に住めたり、運転手付きの自動車や子供のインターナショナルスクールの費用、メイドの雇用などができる可能性があります。
その他、現地の物価の安さなどによって、金額以上のメリットを享受できる可能性もあります(ただし、こちらに関しては現地の物価による補正を入れる企業も増えており、一概には言い切れなくなっています)。
このように、従業員にとっての金銭的メリットは大きいと言えるでしょう。その反面、企業にとっては負担が大きくなります。そのため、中小企業やスタートアップなどは、上記のような手当制度を独自に規定しているケースも多いです。
海外赴任のメリット② 海外での経験が積める
海外駐在員は、キャリア形成の面でも国内勤務者から大きくアドバンテージを取っています。例えば「外国人従業員のマネジメントを経験できる」ことや「外国事業所の立ち上げや経営戦略に携わる、もしくは身近で見て勉強できる」ことは、日本にいるだけではなかなか経験できません。既に到来しているグローバル時代に、世界中のどこでも生きていける人材へと成長する大きなチャンスとなります。
また、海外での子育ては、子供に対してグローバルな考え方を持つキッカケを与えてくれます。駐在員の子供は、国内のみで育てられた子供よりも、海外就労するケースが多いというデータもあるほどです。ますますボーダレス化が進む未来、子どもたちの将来にどちらのメリットが大きいかは明らかでしょう。
そして、会社としても、社員に海外でのマネジメント経験の機会を与える事で大きな成長を期待できます。海外では、駐在員が決断を求められるケースが多くなるはずです。そうした決断の経験は、成長を促します。海外赴任を終え、国内で更に責任あるポジションについてもらい、ゆくゆくは経営にと考える企業も多いはずです。
3. 海外赴任をしている「駐在員」が海外ビジネスにおいて果たす役割は?
さて、このように当人にとってはメリットの大きい「海外赴任」ですが、企業にとってはどうでしょうか? 実は企業にとっても大きなメリットがあります。やはり、ビジネスの成否を握るのは「ヒト」。特に、立ち上げ期の海外ビジネスにおいて駐在員の果たす役割は大きいのです。
海外駐在員の業務が海外ビジネスの成否を左右する
現地での決断をする事業責任者として、そして本社の意向を実行していく事業担当者として、駐在員の業務が海外ビジネスの成否を左右すると言っても過言ではないでしょう。こちらを出張ベースで行っていくというのは現実的ではありません。そのため、販路開拓や工場設立、開発拠点の設立はもちろん、OEM製造や開発のアウトソースなどといったことを検討する企業も海外駐在員を置くことが主流です。
海外駐在員が抱える「悩み・課題」は決して少なくない…
一方で、駐在員ひとりひとりに大きな責任と負担が課されるのは見過ごせない事実となっています。生活の変化、本社との板挟み、現地社員とのコミュニケーション……、など駐在員が抱える「悩み・課題」は数え上げればキリがありません。
このことに気付かずに、海外ビジネスそのものに失敗してしまうケースも少なくありません。それどころか、大きな経営リスクを抱えてしまうこともあるのです。
4. 海外赴任をした駐在員が注意すべきメンタルの課題とは?
この項では、海外赴任をした駐在員が注意すべきメンタルの課題として、ある海外赴任をした海外駐在員の事例をご紹介します。
慣れない生活、本社との板挟み、現地社員とのコミュニケーションなどによるストレス負荷…
日本でも少なくないことだとは思いますが、駐在員がメンタルの調子を崩してしまい、家から出ることができなくなってしまったケースがあります。
その要因は、慣れない生活、本社との板挟み、現地社員とのコミュニケーションなどによるストレス負荷が限界を超えてしまったこともあるでしょう。ただ、相談する相手がいなかったり、ストレス解消の場がなかったりといった要因も大きかったかもしれません。
そして、なによりメンタルの調子を崩した後のリスクが国内の比ではありません。
身寄りのない海外で、家から出れないという状態は非常に危険ですし、もしもの場合は、最悪の事態も考えなければならないケースもあるのです…。
上記のようなトラブルを抱えてしまった企業は少なくありません。それを未然に防ぎ、海外駐在員をうまく活用していくことが、海外ビジネス成功の第一歩と言えます。
5. 海外赴任を成功に導く「海外駐在員」のメンタルサポート方法とは?
海外でのビジネス展開は多大なチャンスを秘めていますが、それを現地で実行する駐在員のメンタルケアこそが、その成功のカギを握っていると言っても過言ではありません。
本項では、海外ビジネスの成功を確実なものとするための駐在員向けメンタルサポート方法について深掘りします。
まず、企業は駐在員の精神的健康を確保するために、事前かつ定期的なメンタルヘルスケアプログラムの実施が不可欠です。これには、以下のような施策が考えられます。
メンタルサポート① 定期的な対面カウンセリングセッションの提供
駐在員が抱えるストレスや不安をオープンに話し、専門家による適切なアドバイスを受ける機会を定期的に設けることが重要です。この対話を通じて、駐在員は孤立感を減少させ、心理的な負担を軽減できます。
メンタルサポート② ストレスチェックの実施
駐在員が抱えるストレスや不安をオープンに話し、専門家による適切なアドバイスを受ける機会を定期的に設けることが重要です。この対話を通じて、駐在員は孤立感を減少させ、心理的な負担を軽減できます。
メンタルサポート③ オンラインコミュニティとサポートグループの形成
同じような経験をしている他の駐在員と交流できるオンラインプラットフォームを提供します。共感や情報交換を通じて、駐在員は孤立感を克服し、具体的な解決策を見つけやすくなります。また、サポートグループは、彼らが直面する困難に対処する際に、追加の心理的支柱を提供します。
これらのメンタルサポート施策は、駐在員の仕事の効率を向上させるだけでなく、彼らの日常生活の質を高めることに貢献します。企業がこれらのサポートを提供し、駐在員を積極的に支援することが、海外ビジネスの成功への道を開きます。
海外駐在員が健康で生産的な状態を維持できるように、これらの取り組みを実施することが全ての海外進出企業に求められているのです。
6. 「海外赴任者の悩み」へのメンタルケアが海外ビジネスの成功のカギ!
海外駐在員の活躍こそが日系企業のプレゼンスを高める!
いかがでしたでしょうか? 海外駐在員の実態から、海外ビジネスにおいて果たす役割、そして企業はどのようにして海外駐在員のメンタルをサポートしていくかについて解説してきました。海外駐在員の活躍こそ、日本企業の海外でのプレゼンスを高めていくための重要なポイントです。
そのため、海外駐在員のビジネス環境をいかに整えていくかは、その企業だけの問題ではなく、チーム日本として解決していかなければならない課題だと考えています。是非、本稿を参考に、上手く海外駐在員を活用し、海外ビジネスを成功に導いていってください。
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